ハリボテの指揮官   作:杜甫kuresu

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「なあ櫻井さん、あのTシャツ着て仕事したら処される?」
「処されますね、艦の信頼的な問題ですが」
「そっかあ…………そのうち着てみよ」
「!!!???」


三話

「んじゃ掃除するか!」

「え、ホントにするの!?」

 

 当たり前だ、最近の子は分かってないなあ。

 25歳が何をって言うかもしれないが俺転生者だからな。中身は実質中年だぞ。

 

「これから来る娘が鎮守府見てキタネエ、とか思ってたら嫌だろ?」

「私は思わなかったわよ」

「それは瑞鶴がおバカな子だからだ」

「何よ其れ!」

 

 叩けば響くなあ、これは飽きない。ぷんぷんって上に擬音出てるぞ。

 まあおバカというより単純に気にしない性格なんだろうな。目に映ったものを信用するのが優先って感じなのは良いと思う。

 

「まあ今のは冗談としても、こういう所から相手を図る性格も有るからな」

「そりゃそうだけど……」

「面倒なら俺一人でやっても良いし」

 

 掃除っていい運動だしな、目指せスリム中年。

 指揮官らしい仕事をする自信が全く無いので雑用に逃げようとしているフシも有ったが、どうやら気を遣っていると勘違いされたらしい。

 

「指揮官がやるなら私もやるわよ」

 

 と何だかつっけんどんに返される。

 

――何か、相棒と言うか。娘みたいな感じ。

 思春期の娘ってアレだろ、パパと服を一緒に選択するなっていうんだろ? 極端な例だって思いたいけど言われたら傷つく。俺はインフルエンザ菌かよってなる。

 

 何やかんや手伝ってくれる辺り、育成難易度最低の初心者向けの娘だね。

 

「ありがとう」

 

 頭を撫でてやろう。上から目線にムカついたら殴っても良いぞ。

 

「やめてよ、もう」

 

 あれ? まんざらでもない? 待て待て、俺は初対面の変なお兄さんだぞ?

 頼むぜ、程々の関係で行こう。主人公補正的なアレで落ちるなよ、俺は責任が取れない。無職だったんだしな。

 

 

 

 

 

「オラオラ競争するぞ! 瑞鶴、お前そっちの廊下の端から行け!」

「競争って子供じゃないんだから!」

 

 

「おいおい。窓を拭く時は雑巾をこう、手をいっぱいに広げて持ってだな……」

「ええ~、細かいなあ」

「細かいことをしてるんだから細かくやるの、ほらさっさとやる!」

「手伝うって言った瞬間コレかあ…………」

 

 

「うわバケツの水汚すぎ。瑞鶴入れ替えてきて」

「人使い荒いなあ。この場合艦使いなのかな?」

「変な所気にするのな」

 

 

 

 

 

「しんどっ!? もう小生やだ!」

 

 もうお昼かよ。そういや今日から母上のマジウマ飯無いんだな…………。

 くそっ、ちょっと寂しいのが悔しいぜ。執務室がなんか広く感じるよ結構マジで寂しい助けて。

 

 瑞鶴は――――っておいおい。ピンピンしてるじゃねえか。

 

「やるって言った割にすぐへたれ込むのね」

「俺無職だったからな、求職に忙しかったんだよ」

 

 元々割と運動も好きだったし、カラオケとかも行ってたから運動自体は意外としてた。

 掃除も好き。部屋とか無職とは思えんぐらいしっかり掃除してたんだぜ? 俺はエリート無職だ、誇れないけど。

 

「へぇ~、無職ねえ――――――無職?」

「残業代出せって言ったらクビにされた」

 

 うげ~、と瑞鶴は苦々しげな顔をする。分かるよその気持ち。

 

 艦って給料とかじゃないんだろうし、重桜の現状ってよく分かんないもんな。これ割とよくあることなんだぜ?

 

「指揮官、大変だったんだね」

「初対面の時の挨拶とかアレだから、再就職もしきれずに300社落ちた」

「…………もしかして指揮官って」

「おう、俺はアレな人だ」

「だよね……」

 

 今のうちに溜息ついとけ。好感度爆上げしてやるからな覚悟しろ――――って好かれすぎてもダメじゃん。程々に、程々にだ。

 

――うーん、実は俺って不憫な人?

 いや違うか、みんなこれぐらいのこと有るだろ。辛いのは一人って思い込んだら不味いよな。

 やりたいことをしようとすると、大抵最初はこうなるもんだ。悲劇のヒロイン気質になったらいかん。

 

「ってか、経歴聞いても言うほど引かないんだな」

「過去より今でしょ。喋ってみて、別に危険な感じしないし」

「お前ホストに引っかかりそうだな」

「そういう事言わなければ完璧なんだけどね!」

 

 危険かどうかって、三日はかけないと分かんないもんだと思うけどな。実際、俺は瑞鶴の印象よりはずっと利己主義だろうし。

 

――裏切りはしないさ。正しいことはしないけど。

 俺は結果が欲しい人間だから。

 

「んじゃあ飯にしよう、オジサンもうしんどいから」

「食堂行くの?」

「え、もしかして指揮官って別に食うやつ?」

 

 やだよ俺。ぼっち飯は辛いからな、実体験的な問題で。

 

 

 

「じゃあ俺が食堂で作るしかねえよなあ!?」

 

 お前バカだろって? ありがとう、もっと罵ってくれ。

 まあ上手くはないよ、それは超人だ。大体母上に飯作ってもらってた時点でね?

 

――衛宮君程じゃないけど一応やってたよ。転がり込んだだけで元々は一人暮らししてたんだよね、自炊はした。

 レ○パレスは辞めとけ。アレはインドア趣味が有るやつと料理を凝ってやるやつに向いてる物件じゃねえ。そうじゃねえなら良いけど。

 

「指揮官がわざわざ炊事するって……」

 

 瑞鶴の溜息ご最もである! だが俺は真っ当な指揮官などする気がない! 断言しとくぞ!

 食堂のばあちゃんにも言われたもんな、「それはひょっとしてギャグで言っているのか!?」って…………。中年なのにマジとか言ってるしキャラ崩壊させちゃってて申し訳なかった。

 

「別に、美味くしてしまっても構わんのだろう?」

 

 はいゲロマズフラグを自力でおっ立てましたー。

 

 

 

「…………美味しい」

「嘘でしょ」

 

 瑞鶴の顔に嘘の文字は見えない。マジらしい。

 ただの炒飯なんだけどね? まあ男飯だからな。大量に作ったから、余りは食うなりジッ○ロックなり好きにしてくれと頼んでおいたけど。

 

 バリエーションは少ないから増やしたいね。これから女子ウケするのも作っていこう、指揮官も胃袋を掴んでいく時代にしてやる。

 

「まあ美味いなら何より」

 

 これでエンタープライズとも友好関係が結べる。飯で釣れない奴なんて居ないぞ、マジで。

 旨いものは心が落ち着き、腹が満たされ、非常に攻略難度を下げるものだと思う。これで俺がアレな言動をしても行けるぜ、俺はギリギリ良い人のラインを気合で生き抜く。

 

「七面鳥も作れるぜ」

「それ、分かってて言ってる?」

「まあいつか作るから食ってみろって、言葉に惑わされちゃダメだぞ」

 

 まあトラウマだっていうのは分かるけどな。

 

 過去より今でしょ。

 

「…………別に、食べるのは良いけど」

「おう」

 

 言質取った。これで勝つる。

 それから俺は食いながら瑞鶴を見ていたが、本当に美味そうに食ってくれるなあ。オジサン嬉しいから幾らでも作っちゃうよ?

 

 あ、でもそれしたら目立つし食堂の人の仕事なくなるな。やる気ある時だけにしよ。後は懐柔する時。

 

 

 

 

 

――結局この日は執務室周りの掃除で日が暮れた。

 でもキレイになったし満足。途中から暇な従業員さんも手伝ってくれたし何か、こう――――良いよな。

 晩飯は食堂の人に任せた。そして寝て、次の日に時系列はスライドする。

 

 

 

 

 

「よしじゃあ今日も掃除――――――はしない」

「えっ?」

 

 いや何で瑞鶴が不思議そうな顔をするんだ。これどう見ても俺らの仕事ではないから。

 

 やる気が失せたんじゃない。俺達には役割がある。後疲れた、ヤムチャしすぎた。

 

「清掃するのは別に仕事の人が居るしな。俺は俺が気になる所だけ手を出して終わりだ」

「このまま鎮守府全部とか……」

「時間が足りねえよ、やっても良いけど仕事を取るし」

 

 分不相応だ。執務室が綺麗で、俺達は業務に取り掛かりやすい。これで十分。

 確かに綺麗かを気にする奴も居るけど、全部俺達がやっちゃキリがない。それに先にやることが有る。

 

「優先度が有るからな。まずは身の回りだけにして、後は頭数が増えてからにしようぜ?」

「…………なんか消化不良だけど、そうかな。うん、そうかもしれない」

 

 ちょっと納得が行かなそうだな、まあ結果の見える仕事の喜びって中毒性有るしな。

 そのうち何かあげよう。頑張ってたし。

 

――さて、何故俺が突然掃除を辞めたのか。もちろん今の正論っぽい屁理屈だけが理由じゃない。

 朝見たらさ、机に何か書類タワー有るのよね。キマシタワーなら良いんだけどこれは要らん。

 ってか体が重い。力仕事できそうにないね。

 

「これを減らしたい。何なのこの書類の摩天楼」

 

 エレメンタルヒーローの与えるダメージ上がるんじゃねえかこの部屋。スカイスクレイパーは当時は中毒性の有るカードでしたね…………。

 

 試しに上から一枚。文字だらけだな、訳わからん。

 

「民間指揮官にいきなりこの量を押し付けるとはオノレサクライ……」

「サクライ?」

「やべーやつの名前、忘れていい」

 

 国家転覆狙ってんだから実際やべーやつ。俺もやべーやつ仲間だと思われてるがそんな事は今はユニオンの果てまで置いとけ。エンタープライズが多分「終わりだ!」って言って処理してくれる、マジでしてくれないかなあ…………。

 

 取り敢えず例のマニュアルを取り出す。タイトルを脳内出力するのも恥ずかしいよ、ってか表紙よく見たら松○提督そっくりの美人指揮官さんだ。やっぱラノベじゃねえか。

 

「…………………………分からんことが分かったぞ瑞鶴!」

 

 細かすぎて書いてないやつ。お問い合わせ案件かな?

 

「はいはい、手伝えばいいんでしょ?」

「そういうことですね、お手柔らかにお願いしまーす」

「調子いいなあ…………」

 

 昨日は掃除の仕方教えたからね、今日は俺が教えてもらおう。

 掃除とか艦がする必要なくねとか突っ込んではいけない。ってかちょっとぐらいはこれからもしてもらいたいし、俺もするからな。ちょろっとは。

 

 

 

 

 

「(書類仕事の手を)止めるんじゃねえぞ…………」

「私一人じゃ無理だって、指揮官」

 

 突っ伏して例のポーズ。多すぎだ、何やってんだよ重桜!

 二割片付いた。三時間掛けて二割とか地獄か? 死にかけの虫みたいに体が痙攣するんだけど。あっつい、夏だから当然なのか?

 

――瑞鶴もさすがに疲れている。ゲームの頃からそういう柄じゃ無さそうだしな、仕方ない。

 

「バカなのか? せめて昨日から置いとくべきだろナニコレ多いって…………」

「でも何でわざわざポーズを取りながら倒れたの?」

「これが義務だと思って」

 

 溜息が聞こえてくる。やっぱすげえよ転生者は、体が勝手にギャグに走っちゃう。

 

 不幸だ。ああもう認めるしかねえよ不幸だ。

 ってか俺は自分がバカだと思って生きてきたが皆バカだった。なんなんだこれ、世の中の理不尽が大体襲いかかってきてる不憫すぎワロタ…………ワロエねえよ!

 

「ほら、元気だして。このままじゃ終わらないよ」

 

 あぁ^~。耳元から種田梨沙ボイスで元気百倍アンパンマンになっちゃう^~。

 でも体は動かん、しんどいよ? いやしんどいのは療養明けの種田梨沙の方か? ってかこれ収録なのかな、っていうか今ここって二次元なの? 俺って主人公扱いなの?

 

――ああやばいねこれ、本格的に疲れてるわ。メタいとかじゃなくて考えちゃいけないこと考えてる気がする。

 ってか俺って誰の声? 中村悠一? 大塚明夫? 櫻井? 最後はないわ、役かぶってる。

 

「お尻触らせてくれたら頑張る」

「仕方ないわね、指揮官のことは忘れないと思う。三日ぐらい」

「ごめんなさい冗談ですマジで体が重いんです」

 

 見捨てないでくれー!

――俺は逃げられかけの夫か?

 

 瑞鶴は優しいから何だかんだこっちに寄ってきてくれる。俺まだ「止まるんじゃねえぞ」ポーズだけど。

 

「何、もしかしてほんとに熱とか有るの?」

「おでこ合わせて測って」

「はいはい、ちょっと静かに」

 

 おててが俺の額にシュウウウウウウウウウト! 超ッ、エキサイティンッ!

 意外と温かいな、冷たいって聞いたこと有るんだけど。

 

――という俺の感想とは裏腹な反応。

 瑞鶴はちょっと手を引いて震えた声が出る。

 

「ちょっと待って、これ結構な高熱じゃない!?」

「マジかよ死ぬ前に別れのキスを」

「変なこと言ってないで静かにして! ベッドに連れてくから!」

 

 凄い形相の瑞鶴の横顔が一瞬写った後、俺は背負われたらしい。急にふわっと体が浮く。

 結構ヤバイんだな、恥ずかしいんだが抵抗する力があんまり出ない…………。良い匂いするな……。

 

 

 

 

 

「…………38.2度、だって」

「知恵熱だ」

 

 絶対そうだよ、俺普段頭使わないし。

 ベッドの上には、知らない天井。

 保健室? 医務室? 名前見てないから分からないがそんな感じの所。

 

「ちゃんと寝たの?」

「寝た寝た、4時間ぐらい」

 

 それは寝てないのと一緒だよ、と心配そうな声で言われる。急な環境の変化に弱いもんだから寝れないんだよな、退職したときも結構体調崩した。

 ってかつい最近までこれぐらいは無理利いたんだけどな、運動不足で老化が早いみたいだ。

 

――うーん、景色がちょっとボヤっとしてる。

 

「ダセえな、二日目で倒れる指揮官とか」

 

 自分の体の調子もわからないなんて、社会人失格だぜ全く。

 そういや会社でもあったな、同僚のやつは優しかった。普通に家まで送ってくれたもん、あとで怒られたって聞いた時は色々申し訳なかったけど。

 

「本当にダメな時はしっかり言ってくれないと分かんないよ」

 

 瑞鶴、マジで心配してるなあ。会って二日目のお兄さんによくそんな心配してくれるもんだ。

 

「悪いな、心配掛けてる」

「ホントよ」

「っていうかさ、艦って予定では今の所お前一人なの?」

「今は良いから」

 

 起き上がろうとしたら軽い力でまたベッドに寝かされる。肩を押されただけなのに…………これ不味いな。

 

 いやだがしかしな……。工廠も見てないしこれから来る艦の為の用意も足りてない。

 止まるわけには行かないのは事実なんだよ。

――俺は逃げなくちゃいけない。

 義務から、危険から、天命から。もう世界の殆どが今は正直敵だ。

 

 今は瑞鶴一人だけど、それでもコイツをほっぽり出すのはしたくない。

 いつ逃げても、俺が無責任なことがはっきりしても大丈夫なように、出来るだけ早めに行動しなくちゃいけない。

 

「サボるつもりなんでしょ、こんなのサボるのサの字にも入ってないじゃない」

「でもダメだ、今動いておけば後で楽に――――」

 

 

 

「先より今でしょ!」

 

 瑞鶴が必死に叫んでくる。思わず眼が丸くなってしまった。

 眼は少しだけ潤んでいるように見える、だから何で俺のためにそんな本気になるんだよ。

 

 いつか見捨てるような男なのに。今だって櫻井に言われたあの言葉が怖くて仕方ない。

 

『…………もし貴方以外に代わりがいる、と言うなら?』

 

 代わりがいるんだ、逃げたら代わりがやってくる。

 代わりのやつは俺の意図なんか汲み取りゃしないだろう。きっと普通の指揮官みたいに命令して、当たり前みたいにバカスカ撃ち合わせる。

 

 きっと今の俺より、瑞鶴達はよっぽど辛い目に遭う。

 俺は他人が勝手にそうなることはどうでも良いが、俺のせいでそうなる前に出来ることはしておきたい。

 

「もうちょっとだけだ、そんなに仕事はしない」

「ダメ」

「何でだ」

「何でも」

「何でダメなんだ」

 

 優しくするな、慈悲を掛けるな、俺を信用するな。

 俺はこの流れから逃げ切れない、多分主人公だ。主人公は嫌だから、俺は全力で逃げるつもりでいるんだ。

 

 最後には瑞鶴だってあっさり見限るだろう、そんな奴を信用してはならない。

 

 

 

 

 

「また置いて行かれるのは、嫌だから」

 

 瑞鶴の声は、酷く落ち着いていた。震えていたわけでもなく、ただ当然のようにそう告げた。

 

――史実か。

 ふと、瑞鶴という名前を思い出す。

 

 MI作戦には参加できず、幸運は味方に傷を押し付ける形でしか成されず。

 なのに状況は好転せず。とても後ろ向きな、幸運艦。どうしようもない理不尽で、彼女は周りを傷つけているような構図だった。

 

 一人だけ安全な道を歩いていて、崖に落ちそうになると味方が庇っていくような、そういう幸運。

 犠牲で成り立つ世界の特異点。

 

「今は休んで。明日から動いても、まだ時間は有るじゃない」

「ちゃんと相談してくれたら、一緒に考えるから」

 

――所詮、利用してるんだな。

 弱みとか、そんなのを俺は利用してる。俺は命令してないだけだ。

 

 だから主人公なんか嫌いなんだ。こうやって俺は今正論ヅラしてたけどさ、土台が間違っちまってる。

 

「…………ごめん、事を急き過ぎたな」

「うん」

「ちょっと休むから、何か有ったら頼むよ」

「分かった」

 

 もう俺が動きはしないと思ったのだろう、瑞鶴はスタスタと扉へと歩いていった。

 

 瑞鶴が出ていった後、何となしに空を見ると、ムカつくぐらい蒼かった。

 

「…………もっと上手く立ち回んねえとなあ」

 

 そう、立ち回る。

 

――最後にはきっと置いていくであろう俺が、仲良くなんて無理な話だ。

 端から裏切ることが既定路線の友好関係なんて、俺がちょっと耐えれらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空は、晴れ渡りて晴天。蒼く続き、それはまるで彼女らへの祝福だった。

 

「もうすぐだな、指揮官」

「ぶっちゃけ疲れた」

 

 海上を走る女は苦笑いをした。通信の相手は後ろを疾走る船の男らしい。

 

 女は美しい。髪は白銀の銀世界の如く。瞳は紫水晶で、髪の靡くさまは異世界の流星がごとき。

 漆黒のコートがはためく度に裏地の鮮血が覗いては妙な気迫を帯びて、しかし黒のミニスカートとニーソックスの狭間の肌色は眼を吸い寄せる魅力を持つ。

 

「ええっと、停まるのは…………此処の鎮守府か」

「指揮官の名前は何だ?」

「佐藤弘さんね…………重桜の人か、まあ俺もそうだけど」

 

 男は少し興奮気味である。久しぶりの帰郷ということだろうか。

 

「早く行こうぜ――――――エンタープライズ」

「勿論だ、早くて損はないからな」

 

 エンタープライズの水を切る音が、一際大きくなった。

 

 近づくは亡霊。見えるは嫌悪する将来。擦れ違うは運命で、そして始まる物語は当然にして毅然。

 

――彼が如何に逃げようとも現実は変わらない。朝日が東から昇り、天を通って西に落ちていくのと同じ事。

 月夜は必ずやってくるのと同義。

 故に。

 

 それでも男は、主人公になる。




何で透明のランキングで3位なんだ……ノリで書いたが、人気出る?
勘違いモノってもれなく世界を敵に回すゆえの展開だと思うんですよね、ですから明言しとくと敵は世界。ワオ、無理ゲー。
後そろそろペース落ちます、恐らく急激に。所詮は不定期更新ゆえ、ご容赦を。
ってか結局エンタープライズ出てくるよ。もう俺が誰かこれバレてるな?

※ちゃっかり一位までもらってる…………やる気はひねり出せない可能性高いけど有難うございます。
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