死は突然やってくるものである
ままならないものではあるが死んでしまったらしい
突然の衝撃、浮遊感
痛みは……なかった
他人事のようにその様を眺めていた気がする
ああ、死ぬんだなと感じるだけであった
地面にぶつかった時と同時に大嫌いだった世界からシャットダウンされた
無になるならそれでも私はかまわなかった
大嫌いだった世界から逃げられるならそれは絶好の機会と思うから
私の話を少ししたいかなと思う
大丈夫、長くはならないよ、そんなに内容があるような人生じゃなかったから
私はただつまらない人間なのだ
そう私、藤川五火は一般人だ
ただ、生まれ育ち学校を卒業し就職し職場と家を往復するだけのつまらない人間だ
思い出になるようなイベントもなければ劇的でもなかった
挫折もなければ達成もなく
無難にこなすだけの人生
だからかな非現実には憧れる
胸が躍る冒険譚、胸がときめくラブストーリー、
空想が大好きだった
ああ、だからかな
私はその選択に躊躇いはなかったのは
「キミは唯一の異界人理修復に適応したマスターだ、君にはこのカルデア人理修復異界課に「藤丸立香」として転生して貰い異界の人理修復…クロスオーダーに挑んで貰う」
クロスオーダー……グランドオーダーではないんですか
現れた声の主に対してそれを問う
その声は青年だと思う
「グランドオーダーはすでに男性の「藤丸立香」が挑んでいる、キミは女性の「藤丸立香」をロールしクロスオーダーに挑んで貰う……キミの五火からとって「藤丸立火」と名乗ろうか」
これは
転生者として転生者を殺す物語だ
1、「覚醒×邂逅×運命」
夢を見た、夢を見た、夢を見た、
夢だったのだろうか
分からない
けど私は私じゃなくて別の存在になっていた
夢は現実感を伴い襲い掛かる
私だった存在は死に、私の意識は別の存在をロールし存在していた
視界の高さから違ったというクリアだった
眼鏡をせずにこのクリアさ、前世では眼鏡をかけてからねあと無駄に背はあったから立ち上がったときは視界の高さに違和感があった
確定したのは鏡を見たときだ
「なに、この美少女」
藤丸立香(女)その人がいた
鏡を映った少女は間違いなく美少女にカテゴライズしているだろうよ、うん
「ぱねーよ、やべーよ、がち転生っすか」
混乱している自分は混乱していた
地の文がおかしいくらいには混乱していたワロス
「目が覚めたかい、立火ちゃん」
部屋に入ってきたのは優男を体現した青年だった
「え、えっと…」
「どうかしたかい、そろそろ召喚する時間だよ?グランドオーダーは始まっているんだからクロスオーダーも始めるよ……どうかした?知識は与えたはずだけど」
青年は困った風に言う
この感じ…私の転生を知っている
見た目はこのカルデアにおける医療部トップ、ドクターロマニその人なのに
「君の転生を知っているさ、君を転生させた僕だからね」
意味深に笑う超常のそれ
神と言えば簡単、森羅万象の意志
人類史を存続させるだけにそれはある
「まぁサポートはする、だがこの先はキミの力を必要だ人類最後のマスターの反転存在」
知識としてあたえられたドクターロマニとは違い薄く笑う
「ようこそ反転の世界のカルデアへ、君を歓迎する……世界に害する転生者を殺すために」
中身のない私が空想しているほど甘くはない転生だったのかもしれなかった
それでももはやもうおりることは、出来ない
なんの覚悟もこの時はなかった