それは膿んでいた
それは狂っていた
憎悪を喰らい絶望を孕んで怨念を生み続ける
人の形をした憎悪で、絶望で、怨念だった
この部屋にあるのは……この世全ての悪習を詰め込まれていた
怨嗟を、呪いを、詛いを呪詛にして謳う
霊圧と呼んでいいかわからないそれは核となる人型から吐き出されていた
部屋の中心に拘束されていた人型は少女のようだった
人型をしているだけでそれは黒く膿んでいた
「……何ですかこれは……」
浦原喜助は戦慄していた、……あまりも狂っていた
「……殺して……殺して……」
拘束された少女の傍らに拘束されたそれはげっそりしていながら瀕死の状態のそれ
……かつては静謐のアサシンと呼ばれた女性型ハサン
生かさず殺さずにこれの餌にされている
怨嗟の人型は全身漆黒で頭部に複数の眼球が蠢いている
(……見覚えが、………アタシにはある……?)
おぞましいそれに微かな既視感を浦原喜助は覚えていた
ギョロリと複数の眼球は浦原喜助を捉えていた
ニタリと…………笑った気がした
極上の餌が来た……と言わんばかりに
(もしや……これは…ひどく飢餓状態じゃないっすかね……?)
よくわからないそれは拘束されており足元のそれのみで供給していた
怨嗟を吐き続けるそれは霊力はそれなりに使うのかもしれない
そこに現れた隊長格の霊圧を持つ浦原喜助
怨嗟の人型からすれば迷い込んだ餌に過ぎない
「そもそもアタシは外套をきたままッス、どういう霊圧知覚してるんすか!!」
浦原喜助は紅姫を構える
「先手必勝ッス!!火遊び紅姫数珠つなぎ!!」
それのまわりに数珠つなぎの其れを囲い起爆する
その瞬間漆黒の口が獣のようになり爆発ごと喰らう
ゴクリとその霊圧を飲み干す
『アァァァァァアァァァァァアァァァァァ!!』
歓喜の咆吼を上げる
「…攻撃の霊圧ごと食ったんですか……これ……」
死神でも虚でも滅却師でもないそれは咆吼を上げる
滅却師……?またも既視感
「そもそもこの部屋からは石田サンの霊圧を感じていた筈…………まさか……」
ダァン!!
浦原喜助の霊圧を喰らった怨嗟の人型は拘束を破る
恐らく幾重に重ねられた縛道を破る
その縛道さえも喰らい霊力へ変換しているようだった
アァァァァァアァァァァァアァァァァァ
咆吼は周囲を軋ませる
「くっ……アタシの霊圧を喰らったせいで覚醒してしまったらしいっすね……」
アァァァァァアァァァァァアァァァァァ
と咆吼は続く
人型の頭上に光の輪が現れる
廻りの壁を無理矢理霊子に変換し喰らっていく
器子と霊子の境界があやふやになっている現状お構いなしに霊子に変換している
(……これは……滅却師の霊子の絶対隷属!!?)
浦原喜助は断空を展開する
霊子である其れは喰われるが今は無機物の霊子を喰らうのを優先しているらしい
空座一高廃校はこの封印されていた一室を中心に食われて崩れていく
先ほど戦っていた、破面と苺花を目視出来た
「阿散井サン……!!」
瞬歩で彼女を担いで離脱する
「……浦原さん……?」
意識失っていたようだ
「いいから離脱するっすよ!!」
「石田…は?」
「それどころじゃないっす……むしろ……とにかく話は後っす!」
瞬歩で離脱する
「……やはりハサン如きこの程度か」
アルトリアの周りに斬り伏せられた百貌達
「ぐっ………首を差し出せ『山の翁』!!」
ハサン達が解放しようとした、瞬間廃校は瓦解した
その、中心にいる醜悪な人型
「……なんだ……?」
ハサン達が見上げた瞬間ハサン達崩れていく
「ギャァア!!?」
吸われている!!?周りのハサン達悲鳴を上げる瓦解し崩れていく
その霊子の、くずがあの人型に収束していく
アルトリアは、後退
霊子の崩壊の干渉はある程度対魔力で相殺出来た模様
「なんだ…あれは……?石田竜鳴の霊圧が混じっている………?」
異様な其れを見上げるアルトリア
「………『
黒崎一勇……虚影のアサシンが隣にストンと現れる
「マスター……」
見上げる彼の横顔は邪悪に三日月に口角をあげ笑う
ハサン達を、食い終わったその人型は要塞級大虚をも食べ始める
その異様な光景をただただ笑って見ていた