暴風と呼べる災害が如き猛攻
インクルシオの強制覚醒による膂力増大がライダーを襲う
激烈、苛烈な攻撃を繰り出すタツミくんは先程とは大分かけ離れていた
怒りに囚われている、復讐に憑かれていた
けど私には止められなかった
彼の心中は彼にしかわからない
けど……
「ライダーぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「熱烈なラブコールだね……!タツミくん…!」
猛攻を全て1ミリ以下でかわす
嵐のような攻撃を全てがライダーには届いていない
「足りない……まだ足りない……!」
タツミくんは止まらない……止まれない
暴走する感情はアクセルをベタ踏みで強制覚醒していく
「お」
「らぃいぃだぁぁぁぁ!!!!」
さらに進化したインクルシオはライダーの頭を掴み帝都を囲む外壁へ叩きつける
外壁は破壊、制御できない力はライダーを吹き飛ばす
「ぎゃひ……!!アカメちゃん…!」
民家の壁に埋もれたライダーはアカメちゃんを呼ぶ
セイバーくんの前にいたアカメちゃんは駆ける
「ち…!」
アカメちゃんの強化された瞬発力はセイバーくんを突き放す
放たれた剣環は洗練された動きで躱される
アカメちゃんはタツミくんに斬り掛かる
「……アカメ……!」
「………………」
無表情に斬り掛かるアカメちゃんにタツミくんは一瞬躊躇するがすぐに応戦する
「痛いなぁ、……インクルシオ怖いねぇ」
立ち上がりすぐに傷は再生していくライダー
「剣弾」
射出した剣環がライダーを貫く
「剣雨」
さらに豪雨のような剣環がさらにライダーに降り注ぐ
「ぎゃは……!」
「これでも死なねぇのか『禍神特典特性』はやっかいだ」
我が骨子は捩れ狂う
「偽・螺線剣!!」
セイバーくんはライダーを壁にガラドボルグと剣で縫いつける
「何もさせないぞライダー」
「こっちも何もさせないよ…セイバー?」
ライダーがなにかを呟くとセイバーくんの動きが止まる
「ふたりの殺し合い邪魔しないでよセイバー?」
剣群に、ガラドボルグに、つらぬかれたまま悪魔は嗤う
『私が骸人形になったら殺してくれ』
アカメの生前の言葉を思い出し多少俺は冷静になった
けど嵐のような濁流のような終末のような感情は俺の中で暴れていた
「……救うんだ………」
死に、骸人形にされた仲間たちを解放するには再殺しなければならない
再び殺す
仲間を再び殺すという屈辱
だけどやらなきゃならない……1人生き残った俺の責務だから
「アカメ…すまねぇ……インクルシオォォォオ!」
進化!進化!進化!進化!進化!!
アカメとの差はまだまだある
アカメはこのナイトレイドの中で最強に近い兄貴とは別の強さを誇る
しかも今まで見せなかった村雨の、奥の手を使用していた
差を埋めるべく俺は進化を続ける
肩甲骨から翼が生える
筋肉は隆起して体全体が今までとくらべごつくなる
空中戦に対応出来るよう、進化をする
ぐ……体全体が、むしばまれるように痛い……あぁライダーを倒しエスデス……帝国に勝つまでおれは……
保たせるんだよ……!俺は……俺だ!
目の前に居る、アカメは無感情に構えている
死体になっても隙は無かった
死体になってそこで成長は止まってしまうがアカメはほぼ暗殺者として、完成した強さを持つ
ああ……対峙してわかる
アカメと今まで対峙してきた奴らの気持ちが
けど越える……超えなければ俺は……皆を救えずナイトレイドの悲願を成就できない
激流の、感情と悲嘆の感情とナイトレイドとしての責務が入り乱れる
「アカメぇえええ!!!!!」
決意と泣きたい気持ちの混ざった咆哮
ノインテーターは形状を変え穿つことに特化した形となる
突進、竜のそれを思わせる迫撃がアカメを襲う
アカメは消える
!!?
「……!!」
後方斜めからの、一撃を竜の本能で防ぐ
気配がねぇ…!
鎧で村雨を防ぐ
生身だったら即お陀仏だった……
インクルシオの鎧……それが対村雨の対抗策
アカメはすぐに、後退
次撃へと備える
…………神経を研ぎ澄ませる
インクルシオと同化している俺ならアカメの気配でも…
下!!右!!左!!斜め上!!
と放たれる一閃を竜の超反応で防いでいく
「………ふぅ」
俺も後退して、距離を取る
…………防いでいるだけではだめだ……!!
上へ翼を羽ばたかせ上昇
アカメがこれない攻撃圏外へと昇る
「……………ぐ…!」
竜からの侵食の痛みが疼く
「……保てよ俺……」
滞空し下を見る
アカメは此方を見上げ迎撃の構えをしている
「……」
アカメの表情を見える
無表情だったそれは……俺には悲しげに見えた
『殺してくれ』
と言った気がした
「ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
せき止めてたダムが決壊するようにみんなの思い出が流れ出す
「……死なないって……約束した」
アカメ……姐さん……兄貴……シェーレ……ラバ……チェルシー……スーさん…………マイン……
「助けるんだよ!!!!!!」
「あぁ……ぞくぞくするよ、ねぇセイバー?絆で結ばれた仲間が殺しあう姿は美しいとは思わないかい?」
「…」
剣を引き抜きガラドボルグも引き抜き回復、再生していくライダーを侮蔑の眼差しを向けるセイバーくん
「そうは思わないかい?藤丸立火ちゃん?」
「思わない、……お前の性根は腐ってるライダー」
私は震える手を抑えながら睨みつける
「ま、わかってもらえるとは思ってないけどね」
外見的には見た目麗しい少女は表情を歪めて嗤う
その笑い方がいちいち癪に障り異次元の生物だと認識される
ゴシックロリータな衣装まで再生していく
「『禍神転生者』と君らは常識が違う…君ら的には歪んだ悪癖、…排他的な汚れた倫理観を持っている。…………そして歪んだ欲望を持っている。……『禍ツ聖杯』はそれを叶えるためのものさ。」
「通常の願望機『聖杯』も魔力の塊だろう?『禍ツ聖杯』は歪んだ欲望の塊さ。人間の欲望は際限ないものさ……しかも『禍神転生者』になり得るような愚図限定で搾取し続けるならどうなる?高純度の悪意はそこに集まる…まるで『この世全ての悪』……悪意を持つ魔力は力となり願望すら叶える」
「悪意を持つ欲望をね」
「……『禍神転生者』はそれを奪い合うのね……」
「『禍ツ聖杯の欠片』はそれぞれの『禍神転生者』に一つ持っている…今は血怪の女狐が二つねいまは」
「お前の欲望は……!」
「秘密だよ、立火ちゃん……ふふふ」
「今はまだその時じゃない……まずは『特異点』を完成させなければならないの……陣地をね……『支配特異点』を、完成させてから『禍神転生者』は『次元聖杯戦争』を始める」
「『赫月のセイバー』は異分子だよ、…『崩界のアヴェンジャー』はゲームだと言ってたけどね」
「『アヴェンジャー』……?」
「おっと、喋りすぎた……いけないいけない……」
「クライマックスを見ようじゃないか…君たちの絶望もまた『禍ツ聖杯』の力となる」
ニヤニヤクスクス笑いながら空を見上げる
タツミくんは進化を続ける
インクルシオの原作における最終進化体に到達する
至高の帝具に対する為に本来至る境地
「……あぁかめぇ…!」
自我の崩壊も始まる……進化のアクセルはベタ踏みでブレーキは壊れている
浮遊するタツミくんは竜へと近づく
「…………」
それと、地面から見上げる『役小角』を発動している骸人形のアカメちゃんは迎撃の構えを崩さない
「セイバーくん!!」
止めないと…!
「無駄だよ、『固定』しているからね……サーヴァント相手だとあんまり持たないけどね……まぁこの戦いくらいはもつよ」
……くそ、、くそ
「立火…!」
沖田さん!!?
「岡田以蔵は!!?」
「……なんとか、引き分けました…!」
「……沖田さん、血……」
「これくらい大丈夫です、……………とは言えませんが……!」
脇腹から血が滲んでいた
岡田以蔵の魔剣に対抗してこれならまだ……
「沖田さん……悪いけどまだ無理して貰う」
軽く応急処置し止血する
「はい」
愛刀を手に沖田さんは立ち上がる
「………『屍竜のライダー』!!」
「以蔵くんが打ち負けるとは予想外……まァいっか……ふふふ……ほら、タツミくんは終わったよ」
え?
見上げるとタツミくんは完全に竜となっていた
咆哮と共に周囲を威圧する
「あぁかぁぁめぇ…!!!!!」
アカメ、アカメ、アカメアカメと現状彼はアカメしか見えていない
「竜となり果てたタツミくんと骸人形のアカメちゃん……素晴らしい対決だなぁドラマチックだよ」
恍惚の表情を、浮かべるライダー
竜となり果てたタツミくんは咆哮し駆け抜ける
そのまま、勢いをつけ落下
爆音と共にアカメちゃんのいた場所へ落下する
アカメちゃんは回避
タツミくんは竜の知覚で追尾し襲いかかる
アカメちゃんは超反応で、回避し続ける
アカメの残存思念はまだこの世に残っていた
強烈な思い残し、未練がそうさせたのか
体は既にライダーへ制御権は奪われている
そもそも残存思念だ、ただ眺めているだけ
ああ、でも……タツミがあそこまでしているんだ
足搔いてみせる
『タツミ、私を殺してくれ』
竜となってもお前はお前だ
一時的にでも止めてやる
『………私たちはナイトレイドだ』
アカメの動きが一瞬止まる
その一瞬でアカメを掴み叩きつけるタツミくん
「なっ!!?…………アカメちゃん!!……くそ!!いうこと聞きなさい!!タツミくんをやりなさい!!」
地面に叩きつけられるた骸人形のアカメは活動を停止する
「あぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあ!!」
タツミくんの咆哮は慟哭のそれだった
ザシュ
タツミくんの目に刀が刺さる
「え、あれって………村雨…?」
なんで…?……さっき叩きつけた勢いで村雨が飛んでしまったのか…?
眼球は鎧を纏っては居ない、竜の眼球とは言え容易く貫き呪毒がたちまち身体に廻る
「……が……み……んなを……助けなきゃ……」
力尽き、宙より落下する巨体
アカメの死体の隣に叩きつけられる
並んだ二人の死体に私たちはただ眺めている事しか出来なかった