Fate/Cross Order 人理修復異界課   作:九咲

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第14話「悪魔が嗤う⑥」

沼地のように重く沈んでいるような感覚

 

泥を纏っている気がする

 

視界は濃霧が遮り先が見えない

道の先に何があるかわからない不安

 

知っているこの感覚の名は

 

 

『絶望』と

 

 

軽重の差があるとこの感覚の経験はある

 

 

つまらない事だろうとも藤川五火にもあっただろう

 

 

藤丸立火になってからこの感覚は重かった

 

 

 

………救えなかった

 

 

それがこの『絶望』という泥の正体

 

 

その、汚泥はけして消える事の無い足枷となって私にのし掛かる

 

 

汚泥は嘲笑うかのように私に纏わり付く

 

『無能』『役立たず』『死んでしまえ』

 

 

シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ

 

 

『死ね』

 

 

ああ、…………『死のう』

 

 

 

 

『役立たず』には『死』を

 

 

 

 

「立火!!」

 

呼ばれた気がした、汚泥を裂くような声に私は縋る

 

「起きてください立火!」

 

光を照らしてくれるような声に縋る

 

ああ、『絶望』は怖い

 

助けて

 

汚泥は私に纏わり付く、増殖し逃がさないと私を取り込もうとする

 

 

助けて、助けて、助けて、助けて

 

 

心の弱さを隙をつき汚泥は纏わり付く

 

 

 

『絶劔・無窮三段!!!』

 

 

汚泥を吹き飛ばす一閃

 

私を抱え離脱する

 

顔は見えない、誰だろう……?なぜか安心感があった

 

 

『……ここで倒れるのか?藤丸立火』

 

 

『……絶望如きで歩みを止めるな藤丸立火』

 

 

『………………貴様達の敵は『絶望』そのものだ』

 

 

『…………いずれ私を呼べ藤丸立火、ことごとくを斬り捨ててやろう』

 

声は不器用ながら私を気にしてくれていた

 

 

『またな……マスター』

 

 

私の意識は沈む、……覚醒する

 

 

 

 

 

 

覚醒し、目を覚ますと眼前に涙ぐむ沖田さんと信長がいた

 

「沖田さん……?信長……?」

 

「よかった立火目を覚ましたんですね」

ぎゅっと手を握る沖田さん

 

「心配かけるんじゃないぞぅ立火」安心したかのような顔をする信長

 

「私、眠っていた……?…何これ……」

 

手に二枚のカードを握っていた

 

アサシンとランサーのクラスカード

 

「何があったの…?」

 

このクラスカードは、もしかして

 

 

 

「連れ、目を覚ましたか?」

一人の黒髪の男が入ってくる

 

「……君は……?」

 

確か、……ウェイブくん!!?イェーガーズ?アィエエナンデイェーガーズナンデ!?

 

「……あ、いや敵じゃねぇよ。ナイトレイドなら俺の事知っているよなイェーガーズのウェイブだ……元だがな」

 

 

「……えっと」

理解が追いつかない

 

 

「私が話そう。目を覚ましたようだなリツカ」

ナジェンダさんが後ろにランを連れ入ってくる

 

ランも居るんだね……離反?

 

ここはナイトレイドのアジトみたいだ

「すいませんナジェンダさん……アカメちゃんとタツミくん……」

顔を伏せナジェンダさんを直視出来ない

 

「いや、……きみのせいじゃないさ……ライダーの勢力が私の予想を越えていた。まさかブラート達を骸人形にしていたとはな」

 

 

「…」

 

「それに君たちが『村雨』と『インクルシオ』を持って帰って来てくれたとは不幸中の幸いだこの『帝具』が帝国側に渡ればこちらに勝ち目はなくなる」

 

 

「しかし、使い手が…」

 

 

「『村雨』に関しては君が使えオキタ」

 

「はい、先程の戦いでは使えました。相性は悪くないようです……私の獲物も折れましたし、アカメさんの意も汲みたいです」

 

「いいなぁ『帝具』儂も欲しいなぁ……『インクルシオ』と相性よくなさそうじゃしぃ」

ぶーたれている信長…

 

えと……そもそも

 

「あれからどうなったんですか?……途中から記憶ないんです」

私はそう言うとまわりはこちらに注目する

 

え?変なこと言った?

 

「…覚えていないんですか?…立火?」

沖田さんはこちらの顔を覗く、やめて可愛いから

 

「一種のトランス状態だったかも知れないな」

 

壁に寄りかかっていたセイバーくんがこちらに来て二枚のカードを指さす

 

 

「激情に駆られたお前はカードとなったあの二人を己と総司に『重装夢幻召喚』を施した」

 

 

 

『W重装夢幻召喚』!!!!

 

そう叫んだ記憶が微かに蘇る

令呪の二画使用、激情にまま行った気がする

 

自分の手にはもう令呪は再び刻まれていた…一日は経っているのか……

 

この二枚のカードは

 

『アサシン・アカメ』と『ランサー・タツミ』の二人をクラスカードになっていたのか

 

クラスカード化…?

 

 

「恐らく、強い未練、悔恨があるものをクラスカードに出来る……君の力だ」

 

「託された…?」

 

「恐らくな」

 

「うぇ…」涙が溢れ泣き始める

止まらない

 

沖田さんは抱き締めてくれた、私は激情にままに嗚咽する

 

 

しばらくして落ち着いた私に続きを説明してくれた

 

「何とかライダーを撃退する事に成功したんだが……シュラというやつが『禍ツ聖杯』に取り込まれていた……『命を繋ぐモノ』とよばれるそれになっていた」

 

「……そこの赫月とやらに君らの正体、目的は聞いた…にわかに信じがたいが……『屍竜のライダー』そして私もその『命を繋ぐモノ』を見た瞬間信じるしかなかった」ナジェンダさんがそう呟く

 

シュラは暴走していたがライダーが抑えていたと

 

「俺たちは元々隊長のやり方について行けなくなっていた」

 

「……ですからこの機に離反しその現場の傷だらけの君たちを抱えて離脱しました」

ウェイブくんと、ランさんはそう言う

 

 

なるほど……

 

 

「『屍竜のライダー』の、目的はエスデスに戦いを献上すると言ってました」

 

「けど、『命を繋ぐモノ』を見た以上それだけには思えんな」

とセイバーくんが言う

 

「事態は待てば悪化してしまう、……ナイトレイドは壊滅してしまった……彼らの遺志は私が継がねばならん。革命はせねばならない」

ナジェンダさんはそう、宣言する

 

 

「ウェイブと、ランからの内部情報を利用し私達革命軍は近々『革命』を仕掛ける!君らは『屍竜のライダー』を倒したいのだろう!!ならば力を貸してくれないか」

 

「私達はナイトレイドに入れて貰いました……彼らの遺志は継ぎたいです」

 

「無論じゃぁ!!岡田以蔵にしっかり返さねば腹が納まらん」

 

「もちろんですとも」

 

 

「リツカの、意志は己の意志でもある。」

 

 

私達は、うなずき合う

 

 

 

 

絶望は、少し晴れた気がした

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