「……『禍神転生者』が教会とは笑えねぇ冗談だな」
そこは教会だった
神を崇め救いを求め信仰心を司る場所
一人の神父がいた、教会の入口があき一人の青年が入ってくる
「お前が訪ねてくるとはな、アーチャー」
「……始まりはいつもここだ」自嘲気味に笑う
「ああ、いつもお前の戦いはここから始まる……どうした他の参加者は自陣構築に勤しんでるぞ?」
「…………俺には必要ない、……ただ他の奴らを刈り尽くすだけだ」
アーチャーは興味がないとばかりに吐き捨てる
「…………『常世総てのセイヴァー』が来たぞ」
「……ほう、あの災害染みた救済者と出くわしたのかね…」
アーチャーの言葉に興味を示したのか振り返る神父
「…潔癖染みた白い女だったな、セイヴァークラスはやはり化け物だな」
「……あれは『正義』そのものだ、気に食わないかね?……自身の叶わなかった理想を体現した者にあった感想はどうかね」
「テメェには関係ないだろう『崩界のアヴェンジャー』」
殺意を纏うアーチャー
「ふむ、確かに関係はないがな、……だが理想に破れたものの苦渋はいつ見ても飽きぬものでな」
くっと笑う『崩界のアヴェンジャー』
「………、……『屍竜のライダー』のところに『赫月のセイバー』らがいる。……『禍ツ聖杯』の孵化も近い」
「……あの少女は不死に拘っていたな、くっ、なら結末はならひとつだな」
「必ず命は摩耗する。あぁ私は『赫月のセイバー』にかけようじゃないか」
「……『禍神転生者』がそれでいいのかよ」
「私は監督役だ。常に、中立だがな。何個人的な感想だ…あれはお前にも少なからず縁があるだろう。いずれ相対するとは思うがね、『鉄心のアーチャー』」
「………その名は捨てた、この身はアーチャーの座に埋まるただの亡霊だ」
「……あの災厄の地にて再びまみえる事を期待しよう」
「お前はこの次元聖杯戦争に何を望む、『崩界のアヴェンジャー』」
「善悪問わず願望のいく果てを見てみたくてな、どうなるか気になるではないか、願望とは際限ないものだ。更なる願望に飲まれるか否か」
聖職者がごとく宣う、いやこいつは仮にも神父であった
「切望、渇望、祈り、…5欲を超える欲求、欲望を少なからず『禍神転生者』は持っている」
「『悪望』と仮に呼称するがそれでもそれは純然たる願いだ…なれば私はそれを祝福し見守ろうではないか」
「かわらねぇな……クソ神父」
理解できないと吐き捨てる
「元よりこの次元聖杯戦争は『禍神』共の娯楽だ」
「…………お前は『禍神』擬きだろうよ『この世の全ての悪』」
『崩界のアヴェンジャー』の足元から噴出する泥は悪意を持っていた
死ねという単純明快な悪意がそこにあった
それでもそれはすぐさま消える、それは氷山の一角で砂漠の一握の砂
「……………」
邪悪はそこにある、救えぬ泥を纏い神父はただ行く末を見定める
「……良い苦渋をな、少年」
「テメェこそ後悔するなよ」
「後悔などするものか、どのような結末に至ろうともそれは一つの結末に過ぎない」
教会の扉は締まる、アーチャーはこの教会のみが存在する特異点を去った
「…………よかったので?」
血溜まりが女の形を執る、赤い着物の鬼が教会のイスに座る
「構わん、全て思い通りでは意味が無い。言っただろう私は悪望の果てが見たいと。あれの歪さにも期待しようどのような結末になるかをな」
愉悦とばかりに鉄面皮を歪ませ微かな笑みを浮かべる
「……物好きですこと、理解はできますけれど趣味は合いませんわね」
赤の鬼こと、『血怪のバーサーカー』は呆れた顔をしながら薄く笑う
また血霧となり消える
「……此度の結末に期待しているぞ、『赫月のセイバー』」
つまらない女の話だ
つまらない女だった
つまらない人生だった
つまらない毎日だった
そんなつまらない繰り返しの中
ふと、鏡に写った自分を見て戦慄した
何もなく誰に愛されなく終わる人生なのか
鏡に写った日々劣化していく自分に激しい嫌悪と恐怖を感じた
ああ、このまま劣化し朽ち果て腐るなんて嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ
「美しい漫画や物語のヒロイン、キャラクターに憧れた」
なにせ、劣化しない
腐らない腐らない腐らない
ああ、羨ましい
「このまま朽ち果てて死ぬなんて嫌だ……醜く腐るなんて……嫌だ」
醜く腐りいく人生に絶望した、嫌だ嫌だ嫌だ
盛者必衰?嫌だ永遠に美しく生きていたい
「………………ぁぁ……」
氷のように美しい彼女みたいに
強く輝いていたい
絶望は、切望へ
切望は、渇望へ
渇望は、悪望へ
『なら、奪えば良い。不死を。永遠の美しさを』
『転生を、ただの転生じゃないよ』
目の前の、闇からうまれたそれはかつて、一番美しく愛らしかった時代の私
少女の形をした闇は醜く爛れる私に囁く
『……私はキミの願いを祝福しよう』
『さぁ始めようよ、手を取って私。奪うんだ。命を』
『ここがキミの禍神転生だ』
その、闇は私と混じり合う…ああ
「奪い尽くしてやる……」
かつて、愛らしかった時代の私への姿になる
この、姿をまた醜く爛れることのないように
奪うだけ