Fate/Cross Order 人理修復異界課   作:九咲

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第19話「最強を斬る②/剣鬼を斬る②」

『みんな守れなかった』

 

悔恨と未練が逆巻く

 

『救えなかった』  

 

憎悪や殺意が渦巻き、死んだ後も離れなかった

 

 

『屍竜のライダー』

全ての根の邪悪、奴への憎悪、殺意のみが俺に残っていた

 

インクルシオに食われタツミという自我は無くなった

 

けどこの暴風雨のような殺意と憎悪のみは逆にインクルシオに伝播した

 

クラスカードというものに残った

 

『アァコロシテヤルゾライダー』

 

ただ機を待つ、殺意という刃を研ぎながら

 

憎悪という煮をぐつぐつと煮立てながら

 

殺意は刃で憎悪は煉獄の釜だった

 

憎悪は存在理由で殺意は動力だ

 

『……ライダーハオレニコロサセテクレ』

 

『アヴェンジャー・インクルシオ』とクラスカードへ変化する

 

 

 

 

 

沖田総司・織田信長対エスデス

 

 

「ちと、準備がいる。一旦波旬をきる。持たせろよ沖田」

近くに居る沖田に目線を送る

「……はやくしてくださいよノブ、そもそも何するつもりですか」

 

「さきの聖杯戦争の遺物じゃよ、……キャスターめやらで使う機会が無かったので死蔵していたのをおもいだした。作らせてたやつをの」

波旬をきる、ところどころ焼かれている信長

ち、そもそも波旬は諸刃の剣

 

「……ガス欠か、くくく私の氷を封殺していたがよかったのか」

エスデスは笑う

 

「……頼みますよ」

構え直しエスデスに対して打ち込む沖田

 

「策を十二分に労せ、私を楽しませろナイトレイド!!」

 

波旬は無くなったが残り火は囲んでいた、それでも波旬の火力に比べ心許ない

 

エスデスは氷を精製、恐らく全開時ほどではないだろうが精製できている

 

矢のように氷を射出してくるエスデス

 

縮地、直感を使用し回避

 

下段、中段、上段と繰り返し打ち込む

 

超速の打ち込みを苦も無く対応し弾くエスデス

 

「…トップサーヴァント級という立火の読みにも納得です」

 

表のグランドオーダーで活躍するトップサーヴァント達にも引けをとらない強さ

 

「いつの時代、世界にも化け物は居ると言うことですね」

 

 

「……私に瞬殺されないとはさすがはアカメの『村雨』を持つだけはあるな。」

笑うエスデス

「貴女を倒してくれと託されましたから……彼女の遺志に報いさせていただきます」

 

平晴眼の構え

 

呼吸を整える沖田

 

「……く、なら十二分楽しませろ」  

 

エスデスも挑発するように構える

誘っているのか先程ような堅固な守りではない

 

「…………『一歩音越え』」

 

沖田の、姿は消える

 

エスデスは一瞬眉をひそめるがすぐに対応する

 

「『二歩無間』」

 

空を蹴り間合いを背後より詰める

 

一歩目で音を越え、二歩目で間を無くす

 

 

 

 

「『三歩絶刀』」

 

エスデスの目の前にて姿を現す

 

 

      「『無明三段突き』!!」

 

 

 

「ああ、見えてるぞ……なるほど『同時に』、『三度突く』のか、恐ろしい技だな」

 

ニヤリと笑うエスデス

 

剣ははじかれ穿っていたのは地面だった

 

「な!!?」

 

 

エスデスに向けて放たれた魔剣はエスデスを傷つけるに至らなかった

 

(見切ったのか、初見で私の剣を……!!?)

 

 

なんて……化け物…!

 

と内心毒づきながら歯軋りする

自身の最大の技を否定され打ち破られるのは酷くむかつきますねと軽く舌打ちする

 

「ノブ…!」

 

沖田は後退し距離を取る

 

 

「ああ、準備ができたぞ」

 

「なんですかそれは!!?」

 

「88㎜対空射砲台……通称アハトアハトじゃ。……くくく、進化した銃火器の近代の科学力は素晴らしいのぅ……あの時にこれがあれば『天下布武』し放題じゃったのぅ」

 

強大な砲台がそこにあった

 

対戦車用の 砲台、無機質な殺意がそこにある

 

かつての第二次世界大戦でドイツ軍が使用した88㎜野戦空射砲

その88㎜という大口径からアハトアハトと呼ばれた

 

対航空機で高速の弾速もゆうし対戦車としても設計された

 

 

「かの少佐も素晴らしいといっていた」

 

「ほぅ」

 

「死ね、エスデス」

信長は簡潔な言葉と共にアハトアハトを発射させる

 

爆音が響き渡る

重々しい爆音共に閃光が放たれた

 

「素晴らしい!!素晴らしい威力じゃのぅ!!これはただの砲台ではない!!魔術的に手を加えておる対英霊砲台じゃ!!貴様のような相手にも有効の筈じゃ!!」

 

「……騎乗スキル持ちとかに放つモノじゃないですか」

 

「オーバーキルになれば上々じゃ、慢心なぞ捨て置け沖田」

 

「貴女からそんな言葉聞くとは思いませんでしたねノブ…これで終わるとは思いません」

 

軽口をお互い叩きながら構える

 

「はははは!!大したこと威力だな!!」

 

黒煙が晴れると何層にも張られたであろう氷の壁を抉るのみにとどまる惨状だけがエスデスの前にあった

 

「…ちぃ、化け物め」

 

「ノブ…次弾を!!」

 

「急かすではない!」

 

「させるか」エスデスは再射させないため即座に距離を詰めアハトアハトに触れる

 

野戦空射砲台を凍らすエスデス

蹴り飛ばし破砕される

 

「ちぃ!!」

 

ふたりは跳躍し左右に飛ぶ

 

「…ふふ、これで終わりか楽しませろ」

 

獲物を狙う嗜虐的な笑みを浮かべる

 

 

「仕方ない……この段階で使うつもりはなかったが……立火使うぞ」

 

クラスカードを取りだす

剣士のカード

 

「儂が先に使う、立火への負担を考えてな。先のW重装夢幻召喚は立火はフィードバックで気絶しておる」

 

「はい仕方ないですね」

 

信長は魔力をカードにとおしかざし略式発動する、既にマスターである立火から使用許可はおりている

 

 

「『重装夢幻召喚(インストールアームド)』!!」

 

 

セイバー・黒崎一護

 

 

英雄を纏う

 

光を放ち姿を変える

 

死神のすがたとなり身の丈程の大刀を構える

 

「セイバーとアーチャーのWクラスじゃ」

 

「よくわからんが…楽しませてくれるようだな…一応名前を聞いとこうかナイトレイド」

 

「織田信長」

 

「沖田総司」

 

「オダにオキタか覚えておこう」

ニヤリと笑い氷の矢を展開して放つエスデス

 

「……儂が攪乱する。機を待て沖田、『村雨』で斬る機会をな」

 

沖田は無言で頷き大地を蹴るふたり

 

 

 

 

『赫月のセイバー』対岡田以蔵

 

 

蹂躙と再生を繰り返しいたちごっこになっていた

 

セイバーくんの攻撃は緩まない

 

けどその度再生をし立ちはだかる

 

不死がなければ…とうにおわっていたのかもしれない

 

「ががっ……魔力切れがちかいんじゃないか………?」

 

「そちらも……再生にもエネルギーがいるんじゃないか」

 

「残念じゃけぇ、儂の魔力とはあまり関係ないぞ……わりかし燃費良くてなぁ……くくく」

ニタニタ笑う岡田以蔵

 

ふたりは距離を取り対峙する

 

…………まるで流体物質を相手しているようで効果がない

糠に釘だ

 

「……ぁ」

 

令呪が輝き一画減る。信長が重装夢幻召喚使用したようだ

 

「………信長がつかったか」

 

「ごめん、タツミ君の使えないかも」

 

「いや、アヴェンジャーのカードになった時点で使うつもりはない……恐らく己もインクルシオに取り込まれる」

依然として私のカードホルダーから禍々しさを放っているアヴェンジャーのクラスカードに視線がいく

 

「…………」

 

 

「……岡田以蔵め……こいつをクリアしなければ『屍竜のライダー』も倒せそうにない」

 

「正論よなぁ、姫さんも不死になってるがか」

 

だよね……不死に……不死かぁ

 

「不死にも種類があるがな……術式なら良いんだが……呪いの類なら厄介だな」

 

鞴は霧散する

 

「………投影開始」

 

セイバーくん?

 

「……何を創り出しても無駄じゃぁ……負けて死ね『赫月のセイバー』、…『不死』を得てすべてを殺し尽くす」

 

「……禍神に与して何を望む?岡田以蔵」

 

 

「知れたこと、儂の剣が最強だと証明するだけじゃぁ…『人斬り』は斬ってこそ『人斬り』よ。儂は禍神なんぞ与するつもりはねぇが……姫さんとも利用されてようがこちらも利用してるだけのことよ。主従なんざ真っ平ごめんよ」

 

「だが、沖田と織田は先の戦争で気に食わんかったからのぅ……ランサーや坂本がいないのは残念だがなぁ」

ぺっと、唾を吐き捨てる岡田以蔵

 

「つまらんおしゃべりは、おしまいじゃ……潔く死ねや」

上段に構える

 

 

 

「……そうだな、お前がどういった理由があろうとも『禍神転生者』といただけで万死に値する」

 

 

 

「転写投影」

 

 

 

 

『斬魄刀』を一振り投影する

 

 

ただの一振りの『浅打』を投影する

 

「斬魄刀…?」

 

「ただの刀じゃ………」

 

「焦がせ、『火神楽』」

 

解号を静かに呼ぶと『始解』する

 

 

赫杓と燃える赤い刀へ変化する

 

「……知らない……斬魄刀…?」

 

 

「そんな赤い刀で『不死』を攻略できるわけなか!!」


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