Fate/Cross Order 人理修復異界課   作:九咲

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連続投稿③


第29話「兄妹が邂逅する」第二特異点・了

白。白。白。白。

 

 

圧倒的な『白』に再び私は会う

 

「兄さん、……いえ今は『赫月のセイバー』だったわね…………何しにここにきたんです?」

『常世総てのセイヴァー』は先程会った際とは雰囲気がうってかわり冷ややかだった

 

「……お前を……止めに……!」

 

 

「……あの子を救えなかった弱いあなたに私を止めると?笑わせないで下さいね」

セイバーの激昂に対しさらに冷ややかな対応をする

 

「……!」

 

 

「あなたは弱い。『屍竜のライダー』如きを殺しきれなかったあなたが私を止めると?『救済』の邪魔です」

 

 

『救済者』は、らしからぬ辛辣な言葉を投げつける

 

 

「私は『総てを救わなければならない』」

 

 

「…………ああ、お前は昔からそうだった…………だからあいつのことに気づけなかったんだろ!!!」

 

 

「……だからあの子を『救う』のよ『赫月のセイバー』」

 

白の女はセイバーくんを糾弾する

 

 

「……………お前を止める……『常世総てのセイヴァー』」

 

 

「………………『卍解』」

 

投影した『火神楽』は燃え尽きる

 

 

「…………『赫杓禍滅焔神楽(かくしゃくかめつのほむらかぐら)』」

 

辺り一面燃え始め炎の大樹が燃え盛る

 

 

 

「…………見かけ倒しの『火』ね。『赫月のセイバー』」

 

 

「……『常世総てのセイヴァー』!!!!」

 

燃え盛る炎は彼の激情がごとく赫杓と燃える

 

 

「『個は総てのために(ワンフォーオール)』」

 

 

ばちばちと力の放流が彼女の右の細腕に走り抜ける

 

    

 

 

    『デラウェアスマッシュエアフォース』

 

 

コインを指で弾くように空気を弾く。

 

膨大な質量の空気が嵐となり吹き飛ばす

 

 

一瞬で燃え盛る炎は鎮火しその威力を失う

 

ただの圧倒的な力での暴力的なまでの鎮圧だった

 

 

 

「ケーキの蝋燭の火かな?『赫月のセイバー』」

薄く笑う。

 

 

 

 

え、ワンフォーオール…?

 

 

それは……『僕のヒーローアカデミア』…?

 

 

 

セイバーくんも吹き飛ばされ壁に埋め込まれた

 

「ぐっ……!」

 

 

 

「……そんなモノですか、『赫月のセイバー』。あなたは……私の『救済』の邪魔をしないでください」

心底冷たい表情をセイバーくんへ向ける

 

「いやだね……確かに……己は……俺は……弱い……けどお前を止めるぞ……真白…!!」

 

 

「はぁ、すきにして下さい。……あなたを相手にすると感情的になってしまうわ……あなたの過去に対する妄執から救ってあげます」

軽く嘆息する

やれやれと言わんばかりに

 

 

 

『僕の『絶命』を無かった事にした……いやぁまさか君がいるとはね『常世総てのセイヴァー』ちゃん』

 

 

「……やっぱり生きてたか『崩界のアヴェンジャー』」

無表情で呟く

 

『生き汚さが僕の欠点でね。ONE PIECEが終わるまでは死ねないからね』

へらへらと笑いながらパッパッと服を叩く所作をする

 

 

「……次は『無かった』ことに出来ないほど『否定』してあげましょうか?『禍負荷』の『禍神転生者』」

 

 

『遠慮させて貰うよ『救済』の『転生者』……とりあえずは今回は幕引きだよ。くだらない幕引きにしたのは『神父』に対する意趣返しだと思ってくれて良いよ。そこの『禍ツ聖杯』の欠片は好きにするといい』

 

意味深に笑う『崩界のアヴェンジャー』

 

『『赫月のセイバー』ちゃんに立火ちゃん……これからの『禍神転生者』は2人とは違う。この意味をよく考えてね……お、なんか黒幕っぽく無いかな?『セイヴァー』ちゃん。え、っぽくない?』

 

 

「貴方達は何を考えてるの?」

 

 

『言っても無駄さ『禍神殺し』………君にはけして理解は出来ないよ。プラスである君にはね……強いて言うなら『存在』が違う』

 

 

『人には人の価値観が、鳥には鳥の価値観が、魚には魚の価値観が………神には神の価値観がある』

 

 

「禍神は禍神の価値観がある……わけね」

 

 

『そうだね、けして理解しあいまじわる事は無い』

 

 

『だから僕は悪くない』

 

 

理解は……しあえない……わかりきっていた

 

『だから総てを救う…と言う君も理解は出来ないよ『常世総てのセイヴァー』……『総てを塗り潰す純白』』

 

 

「…貴方も『禍神』に与する総てをも『救済』してあげるわ」

 

あまりにも当たり前に言い放つ白い彼女

 

今までおふさげで言い場を乱してきた『禍負荷』は巫山戯ず言い捨てる言葉に生真面目に返答する

 

 

『……じゃあね、残りの次元聖杯戦争を宜しく』

 

 

『禍負荷』は唐突に消える。まるで最初からいなかったように

 

 

あまりにも納得のいかない終幕。あまりにも理不尽だがこの、特異点としては異物を排除出来た結果になる

 

『常世総てのセイヴァー』さんも此方を一瞥しセイバーくんの制止を無視し羽根となり霧散する

 

 

『屍竜のライダー』は確かに消えた。

 

 

けど………これは『敗北』だった

 

「立火…?」

 

「沖田さん…終わったよ…一応ね」

上手くは笑えてはいなかったぎこちない笑顔を目を覚ました沖田さんに向ける

 

それからは激動の展開を迎える

 

 

『帝国』は皇帝を始めブドー、エスデスなどの主要キャラを失った結果となり千年続いた栄華は失墜して没落する

 

生き残りであったオネスト大臣は『隷属転生者』であったが処刑は免れなかった

 

歴史に残る凄惨な処刑であったと人伝に聞いた

 

…『隷属転生』された人物は知らない

 

悪人であったろうが善人であろうが『オネスト大臣』の悪名の泥を被って処刑されたことを考えると………痛ましかった

 

 

それからは正史と同じように『革命軍』の面々が『帝国』を再興し彼らが臨んだ優しい国へと向かって行くだろう

 

 

けれど……そこには影の功労者である『ナイトレイド』達がいない

 

 

 

本来生き残ったアカメ、タツミ、マインはいない

 

 

それからしばらくは、この特異点にとどまっていた

 

沖田さんと信長の療養も兼ねていた。セイバーくんも思うことがあるのだろう。留まることに反対はしなかった…私もいろいろありすぎて1つ1つ噛み締めて処理しなきゃ……受け入れられなかった

 

正と負の究極点の遭遇。『救済者(常世総てのセイヴァー)』と『禍負荷(崩界のアヴェンジャー)』との遭遇。セイバーくんの『目的』である2人

 

『救済者』との遭遇で覚醒と希望を

 

『禍負荷』との遭遇は喪失と絶望を

 

 

怒涛の展開に気持ちの整理の時間が欲しかった

 

 

 

とある墓場

 

そこは人知れない……かつてのアジトの外れの丘の上だった

 

死体はないけれどナイトレイドの面々の墓碑があった

 

 

「………………ごめんなさい」

 

彼女達の未練は果たされただろうか

 

彼の復讐は果たされただろうか

 

わからない

 

 

「ごめんなさい……」

 

何に謝っているのかはもはや分からなかった

 

いずれ無くなる『悪干渉』の結果にか

 

分からない。

 

 

藤丸立火の『戦う理由』にはこの結果はあまりにも重かった

 

 

「……立火、来ていたのか」

 

不意の言葉に振り返る

 

 

「ナジェンダさん……?」

 

振り返ると花束を抱えたナジェンダさんがいた

 

「………帝国復興に忙しいでしょう」

 

「…………忙しいさ。だが週に一度位はここに来るようにはしている」

 

墓前に花束を備え一服するナジェンダさん

 

「墓前ですよ…」

 

「忙しくて吸う時間すらなくてな……仲間の前位良いだろう」ふぅっと紫煙を吐き出すナジェンダさん

 

 

少し気まずい沈黙

 

 

「……立火、お前にはいやお前たちには感謝している」

 

 

「……え、いや……結局……」

 

 

「それでもだ。お前達の事情は詳しくは知らんが…………『革命』は成功した」

 

 

「仲間たちは死んだ。あいつらが享受すべき幸せもあっただろう……だがな全員が全員覚悟していたのさ」

 

2本目の煙草に火をつける

 

「過去に執着すればそこで歩みは止まる。生き残った我々にすべき事はあまりにも多い」

 

進まなければならないと再び紫煙を吐き出す

 

 

「お前の迷いは分からないが…………気にしすぎるな。おっと……やれやれもうこんな時間か……行かなきゃならん……立火、いずれな」

 

煙草を消し迎えの軍人の方へ向き軽く嘆息する

 

 

無言のまま見送る。

 

 

………私の迷いは多分無くならない。悪干渉された特異点はいずれ崩壊する

 

『禍神転生者』がいなくなっても修正力が働き収束し無かったことにされる

 

 

私の迷いは…無くならないと確信めいていた

 

 

 

自分の、中の与えられたおぞましいなにかにも嫌悪して

 

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