Fate/Cross Order 人理修復異界課   作:九咲

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第三空想特異点・禁忌邪神都市『極彩たるアーカム』
No.1「無限なる極彩~暗き外側からの侵略~」


極彩色の暗黒はそこにいる

 

害宇宙的恐怖を内包したそれは『魔人』と呼んだ

 

 

 

「きしし」

 

その声は私の正気を奪う

 

私はそれから逃げていた。私には脅威だった

 

いや耐性のない存在には脅威でしかない

 

あらゆる存在を騙して食らう

 

狂気の存在

 

 

私は逃げていた。ただ逃げるのではないけれど

 

 

私は…私を使ってくれる『主』を求めてこの狂気の世界から逃げ出したかったのだ

 

……私はいずれあの禍動破壊神が必要なのだ

 

 

これは荒唐無稽な御伽噺に縋る物語だ

 

 

 

 

 

 

平行人理継続保障機関『カルデア・リバース』

 

第二特異点から戻ってきて早2週間が経過していた

 

怪我は治っていた

 

沖田さんと信長も元気になった。……信長の霊核の破損も『魔神セイバー』になった際に修復した

 

というより2人で1人という状態で解決したらしい

 

……再び『魔神セイバー』になれるなら心強かった

 

むしろセイバーくん、『常世総てのセイヴァー』さんと会ったあとからまともに話が出来ていない

 

『禍神殺し』について話そうと思ったけど……最近見かけなかった

カルデア内にはいるのは分かるし有事には来てくれるだろうけど

 

 

「避けられてる………かな」

 

 

「とは思いませんけど…彼の事情も詳しくは存じ上げませんしねぇ」

 

「……儂は寝てたから知らんじゃが……『常世総てのセイヴァー』じゃっけ?化け物みたいならサーヴァントと因縁があるんじゃろ、思い詰めてるんじゃなかろうか」

 

食堂で沖田さんと信長と食事しながら話す

 

この2人とほとんど行動を共にしていた

 

職員もいるけど…彼らはNPCだからね

 

「立火も、思い詰めては心労がたまりますよ」

 

「うん、ありがとう沖田さん……結婚しよ……」

 

「へ、……いや……えー」

 

「………………………………砂糖吐いてくるじゃて」

 

 

…次の特異点はまだ来ていないが…あまりにも万全とは言い難い現状

 

「…………私自身もまだ……気持ちの整理出来てないんだよね」

 

『禍神殺し』という自分の、中に眠る何か

 

 

そして覚醒した時の自分とは言い難い『禍神転生者』に対する衝動

 

あまりにも『藤丸立香』から逸脱した力にやっぱり困惑する

 

「……………………はぁ」

 

 

陰鬱だ、何も解決出来ない現状

 

いろいろうじうじ考えて沖田さんと信長にも心配と迷惑かけてさらにへこんでしまう

 

 

「立火ちゃんいたいた、…うわなに暗いね」

 

 

「……レイシフトしている間一切連絡無かったドクターロマニさんじゃないですか」

 

「……空想特異点は妨害されてて連絡できないから仕方ないじゃないか」

 

「ま、連絡出来たとしてもあれだしいいですけど」

 

 

「僕に当たり強いのはなんでかなぁ……ま、いいや。……『召喚』はしないのかぃ」

 

 

召喚…確かに戦力は十分とは言えない

 

レイシフト出来るサーヴァントもサブ含めてもう何人かいてくれたら助かるよね

 

 

あの『禍負荷』が言うならあの赤いバーサーカーを筆頭にアーチャー、ランサー、キャスターはライダーとアサシンとは比べ物にならないらしい

 

境界を破壊しようとしたアサシン、『不死』のライダー

2人とも弱いわけじゃなかった

 

それより強いならばやっぱり『禍神殺し』の力は必要だしサーヴァントもセイバーくん達だけでは……不安だ

 

チームを組めるの出来るなら多いにこしたことはない

 

 

ってなわけで召喚しますか

 

 

 

 

己の番

 

 

 

『真白』いや『常世総てのセイヴァー』は己の妹『だった』

 

妹だったモノは既に『救済』という怪物へとなり果てていた事に実際直面して愕然とした

 

止めると誓った、救えなかった『あの子』の為にも

 

 

 

……それでも己は弱かった。あの『怪物』達に対抗出来るだけの力が欲しい

 

…己がやらなきゃならないのだ

 

…己は償わなければならない。あの子の為にも

 

この気持ちが燃え尽きる前に

 

 

 

 

 

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!カルデア内に侵入者!パターン『禍神転生者』!!』

 

 

突然の警報。赤いランプが館内を照らし非常事態を知らせる

 

「……『禍神転生者』…!?」

 

 

このカルデア・リバースに侵入者!?

カルデアは雪山…いや次元を超えるあいつらには関係ない

 

…けど『森羅万象の守護者』の加護はカルデアリバースには在るはず…干渉は難しいはず

 

「……『キャスター』か…!」

 

アーチャー、ランサー、は考えにくい…魔術的干渉をしてくるなら常套手段はキャスターだが『聖杯戦争』の常識すら通じないやつらであるから断定は出来ないが

 

バーサーカーは…『血怪』は知っている

ストーカー染みたやつではあるが劇場型だ

 

奴の特異点で相見えるはず

 

とりあえずリツカ達が心配だ。

直ぐさま駆ける。部屋を出ると腐臭

 

これは…狂気の臭いだった

 

視覚的には変わりないが全体的に空気が重く感じた

 

死の臭いではなく『精神的』にくる気がした。雰囲気がうってかわりいつもとはちがう廊下であった

もはや見慣れたカルデアリバースの廊下も『異質』に感じた

 

…『異界化』?

 

魔術師の工房には外敵を遮断するため『異界化』するという魔術的罠も存在している

 

それにしても濃厚に過ぎた。

 

サーヴァントすら『狂気』に陥りそうなほど濃厚な瘴気であった

 

 

「ぐるる…!」

 

 

廊下の先に……聞こえるはずのない唸り声

 

それは黒い犬だった。「太く曲がりくねって鋭く伸びた注射針のような舌」と、「原形質に似ているが酵素を持たない、青みがかった脳漿のようなもの」を全身に滴らせていた

 

それはこの世のモノと思えない犬だった

常に飢えたように涎を撒き散らす

 

「…………異形……?」

 

敵意と害意……獲物というそれしかなかった

 

職員は居たはず……喰われたか?……マズいマスターであるリツカも十分に極上の餌になり得るはず

 

あれは……獲物をけして逃がさない狩人だろう

 

「……投影、開始」

 

干将莫耶を投影。黒白の双剣を構える。

 

同時に幾つものの剣環を凍結待機。いつでも射出しても良いように神経を研ぎ澄ます

 

黒い犬のようなものは此方を食い殺す為に隙を窺う

 

増殖し2体になりぐるる…っと唸り声をならす

 

直線を描き襲いかかる2体の黒い犬のようなもの

 

干将莫耶を構え迎撃する

 

 

 

 

私の番

 

 

腐臭、腐臭、腐臭

 

腐臭を放つ館内を目の当たりにし吐き気を催す

 

死体は無い。死体ごと喰われたのかNPCの彼らはこう消えるのかは分からないけど

 

無いはずの死体に濃厚に残る腐臭は私の正気を削る

 

「立火…!!」

 

 

「え、……」

背後から襲いかかる黒い犬のようなもの

涎を撒き散らし食い殺すかのように飛びかかる

 

「…無用心なマスターだな、異常事態なんだからもっと警戒なさい」

 

「ご、ごめんランサー……」

 

ランサーと呼ぶ彼女は黒い犬のようなものを穿つ

 

紅いエネルギー状の槍は黒い犬のようなものを壁に縫い付ける

 

「……とんでもないマスターに引かれたモノねこの私が」

 

ピンクのドレスに黒い翼…蒼い髪をした少女は軽く嘆息する

 

「…………まぁ良いわ。私を使役出来るのだからせいぜいうまく使いなさいマスター立火?」

 

ランサー、この異変が起こる前に召喚したサーヴァントの一騎

 

私は彼女を知っていた

 

『永遠に幼き紅い月』レミリア・スカーレット

 

『東方プロジェクト』に登場する吸血鬼の少女

 

……けど……幼い…かな?

見た目年齢は明らかに十代後半……原作は見た目年齢は十代前半位がせいぜいだった

 

見た目年齢上がってるせいかかりちゅまなんて言えなくすごくカリスマだった

 

「何を呆けてるの立火。せっかく彼女らが足止めしてくれてるのだから逃げなさい…多分その『本』が狙いよ」

 

 

あ、うん…私の手には古ぼけた装丁の本がある

 

……この本がもう一騎の召喚したサーヴァント

 

まぁ…ナーサリーライムの例があるから本がサーヴァントというのは違和感は無いけど……今のところ反応しない

 

 

多分キャスターのサーヴァント。…ただの本の筈がない

 

 

「きしし、そうだよ。ただの本なわけないよ……力のある魔道書さ。『神』をも召喚するね」

 

当然現れる声に振り返る

 

「君たちを『斬魔大戦』に誘う魔道書さ。きしし」

 

蒼い髪をした黒い際どい衣装をし左右違いの瞳をした異形の少女がいた

 

直感が働く…いや『禍神殺し』が訴える

 

こいつは……『禍神転生者』だ

 

「初めまして、藤丸立火。…『極彩のキャスター』にて『無限のフォーリナー』さ。きしし好きに呼んでよ」

 

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