左右違いの瞳をした異形の少女がいた
人の姿をしていても異形と感じていた
特にあの目は駄目だ。あらゆる『魔眼』を超越したもの
極彩色の暗黒はそこにある
『禍神殺し』は最大級の警報を鳴らしていた
呼吸は荒く冷や汗は止まらない…けど殺意は未だ溢れる
「落ち着きなさい。立火…はしたないわよ」
ランサーが窘めてくれた。不思議と安心感がある
「ごめんランサー…けど…こいつはやばいよ」
「理解しているわ。私でもどうにか出来るかどうか」
ランサーは紅い槍を構える。エネルギー状の紅い弾幕が周囲を浮遊する
「おっと…今は戦闘するつもりは無いよ。私自身は争いはすきじゃないしね。きしし。……私の支配特異点に招待しにきただけさ」
戦闘の意志はないよと言う
「……これだけの腐臭を放つ異形をけしかけといて戦闘の意志はないよって言われて納得出来るとでも?」ランサーは槍の、鋒を突き付け言い放つ
「『ティンダロスの猟犬』は次元を越えて獲物を狙う異形だよ…ここの場所へ来るのに必要でね。まぁ飢えてるからてなづけるのは難しいからねぇ」
『ティンダロスの猟犬』……さっきの犬のようなものはそう言うのか
……寄贈知識群に該当しない外側の知識のようだった
「……『斬魔大戦』って」
「荒唐無稽な御伽噺になれなかった物語。神殺しになれなかった物語だよ」
「…………あの人……達は……まだ……負けてない……負けないんだ」
「……起きたかい。『異界のキャスター』」
愉快げに笑う異形の少女。
「…最悪の目覚めだよ…………………………『無限のフォーリナー』……」
紫の、長髪に黒いノースリーブのフリフリしたワンピースを着た金眼の少女が私の隣に居た
私の手元の古ぼけた装丁の本は頁となり舞い少女となった
「…『異界のキャスター』……?」
「ご機嫌麗しゅう…マイマスター。召喚に応じ参上したよ。…………私をキャスターとあれをフォーリナーと呼んで欲しいな。けどごめんなさいマイマスター。……私は…マイマスターを巻き込まなきゃいけないんだ。」
幼さを残す紫のキャスターは此方を見上げ悲しげな表情をする
「私は……『斬魔大戦』をやり直さなきゃならないんだ……」
「…きしし、その割には私の特異点から逃げ出したようだけど」
馬鹿にしたような笑みを浮かべる『無限のフォーリナー』
「…逃げてなんか無い……!……我が主……藤丸立火さん、マイマスター、マイロード。私と契約して」
「…貴女のクロスオーダーも手伝います。……だから私と契約して『あの人達』を……救って」
縋るように私に近付く。
え、……召喚したし…マスターとサーヴァントとして繋がりがあるのは分かる
けどそれ以上の契約って…でも目の前の少女は初めて会った私に縋る程追い詰められていた
「…『契約』…して下さい。マイマスター」
『斬魔大戦』も分からないけど…目の前の『無限のフォーリナー』は『敵』で…この子の『敵』だ
この子、『異界のキャスター』は私が召喚した『サーヴァント』だ
「……随分お人好しのマスターに召喚されたようだ」
ととなりのランサーも嘆息していたけれど
これは私が選んだ道だ
「……ん。」
『異界のキャスター』は私の唇に唇を躊躇いなく重ねる
「……は?」
ぽかんとするランサー。まて私も理解が追い付かない
ごめんなさい沖田さん…
えぇええええええええええええええええええええええええ!!?
「……んは…契約は完了した。…………これで貴女はマギウスです。マイマスター。……私の真名は『ネクロノミコン異界言語版』魔導書のキャスターです」
ネクロノミコン…異界言語版…?
マギウス…?…いや私のファーストキス……まぁ可愛いし良いけど……
「この世界の『魔術』とは違う『魔術』…秘匿されるべき神秘ではあるけど…此方は畏怖すべき『神秘』…『外なる神々』の知慧…その記述を記載された『魔導書』なのマイマスター。………」
「…そして君は『魔人』だ。『D』の魔人、『異界の紫』ネクロノミコン異界言語版。」
「…そうだね。『無限なる極彩』『Y』の魔人の寄車むげん。」
きししと『無限のフォーリナー』こと寄車むげんは笑う
「あいつは『あの子』の傍離れないだろうし…きししししし。これは私の趣味じゃぁないけど別の『N』の魔人も用意したさ」
「……………『禍神転生者』よね、貴女は」
私は睨みつける
「……問題なく『禍神転生者』だよ。…さてゲームだよこれは…君達には私の『支配特異点』を救ってみな。きししししし!!」
愉快げただ愉快げに笑う『魔人』
支配特異点……という事は既に特異点は此奴の支配下ということ
「………『魔術』とは感情を理性で制御し昂ぶる魂を魔力に融合させ精錬、精製するものマイマスター。…怒ってくれてるのでしょ…今の貴女は魔術師。…サポートはする…」
マスターとサーヴァント…けど前提すら逆転する
マギウスとグリモワール
『魔導書』は主に力を与える存在。
いくら、少女の姿を持ち超常の存在とは言え『書物』
彼女が再び頁となり霧散して舞う
頁の嵐となり私の周りを舞う
………『マギウス』となる
黒い術衣が私は纏っていた。……奇しくも『禍神殺し』の術衣『黒い翼』あの時に似ていた
「うん、魔力の相性抜群みたい…よろしくねマイマスター」
ちょこんと肩にマスコットのように縮んだ『異界のキャスター』ことネクロノミコン異界言語版ちゃん
…きゃわわ!!
「戦えるのかしら立火。…」
「…あくまで私は写本。オリジナルの母上には及ばないけど…魔術師ではないマイマスターを魔術師たらしめる位は出来る」小さいキャスターはふんすと鼻を鳴らす
「マスターの強化は私たちサーヴァントの強化なる…ま、お前は逆みたいだけど」
「…同時期召喚のよしみでよろしくねランサー」
「まぁ足をひっぱらないで頂戴ねキャスター」
「…戦うつもりはないんだけどねぇ…遊んであげるよ」
ワラワラと沸いてくる黒い犬のようなものは数十体と増殖する
「行くよ。マイマスター。」
ネクロノミコン異界言語版の声にぐ、と下腹部に力を入れ構える
己の番
「全弾くれてやる!!」
沸いてくる黒い犬のようなもの共を降り注ぐ剣雨でなぎ払う
「ワラワラと沸いてきやがって…………ち、…」
癌細胞のように増殖する黒い犬のようなものははぁはぁッと、涎を撒き散らし襲いかかる
干将莫耶で打ち払い斬り捨て剣雨を打ち付ける
「………ち」
狭い廊下で囲まれてしまう
「…はっ、テメェが『赫月のセイバー』か!!」
突如の下腹部に衝撃が走り吹き飛ばれる
「がっ!!」
「…主、荒っぽいと申し上げる」
「は、敵に何甘いこと言ってやがる!!ラキぃ!!」
「…我の名前を省略するなと申し上げる主」
不良の風体をした青年と彼の半分程しか背がない灰色の少女がいた
「…誰だ貴様ら」
己は体勢を立て直して2人と対峙する
「『転生者』だよ、『赫月のセイバー』…テメェのセイバーのクラス寄こせや!!」
いきなり剣を抜き斬り掛かってくる不良の青年