夢を見る
根源の夢を見る
アテのない誓いの夢を見る
呪いのような夢を見る
それは魂に刻まれた誓いのような呪いだった
魂のまだない私はそれでも覚えている
私の
存在意義。
小さな小さな探偵事務所が始まりだった
産声すらあげていないけれどそれでも始まりだった
螺旋の呪いを刻まれてチクタクと時計の音は響く
肌寒い室内は住人の心情のよう
住人は深い深い息を吐く。眉間に皺を寄せる
精悍な青年も20代半ばにしては老けて見えた
傷だらけの身体に鞭を打ちペンを進める
羊皮紙に魔力を込め書き進める。傍らにはボロボロの書物。それを写す
その書物は彼の半身。伴侶。
傲慢無礼の物言いは今はもう懐かしく恋しかった
無心で書き進める。彼の僅かな残り火を魔力に変えて
命を燃やす
彼は魔術師としては三流だったのかもしれない
いつも行き当たりばったりで彼女にも振り回され
それでも…魔を断つ誓いは本物であったと自負していた
「…けれど俺は…今回の俺では駄目だった…」
無限の螺旋に気付いた
邪神の坩堝にも気付けた
けれど忘れてしまう。それでは駄目だ
「だから『お前』に託す」
まるで子供を見るような眼差しで書き終えた写本を見る
ボロボロの書物は灰になり霧散する
「……頼む。あの女が関わってからおかしくなった」
「頼むぞ……×××」
青年は………そのすべての魔力を注ぎこみ死に絶えた
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失敗した
救えなかった
失敗した
救えなかった
失敗した
救えなかった…また。数え切れないほどの失敗を重ねる
リセットは零からそれは根底の誓約。干渉出来ただけ御の字であったが
必ず……
その人たちの死はその世界では前提条件だった
私の干渉出来る無限螺旋の世界は必ずあの人たちは死ぬ
何故…何故と嘆く。高すぎる絶望の壁はこんなにも私を阻むのか
なんのために生まれたんだろう
救えなかったらいみはないのに
「きししし。可哀想に。キミは前提すら間違えているのさ」
邪悪は嗤う。嘲笑う。袋小路の誓いを嘲笑う
お前が……お前が……!!
「きししし。可哀想に神殺しの刃は。思いを伝えられなかったのか。死しても頼られているなんて正義の味方冥利に尽きるけどね」
何を言って……!!??
「気づけないならこの無駄な繰り返しをしてればいいさ。…私は『B』を降臨させなきゃなら無い…『C』すら踏み台に過ぎないのさ」
邪悪な魔人は邪悪に嗤う
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「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいマスター……私のわがままに巻き込んで……やっぱり私じゃ駄目なんだ………気付いてた。私が新しい『神殺しの刃』になってくれと言われてることには」
キャスターは私の胸元で泣いていた
暗い。四肢は痺れて動かない。
「私じゃ、……あの人達にはなれないよっ」
「…………」
子供がないている。ああ、これはただの親のプレッシャーに覆い潰されてる子供みたいだ
かつての自分と重なる。
『汝、魔を断つ剣となれ』
この責任はこの矮躯の細い少女の肩に掛かっているとなれば……あまりにも可哀想じゃないか
かつての自分と重なる。……いやスケール的に重さが全然違うのは重々承知だ
出来過ぎる兄のようになれという親からのプレッシャーは思春期にかつてあった
それとは比べ物にならない親からの『期待』
そうなるために生まれたという『責任』
生まれたばかりのこの子は親を頼るのは当然だと思う
……………手前勝手ながら貴方達の力はこの子と私には必要なのだ
「……いいよ、キャスター……」
「…神を殺すのは『私』だ」
『禍神殺し』30%の解放を承諾。術式『天威無法』を解放
重装夢幻召喚のスキル変化を承諾しますか?イエス/ノー
→イエス
『
疑似魔術回路を更新
「力をかしてもらうよ」
キャスターの肩を抱く
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「藤丸さん!!藤丸さん!!」
覇道瑠璃は取り乱している。いつもの総帥。司令としての仮面は剥がれている
目の前のモニターの惨状に対して全員同じ気持ちだ
執事のウィンフィールドとオペレーターのマコトは沈痛な表情
チアキは毒づく。ソーニャは泣いていた
また負けるのかと
もう、うつ手は無いのか
モニターにうつるのは半壊の黒い巨人。右手はちぎれ蹲っていた
覇道邸への、破壊をくしくも防いでくれていた
先程から連絡を試みるが反応はない
「…私達は何も出来ないのですか…見知らぬあの人を見殺しにすることしか…!!御爺様…大十字さん…アル…!!」
「…!!?…なんでや…!!?ありえへん…!!?」
突然狼狽する声をあげるチアキに視線が集中する
「…どうしましたかチアキ」
「……
「え…??」
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斬魔の誓いを謳う。
目の前の巻き込んでしまっただけのマスターは何をしたんだろう
死にかけの傷だらけの身体の筈だ
枯渇した筈の魔力は私に逆流するほど流出していた
マスター貴女は何者なんですか
私の手を取り微笑む貴女は…
「ありがとうございます。私を私にしてくれて」
謳いあげる。『彼』を呼ぶ誓いを
水銀の涙を流して流血を舐めていた『人間のため』の最弱無敵の鬼械の神を
『憎悪の空より来たりて』
『正しき怒りを胸に』
『我等は魔を断つ剣を執る!!』
『汝、無垢なる刃!!』
『デモンベイン!!』
天空に五芒星の陣が展開する。力強い光を放つ
邪悪を打ち克つ力を
光指す世界に涙救わぬ正義無し。ああ待たせたなと力強く私に声をかけてくれたような気がした
レイドクローは霧散する。その五芒星に吸い込まれる
それが…父上が命を燃やして残した渾身の『奇跡』だ
再構築する。レイドクローを媒体に
傷だらけの鋼を。ボロボロの刃金を
2体の機械は混ざり合う。デモンベインとなる
『すまない、
『お前に背負わせてしまった俺らの弱さを呪う』
『親らしい事なんて出来なかった』
その言葉だけで救われる。任せて下さい父上、母上
『デモンベイン・レイドクロー!!』
偽神は降臨する。俺たちの世界をよくもやってくれたなと継ぎ接ぎのような2体の機械が混ざり合ったようなデモンベインが陣より飛来する
清廉なる殺意を纏う。
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「デモンベイン!!??僕らに殺された筈だろうが!!?インスタント魔術師がよぉぉ!!!!」
クラウディウスは吠える。目の前のものを否定するように
因果応報させてやる。地べたに這いずり回り血を啜れクソガキ
「…断鎖術式解放!!壱号ティマイオス!!弍号クリティアス!!」
エーテルダンサーモードへ移行
「時空間歪曲!!」
デモンベインレイドクローの脚部シールド機構起動。脚部シールド周囲の時空間を歪曲させ時空間が戻ろうとする力が爆発的な推進力を生み出す
巨体は爆発的な推進力を得て背後のクラーケンに回し蹴りを放つ
時空間歪曲エネルギーを叩きつける。即ち近接粉砕呪法
『アトランティスストライク!!』
強烈な回し蹴りはクラーケンを吹き飛ばし装甲にヒビを入れる
強固な装甲を持つクラーケンにダメージを与える十二分な威力
「グヌ!!?」
「『凍てつく荒野より飛び立つ翼を我に!!シャンタク!!』」
デモンベインレイドクローの背部装甲に鱗状の翼が現れる
飛行ユニット『シャンタク』
フレアを吹き出しデモンベインレイドクローは上昇。
ロードビヤーキーがいる高度へ上昇する
「空中戦だ!!クソガキ!!」
「クソアマァ…殺してやる」
デモンベインレイドクローを見上げる人影
赤いゴスロリの少女が呟く
「…デモンベイン…」
光のない瞳が見上げていた