俺と白露型の日常   作:夜仙

15 / 29
お久しぶりです

 



13 旅行はやっぱり日帰りで行ける所がいい

 俺は戦場へと足を踏み入れる。

 

 この『リア充殲滅』の錦の旗をかかげ、委員長のもとへと馳せ参じた。

 

「よく来てくれた」

 

 委員長は出店のかき氷を食いながら、パラソルの下で休んでいた。

 

 それにしても、あのかき氷、美味そうだなぁ。

 

「おい、何してんだ。雷雨」

 

「なんだ、かき氷」

 

「誰がかき氷だ」

 

 委員長が立ち上がってデコピンをしてきた。まぁ、あんまり痛くないけど。

 

「……で、何処にいるんだ?クソハーレム野郎は」

 

「あそこだ」

 

 委員長の指差すところに例の奴がいた。

 

 なるほど……イケメンだ。肌が白いし、体型も悪くない、顔も……いい。

 

「イケメンだ」

 

「あぁ、リア充そうなイケメンだ」

 

 本当に……

 

 

 

 

 

 

 

 

ニクタラシイナア〜

 

「委員長、俺あいつを倒すよ」

 

 俺の言葉に委員長はクイッと人差し指と中指で眼鏡を上下にスライドさせる。一瞬、日光の反射で委員長の目が見えなくなる。だが、俺は知っている。あれは合図だ。『行ってこい!俺も加勢する!』と。

 

 合図を受け取り、俺は駆ける。目の前にいる憎たらしい敵に向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ〜、久しぶりの海水浴はいいのね〜」

 

「もう!イクったら、いつもやってるようなもんでしょう!」

 

「……それ言ったら終わりなのね」 

 

 イクとイムヤが浮き輪で浮かびながら向こうで仲良く遊んでいる。

 

 さて、俺こと柳原龍輝は今家から物凄く遠い江ノ島の海でゴーヤと七夕の日から勝手に居候し始めたイムヤとイクと共に海水浴に来ている。いやぁ〜、それにしても、まさか下校途中に寄った商店街で福引きをやっていたから運試しで引いて、まさかの一等賞の江ノ島、横浜一週間分(しかも宿付き)の旅行券が当たるなんてなだなんてな……。運良すぎだろ、俺。

 

(それにしても、あの二人仲が良すぎだろ)

 

 俺はイクとイムヤを羨望の目を向ける。というのも、俺のいる因島には学校がなく、そのため俺はわざわざ本土の学校に通う必要が生まれてしまうのだ。そのため、俺はあまり仲の良いと言える友達が全くできていない。

 

 

 

 だから正直羨ましい。

 

 俺にもああやって仲良く遊んでみたい、偶にだがふと俺はそんなことを思ってしまうのだ。今まで俺は一人だったから。孤独だったから。

 

「龍輝〜♪何してるでち〜?」

 

 後ろの方から声が聞こえてくる。振り向くと、そこには嬉しそうな顔をしているゴーヤがいた。だが、何故だろうか。ゴーヤの目の中にある光は消えていて、さながらブラックホールみたいに吸い込まれそうな気がする。

 

 一言で言うなら虚ろの目と言ったところか……。

 

「もしかして、あの二人のどっちが好みでちか?教えてよ龍輝〜♪」

 

 なんでそこで俺の好みが来るんだよ……。

 

「いや、ただ羨ましいなぁって思って」

 

「羨ましい?」

 

 あ、目に光が戻った。

 

「あぁ、俺にはずっと友達と言える奴がいなくてな。だから俺はあのいつも一緒に仲良く話している二人が羨ましいんだよ」

 

「あぁ、そういうことでちね……良かった」

 

 何がいいんだ、俺は友達ゼロ宣言して心が荒んでいるのに……。

 

「ん?じゃあ、あそこからこっちに向かってくる人はなんでちか?」

 

「え?」

 

 ゴーヤの向いている向きを向くと、何か言いながら走っている人がいる。気のせいか、こちらに来ている気もするが……。

 

「ーー!!ーーう!!」

 

「何か言っているでちね」

 

「あぁ」

 

「ーね!!ーーー野郎!!」

 

 ほんとにあの人何言ってんの?

 

 だが、そいつは止まる事なく、どんどんとこちらに向かっている。気のせいか手には黄金の剣が握られているように見える。

 

「あいつ何でおもちゃの剣を持って、こっちに来てんの?」

 

「さぁ」

 

 小首を傾げるゴーヤ。……うん、まぁそりやぁそうなるだろうねぇ……。

 

「死ね!!リア充野郎!‼」

 

 俺の近くまで来ると、その人は黄金に輝やくおもちゃの剣を大きく振りかぶって、こちらに振り下ろしてきた。

 

「うぉっ!」

 

 間一髪のところで俺は避ける。だが、その人、いや俺と同じくらいの青年は攻撃をやめない

 

「消えろ!!リア充がーー!!」

 

 訳の分からない単語を言って、斬りかかってくる。というか、リア充って何だよ。新種の果汁か?

 

「避けるな!!下道がぁ!!」

 

「いや避けないと、それ体に当たったら絶対痛いから!」

 

「黙れぇ!!お前はこの聖剣に潔く斬られろぉぉぉ!!‼」

 

 無茶苦茶だよ、この人!!というか理不尽!

 

 そんな事を思っていると……

 

「助けに来たぞーー!!」

 

 青年と同じくらい(つまり、俺とも同じ)の眼鏡かけた奴がこれまたおもちゃの槍を持ってきて、こちらに向かっている。

 

 まさかだけど、仲間!?

 

「助けに来たぞぉぉ!!雷雨!」

 

 なんか海を歩きながら、こちらに向かっている。やばい、この人達。完全に頭が可笑しい人だ。

 

「よし!行くぞ!喰らえ、我が学校に伝わる槍ホイホイボルグ!!グヘェ!?」

 

 なんか聞いたことのある槍の名前を言い終わって、こちらにそれを投げようとした時だった。マッハを超えるような何かが眼鏡の男の顔面に直撃したのだ。

 

 これには俺も青年もびっくりする。やがて、眼鏡の男の顔面をやった凶器がプカプカと浮かび上がった。それは浮き輪だった。

 

 それに見覚えのある俺はちらっと持ち主達がいるところを見ると、さっきまで浮き輪をつけて遊んでいたイクが浮き輪をつけずにいる。

 

「ひゅ〜♪久しぶりにやり甲斐のある敵を見つけたから投げたのね!」

 

 俺の聞きたかった質問を察してかイクは言う。

 

「委員長ーーー!!!」

 

 青年が眼鏡の人のあだ名を叫んでいる。そして、よく映画でやる仲間がやられて、『俺はもう駄目だ……後は頼む』風な感じで委員長と呼ばれた男は力尽きて、浮き輪をつけて気絶した。

 

 

 

 

 

……ナニコレ? 

 

 

 

 

 

 俺はその場に茫然と立ち尽くす。

 

 すると、青年はこちらに近づいてきて、こう言う。

 

「おのれ!リア充やろうがぁ!!この恨み果たしてくれるわ!!」

 

 また意味の分からない単語『リア充』を使っている。仕方ない。

 

「あの〜」

 

「なんだ?」

 

「リア充ってなんですか?」

 

 青年はきょとんとした顔をして、こちらを見る。……え?そんなに変な質問だった?この質問。俺はちらっとゴーヤ達を見る。しかし、彼女達も俺を同じような目で見てくる。……え?そんなに変な質問だった?この質問(二回目)。

 

「それ、本気で言っているのか?」

 

 何故か苦笑いされている。こんなおもちゃの剣を持った奴に。

 

「はい。そうですけど」

 

 すると青年はため息を一つつく。呆れてはいるようだが、意味は話してくれそうな雰囲気を纏っていた。

 

「リア充っていうのは要するにリアルで充実している、という意味なんだよ」

 

「だったら、俺はリア充ですね」

 

 その言葉を聞き、青年がまたおもちゃの剣を手に取る。え?ちょっと、やめて!

 

「てめぇ、やっぱりいるのかよ!(彼女が)」

 

 何言ってるんだろう、この人。なんでそうなるの⁉俺に何があるっていうの……は!そうか!そう言えばこの人の言っていたリア充とかいうやつに一つだけ達していないところがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 友達だ!

 

 俺には友達が一人も居ない、つまりそれはリア充という言葉には合わない!

 

 しまった!今から訂正しなくては!

 

「すみません。やっぱりいませんでした(友達が)」

 

「あ〜良かった〜いなかったか〜(彼女が)」

 

 あ、剣をしまってくれた。

 

「はい。作りたいとは思うんですが(友達を)」

 

「あぁ分かるぜ、その気持ち!俺も作りたいんだけどな〜(彼女を)」

 

 もしかして、この人も友達いないのかな……あれ?だったらさっきの眼鏡の人は何だろう?

 

「あの、さっきの眼鏡の人は違うんですか?(友達じゃないのかな?)」

 

「え?違うけど?(俺にそういう性癖はねぇよ!)」

 

 へ〜じゃあ、あの人一体何なんだろう。

 

「それよりさ、お前」

 

「ん?」

 

「ほら、あそこに男女の一組がいるだろ?」

 

「はい、いますね」

 

「あれ見てどう思う」

 

 どう思うって言われたって……。

 

「仲がいいなぁ、と」

 

 そう言うと、「違う違う」と言って青年は俺の意見を否定する。

 

「そういうことじゃなくてな。つまり、あの二人を見てお前はどう思うかについてだ」

 

 え?俺から見て?

 

「そりゃあ羨ましいなぁとば思いますけど」

 

「だろう?俺もだ」

 

 うんうんと頷く青年。やっぱり友達欲しいんだなぁ。

 

 あ!そうだ!

 

「良かったら俺達友達になりませんか?」

 

「は?」

 

 案の定首を傾げる青年。でも俺等の共通の悩みを解決するにはこれしかない。友達がいないという深刻な問題を今ここで解消なければ前に進めないからだ。

 

「ですから、俺と友達になってリア充になっていきましょう!」

 

 俺の台詞に青年は首を横にも振らず、縦にも振らずただ「お、おう」とさっきの勢いをなくして承諾した。

 

 この後、二人で携帯の番号を教え、青年と別れた。

 

 ただその間ずっとゴーヤ達が呆れた目で見ていたのは何故だろうか?

 

 

 

「おい!どこ行ってたんだよ、雪原。俺らピンチだったのに」

 

「すまん、お兄ちゃんがいたから少し話してた」

 

「おいおい」

 

 




お気に入り百人突破しました。

自分でも驚いています。

これも皆様のおかげです。

ですので、引き続き読んでくださったら作者として嬉しい限りです。 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。