俺と白露型の日常   作:夜仙

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また長くなってしまいました


6 親は昔の事をよく言うけど、子供は大抵それを嫌う

「いきなりなんだ、そんな大声出して。今お前のせいでこの部屋でワイワイガヤガヤやっていたのが台無しじゃないか。え?」

 

「何が『え?』だ!クソ親父!!何しに来たんだよ!」

 

 ホントに何しに来たんだクソ親父!連絡も寄越さないで!

 

「って言うか、今まで何処をほっつき歩いていたんだよ!連絡も寄越さずに!」

 

「お、何?心配してくれたの?パパ嬉しいよ〜」

 

「誰が心配するもんか!!」

 

「落ち着いてください雷雨君。これには深い理由があるんですよ」

 

 村雨、庇うんじゃあねぇ!そいつは俺からしてみれば長い間連絡一つも寄越さず何処で何してたか分からない奴だぞ!

 

「雷雨、落ち着きなさい。これには訳があるの」

 

「だか、ら…って母さん!?」

 

 声のした方向を見ると、母さんがいた。長い髪をきちんと留めていて、幼い頃から変わらない凛々しさがある顔には父よりも軍人らしい顔つきをしていて、軍人としてこの上ない適任な人だ。そう思うと、何でこんなヘラヘラしている父と結婚したのか気になるところだ。

 

「あ、加賀さん。久しぶり」

 

 白露が笑顔で母さんに手を振っている。それを見た母さんもまた少し微笑んで、

 

「あら、白露じゃない。久しぶりね」

 

「ん?母さん白露と知り合い?」

 

 その言葉を俺が発すると、親父と母さんはキョトンとした顔をした。そして、時雨たちの方を見ると急にゴニョゴニョと小さい声で喋りはじめた。当の時雨たちもまた、ゴニョゴニョ声で喋っている。どうやら見た感じ、討論をしているようだ。俺は討論の内容を聞こうとするが、親父の「え!」とか「マジで!?」の言葉を聞くことになるという無駄な結果しかなかった。親父、マジで黙ってろ。

 

 やがて討論は終わったのかこっちに振り向く。

 

「あのな、息子よ。よく聞いてほしい」

 

「え、何だよ。急に」

 

「実はな、お前にずっと隠していたことがある」

 

「え、本当に何?まさか親父浮気して、母さんと離婚したのか!?」

 

「お前……俺を何だと思っているんだ?」

 

「連絡一つも寄越さず、何年間もずっと金しか送ってこず、いっつもムカつくような言葉しかかけてこないクソ親父」

 

「ぐっ……いくらなんでも酷すぎじゃない。その評価」

 

 いや、これでも大分妥協してるよ俺は。あ、母さんがすごいオーラ纏ってる。

 

「浮気…してたんですか?」

 

「してないしてない!無実だ、俺は!」

 

「まぁ、でもちょっと話し合い…しましょうか」

 

「え、ちょっと待って。本当に無実なんだって!雷雨、助けてくれーー!!」

 

 親父がどんどん引きずられていく。まぁ、可愛そうとは思っても親父を助ける気にはなれない。ガンバ。

 

「ウッソでしょーーー!?い〜やーー!!」

 

 やがて、親父の声が完全になくなった。恐らく、あの後はずっと説教だな〜。 

 

 

 って言うか何でお前ら笑顔なの?いや家族である俺が笑顔ならまだしも、何で初めて会った人の不幸を笑顔で見られるのかなぁ?

 

「お前ら何で笑顔なの?」

 

「いや提督が加賀さんと漫談しているのを久々に見られてね」

 

 そうかそうか…ん?待てよ。さっき提督って…それに何故そこに母さんの名前が…

 

「気のせいか?今さっき提督なんてワードが出てきたのは」

 

「「「「あ」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ!?親父があ、あの提督だと!?それに母さんは『加賀』っていう空母の艦娘だって!?」

「うん…そうだね」

 

 おい、何でそんなに引いているんだ。うん、言いたい事は分かるよ。「驚き過ぎだよ」だろ。でもしょうが無いじゃん。だって、あの夏休みになると、いっつもカブトムシを捕まえて、母さんに叱られているクソ親父があの深海棲艦から世界を守った提督だぞ。驚くに決まってんだろうが。

 

「親父ちゃんとやってたのか?お仕事とか」

 

「加賀さんに怒られてやったりするけど、ちゃんとやれてるよ」

 

 時雨がそう言うと、隣にいる白髪の娘がクスッと笑った。

 

「おいそこの白髪、何笑ってんだ」

 

「白髪じゃなくて海風です」

 

 一方の海風は俺の言葉を聞いて頭にデコピンをしてきた。かなり痛めの。

 

「痛い!何すんだ!」

 

「私の名前をちゃんと呼ばなかった事に対する罰です」

 

 しょうがないじゃん。だって自己紹介したのは、最初に君達が家に乗り込んできた時の一回だけだから覚えてる訳ないじゃん。

 

「って言うか、何でお前は笑っていたんだ?」

 

「いや、提督って息子さんにかなり失望されてると思ったら笑えてしまって」

 

「あぁそう」

 

 だったら安心しろ。こういう光景だったら毎日見られるから。もれなく朝昼晩の三食と共にな。

 

 そんな事を思っていると、すっと部屋に親父と母さんが入ってきた。親父はさっきの威勢はどこへやら、もはやしおしおとなっている。それを母さんはじっと見ている。

 

 だが、母さんはその視線を急に俺の方へ向けた。ギロっと一瞬見られた感じがして思わずビクっとなってしまった。

 

「雷雨。ちょっと来なさい。あなたも」

 

 そう言って俺を呼び出し、親父も一緒に連れて行かされていた。親父は相変わらずしおしおとなって、引っ張られていった。

 

 

 

 連れて行かれたのはお父さんとお母さんの部屋であった場所だった部屋だ。今は白露と夕立の部屋になっている。え、なんでそうなったかって?部屋が足りなかったんだよ。

 

「雷雨、あなたは人の許可を得ないで…」

 

「ごめんなさい」

 

「いいのよ。どうせ足りなくなるのは目に見えてたしね」

 

 はぁ、とため息をつく母さん。その音に起こされたのか親父が起きた。

 

「ん、ここは何処だ?こんな部屋家にあったか?」

 

「ここは私達の家部屋だった場所よ」

 

「え、マジで?」

 

「マジよ」

 

 これには親父のほうがショックが大きかったらしく、絶叫した。ちょっとやり過ぎたか?

 

「うわ〜ん!せっかく加賀に内緒でエロ本とかエロ画像とか貯めてた部屋が〜!!」

 

 前言撤回。あ、母さんが鬼の目つきになってる。

 

「そんな事してたんですか、あなたという人は」

 

「ヒッ!」

 

「…まぁ良いわ。これが終わった後にまた話しましょう」

 

「…はい」

 

 親父、お前が勝手に掘った墓穴だ。自分で落とし前をつけろ。

 

「雷雨あなたにも説教をしなければいけません」

 

「え、説教?」

 

 急に説教するって言われたって…俺何かしたか?

 

「あなた、夜中から朝方までずっとギャンブルしてたでしょ?」

 

「!!!!」

 

 …え?何で母さんがそれを…

 

「図星ね。何で分かったか教えましょうか?」

 

 そう言って母さんは放心状態の親父の意識を腹パンで戻させた。

 

「ん?これ何のムード?」

 

 親父、あんたこの緊迫した状況でよくそんな素っ頓狂なこと言えたな。すごいよ。

 

「雷雨の件です」

 

「あぁ、あの件か」

 

 親父は微笑すると、こっちを細目で見てきた。

 

 その時、俺は一瞬だけゾクッとなった。親父の目が何時にも増して真剣さを帯び、なおかつその目には何もかもを見透かすような冷淡な目をしている。はっきり言って、怖い。こんな親父見た事が無い。これが戦争を終わらせた内の提督達の一人か…

 

「実はね、雷雨。お前がギャンブルしにカジノへ入っていくのを偶々休暇をもらっていた雪風が見たと言ってね。少し心配だったから妖精さんを使って、お前の動向を探ってみたんだ。そしたらお前がギャンブルをしているのを、さらに俺と加賀がいつ帰って来てもいいように偽装工作をしていたのも全部把握できたよ」

 

 気づかなかった。まさかここまでバレていたなんて。

 

「…ごめんなさい」

 

「謝ってすむ問題じゃない。幸い依存症や犯罪を犯したりしなかったから良かったが、そうなってたら間違いなく勘当だな」

 

 ブルブルと震える手…勘当。その言葉だけが俺の心の中に静かに響いていた。

 

「まぁだが罰は与える。そうでないとお前の為になんないからな」

 

 そう言って、ちらりと母さんを見る。母さんはひたすら終始無言で何も言わない。それで何を受け取ったかは分からないが、親父はふぅと息を吐くと、静かに言葉を紡ぐ。

 

「罰はな」

 

 ゴクリとつばを飲む。何を言われるのだろうか。だが一つ分かる事はとても罰は重い事だけだ。

 

 

 

 

 

「白露型の皆をここにずっと住ませる事だ!!」

 

「え?」

 

 思わず親父の顔を見る。そこには俺の知っている何時もの馬鹿な親父の姿があった。

 

「幸い、お前の変装が功を奏してお前とは分かっていない。そこでお前の変装した姿の奴は俺が軍が捕まえたと言っておいたから、仮に誰かが通報しても大丈夫だ」

 

「ありがとうございます」

 

「いや〜。あの娘達に教えといて、良かったよ〜。あの娘達もお前との生活は気に入っているみたいだし。な?」

 

「そうね。かなりイキイキしているみたいだから、余計そう思ってしまうわ」

 

「え?それってどういう…」

 

 どういう事だ?だって、時雨達がいたのは偶然なんじゃ…

 

「あぁ、実はな。俺らの家を白露型に紹介したのは俺らだからな」

 

「え!?」

 

 何そんな話聞いてない。

 

「その調子だと本当に何も聞いていないみたいね。だったら説明するわ。あの娘達は実は色々あって戦争後での引き取り先がなかったの。というのは彼女達が『姉妹全員じゃなきゃイヤだ!』って言っていたからなんだけど。そこで私と提督とで『私達の家に住まわせよう』ってなったのだけど、あなたがギャンブルに傾倒しているっていうから少しそれで困ったの。もしかしたら、あの娘達を放置してギャンブルをし続けるんじゃないかって。そこで一計を案じたの。雷雨、あなたが『ギャンブルをするのを辞めさせたらいいわ』とあの娘達に言ったわ。そうしたら、それ通りにやってくれたから結果的には良かったわ」

 

 そうか。通りであんな場所にいられたのか。っていうかそう考えると時雨は俺を待ち伏せていたって事じゃん。

 

「まぁ取り敢えずあいつ等を頼むな。あっ、俺と加賀は新たに建てた別邸に住むからそこんところよろしく!」

 

「おい、ちょっと待て。その話初耳だぞ!?」

 

「そりゃあ俺らが知らせなかったからな」

 

「ドヤ顔で言う台詞じゃねぇよ!そこは!」

 

「まぁまぁ、そういきり立つな。ほれ」

 

 そう言って、親父は入り口の方を指さす。そこには…

 

「イッチバ〜ン!」「雷雨、鍋が冷めちゃうよ!早く来なよ」「あの、雷雨君早く行きましょう?」「早く来るっぽい!」

 

 白露型オールスターズがいた。と言うか、何でひょっこり顔しか見せねぇんだよ。

 

「行ってきなさい雷雨」

 

「さぁさぁ主役は遅れて登場ってもんだ!さぁさぁ行った行った!」

 

「ちょっ、押すなってクソ親父!」

 

「クソ親父じゃない!」

 

 そう言って親父は入り口を閉ざした。

 

 

 

 

 

 ワイワイガヤガヤ。

 

「下の階は賑やかだな」

 

「そうね」

 

「それにしても久しぶりに見たなぁ。雷雨のあの笑顔」

 

「えぇ、あの子ドアが閉まる前にほんの少しだけ笑顔だった気がします」

 

「フッ、あいつをあの娘達と一緒にさせて正解だったな」

 

 よっこらせ、と言って親父こと、吉谷駿河は立った。

 

「よぉ〜し、俺もあいつらと一緒にどんちゃん騒ぎするぞ〜!!」

 

 そう言って、駿河が行こうとするところを加賀が止める。

 

「何を言ってるの?あなたはこれからオハナシがあるのよ。だから残りなさい」

 

 その般若のような顔に思わず駿河は絶叫した。

 

 後日、駿河は別邸でスルメイカと同じところでパンツ一丁で干されていたという。

 

 




加賀さんのキャラは多分崩壊してます。多分。
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