普通に恋愛漫画で面白い。
表現力が3くらい、上がりそう。
度胸が2くらい、上がりそう。
周りの評価が5くらい下がりそう。
はい、どうぞ。
俺達はあの日から、まだウィルの正体を探っている。
少しの隙も見せないあいつは、リヴァイ班らしいと言えば聞こえは良いが、俺には誰も信用してないように見える。
常に周囲を警戒し、何時、どんなときでもマスクもフードも外さない。
兵長に聞いても《それがあいつを入隊させた時の条件だ》としか答えてくれない。
だけど、俺たちにはアニに裏切られたという恐怖がある。
顔を隠すというのは後ろめたい事があるということ。
たしかに怪我があれば隠したいのかもしれないが、声も発しないのは異常だ。
「エレン...今、僕らが持っている情報だけじゃ答えは出そうにないよ...」
アルミンの声が意識を浮上させる。
たしかにそうだ。
まだ、ウィルについては何も分かってはいない。
分かっているとしたらリヴァイ兵長に認められ、直々に勧誘されたということだけだ。
「そうなんだけど...あぁくそ...! やっぱり不安なんだよ! アニの手で目の前で殺されていったリヴァイ班の皆が...頭から離れないんだ...!」
アニが未だに硬質化しているのは確認できている。
それでも、また新しい敵じゃないのかと疑ってしまう。
「ねぇ、エレン...」
顔を上げるとクリスタが立っていた。
「何か用か...?」
不安からか苛立った声になってしまう。
「ウィルの事なんだけど...」
「何か分かったのか!?」
つい、詰め寄ってしまう俺にクリスタは少し後ずさる。
怖がらせてしまったようだ。
「わ、悪い...」
クリスタは気にしてないように首を振る。
「ウィルにね、直接伝えてみたの...皆が不安がっているって...前に似たような格好をした仲間に襲撃されたって...」
必死に訴えるクリスタの言葉をウィルは静かに聞いていたらしい。
「それで、ウィルは敵じゃないって証明してくれた...」
「顔を...見たの...?」
「どんなやつだった...!?」
俺たちの不安が取り除かれる。
そう思うと気持ちが急く。
だが、クリスタは静かに首を横に振るだけだ。
「顔は見たよ。綺麗な髪と、綺麗な目だった。でも、これ以上は言えない。ウィルとの約束だから」
クリスタが嘘をつくとは思えない。
きっと真実なんだろう。
でも、それでも...俺たちの...不安は......不安は...?
「クリスタがさ...そういうなら信じてみようよ」
アルミンが笑みを浮かべる。
「エレンだってさっきよりは良い顔してるよ?」
「......そうだな...何も分からないよりはマシになったんだ...!」
きっと、クリスタが言うのだから本当なのだろう。
それなら、ウィルという強い奴が仲間になったというのは心強い事だと思う。
「...ウィルがね...いつかきっと事情を話すって言ってたから...信じよう?」
あぁ、そうだ。
もう不安もない。
「ってもなぁ...アイツと仲良くしたくても一緒に飯も食えないし...」
新たな悩みはある。
だが、大したことではない。
ウィルは歩み寄ったクリスタに応えた。
次は俺たちが歩み寄ってやろう。
どんなに凄絶な過去を持っていても、笑ってやろう。
「一緒に訓練とかどうかな?」
「アルミン、ナイス!」
アルミンとクリスタを連れ、ウィルを探す。
まずは訓練、そして謝ろう。
ウィルが事情を話す、その時まではお互い死ねないのだから。
「へくち...!」
「風邪?」
ヒッチがマフラーを巻いてくる。
「そんなはずは...」
そんなはずはあった。
信頼を得ようとした矢先にこの様である。
真面目に終われない病にかかりました。
医者に見せたところ手遅れだそうです。