進撃の巨人ー名も無き兵士ー   作:神野伊吹

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外伝は基本的にネタです。あんまり面白くないです。

読まなかった所で何も困りません。

そしてライナー視点はここしかないかもしれません。

あと男主です。

女主のデータは次回の本編で明かします。

男主データ
ウィルヘルム・ハーネット
髪は茶。
少し長めの髪をアニやエルドのように纏めている。
身長はジャンが見上げる程。
瞳は少し小さめで、目全体が少し鋭い。
口角は下がり気味。顔の構造だから仕方ない。
額にシガンシナ区侵攻の際に負った傷痕がある。
モスグリーンのパーカーを着ている。
性格は寡黙だが、冗談は好む。


外伝:暴力

その日、ライナーは思い出した。

原作巻末でネタにされていたことを。

弄られる恐怖を。

 

 

 

「自主訓練終了っと...晩飯か...誰か誘うか」

汗を拭い、呼吸を整える。

先程まで姿が見えていたウィルヘルムはもういない。

おそらく夕食に向かったのだろう。

「ぉ、あそこにいるのは...」

発見したのはミカサとエレンだった。

「よぅ、お前たt..」

 

ーザシュン

 

聞き覚えのある斬撃音が耳元を掠める。

「......おわぁぁ!?」

慌てて下がると耳元にはスナップブレードがあった。

目の前には死んだ魚のような目でこちらを睨むミカサの姿が。

「何の冗談だ...?」

「...特に理由はない」

ライナーの問いに応えるも、彼女は目を逸らさない。

どころかスナップブレードも下ろさない。

「機嫌が悪いみたいだな...エレン、お前はどうs」

 

ードサッ

 

何があったか理解できない。

気付いたらどこかで見た格好で空を見上げていた。

「...」

これはあれだ。

アニにやられたあれだ。

二人は満足したのか立ち去る。

「何が起こってる...?」

ミカサはまだしもエレンまでが凶行に及んだ。

何かしただろうか。

「いてぇ...」

空を見上げながらライナーは呟くのだった。

 

 

 

「やれやれ...酷い目に遭った...」

ライナーは夕食の席に着いている。

もちろん、ミカサとエレンからは離れている。

「とりあえず食うか...」

二人の様子を伺いながらスプーンを掴む。

まさに、その瞬間である。

 

ーザクッ

 

聞き慣れない音。

そして手に走る痛み。

「...ぐぉぉぉお!?」

手を確認するとフォークが刺さっている。

しかも割りと深く。

顔を上げフォークの持ち主を見る。

サシャが爽やかな笑顔でこっちを見ていた。

「どういうつもりだ...!?」

痛みに耐えつつ問い掛ける。

「刺さなきゃいけない使命感に駆られまして」

満足気である。

意味がわからない。

「とりあえず抜いてくれ...!」

明らかに血は出ている。

「あっはい」

適当な返しと共にフォークが抜かれる。

何かがおかしい。

こいつらはこんな適当に暴力を振るうような奴等だったか?

手を押さえながら自問自答する。

今までこんな事はなかった。

つまり、何かのイベントか、もしくは嫌われているかだ。

前者の場合、イベントの内容が意味不明すぎる。

後者であるならば...正体がバレた可能性だ。

 

あまりにも理不尽な暴力ラッシュにライナーは冷静さを失っていた。

 

 

 

 

「畜生...まだいてぇ...」

足、首に続いて右手まで負傷。

巨人とでも戦った方がまだ怪我は少なそうだ。

ふと顔を上げるとウィルヘルムが歩いている。

立体起動装置を装備しているが、自主訓練にでも行くのだろうか。

ライナーは己の背後を確認する。

がら空き。

今日の感じだとまだ誰かに襲われかねない。

少し移動し、壁を背にする。

これで不意打ちはないだろう。

では。

「おい、ウィルヘルム! 自主訓練か?!」

距離があるため、少し大きな声で声をかける。

聞こえたのか静かに振り返るウィルヘルム。

手に持っているのは刃を潰したスナップブレードだろうか。

どんな訓練をするのやら。

そんな風に考えた瞬間であった。

 

ーストッ

 

背後の壁に何かが刺さる音。

 

ーキュルキュルキュル

 

次いで聴こえる聞き慣れたワイヤー音。

そして大きくなってくるウィルヘルム。

「なっ!?」

 

ーバキィッ

 

直後、ライナーの意識は刈り取られた。

無表情にライナーを見下ろすウィルヘルムの手によって。

 

 

 

 

「はっ!?」

目を覚ますと部屋である。

痛みはない。

「夢か...?」

おかしな夢を見たものだ。

額に手を当てる。

そこには包帯が巻かれた右手が。

「まさか...」

包帯を外す。

手の甲には3つの穴のような傷があった。

「なんなんだ...これは...!」

夢ではなかったのか?

しかし、傷が残っている。

 

ーコンコン

 

ノックが鳴る。

恐る恐るドアを見る。

扉から顔を覗かせたのはジャンであった。

だが夢か現実か分からない状況に陥ったライナーは既に冷静ではなかった。

「なんだ起きt」

「俺に近寄るなぁぁぁああ!!」

兵舎にライナーの叫び声が響いたのだった。




特に理由のない暴力がライナーを襲う

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