バグってニューゲーム   作:ひらいず

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仕事の合間を縫っての不定期更新です。
今回改行が多めに入っています。
見づらいようなら感想で伝えていただければ、元の書き方に直そうと思っています。
今回も楽しく読んでいただけると幸いです。


買い出し

Monikaの家からヘタレて逃げてきた翌々日。

 

心地よい日差しが春を感じさせる。

風は強くもなく弱くもない、そよ風というやつで、過ごしやすい気温と湿度だ。

うん、今日もいい天気だ。

__それ↑は↓それ↑として、学校行きたくないマーン!

yuriがおかしかった頃の比じゃないほど学校行きたくない。

行きたくない、行きたくないけど…!

 

 

「kenichiくーん?早く行こー?」

 

 

「うん、今行く」

 

「? なんか元気ない?」

 

「いや、元気いっぱいだよ」

 

せっかく頑張って早起きしてきたsayoriに迷惑をかけたくない…!

 

 

sayoriは最近早起きだ。とても偉い。

あまりに遅いようなら首吊りを未然に防げるように部屋に押し入ると心に決めているから有難いことこの上ない。

完全に不審者です、本当にありがとうございました。

 

 

***

 

 

「kenichiくんは土日はなにしてたの?」

 

恥ずかしいから言いたくないです。

少し濁して伝えればいいかな。

 

「土曜日は友達と遊んだし、日曜日はゴロゴロしてたよ」

 

嘘はついてないゾ。

日曜日は本当にずっとベッドで顔を抑えてゴロゴロしてた。

 

 

「友達ってMonikaでしょ?」

 

…鋭いんだよなぁ。

 

 

「で、日曜日は前日のことを思い出してゴロゴロしてたんじゃないの?」

 

「……その通りです」

 

結局バレるんかい!

 

 

「ふーん…仲いいんだね」

 

はぐらかそうとしたのがわかったのか、sayoriは少し不機嫌そうだ。

 

 

「まあね、せっかく同じ部活になったんだから交流を深めようと思ってさ」

 

「Monikaとだけ?」

 

あ、もしかして、Monikaとだけ遊んだから不機嫌なのかな?

 

 

「まあMonikaは部長だしね」

 

「じゃあ今日は副部長の私だね」

 

sayoriは花が咲くような笑顔でそう言った。

ただ、二股とかそういうのは良くないと僕は思うからきっぱりと断ろう。

 

 

「sayori今日はちょっと__

「いいよね?」

「謹んでお相手させていただきます」

 

よく考えたら僕とMonika付き合ってないからノーカンだよね(手のひらがねじ切れる音)

目の奥が全く笑ってないもんだから従っちゃうよね。

sayoriの眼光には勝てなかったよ…。

 

 

***

 

 

ということでsayoriと二人で部活サボってやってきました!

マ○ドナ○ドです。

まあ、サボったといっても備品の買い出しって名目だから部活の延長線上だけどね。

 

買い出しの発案者はsayoriで、あれよあれよといううちに決めてしまった。

僕は唯一の男子ということで荷物持ち。もう一人はジャンケンだったんだけど、Monikaがなんでもないふうを装って悔しがっているのが大変眼福だった。

…ただ、実は僕もMonikaと二人で買い物デートできなくて残念だったりする。

でも、Monikaとは今日は普通に話すことができた。

時折、Monikaの唇を見て、それがMonikaにバレてお互いに顔を赤くすることもあったけど、明日からは楽しく学校に行ける自信がある。

 

 

「必要なものは全部買えたよね?」

 

「うん、これで全部だと思うよ」

 

「ペンとか画用紙って意外と重いんだね…」

 

「えへへ、荷物持ってくれてありがとう!」

 

「そのための僕だからね」

 

それ以前にsayoriに重いもの持たせる気はサラサラない。

今回は、なんでも自分だけで背負わなくてもいいことを気付かせないと。

 

 

「kenichiくんは昔から優しいね」

 

ハンバーガーを頬張りながらsayoriは恥ずかしいことを言ってくる。

sayoriの前にはハンバーガーとマッ◯シェイクが山積みになっている。

その量…食べるの?

 

「そうかな?」

 

「うん!最近だって私のために怒ってくれたでしょ?」

 

……申し訳ないけど、きっと思い出すことは出来ないと思う。

sayoriたちと過ごした時間はかけがいのないものだったけど、僕がその時間を過ごしたのは遥か昔のことだ。

些細なことは記憶どころか記録にも残ってない、かろうじて覚えていることもバグで穴だらけだ。

思い出せないことがこんなに苦しいとは思わなかった。

 

 

「よく覚えてないや」

 

そんなありきたりな一言を絞り出すのにも時間がかかった。

 

 

「えー!?本当に最近のことだよ!?」

 

「…うん、最近忘れっぽくてさ」

 

どうしよう、この歳になって泣きそうだ。

 

 

「…しょうがないなぁ!許してあげる!」

 

「あれ?そんなに簡単に許してくれるの?」

 

嬉しい、嬉しいけど…胸にぽっかり穴が開いたような感覚に苛まれる__

 

 

「えへへ!また一緒に思い出をつくればいいんだもん!」

 

 

「それに、なんだかkenichiくんが泣きそうだったから責められないよ」

 

優しく微笑んで、sayoriが僕の頭をなでる。

 

目頭あっつ…天使かよ、sayoriエル。

うん、そうだ。これからもっと楽しい記憶を作っていこう。

 

 

「…ありがとう、sayori」

 

「えへへ!どういたしまして!」

 

それから僕は遠い昔のことを思い出しながら、少し泣いてしまった。

結局泣いてる、なんてsayoriに笑われて、それがとても心地よくて、心が少し軽くなった。

 

 

***

 

 

「それじゃあ帰ろっか」

 

あれだけあったハンバーガーを全て食べきり、sayoriはそう言った。

よくスレンダーなお腹に入ったね…。

 

 

「そうだね、早く出よう」

 

店の中で泣いたのは誰にも気付かれてないだろうけど、なんだか気恥ずかしい。

 

「うん!美味しかったね!」

 

笑顔が眩しいよ、sayoriエル…。

 

 

 

マクド○○ドから出るとすっかり日が落ちていた。

 

「今日はいいけど、あんまりカロリーの高いものを食べすぎないようにね」

 

「わかってるってば! kenichiくんは昔からそればっかり!」

 

「僕はsayoriのこと心配してるんだよ」

 

「もー、わかったってば…」

 

sayoriは呆れたように笑っている。

 

 

「それより、本当に覚えてないの?」

 

少し声のトーンを落としてsayoriが言った。

 

「うん、ごめんね」

 

そんなに大切な思い出だったのか、思い出せなくて、申し訳な___

 

 

 

「そっかー…本当に嬉しかったのになー…。

 

私が首を吊った後、kenichiくんがMonikaに対して怒ってくれて、今も許さないでいてくれてること。

 

 

 

 

「___は?」

 

 

「私が首を吊った後本気で泣いてくれたのも嬉しかったし、その前に抱きしめてくれたよね?あれも嬉しかったなぁ…部活に入るつもりはないって言ってたのに、文芸部に来てくれたときも本当に嬉しかった!kenichiくんはいつも私のこと考えてくれてるだって思ったよ。Monikaがいなくなった世界ではMonikaが邪魔してきたからいなくなっただけだよね?本当は私と二人になりたかったんだよね?」

 

 

___なんで…Sayoriがそんなこと知って…?記憶がある?

そんなバカな、

だって、この世界でSayoriは、

 

 

___Sayoriは最近早起き?

 

___嫉妬?僕が他の子と仲良くなることが楽しみだって言ったのに?

 

___Monikaに対してだけちゃん付けが無くなってる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あーそういうことね完全に理解した(←頭が理解を拒んでいる)

 

 

 

 

 

 

 

Sayoriが天使かと思ったら記憶持ちだった。

なにを言ってるかわからないと思うけど、僕もわからない。

あれ?待てよ?僕、Monikaがなにしたか覚えてるSayoriの前でMonikaにアピールしてたの?

ド修羅場じゃん!よく今までのうのうと生きてこれたな僕!

いつ殺し合いになってもおかしくなかったぞ!

 

 

「…いつから記憶が戻ってたの?」

 

とりあえず、今一番気になっていることを聞いてみないと…。

 

「いつだと思う?」

 

ニコニコしやがって…相変わらず可愛いから許しちゃう。

そのままずっと笑顔でいてね。

 

 

__じゃなくて!僕がこの世界で活動し始めた初日のSayoriは寝坊してきた…この時点ではないかな。

授業を受けてる最中も、特に変わった様子はなかった。

Sayoriの様子が前と違ったのは…あぁ、あのときかな?

 

 

「僕とMonikaがこの世界で初めて合流したとき…かな?」

 

 

「ブッブー!残念でした!」

 

間違えてるじゃん!真剣に分析したのに!

 

 

「じゃあ、いつなの?」

 

「多分kenichiくんと同じタイミングだと思うよ」

 

えっ…だって、あの日はSayoriは寝坊してきて…いや、そっか確かにそれなら辻褄が合う。

僕がこの世界で活動し始めたのは通学路からだ。その瞬間に記憶が戻ったんだとしたら、大慌てで着替えたんだろう。

 

 

「なるほどね、それなら納得できる」

 

「えへへ、びっくりした?」

 

「知恵熱出そうなほど、びっくりしてる」

 

「…でも、久しぶりSayori、逢えて本当に嬉しい」

 

こればかりは本心だ、逢えると思わなかった分とても嬉しい。

 

 

「…えへへ、私も」

 

Sayoriの目の端にうっすらと涙が浮かんでいる。

 

「Sayori、これで涙を拭いて」

 

ポケットからハンカチを取り出してSayoriに渡す。

 

 

「えへへ、ありがとう」

 

Sayoriはハンカチを受け取ると__涙を拭いた後、匂いを嗅ぎだした。

 

………んー……やっぱりこうなるのかぁ(遠い目)

いや、さっきの会話でヤンデレの芳しい香りを感じてたけどさ…。

これ多分Monikaと逢わせたらデンジャラスビューティーコロシアムになるよね…。

…あれ?でも、ここ1週間でなにも起こらなかったってことは、もしかして大丈夫なのかな?

 

 

「はー…いい香り、これから毎日この匂いが嗅げるなんて!」

「もしMonikaの記憶が戻ったら、私とkenichiくんが付き合ってること伝えて絶望させないと!」

 

 

あ、ダメですね、デンジャラスビューティーコロシアム確定だね。

しかも、そうだ別れるとか特に言ってない…。

なんだったら、natsukiともyuriとも付き合ってることになるね。

なのに、Monikaが好きって…とんだクズ男じゃないか!

うわ、マズイマズイマズイ!でも、この空気で別れたいなんて言えない!

…あれ?でも、Monikaの記憶が戻ったことに気づいてない…?

 

光明…!地獄のような状況に現れた、一筋の光…!

僕はこのチャンスをモノにしなければならない…!

 

___僕の当面の目標は、SayoriにMonikaの記憶が戻っていることをバレないように円満にSayoriと別れないと…!(ドクズ)

 

 

「じゃあ帰ろっか、2人の愛の巣に!」

 

 

家が隣なだけだろ!!

これホントに大丈夫かな…。

…明日も学校行きたくない!!

 




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