俺は岸中から鈴蘭へと来る予定の後輩二人、龍光寺由紀也と迫田武文。この二人の入学を待っている、同中出身の後輩である二年の伊東優哉と川尻林太郎共々な。何故待っているのかだって? 理由なんざ一つしかねー。俺達の派閥を作る、…コレよ!
自分で作りゃーいいと思うかもしれねーが、残念ながら俺はそんな器ではない。勿論、優哉と林太郎の二人も無理だ。俺達三人は喧嘩に関しては強いと胸を張れる、しかし派閥の頭となると…ダメだ。自分でいうのもアレだが俺達はバカだからな、喧嘩バカってヤツよ。…笑えんだろ? クカカカカカ!!
そういうわけで二人の入学を待っていたんだが、…まさかの武文が別派閥に行きやがった。いつも二人一緒の由紀也と武文がねぇ、…これには三人で驚いたもんだぜ。まぁ別れて分かることもあらぁ~な、敵味方と別れても友情は変わらず。青春していやがるのな!
由紀也を派閥の頭にし、俺達がそれに従うってーのが岸中盤石の布陣。その無敵の布陣がこの鈴蘭に再現された今、鈴蘭最強の派閥は俺達のモノだぜ! …つっても、支配とかには興味がないんだよな。俺が入学する前に阪東秀人とかいう武装くずれが支配一歩手前まで手中に収めたと聞いた、しかし最終的にはズタボロにされて終わったと。それを考えれば…そこらは月島とかいう小僧に任せればいい、武文もそこにいるしな。俺達は俺達の派閥だけを考えて動けばいい、全てを由紀也に任せれば大丈夫。卒業までの間は退屈しない、これは確実に言えることだぜ!
適度に喧嘩をし、そして仲間と遊ぶ日々。まさに充実した鈴蘭生活、流石は由紀也だぜ。俺達のことを良く見ていやがる、適度なガス抜きを見事にやってのける由紀也に代わる男なんざいねー。あの秀吉とマサが気に掛けているのも由紀也ぐらいしかいねーし、
そんな感じで物思いにふけながら、目的地であるダーツバーへ行く途中に鉢合わせた。
「…んだコラおっさん! 通行の邪魔だからよ、…退いてくんねーか? …おい、聞いてんのか!!」
坊主頭の三人組が目の前で騒いでいる、…見たところこの三人組は鳳仙の奴等で間違いない。この俺に調子こいできたからにはぶっ飛ばすが以前の俺だが、そんなことをしちまったら鳳仙の奴等と揉めることは確実。バカな俺でも分かること、それに由紀也にも迷惑を掛ける。
…となると、
「……悪ぃな。…ほら、…行けよ。」
俺が折れるしかねぇ、不本意ではあるが目の前の三人組に道を譲ってやる。…譲るんじゃねー、譲ってやる…だからな? ちょっとの違いだがそこが重要だぜ? …何処かの誰かに言い訳を言って落ち着こうとする俺に、
「…んだぁ、見た目だけで根性のねぇおっさんだぜ!」
「所詮は鈴蘭、俺達鳳仙の方が格上ってこった!」
「こんなヘタレ野郎なんざほっとけ! …さっさと行こうぜ、なぁ!!」
その三人組が好き放題言ってきやがった。
…このガキャ~ッ! 人が優しくしてやりゃー調子こぎやがって! 俺が根性なし? ヘタレ? そして鈴蘭が鳳仙の下? …ざけたこと抜かすなよ! 俺だけじゃなく鈴蘭全体をバカにしやがった、ここでやらなきゃー男が廃る!
「…おう兄ちゃん達、…気が変わっちまった。…ちぃ~とばかし、この俺と遊んでくれねぇか?」
この場を去ろうとする三人組の背にそう声を掛け、指を鳴らしながら近付いていく。
「「「……あ゛ぁ゛っ!!」」」
威勢良く振り向く三人組に俺は、
「鈴蘭舐めんじゃねぇぞ! …クソガキャ~ッ!!」
…まぁコレが原因で抗争が始まるとは思わなかったし、マサがあんなことになるなんて考えてもいなかった。
野間の強さは三年の中では上位、ゼットンの次くらいかなぁ。
伊東と川尻はブッチャーか黒澤くらいの強さ。