ー龍光寺由紀也ー
マサ先輩を処刑した後、鉄生さんと翼を探してみたが…いなかった。…あの二人、…逃げやがったな? …軽く話すだけにしようと思ったが、こりゃーそれ以上のことをせにゃならんわな。さて…どうしてくれようか? そんなことを考えながら戻れば、秀吉先輩が静かに立っていた。喧騒の戻ったこの場において異質、何も聞こえていないのでは? と思う程の落ち着きぶり。…こりゃー期待出来るわ、この秀吉先輩が出れば負けることはねー。
俺は一人静かに立つ秀吉先輩に近付き、
「…秀吉先輩。相手はキングジョー、一年から鳳仙を力でねじ伏せてきた男です。かなりの強敵でしょうが、…やれないこともないかと思います。俺は勿論、…みんなが秀吉先輩を見てるんで。熱く冷静にやってください、今の秀吉先輩なら…きっと!」
そう声を掛けた。俺の言葉に反応した秀吉先輩は静かにこちらを見て、
「…ゼットンの奴が九里虎に敗けた時、俺なんかじゃ到底敵わねーって思い込んでいた。だが…あの時とは違う、今日は違う。お前のタイマンを、圧倒的な強さを久々に見たら熱くなっちまった。静かに燃えてるって前にそう評してたな? …今がそれなんだわ。」
そう言葉にした。…その言葉には色んな想いが含まれているんだろう、俺はそう感じた。
「…恐らく、このタイマンが俺の最後の喧嘩になるだろう。だから見ていてくれ、…しっかりと目に焼き付けてくれ。俺の認めたお前の中に残ってくれるのなら、俺のガラじゃねーけど素直に嬉しいからな!」
続けて言った後に笑みを浮かべる秀吉先輩に対し、
「…ちゃんと焼き付けておきますよ、当たり前じゃないッスか。そして今回の勇姿、…きちんと報告させて貰いますよ? …
そう言えば瞬時に真顔となって…、
「…それはヤメロ、…こっ恥ずかしい!」
というやり取りをした。
その後は互いに笑い合ってから、
「そういえばマサはどうした? 人一倍野次っていたが…。」
マサ先輩のことを聞いてきた。それに…、
「向こうで白目剥いて倒れてますよ、…処刑したんで。」
と答えれば、秀吉先輩はまた笑い、
「…良い感じで緊張が解れたぜ。…じゃあ、…行ってくる。」
軽く拳を突き出してきたから俺も拳を突き出し、コツン…と軽くぶつけ合う。そして秀吉先輩は踵を返し、キングジョーの待つ中央へと進んでいく。その後ろ姿を見て確信する、秀吉先輩は善戦し負けることはねーと。
今から始まる秀吉先輩とキングジョーのタイマン、この目にしっかりと焼き付けなければ。焼き付けるって言ったし、今回のタイマンは秀吉先輩至上最大のタイマンになるだろうし。それにヤメロと言われても、家で色々と聞いてくる
…因みに今更だが、秀吉先輩は俺の姉貴の彼氏である。秀吉先輩とはマサ先輩をぶっ飛ばした後からの付き合いなのだが、それ以降…飯を食いに行ったりと仲良くさせて貰っていると以前言ったな? その時にたまたま姉貴と鉢合わせて、やんちゃな少年である当時の秀吉先輩を気に入り今に至るわけで。姉貴の名前は龍光寺カイ、大学一年である。…将来的には
秀吉には大学生の彼女だか何だかがいましたよね?
マサが嫉妬してたような?
とりあえず、次話も本編。