遊べる方々が羨ましいわい。
ー加東秀吉ー
俺に背を向けて歩き出すキングジョーを視界に収めながら、俺は気合と根性で立ち上がる。勝てる気がしねーけど、負ける気もしねー。今もその気持ちは変わらない、こんなボロボロだけど…まだ俺はやれるんだよ! いつの間にか降っている雨の中を、俺は身体中に感じる痛みに堪えて走り出す。
「…勝った気でいるんじゃねーぞ、キングジョーッ!!」
そう叫びながら奴を目掛けて走る。…今更気付いて振り向いても遅いんだよ! 俺は地を蹴って…、
「ーーらぁっ!!」
ドガッ!!
「ぐぉあ…っ!!?」
キングジョーに蹴りを入れてぶっ飛ばす。着地に失敗して地面に転がるもよろけながら立ち上がり、……キングジョーはっ!?
キングジョーのぶっ飛んだ方向へ視線を向ければ、若干ふらつきながらも立っていた。…お前も限界なんじゃないのか? この俺もマジで限界だからな…。恐らく、これで互いに終いってところだろう。後は気合と根性の問題となる、…最後の勝負だ!!
俺が走ればキングジョーが走り、それは必然的にぶつかり合うことで……、
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」
俺の拳とキングジョーの拳が交差して、…互いの顔面に直撃する。勢いに乗った拳によって俺はぶっ飛ぶ、…二回目かよ。
そんな感想が頭に浮かぶ、俺は案外…まだ余裕なのか?
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ー龍光寺由紀也ー
背を向けたキングジョーに飛び蹴りを食らわせ、最後は互いにクロスカウンター。ぶっ飛んで倒れる二人を俺達は見ているだけだった、…これはタイマンなのだから。いや…それ以上に魅せられたのかもしれない、この二人の意地がぶつかり合ったタイマンを。
雨の降り頻る中、倒れて微動だにしない二人。…暫くの間見守るも我慢の限界が来たようで、
「…ジョーッ! 立つんだ!!」
鳳仙の誰かが叫んだ。一人が叫べば後は…、
「秀吉! ここまで来たら立て!!」
「鳳仙の大将がここで終わるんじゃねー! 立ちやがれジョー!!」
「立てばお前の勝ちなんだぜ秀吉っ!!」
「「「「「ジョーッ!!!」」」」」
「「「「「秀吉っ!!!」」」」」
二人に掛けられる声が重なり合って怒号のようになる。そのような叫び声が響く中、二人は……。
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ー加東秀吉ー
意識が朦朧として動けない中、耳に届いた俺を呼ぶ声。…ここで立たなきゃ負けちまう、…負ける気はしねーと言ったじゃないか! か…勝てる気がしねーとも言った、…だが! ここまで来たら勝ちを夢見てもいいんじゃないか? …俺の戦歴の殆んどは負けで、後は分けることが多い。勝ちなんざ二回だけ、…たったそれだけだ。…今ここで三勝目を、…最後ぐらいは!!
…無意識のままに立った、……ただそれだけ。……俺は、…………俺は勝てたのだろうか?
次は閑話になるかな?