月島花を見て内心感動をしていた俺、その間に一年が集まったようで。壇上に誰かが上がる、…あれはブッチャーだな。俺達に向かって軽い演説を始め、その最後に…、
「鈴蘭名物の一年戦争をおっ始めるぞ! 我こそはと思う者は残れ、そーじゃねー奴は出ていって構わねー!!」
そう言った。八板は残るとしてだ、…後はどうだ? 軽く視線を周囲に向けてみる。村川勝弘、尾崎健市、…後は名前だけ知っている天地寿。村川と尾崎は顔見知りだが、…天地は原作でしか知らん。やはりまんまなのかね?
…原作通りなら武藤は出ないし、その他は…知らん。そこまで名の売れた奴はいねぇし、……でだ。俺はマルコメ頭の月島へ視線を向ける、その隣のちょい気弱そうな奴はかなり怯む。月島は俺の視線に気付き目が合う、…視線を交えれば尚更面白い。月島花…か、どんなもんかはいずれ…。
どれだけ視線を交えたのかは分からない、…分からないがまぁいい。俺は月島から視線を外し、八板の肩をポンッと叩いてから出入口へと向かう。俺の動きに周囲がざわめくけれどどうでもいい、俺には予定がある。そしてもう一人…、
「…タケ! …忘れてねーよな?」
武文に途中で声を掛ければ、
「…!? …も、もちろんだ由紀也。俺が忘れる筈ねぇよ、…ということにしてくれ!」
…やはり忘れていた、…本当にコイツは。…慌てて俺の後に続く武文、そして出ていこうとする俺。それに声を掛けたのは、
「待てや龍光寺、迫田! どーいうことだてめー等! 特に龍光寺、俺の決意ヒョーメーを聞いてただろうが!!」
八板だった。えらく興奮しとるな、…無理はねぇけど。だがこっちにも事情、予定があるわけで、
「悪いな八板、この後予定があるんだわ。」
俺に続き武文も、
「そういうことだ八板、俺達はこれから翼ん所に行かなきゃなんねー。ついでに俺は予選落ちだ!!」
…バカ! 最初のは余計だ!!
「…予選落ちだぁ~? ……とその前に翼っつったか? ……翼っつったら龍光寺の女…だよな? …………ということは。」
八板は翼のことを知っている、…そしてそこから導かれることは。
武文の失言から八板の呟き、それが周囲に広がっていく。……ヤバイ、これは非常にヤバイ。俺は無言で武文に蹴りを入れる、当然武文は…、
「……い゛ぃっ!!?」
しゃがみ込んで悶えるがそれを無視して俺は一言、
「タケ…、命が惜しくば俺に続け…っ!!」
「…おまっ! …ちょっ、ぬがぁぁぁぁぁっ!!」
そう言って走れば、武文も歯を食い縛って俺に続く。
俺達が体育館を飛び出した直後、
「「「「「龍光寺、迫田ぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」
という怒号が聞こえてきた。思い至ったのだろう、俺達が向かう場所を。翼が通うのは女子校、しかも可愛い娘達が多いと呼ばれる桜才女学園なのだ。地獄の鈴蘭と呼ばれる我が校は言わずと知れた…男子校である、不良しかいないが故に出会いなんかある筈がないのだ。そこにその女子校へ行く…なんて餌を与えれば、食い付いてくるのが出会いのない男達である。
とりあえず今は逃げ切ればいい、明日はたぶん大丈夫。今日行くから食い付いてくるのであって、明日はただ紹介しろと言ってくるだけ。鬱陶しいことではあるがまぁいい、…それにしても武文をどうしてくれようか!!
のんびりさ。