ダンジョンに最強の先輩がいるのは間違っているだろうか『リメイク』 作:厨二病なりかけ
ある名家に一人の男が生まれた。
彼の名前は天神 九鬼斗。
今も生きる、九鬼斗の祖父である、天神 竜馬は嘗てオラリオ二大ファミリアと言われていたゼウスファミリアの幹部を務めていたほどの実力者であった。
彼のレベルは5。一級冒険者であった彼はレベル5の中では最上位のポテンシャルを有しており、彼は一度推定レベル7の、階層主を単独で倒したという伝説を生み出した。彼は驚異的な剣技を持ち、今尚オラリオの神達は、世界一の剣士と聞かれれば天神 竜馬と答えるだろう。それほどまでに彼の剣技は研ぎ澄まされていた。
他の武技にも、達人級の技術を有しており、武神の技術すら上回っている等と噂される程だった。
しかし、そんな彼にも寿命というのがあり、前線からその身を去った。
オラリオからも去り、その後とあるヒューマンの女性と恋に落ち、子を持った。
そして彼は、子孫に彼が持つ全ての武技を教えて、躾けた。
そんな子孫は全てを受け継ぐことはできずとも、確かに高レベルの実力を有した。
竜馬以外は神の恩恵すら受けていないが、竜馬が見る限り、レベル2の中位程度の冒険者ならギリギリ倒せる程度と考えていた。
実質、竜馬が推定レベル7のモンスターとのポテンシャルの差を埋めたのは彼の戦闘技術にあった。そんな戦闘技術を全てとは言わずとも、断片程度は受け継いでいる彼らは強いと言えるだろう。
そして、竜馬もすっかり、おじさんみたいな格好になった頃にある男が生まれた。
自分の初めての孫にあたる子を彼は愛でた。次々と他の孫も生まれて行ったが、竜馬の中では一番可愛いと思っているのは、最初の孫である九鬼斗であった。
九鬼斗がきちんと言語を話すようになった頃、九鬼斗は竜馬を驚かす驚異的な才能を発揮することとなる。
「ねえ、竜馬お祖父ちゃん。いつもお父さんや、おじさん達に教えてるのって何なの?」
「ん、ああこれは武技といって、自分の身を守ったり、大切な人を守るのに必要になる力の一つだ」
「へ〜、それって今の僕にもできるかな〜?」
「ははははは、そうだなもう少し大きくなって、体が強くなったら教えてやる」
「むぅ〜いいもんね!勝手にそのぶぎ?っていうのも習得してやるもんね!」
「はは、まあ精々頑張って、挑戦してみるといい」
そういって九鬼斗はまず武技を習得するには、自分に何が必要かを考えた。
祖父は言った。体が強くなればいいと。つまり、強い体を持っていないと習得できないのだろう。ならば、体を鍛えよう。
九鬼斗はいつも興味本位で、祖父が父達に武技を教えている部屋を覗いていて、準備運動みたいな形で、体を腕と足で支え、腕を曲げて自分の体重を腕にかけ、又腕を伸ばしてという動作を繰り返していた、腕立て伏せというのを筆頭に色々な準備運動を九鬼斗は見ていた。そして、それら全てを再現し、やった結果それぞれの特訓には、己の筋肉に負担をかけ、その筋肉を強くしているのだという結論に至った。それからというもの、毎朝早くに起き、父達が朝早く行っているジョギングに参加したり、その後は時間さえあれば父達の準備運動みたいなのを徹底的にバランス良くこなしたりした。雨の日も、風の日も、雪の日も、そのようなことを習慣的に行っていった九鬼斗は7歳の頃に、子供にしては凄まじく強い体を手にいれた。
その体の強さを手にいれた九鬼斗は正式に、祖父である竜馬に稽古をつけてもらうためお願いした。それを竜馬は
「覚悟はあるのか?辛い稽古だぞ。本来ならばもう少し後に行うものだ。泣き言を吐くようなら直ぐにやめさせるが、それでもいいなら稽古をつけてやる」
九鬼斗の答えは勿論肯定だった。
それから九鬼斗はかなりきつい稽古を受けた。泣き言をいいそうにもなった。何度も吐瀉物を吐いた。辛すぎてやめようとも思った。しかし、かれは止めなかった。
そんな稽古の中、竜馬は九鬼斗の驚異的な才能に驚いていた。一度見せた技は二度と通じず、その技を直ぐに再現することも可能であり、まるで乾いたスポンジに水を与えるような感覚であった。竜馬はそんな彼をみて、とある決心をした。
稽古を受けてから五年経った頃、九鬼斗は父や、叔父の誰よりも強くなっていた。同年代の子とは比べ物にならず、九鬼斗は五年の間に祖父が持っている武技のほぼ全てを受け継いでいた。更に九鬼斗は祖父よりも高い技術を有しているものもあった。投擲術、徒手空拳、双剣術、槍術、弓術、といった技術は祖父よりも技術の面では上回っていた。勿論徒手空拳で戦えば祖父は勝つが、それは神の恩恵を受けているからだ。九鬼斗は祖父の技術を習得すると、自分なりに改造して、自分自身に一番合う型にはめたりした。実質、九鬼斗はもはやレベル3の中位の冒険者程度ならば肩を並べられる程強くなっていた。その内、竜馬は、彼が持つ奥義すらも九鬼斗に伝授させた。そうして九鬼斗は祖父にも勝る戦闘技術を有した。
それから九鬼斗は、極東に住んでいたため、そこに住んでいる武神の元にまで行き、稽古をつけてもらうようになった。別に祖父に教わる必要が無いと思った訳ではない。ただ、他の面からも自分の実力を見たいと感じたからであった。それからというもの、12歳になり、更に自分の中にある能力を昇華させていた彼は僅か半年程で五人の武神が有する武技を全て習得した。武神タケミカヅチの眷属である子に対しても、傷一つなく、5対1の形式の模擬戦にも勝ってしまった。
そんな彼は一際浮いた存在となった。神の恩恵を受けていない身で、神の恩恵をうけている子に勝つという異常さに周りは恐怖を抱いた。もはや彼に勝てる者は、彼の祖父である竜馬以外にいなくなってしまった。九鬼斗は同年代の子からは陰湿ないじめを受け、実の親からも白い目を向けられるようになった。そんな彼は当初ひどく心に傷を負って、精神が乱れた時もあったが、精神統一の技も習得し、彼は武技以外にも色々なことに手を出すようになった。盗術、勉学に励み、得た演算能力、美形である自分の容姿を更に引き立たせるためのカリスマ性を手に入れたり、今までも良く出来ていた人の技術の再現の能力を見ただけで模倣し、その技術を自分なりに完成させたりした。魔法についても勉強し、自ら全属性の魔法を使えるように魔法を作ろうとしたこともある。そんな彼を見た祖父は、九鬼斗にあることを告げた。
「九鬼斗、お前は儂や、武の神である者たちの戦闘技術も手に入れた、頭も良く、戦闘意欲もある。そんなお前じゃが、ここは生きにくいじゃろ」
「・・・・」
「愛孫であるお前を手放したくはなかったが・・オラリオへ行け。九鬼斗よ。そこにはお前が待ち望んでいる環境がある。その技術を、人を守るために使え、好きなやつも作れ、お前が最強の冒険者となり、神からも認められるようになり、恋人ができたりしたら又戻ってこい。儂はお前のことを心の底から愛している」
「ありがとうおじいちゃん。分かった。僕は成るよ最強に。そして、僕が持っている全ての能力を持って、大事な人達を守るんだ!」
そうして九鬼斗は家を出た。オラリオに、そしてダンジョンに素敵な出会いを求めて。