来ない春と終わらない冬
それは俺が救えなかった女性を失った時の夢だった・・・
彼女の屋敷にある桜と同じ能力を持った彼女・・・『西行寺 幽々子』は自らの命を断ち、妖怪桜『西行妖』を封印した。
俺はその時の事を鮮明に覚えている・・・
「やめろ・・・何でお前が犠牲にならないといけないんだ!!俺の力を使えばお前が犠牲になる必要なんて何処にもない!だから・・・」
だが、幽々子は・・・
「確かに貴方の力ならこの木を何とかできる・・・でも貴方に頼ってばかりは嫌なの・・・自分のケジメは自分でつける・・・それが私の決めた事だから・・・」
そう言うと幽々子の体は段々薄くなっていく・・・まるで木と同化するかのように・・・
「ふざけんじゃねぇ・・・なんでだよ・・・なんで・・・俺を置いて逝ってしまうんだよ・・・」
俺は地面に膝を着き、拳を叩きつけた。たとえ○○王の力を持っていても・・・大切な友人すら・・・救えない・・・
極夜の瞳から涙がボロボロ零れた・・・すると消えていく幽々子は極夜の手を握り、笑いかけた・・・
「大丈夫・・・また会えるから・・・紫にもそう言っておいて。紫、ああ見えて寂しがりだから・・・」
幽々子の体はどんどん薄くなり・・・消える直前になり幽々子は一粒涙を零し・・・
・・・私と友達になってくれて・・・あり・・・が・・・と・・・う・・・
その言葉を最後に幽々子は完全に消滅した。
そしてその場に残った・・・極夜の叫び声だけが響いていた・・・
「ハッ・・・ハァハァ・・・またあの夢かよ・・・」
俺はまたあの悪夢を見ていた・・・前世でもよく見ていた悪夢だったが、また最近見るようになったのだ・・・
そして俺の目からは泣いた後がハッキリ残っていた・・・
そして俺は夢の中で俺の姿をした男が言った名前を呟いた。
「幽々子・・・」
結局俺はその日寝る事ができず、朝まで本を読み気を紛らわした。
五月
少しずつ温かくなってくる季節に近づいている筈なのだが、幻想郷では未だに雪が深々と降り、止む気配がなかった。
「それにしても雪が止む気配がないな・・・」
窓から降る雪を眺め、俺がそう呟くと爺も同意するように言った。
(確かに五月に入っても雪が止む様子すらないとはのぅ・・・これは恐らく・・・)
「異変・・・だろうな・・・」
薄々感づいてはいたがやはりこれは異変だ。
だが、異変を解決する筈の霊夢の姿を最近見ない。何してるんだろうか・・・
(こうなったらお主が異変を解決するのじゃ)
「まぁそうなるよな・・・はいはい分かりましたよ」
俺はいつも通り軽口で爺とやり取りをしていたが、内心はとても焦っていた。
嫌な予感がするのだ・・・まるであの夢で見た・・・黒い桜が復活する予兆のように・・・
(・・・考えすぎか)
勘違いの可能性もある為、俺は考えていた事を忘れ、容姿を20歳に変え、服を創造し、着替えた。
「よし、行くか」
そして俺は部屋を出た。暫く歩いていると咲夜が歩いているのを見つけた。
首にマフラーを巻いている所を見るに何処かに行くようだが・・・
「・・・あの物体は何だ?」
紫色の玉に白い星がついた何かが咲夜の左右に浮いていた。
俺が出歩いているのに気付いたのか、咲夜がこっちにやってきた。
「フラン様、お早うございます」
「さ、咲夜お、おはよう。そ、その紫色の玉は何なんだ?」
俺はそう聞くと、咲夜は少し苦笑して答えた。
「パチュリー様が作ってくれた物で、中からナイフが出てくる優れ物なんですよ」
それは別にいいが、なんであんな・・・あ・・・
(何か心当りでもあるのか?)
(そういえば・・・最近姉さんが香霖堂でリ○カルな○はの漫画本読んでいるのをこっそり見かけたんだよ・・・)
(・・・あぁそういうことか)
さしずめ、それを参考にしてあんなデザインにしたんだろうな・・・名前はマジカル☆さくやちゃんスターとかそういう名前で。主人公が封印する時、リ○カルマジカルとか最初の頃言っていたからな・・・
俺は思考を一旦止め、
「咲夜、何処か出掛けるのか?」
そう聞いた。
「お嬢様に少し頼まれ事をされたので・・・」
「そう、気を付けて行ってきてくれ」
「はい、承知いたしました」
軽く言葉を交わし、咲夜はその場から居なくなった。
「姉さん・・・異変の解決を咲夜に頼んだんだな・・・」
姉さんらしいな・・・だが・・・
「俺も行くとしますか・・・」
フランはスキマを展開し、その中に消えて行った・・・
~博麗神社~
楽園の素敵な巫女こと博麗霊夢は炬燵に入り、剥いた蜜柑を口に放り込んだ。
普通ここまで長く冬が続いていれば誰でも異変と分かる筈なのだが・・・彼女はその場から動こうとはしない。
「よう霊夢、そこで氷の妖精捕まえてきたぜ~」
そんな中、彼女の親友である霧雨魔理沙がやってきた。右手には氷の妖精『チルノ』を捕まえている。
「何か用?後チルノはこの異変の主犯な訳ないでしょ。ほら大丈夫?」
霊夢は捕まっているチルノを魔理沙の手から離させた。
「有難う、霊夢!」
「はいはい。魔理沙、用はそれだけ?それなら早く帰ってくれない?」
魔理沙の顔が一瞬変な物を見る表情になったが、後半の言葉にイラッとしたのか声を張り上げ言った。
「見ろよ、春だってのにこの雪景色・・・冬の妖精やら妖怪やら・・・いい加減認めろよ!これは異変だ!!」
「そんな訳ないでしょ、今年は春が遅いだけよ」
「いいや、絶対これは異変だ!異変解決は博麗の巫女の仕事だろ!?」
しかし霊夢は魔理沙の声を聞き流し、入れてあったお茶を啜った。
「ああそうかよ!それならこんな異変、私だけで解決してやるよ。後でノコノコ出てきて、「御免なさい、やっぱり異変でした」とか言うなよ!」
そう言って魔理沙は箒に跨り、飛んでいった。
「じゃあ、アタイも行くね!」
そしてチルノもその場から飛び立った。
「・・・・・・『星屑 極夜』か・・・・・・」
魔理沙とチルノが帰り、一人になった霊夢はそう呟いた。
その名前を呟いた理由は一週間前に『八雲 紫』がここに訪れた事が原因だった。
~回想中~
「いつになったら春は来るのかしら・・・」
障子の隙間から外を眺め、霊夢はそう呟いた。
やっぱり異変よね・・・これは・・・そろそろ動こうかし「こんにちは」面倒な奴が来た・・・
そう言って入ってきたのは幻想郷の管理者、賢者『八雲 紫』。一か月前の霊夢がロリ化した異変の主犯だった。
「何かしら?この前みたいに私にフルボッコにされたいのかしら?」
「あの事に関してはもういいじゃない・・・怒りっぽいと彼氏もできないわよ?」
「余計なお世話。そんな事より何の用よ?」
紫がここに来る時は大抵厄介事か、頼み事をするのがいつも通りなので霊夢は単刀直入に聞いた。
すると紫は表情を暗くし、言葉を紡いだ。
「ここ最近・・・誰かと仲良くなった?」
「え?ああ兄さ・・・じゃなくてフランと仲良くなったけど、それがどうかしたの?」
「・・・そう、じゃあ『星屑 極夜』と言う名前は知っているわよね?」
「ああ、紫の友人の事でしょ。それがどうかしたの?」
「じゃあ聞くけど・・・貴女は自分の親の事は覚えている?」
「母さんと・・・・・・父さ、アレ・・・・・・?父さんなんていたかしら・・・・・・」
私には母さんだけの筈なのに・・・何かしら・・・この感じは・・・何も思い出せない・・・ただ、思い出せることと言えば、フランと私の夢に出てくるあの人がよく似ているってだけだし・・・・・・
「じゃあもう帰るわね・・・・・・」
紫はそう言うとスキマを開き、その中へ消えていった・・・一粒の涙を零して・・・・・・
紫が帰った後、霊夢はさっきの紫の質問が頭から離れず、考え込んでしまった。
そして同時に嫌な予感が頭を過った。
「何かが・・・起きようとしている・・・この上ない大きな事が・・・」
霊夢は冷めたお茶を啜り、そう呟いた。
その言葉の重大さも知らずに・・・・・・
???side
「そうか・・・で、状況は?」
「白夜はまだ西行妖の封印は解いてはいない・・・だが、解放されれば幻想郷は崩壊するだろうよ・・・・・・」
たっく・・・どうして家の馬鹿息子共はこんなに迷惑掛けるかねぇ・・・こっちの苦労も考えろってんだ・・・・・・
「それよりお前この前、あの駄神が管理している天界へ殴り込みに行ったんだって?トールから聞いたぞ。後、いい加減お前もいい人見つけろよ・・・また見合い断ったらしいな?」
って、おいちょっと待て・・・ロキ、何でお前まで知ってるんだ・・・・・・
「いや・・・この前リンと一緒に酒飲んだ時、あいつ本人の口から・・・落ち着け、取り敢えずグングニルを下ろせ・・・悪かったよ・・・」
仕事量増量確定。あの馬鹿妹め・・・今度の修行の時、〆てやる・・・・・・
俺は内心で黒い事を考えながらも、ロキに向き直り頭を搔きながら答えた。
「あの馬鹿は自分の使命を捨てて逃げた、だからその罰も含めて極夜を、『フランドール・スカーレット』に憑依させろってあの駄神に命令したんだよ・・・・・・」
「それにしてもいきなり殴り込んでこの男を殺せって言うか?普通・・・お前も随分鬼畜だよな・・・・・・」
「フンッ・・・別世界の俺より酷かったからな・・・まぁ、あいつが極夜に神器を渡すイレギュラーが発生するとは少し意外だったが・・・・・・」
まぁいい・・・この異変が終わったら久しぶりに極夜に会うとするか・・・まぁ、最初は一発殴らないと俺のこの怒りは治まる気はしないがな・・・・・・
「運命ぐらい変えてみせな馬鹿息子、それぐらいできなきゃ・・・龍神王『星屑 極夜』の名が廃るぞ」
だから・・・頑張れよ・・・極夜・・・・・・
龍夜「そんな訳で今回から妖々夢編です!」
フラン「入るまでが長すぎだ・・・」
龍夜「それに関しては仕方なかったんだよ、ほかのキャラと絡ませなきゃ異変の時いろいろ大変だから・・・」
レン「そんな訳で今回もこんな駄文を見てくれて有難な」
龍夜&レン&フラン「「「それではまた次回お会いしましょう」」」