今は素直になれないけどいつかは素直になりたい   作:王者スライム

3 / 4
前回の投稿……三月の最後。

今回の投稿……六月の最後近く。

……すみませんでした。


第2話 少年の日常(裏) 

参拝客が来ない……これは代々の巫女でも直面した問題。その問題を解決するためにある巫女は神社の宣伝をし、ある巫女は妖怪から身を守る札を売り、またある巫女は人里からの好感度を上げるためにいろいろな問題を解決したと言われている。

 

どの方法もそれなりの成果は出ていたらしいけど……めんどくさいわね。そこら辺の妖怪を退治するば金が手に入る事も珍しく無いし……今も全く生活出来てないって訳じゃ無いのよね……。

 

ーーーーーチャリンーーーーー

 

お賽銭の音……まさか何もしてないのに参拝客が来たのかしら?

 

ーーーーーガラッガラッガラーーーーー

 

一人だけかしら……でも、何もないのに一人だけでここに来るやつなんて居るのかしら?でも魔理沙がちゃんとお賽銭を入れるとかあり得ないし……。

 

ーーーーーパッパッンーーーーー

 

そういえば居たわね。ちゃんと作法を守って、毎日神社に来るやつ……。私は参拝客が誰かなんとなく分かったので襖を開ける。そこには礼をしている人……うん、あいつね。

 

「あんたまた来たのね」

 

前回来たときにかなり小言を言ったような気がするのに……まあ、普通巫女なら参拝客に小言なんて余程の事が無い限り言わないでしょうけど……こいつは例外。

 

「別に来ても良いのだろう?唯一の参拝客にその態度、これだからここの巫女は……」

 

人里からわざわざここに来て、私に対してのこの態度……多分私じゃなくてもこれには腹が立つでしょうね。

 

「うるさいわね。別にあんたが唯一の参拝客じゃないわよ」

 

作法はちゃんと守る。毎日来てくれる。恐らく悪いやつではやつでは無いって言うのは分かるんだけど……確実に良いやつでも無いのよね……。

 

「……その声を聞くだけで不幸になるような気がするよ。気のせいだと思いたいがな」

 

……私こいつに何かした?まあ、とりあえず言い返しておこうかしら。

 

「じゃあ、来なければいいじゃない」

「それもいいな。貴様に会いたい訳でも無いのだしそうした方が良いのかもしれん。だが、ここの神の加護は素晴らしいものでな……それも巫女の対応を気にしなくても良いほどにな」

 

……ここの神社に神って居たのね。ただ神社が建ってるだけだと思って……ん?

 

「ならおかしいわね。何でここの巫女をやってる私にその加護が無いのかしらね?」

「お前には難しい話かもしれんがここに神が居るからだ。全く、神はちゃんと加護を与える人間を見極めている」

「……どういう意味よ?」

 

思わず聞き返す。こいつってなんか良く分からない事も言うのよね……。

 

「言っただろう?お前には難しい話ってなあ?」

「決めたわ、あんたは今潰す」

 

こいつはちょっと痛い目にあわないと分からないタイプね……。

 

「やるなら手を止めるなよ?そうじゃなきゃつまらん」

「当たり前よ‼」

 

どれだけ自分に自信を持ってるかは知らないけど……私が負ける訳がない。とりあえず弾幕であいつを狙うがあいつは次々と避けていく。

 

「おいおい……巫女の本気はこんなもんか?」

「んな訳無いでしょうが‼」

 

十秒ごとに弾幕を少しずつ増やしていく。気がつけば周りの景色が見えないほどの弾幕が飛んでいるが全く当たる気配は無い。……おかしいでしょあいつ。

 

「チィ……すばしっこいネズミね」

「まるでネズミのようなんて誉めてられ方は初めてだな。……しかし、良くも私の初めてを奪ったな?」

「変な言い方するんじゃ無いわよ‼」

 

どんな小言も私への攻撃に変える……頭の回転が速いんでしょうけどもっと他に使い道は無かったのかかしら……。そんな事を考えているとやっと一発あいつに当たる。当たった弾幕は普通に避けられるような位置にあった弾幕だ。それに自ら突っ込んで行ったような行動……ハンデのつもりかしらね?

 

「ああ、もう当たったのね。もちろん一発だけじゃ済まさないけど」

「……面白い状況だな。しかし、たかが一発だ」

 

やっぱりこいつ……自ら当たりに行ったのね……そんな事をする理由は、避けるのが余裕だったからかドMだったからかのどっちかでしょうけど……まあ、前者よね?まあ、これで動きは鈍くなるでしょ。

 

「その一発が致命傷でしょ?あんたはただの人間よ」

「私はネズミじゃ無かったのか?どうやら私の種族は秒刻みで変わってるようだな。」

「ああ言えばこう言う……全くきりが無いわね」

 

こうやって喋っている間にも勿論弾幕は飛ばしている。でも、全く当たらない。……むしろ動きが良くなってるのは私の気のせいかしらね?まあ、もう止めておきましょうか。もう、意味は無さそうだし……とりあえずこいつが避けるのだけは上手いってことが分かったわね。

 

「そろそろ帰るとするか……全く無駄物も貰ってしまった」

「別にもっとあげても良いのよ?」

 

返事に困りやすいようなセリフを吐き捨てる。

 

「そうか、なら貰おう。」

 

……え?

 

「……あんたってドMだったのね」

「そうかもしれんな。まあ、貰ってあげないとお前が悲しんだりするかもと思ったのさ」

 

否定はしてないわね……まさか本当にドMなのかしら……。

 

「そんなんで悲しむ訳が無いでしょ」

「そうかい、そうかい。では、また明日来るとしよう」

「二度と来なくていいわよ。まあ、こんな事言ったってどうせ明日も来るんでしょうけど……

 

あいつは私の言葉を気にすること無く、階段を降りていく。ふと空を見ると箒にまたがる魔理沙が見えた。多分こっちに向かって来てるんでしょうね。そう思った私はお茶の準備でもしようと私は神社に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで花の水やりも終了ね」

 

花畑の花全てに水やりを終えた私はそんな独り言を呟く。ちょうどその時、私の世界に自分とは違う気配を感じた。その方向を見る。そこには彼がいた。面白がって光線を、彼に向けて放つ。彼はそれを驚く事なくよけ、こちらに向かって来た。

 

「やはりここは素晴らしい歓迎だな。他の者にもやってみるといい」

 

ここが彼の面白い所。私が何か普通なら死ぬかもしれない事をやっても怒らない。さらには誉めてくる。そして、嘘をついてるように見えない。もし、普通の人間がこれを見れば精神を疑うレベルだ。まあ、実際に人里の人からは精神を疑われているみたいだが。

 

「もう他の者にもやってるわ」

「それは、それはいい心がけだな」

 

他の人の事を心配することなく彼は少し笑い、鞄から何か取り出した。

 

「そこらじゃ買えない酒だ。気軽に飲むと良い。で、そちらの方はどうだ?」

 

私はその言葉を聞くと、下に用意してあった袋を持ち、彼に渡す。

 

「私が作った野菜よ。そこらのとは違うわ」

 

私が家で愛でながら作った野菜。彼はその野菜を少し観察しはじめた。そして、野菜を片付ける。

 

「確かにこりゃあ、なかなかない野菜だ。素晴らしい物だな」

「当たり前よ……貴方の用意した酒もなかなか見ない物ね」

 

彼が用意した酒は缶に入っている。こちらでは余り見ない物だから多分外の世界の酒だろう。まあ、どんな味かも美味しいのかも分からないが、彼の言う通り『そこらじゃ買えない酒』である事は間違い無いだろう。

 

「それこそ当たり前だ……しかし俺もなかなか面白い妖怪に出会ったものだな」

「私もなかなか面白い妖怪に出会ったものよ」 

「「フッ……ハハハハハ‼」」 

 

思わず、笑ってしまう。こうやって、人間と笑い合うなんて、二年前の私には想像もつかないだろう。妖怪でさえ、私を恐れる者が居るのだ。それなのに人間が全く怖じけずに、会話を成り立たせる……やはり彼は面白い人間だ。

 

「ああ、そうだ。少し喉が渇いたな……紅茶でも入れてくれないか?勿論茶菓子はちゃんと持ってきてある」

「あら、そう。楽しみだわ」

 

今も怖じけるどころか紅茶を入れてくれと頼んで来るのだ。そんなもの、普通の人里の、人間には恐怖で不可能だろう。私は、一度家に戻ると紅茶の準備をする。そして、入れ終わるとまた外に出て彼の所へと向かう。すると彼は何かを読んでいるようだ。

 

「あら、何かしらその新聞」

「号外らしいぞ?何でもスペルカードルールというものが発令したらしいな」

 

そう言うと、彼は新聞を私に投げ渡す。その新聞を詳しく読んでみるが……どこかで見た気がするわね……どこだったかしら……ああ、この前紫が持ってきたやつね。それに気づいた私は新聞をクシャクシャに丸め、そこら辺に捨てる。

 

「この前、アイツが確かこのルールに関して詳しく載っている紙を持って来たわね。このルールに従えって言いながら」

「ほう、それはそれは、命知らずの者も居たもんだ」

 

……どの口が言ってるのかしらね。

 

「一応あなたもソイツから命知らずって呼ばれてるわよ?人間の癖にって」 

 

普通の視点から見たら彼は命知らずと呼ばれるだろう。まあ、この前偶然見た人間が見る、妖怪の対策本みたいなやつでは私は危険度は極高、人間友好度は、最悪とされているのだ。

 

そんな存在にただの人間が絡んでいたらそりゃあ命知らずとも呼ばれるだろう。ちなみに何故かその本に彼の事も載っていて人間友好度が私と同じ最悪になっていた。一体、どんな暮らしをしていたらそうなるのかしらね。

 

「……まあ、いい。茶菓子でも食べよう」

 

だが、彼にとって命知らずと呼ばれるのは嫌だったのか嫌そうな顔をする彼。余り、自覚が無かったのかしらね?彼はカステラを取り出し、紅茶を飲んだ。

 

「旨い」

「それは良かったわ。あなたが持ってきたカステラも美味しいわよ」

「ふむ、そうか。それは持ってきた甲斐があったと言うものだ」

「そうそう、この前珍しい花を見たんだけど……」

 

 

 

 

 

 

話をずっとしていたからか気づけばカステラも紅茶も無くなっていた。

 

「さて、今日はお開きにしよう。恐らく、また来る」

 

彼は席を立ち、野菜が入った袋を持つ。

 

「じゃあ、また会いましょう」

 

私がそう言うと彼は去って行った……彼は私にとってのなんなんだろうか。恐らく、ここまで仲良く人間と話すのは彼が初めてだろう。私は最初、彼の何を気に入ったのだろうか……まあ、いいかしら。特に気にすることも無いわね。そう考えながら私は家に戻った。

 




三話なのに全くストーリーが進んで無いと言う……次回から進むから‼

(7月22日 大幅に修正しました)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。