ハリー・ポッターと楽園の素敵な巫女〚リメイク版〛   作:桃聖

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テストやだよぉーーー!!!!


三話

あれからも色々とマグルの常識とか純血主義についてパチュリーから教わり、とうとうこの日がやってきた。

 

長月の朔日。九月の一日。がやってきた。そう、今日はホグワーツに入学する日である。私は博麗の巫女という役職上、異変解決以外で外の世界に行ったことがない。最も、幻想郷の住民の殆どは外の世界に行く機会などないだろうけど。

 

当然、不安はある。私だって人間だ。いくら人間離れした力があろうと、鬼巫女だと言われようが、私にだって人並みに緊張したりする心はある。

 

そして今、私は紫に連れられて、キングス・クロス駅に来ていた。キングス・クロス駅には沢山の人がおり、混み合っていた。

 

「霊夢、九と四分の三番線を目指しなさい。そこにホグワーツ特急列車があるわ。荷物はそこで渡すから」

 

「はあ!?」

 

何をめちゃくちゃな⋯

 

紫はそう言い残して、スキマに入っていった。

 

九と四分の三番線なんて、マグルの常識を最近習った私でもわかる。意味がわからないと。そんなめちゃくちゃな番線なんてあるわけがない。マグルの常識で見たらの話だが。

 

きっと、どこかに魔法がかけられているはずだ。その魔法を感じ取れば、ホグワーツ特急列車に辿り着けるだろう。そう思い、私は魔法がかけられている場所を探そうと、周囲を見渡した⋯が、なにやら見覚えのある人物がキョロキョロと周囲を見渡していた。私はその人物に声をかけた。

 

「ハリー」

 

「うわっ、霊夢!?いつからそこにいたの?」

 

「さっきからずっとここにいたわよ。ほら、早く九と四分の三番線を見つけるわよ」

 

「う、うん。⋯ところで霊夢。なんで君は手ぶらなんだい?荷物はどうしたの?」

 

「荷物は九と四分の三番線で渡すって言われて放置されたのよ」

 

「そ、そっか。霊夢も大変だね」

 

「全くよ」

 

私はカートを押しているハリーと九と四分の三番線を探して、動き出した。⋯が、なにやらマグルらしくない集団がいた。全員赤毛という事は、恐らく家族だろう。

 

「ハリー、あの赤毛家族の後を追いかけるわよ!」

 

「わ、分かった」

 

私はハリーを急かし、赤毛家族を追いかけた。案の定赤毛家族は魔法族で、柱に向かって突っ走っていた。

ハリーはその様子を呆然と見ていたが、肩を叩いて、正気に戻した。

 

「ハリー、あの柱が九と四分の三番線に繋がってると思うから、柱に突っ込むわよ!」

 

「え?」

 

「怖いの?なら私が先に行かせてもらうわ」

 

そうハリーに言い残して、私は柱に突っ込んだ。ぶつかる。などとは微塵も思っておらず、そのままホームヘ出た。ここが九と四分の三番線だろう。

 

後ろを振り返ると、ハリーが来ていた。ハリーは周囲を見回し、私に気付くと近寄ってきた。

 

「急に走り出すから驚いたよ」

 

「悪かったわね。ハリー、私は保護者と話して来るから、先に汽車に乗ってなさい」

 

「わかったよ。またあとで」

 

ハリーと一度分かれ、ハリーの後ろ姿が見えなくなったところで私は虚空に向かって声をかけた。

 

「紫、どうせ見てるんでしょ。さっさと出てきなさい」

 

「いやあ、青春ねえ」

 

紫がスキマから出てきて、意味不明な事を言ってきた。

 

「いいからさっさと荷物をよこしなさい」

 

「もー、霊夢ったらせっかちなんだからー。はい、これが荷物よ」

 

そう紫が言って渡してきたのはトランク一つだった。ハリーが大荷物だったのに対して、私はトランク一つってどういう事よ。

 

「トランクには検知不可能拡大呪文がかかっているから、荷物の量は変わらないわ。むしろ、貴女の方が多いくらいよ」

 

「便利な魔法もあるものね。じゃあ、行ってきます」

 

「行ってらっしゃい。気を付けて」

 

「⋯なんか今のすごくおばあちゃんって感じがしたわよ」

 

「ん?」

 

「⋯なんでもない」

 

すごく締まらない感じだったが、取り敢えず汽車に乗り、適当に個室に入る。そして、荷物を置き、椅子に座って一息ついた。ちょうどその時、汽車が動き始めた。ギリギリだったようだ。

 

暫く汽車に揺られながら窓の外を眺めていると、コンコンとノックされた。「どうぞ」と声をかけると、車内販売だったようだ。取り敢えず蛙ちょこれぇととやらを買ってみたが、蛙が逃げ回って食べづらい。何故動くようにしたのかがわからない。だけど甘くて美味しかった。

そろそろ着替えようとして、服を脱ぎ始めたとき、無作法にもノックなしで扉が開かれた。

 

「ここにハリーポッターがいるって聞いた⋯んだ⋯け⋯ど!!?」

 

「早く閉めなさいよ」

 

「な、何やってんだ君は!?」

 

「何って着替えてんだけど。早く閉めて。それともシメられたい?」

 

「ご、ごめん!!」

 

そう言ってピシャリと扉が閉じられた。…全く、なんなのよ。

 

着替えを終え、脱いだ巫女服を畳んでトランクに締まって椅子に座り直すと、コンコンとまたもやノックされた。「どうぞ」と声をかけるとすぐに扉は開けられ、栗毛の女の子が顔を出した。

 

「カエルを探してるんだけど、カエルを見かけなかった?」

 

「見かけてないわ」

 

「そう。あら、貴女はちゃんと着替えててえらいわね。他の人達といったら…」

 

何故か栗毛の女の子がマシンガントークをし始めた。訪ねてきた目的忘れてない?

 

「蛙はいいの?」

 

「ぁ、ご、ごめんなさい!」

 

そう言って、扉をピシャリと閉めた。

 

ほんとになんなのよ。ホグワーツってこんな奴らばっかなの?

 

なんだかいちいち対応するのもめんどくさくなってきた為、寝た振りでもするか。そのうち寝落ちするだろうが、別にいいだろう。

と、思ったが、なにやら隣の個室が騒がしい。音からして、喧嘩でもしているのだろう。止めに行くという手も考えたが、面倒臭い。そのうち誰かが止めるだろう。

そう思った矢先、すぐに静止の声が聞こえてきた。だが、その声が大きい。喧嘩している音はなくなったものの、いかんせん声がデカくて眠れない。

ちょっと注意したほうが良いか。そう思い、腰をあげ、廊下に出ようとしたところで、気付いた。足元に蛙がいた。注意するついでに届けるか。

 

「あんまり子供っぽい振る舞いを_____

 

「ちょっと、うるさいわよ」

 

注意していた人にそう声をかけると、注意していた人がこっちに振り向いた。さっき蛙を探していた栗毛の女の子だった。丁度いい。

 

「ごめんなさい。でも、この人達が喧嘩なんてしていたから注意していたの」

 

「注意するのは別に構わないわ。注意する声の音量がうるさかったから来たの。ついでにこれ」

 

そう言い放ち、栗毛の女の子に蛙を渡した。

 

「ぁ、ありがとう」

 

「どういたしまして。私はもう戻るわ。眠いし」

 

「さっき運転手さんにどれぐらいで付くか確認したけど、もう少しでつくみたいだから寝ている時間なんてないわよ」

 

「そう⋯」

 

なんてことだ。寝ている時間が奪われてしまった。そう思いながら私は個室に戻って窓の外を見た。もうだいぶ日が暮れている。丁度黄昏時といったところか。

少し窓を開け、換気する。蛙独特の匂いが少しする。

窓から入ってくる風にあたりながら、私は汽車が停車するのを待った。

 

 

 

 

汽車が完全停止し、アナウンスが流れた。どうやら、荷物は部屋に転送されるから置いていっていいようだ。

私はそのまま個室を出て、汽車を降りた。辺りはとても暗く、そして生徒で溢れかえっていた。

 

「イッチ年生はこっち!イッチ年生はこっち!」

 

どうやら一年生と上級生はルートが違うようだ。私はその声についていき、小船に乗った。

小船一つにつき四人づつ乗るようだ。

同乗したのは三人組。様子を見るに、幼馴染だろうか。三人組は楽しそうに会話していたが、何故かこっちに話しかけてきた。

 

「ねえ、貴女の両親は魔法使い?」

 

「親の顔も見た事もないし、聞いたこともないからわからないわ」

 

「どうやって生活してきたの?」

 

「人里から奉納される物を食べてきたし、依頼された事をこなしてお金を稼いでた」

 

「貴女、日本出身?」

 

「そうよ」

 

そんな感じで質問に答えていたら、三人組は自己紹介してきた。

 

「私はダフネ・グリーングラス。よろしくね」

 

「私はパンジー・パーキンソン。一緒の寮になったらいいね」

 

「私はミリセント・ブルストロード。あんたは?」

 

「私は博麗霊夢。よろしく」

 

どうやらこの三人組は聖28一族のようだ。

自己紹介を終えた後も、三人の会話に混じらず、話を振られたら答えるだけの時間が続いた。

 

 

 

 

小船がホグワーツにつき、それぞれ降りて、ハグリットの後についていく。私は後ろの方にいるので見えないが、恐らく城の扉についたのだろう。

 

ゴンゴンゴンと、ハグリットが扉をノックする音が聞こえた。

 

 

 

 

ハグリットが扉をノックすると、扉がぎぃぃぃと開く音が聞こえた。

少しすると、皆が城に入り始めた。私も城に入り、皆についていく。

暫く歩いて、小部屋に入った。小部屋に入ると、ここまで案内していた人の姿が見えた。

案内人は厳格そうな顔つきで、明るい緑色のローブを着ていた。

緑色のローブを着ている人は寮の説明と、組分けが始まるから身だしなみを整えろといった内容だった。

私はちょっと確認して問題ないとわかり、周囲を見渡してみた。⋯なんか顔に泥がついている奴がいた。

暫く待っていると、なにやら悲鳴が聞こえた。私は悲鳴が聞こえた方を見ると、半透明のナニカがいた。アレがパチュリーが言っていた、ゴーストというモノだろう。基本的に無害らしいから無視しといていいか。

ゴーストがどっかに行って少しすると、先程の緑色のローブの人が戻ってきた。どうやら準備ができたようだ。

緑色ローブに連れられて、大広間に来た。

四つの大きな机が並び、そこに上級生が座っており、奥には老人を中心に教員が座っていた。そして、老人の前に古い帽子と椅子が置かれていた。⋯あの帽子、精霊が憑いている?緑色ローブが帽子の近くに行くと、帽子が動き出し、唄を歌った。

 

勇猛果敢なグリフィンドール

忍耐強いハッフルパフ

賢いレイブンクロー

狡猾なスリザリン

 

内容は寮の紹介。おさらいには丁度いい。

どうやら帽子が組分けをするようだ。

 

「ABC順に呼ぶので、呼ばれた人は帽子を被ってください」

 

緑色ローブはそう言い、どこからか長い紙を取り出した。⋯ABC順?何だそれ。とにかく、名前が呼ばれるまで待てばいいか。

そうして、組分けが始まった。




【解説】

【置いてけぼりにされる霊夢さん】

いまだかつて、保護者に置いてけぼりにされる事があっただろうか?

【ハリーを先に汽車に乗せる】

霊夢さんなりの気遣い。ハリーは見送ってくれる存在がいないのに自分だけ見送られてる事にちょっと罪悪感。

【おばあちゃん発言のせいで締まらなくなった】

霊夢さんの見送りは締まらない感じが丁度いいと勝手に思ってます。

【個室を見つける霊夢さん】

ハリーだって探すの苦労していたのにあっさり見つけちゃう。だって幸運体質だから。

【お着替え】

おのれマルフォイ!!そこを変われ!!

【蛙を届ける霊夢さん】

優しい。

【聖28一族は覚えている霊夢さん】

こいつらは面倒くさそうな感じがするから出会ったら出来るだけ関わらないようにしようとして覚えてたけど、ボートの上という逃げ場がないところで出会ってしまったため、関わってしまった。ドンマイ霊夢さん

【緑色ローブ】

原作だとエメラルド色と表記されてるけど、霊夢さん日本人だし、エメラルド見た事ないんで。

【ABC順を知らない霊夢さん】

生粋の日本人だもん。しょうがない。

【組分け開始】

霊夢さんはどこの寮になるのでしょうか?楽しみです。



次回の投稿は来週だと思います。別に、小説を書く時間がないというわけじゃないのですが、週二投稿制なんで。でも、書き溜めがあると端末が重くなっちゃうんで、もしかしたら投稿するかもしれない。

投稿する時間帯はいつ頃がいい?

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  • いつでもいい

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