オルコット家はナンダカンダと古くから有る家で屋敷も、それなりに歴史があり敷地、特に庭が広いので様々な種類の植物が所々に植えられいて専属の庭師により整えられている
その中でも妹・・・リリウムが好きな百合が数多く咲く庭へ向かう
数分掛からずに到着し、可愛い妹の姿を目に捉えたと同時に、想定外の人物達の姿も目に捉える
「・・・見通しが甘かった、のですね」
こんな事なら護身用に拳銃の1つでも持っておくべきだったと反省し、もしもの時は迷わずブルーティアーズを使用する事を心に決め、一度深呼吸して意を決して歩み寄りリリウムへ声をかける
「ただいま戻りましたわリリウム」
出来るだけ
「お帰りなさい、シシー姉様」
座っていたリリウムは満面の笑みで立ち上がり私へ歩み寄り両手を広げたので、膝を降り彼女を抱きしめる
あぁ神よ、天使は此処に居ます
少なくとも私にとっては天使です
数ヶ月ぶりのリリウムを数十秒間堪能して身体を離し
「良い子にしていましたか?」
「はい、シシー姉様の様になる為に毎日良い子にしています」
フンスとドヤ顔気味に答える齢4歳の可愛い妹に癒されつつ彼女の頭を撫で、本当は受け入れたくない現実を そろそろ受け入れる事にしよう
幸い空気を読んでくれる優しさは持ち合わせていた様だが、あまり待たせて機嫌を損ねても面倒なだけだ
「お初にお目にかかります、私はセシリア・オルコットと申します。本日は当家に何の御用でしょうか?篠ノ之 束博士」
屈んだ体勢から立ち上がり、貴族令嬢として最大限の礼を取り彼女へ尋ねる
「うん、初めましてセシリアちゃん、私は篠ノ之 束、その子はクーちゃん ことクロエ。今日は君に会いに来たんだ」
篠ノ之博士は年齢不相応な無邪気な笑顔で自己紹介をし、用件を言い
「安心して?君の妹にも家族にも危害を加えたりするつもりは無いから、私は純粋に君に興味が湧いたから会いに来てみただけなんだ」
ニコニコと笑みを崩さずに話す彼女を見据えながら考える
もしかしたら原作に比べてマトモかもしれない、と
いや、そうで有って欲しい
「そう、ですか?そうであれば事前に御連絡を頂ければキチンとしたお出迎えが出来たのですが・・・あぁお客様に何もお出ししていませんでした、チェルシー?何か飲み物を用意して下さい」
私の専属メイドであり幼馴染の頼れるお姉さんなチェルシーが篠ノ之博士からは死角になる場所に潜んでいるのは予想していたので指示を出すとリー・エンフィールドを下に置き屋内へ入っていく
ひとまず目の前の天災と対話をしよう、もしかしたら対話だけで終わるかも知れないし
そんな事を考えていると、チェルシーが去った方向とは逆方向からチェルシーの妹、エクシアが現れ
「セシリアお嬢様、お帰りなさいませ。リリウムお嬢様、バイオリンのお稽古の時間です。先生がお待ちですよ?」
「分かりましたエクシア、シシー姉様 いってきます」
「はい、いってらっしゃい」
エクシアがリリウムを連れて行くのを送り出し、再び篠ノ之博士へ目を向けると、少し羨ましい様子でリリウムとエクシアを見ていた
「あ、あの、篠ノ之博士?どうかされましたか?」
「え?あ、あ〜いや〜姉妹仲良いって良いね!!束さん超羨ましい!」
私の声に我に帰ったのか、私の方に向き直り年齢不相応な動作で言う
何と言うか、イメージより大分精神年齢というか、なんか幼い気がする
いや見た目は完全に成人女性なのは間違いないんだけども
「そ、そう・・・ですか?歳も離れいますから可愛いですし、大分甘やかしてしまっていると自覚していますが・・・まぁ姉妹仲は良好だと思います」
うっかり アナタは違うのですか? と言いそうになったのを我慢して
「ところで私に興味を持ったと仰っていましたが?」
姉妹仲の話は地雷の可能性が高過ぎるので、あからさまだが話題を変える事にする
因みにクロエは、我が家の花壇が気に入ったのか花を見て動く素ぶりが無い
「え?あぁ〜うん、束さんはね?全世界に点在するISコアを通じて様々な事を知る事が出来るんだ、そしてISコアには人格が存在する。彼女達は言わば私の娘の様な存在で、時々 面白い情報を知らせてくれたりするんだ」
なんかとんでもない事を聞いてしまった様な気がするが、スルーしよう、私には荷が重過ぎるし
「で、君の事を知ったのさ。試作第三世代型ISブルーティアーズを、たった
「なるほど、道理で」
彼女が言っている事が全て真実ならブルーティアーズを受領してからの訓練の内容全て、私がブルーティアーズで行った全てが彼女に筒抜けだった訳だ
つまり最初から私は天災 篠ノ之 束の手の平の上に居たと言う訳だ
ならば、彼女に隠す必要は無い、全てを曝け出して問題無いだろう、流石に転生者とは言えないが
「だから君を図る為にゴーレムIを送り込んでみたんだけど、私の予想以上に短時間で無力化してたね?うん、君なら申し分ないね!中途半端な強さだと守れないかも知れないし?」
息をする様にゴーレムIを送り込んだ黒幕と自白したと思えば、よく分からない事を言い始めたので
「何の話ですか?篠ノ之博士?」
「よし、君に決めたよセシリアちゃん!君を箒ちゃん&いっくんのボディーガードに任命する!!」
あれ?私の言葉は無視されてるのか?これ
聞いているのかいないのか分からないが、彼女は私をズビシと指差してドヤ顔で言う
「は、はぁ・・・箒さんと織斑さんのボディーガードですか?」
2人共、私にとって大切な友人なので篠ノ之博士の話を断るつもりは無いが、2人共ずっと一緒に行動してはいないので、どちらか1人が限界だろう
「お言葉ですが、私1人では2人同時に守れませんし、織斑さんは自由登校なので実質 私がボディーガードとして職務を全うできるのは箒さんのみです」
私の言葉を彼女は なるほど と呟き
「よし、なら箒ちゃんのボディーガードをお願い、いっくんのボディーガードは違う人か形にするから」
ニコニコと笑み言う彼女に私は頷く
「ボディーガードをしてもらう代わりに、君には対価を支払うよ?お金?地位?名誉?それともIS?」
彼女はニコニコと私に尋ねてくる
多分、私は試されているんだろう
ならば答えは決まっている
「お金も地位も名誉もISもいりません、友を助けるのに、守るのに、支えるのに、対価も理由も必要ありません。仮にアナタに頼まれなくても私は勝手に箒さんを助けるし、守るし、支えます。たとえ裏切られようと、利用されていようと、私は構いません。例え死のうと後悔しません、本望です」
私が彼女を真っ直ぐに見据えて言うと彼女はキョトンと目を丸くした後、声を出して笑い始める
数分に渡り笑い彼女は笑い過ぎて出た涙を拭い
「君は本気で思っているね、目を見たら分かるよ。うんうん、良いね ますます気に入ったよセシリアちゃん」
「あ、ありがとうございます?」
何やら気に入られてしまったらしい、なんでだ?
そんな感じで困惑していると
「さて、そろそろ帰ろうかな?実は多忙な身なんだよね〜束さん」
言うが早いか篠ノ之博士は踵を返してクロエの横に立ち、此方に振り向き
「またねセシリアちゃん、君が君で有る限り君は束さんの お気に入りだから、気兼ねなく相談してよ。内容次第では助けてあげるかも知れないからね」
そう言った瞬間、突然突風が吹き花弁が視界を覆い思わず腕で顔を庇い目を閉じる。突風が収まり腕を下げ目を開けるとそこには2人の姿は無く、綺麗な花弁が有るだけだった
「・・・思ったより悪い人では無い、のかも知れませんね」
そう呟き振り返ると、3人分の飲み物を持ったチェルシーと目が合った
随分と長く話していた気がしたが、実際はそれ程の時間 話していなかった様だ
「ご苦労様チェルシー、篠ノ之博士は帰られましたわ」
「お飲み物は どうされますか?」
「1つ頂きますわ、貴女も1つ どうぞ。少し疲れました、少し付き合ってくださいな」
使用人が用意してくれた椅子に座りチェルシーから飲み物を貰って一口飲んでチェルシーに言うと、彼女は少し苦笑してテーブルに持っていた物を置き、私の横に座る
「何から話しましょう?・・・入学式の日からにしましょう」
私は、自分の中の様々なモノを吐き出す
私にとって唯一自分の弱さ、完璧な自分を見せなくていい姉の様な幼馴染に
我輩は転生者である、名前はセシリア・オルコット
神様の気まぐれでインフィニット・ストラトスのヒロインの1人、セシリア・オルコットに転生、または憑依してしまった者だ
完璧なセシリアになろうと努力しているがゴールが何かが未だに分からない
でも構わない、今は分からないままで良いと思う
オシドリ夫婦の両親と、控えめに言って天使の妹、不器用な友人と今は休憩している友人、そして賑やかなクラスメイトと戦友達が居る
今の所は味方らしい天災もいる
この先も様々な事が有るだろう、だが その全てを乗り越えていけるだろう
私、セシリア・オルコットは転生者である
-完-
今回をもちまして本作は完結致します
最後までお付き合い頂き、ありがとうごさいました
それでは、また