廃棄王女と天才従者   作:藹華

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すいません、文才はないのでお見苦しいかもしれません。


アルスの異能と決断

 アルザーノ帝国は北セルフォード大陸の北西端に位置する帝政国家であると同時に魔導大国として知られる。

 

 そしてアルスは今鍛錬の最中である。

 

「フッ………ハッ……ハッ…」

 

 そしてアルスの鍛錬の様子を見るのがエルミアナは好きだった、いつもまっすぐで迷いのない剣が好きだったのだ。

 

「そんなに見ていて楽しいものではないと思いますが・・・」

 

 鍛錬に集中できないのかアルスがエルミアナにそう言う

 

「そんなことないよ、アルス君の鍛錬してる姿わたしは好きだよ?」

 

 美しいドレスを着こなしエルミアナはアルスに答えるのだが、アルスはそれに納得できないというような顔で鍛錬に戻るのだ。そしてエルミアナはなぜ納得できない顔をするのかよくわからなかった。

 

 そしてその光景を城から見ているのは豪奢なドレスを着こなし、万人を虜にするような美貌の持ち主であるアリシア七世とメイド服で待機しているエレノアそして、いかにも強そうな雰囲気を纏うゼーロスである。そして彼女らもアルスの剣を見て感嘆していた

 

「彼の剣技はいつ見ても美しいですね」

 

「ええ、彼の剣には迷いがないのもあってとても綺麗ですね」

 

 アリシアとエレノアは彼の剣技をそう評価しているし、事実いつまで見ても飽きないと思っているほどには綺麗なのだ

 

「ゼーロス様は師匠としてどう思われますか?」

 

 エレノアはゼーロスに問う。アリシア七世も気になっているようでゼーロスを見ている。

 

「アルスの剣は私から見ても綺麗です、そしてそれと同時に彼の才能を嫌でも理解させられます。」

 

 ゼーロスはアルスに剣を教えた人物である、最初は教える気は無かったのだが彼の固有魔術の関係上ゼーロスが適任となったのである。

 

 剣を初めて教えた時、ゼーロスは彼のその技量に驚かされたのである。普通に考えて初めて剣を握った人間はまともに剣を振れるはずがない、もし仮に振れたとしてもゼーロスほどの猛者に一太刀も与えられるはずがない。そう誰もが予想する、だがアルスはゼーロスの剣を叩き斬っていたのだ。

 

アリシアはゼーロスが思いを馳せていることに気づいて問う。

 

「やはり嫉妬しますか?ゼーロス」

 

「・・・はい、同じ剣士として彼の才能はとても羨ましいものです。ですがそれ以上に私は嬉しいのです」

 

「嬉しい…ですか?」

 

「はい、彼は私より剣の才能があります、そしてその剣をエルミアナ王女の為に振るっている…私と同じように」

 

 ゼーロスはその顔に似合わず微笑みながら答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、アルスはエルミアナとかくれんぼをしていた。

 

「いーち、にー、さーん・・・きゅー、じゅう・・・ッ!?」

 

 そして目を開けふと気づいてしまった、自分の目がおかしい事に・・・そう、いつもなら木の裏を手当たり次第に探っていくのだが、今はエルミアナの居場所がすぐに分かってしまったのだ。何故なら、エルミアナの通った所に薄い線が残っているからだ。そしてこれが異能で、それも魔眼であることに気づいた否、気付いてしまったのだ。

 

 アルザーノ帝国では異能者は悪魔の生まれ変わりとされており迫害され、もし王族または、その関係者に生まれてしまった場合処刑されるのは想像に難くない。その恐怖からアルスの額にはびっしりと汗をかいており、顔は青ざめている。そしてその異常に顔色が悪いことに気づいたメイドが慌てて休ませたのであった。

 

「んっ・・・ここは」

 

「やっと起きたー」

 

 アルスは翌日の昼過ぎに目が覚め自分の異能がなんなのか確かめるためエルミアナを見ると、予想外のことが頭に入ってきて驚愕した。エルミアナを見た瞬間、色々な情報が頭の中に入ってきたのだ。つまりこの魔眼は見たもの全ての真実を暴く魔眼であると確信した。

 

 それと同時にエルミアナが異能者であると知ったアルスは急いでアリシア七世と二人きりで話をしようとしたがゼーロス達に一瞥されたので諦めかけたところにアリシア七世が助けてくれた

 

「ゼーロス、構いません。彼と2人きりで話をさせてください。」

 

「ありがとうございます、王女殿下。」

 

 きちんと礼をし、2人きりになれたのでアルスは思い切ってアリシア七世に問うたのだ。

 

「王女殿下、失礼を承知でお聞きしたいことがあります。」

 

「なんでしょうか?」

 

 アルスの顔はとても真剣で、アリシア七世も真剣な顔になる。

 

「もし・・・もしも、エルミアナ王女が異能者ならばどうしますか?」

 

 少し冷や汗をかきながら問う、少ししてからアリシア七世は口を開けた。

 

「もし、本当に異能者であるのならば、王位継承権を剥奪し追放もしくは処刑でしょうね。」

 

 アリシア七世の意見を聞き彼は少し考えた後、笑顔になり

 

「質問に答えていただきありがとうございました。」

 

「この質問になにか意味はあったのですか?」

 

 アリシア七世はとても真剣な表情だが、アルスは

 

「いえ、本当にただの疑問ですよ。異能者は迫害されます、王家ならどうなのか聞いてみたかっただけです。」

 

意味深な顔で笑いながら答えた後、真剣な表情に戻りお願いをしてきた。

 

「それと、少しの間外出の許可を出していただきたいのですが・・・」

 

「なぜですか?」

 

アリシア七世は疑問に思った、なぜこの時期に外出許可を求めるのかわからなかったからである。

 

「2か月後はエルミアナ王女の誕生日です、今の時期から下見をして必要なら買っておきたいのです。」

 

「なるほど、わかりました。許可しましょう。」

 

 そう言った途端、アルスの顔が真剣な顔から満面の笑みに変わった。

 

「あと、エルミアナ王女にはこのこと秘密にしてもらってもよろしいでしょうか?サプライズにしたいので。」

 

「ふふっ、わかっていますよ。」

 

 アリシア七世は微笑みながらそう言った。

 

  そして、その翌日アルスは土下座をしていた・・・・・


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