事件の翌日、グレン達はボロボロになって帰ってきた・・・・僕?あの後すぐ宿で寝たに決まってんだろ。だが思った以上に疲れが溜まっていたのか起きたのは昼過ぎだった・・・しおりを見ると今は自由時間なので水着とパーカーを着てビーチまで行く。するとそこにはいつものように笑い合ってるルミアとシスティーナ、そして頬が少し赤いがリィエルも一緒に笑っていた。そして木陰に入りそれを眺めているとグレンが
「よっ起きたか寝坊助」
「(あんたのせいで疲れてんだよ!)・・・意外と疲れてたみたいで、遅れてすいません・・・」
「お前に1つ聞きたいことがある」
「なんですか?」
「リィエルかイルシアとどこかで会ってないか?」
直球できたなこの人・・・それよりどうやって誤魔化そうか・・・
「・・・会ったことはあるかもしれませんけど、多分すれ違っただけじゃないですかね。だってリィエルさんみたいな人と話したことがあるならインパクト強すぎて忘れられなさそうですし・・・イルシアさんって子には心当たりないですねえ、親戚か何かで?」
「いんや、知らないならいいんだ」
そう言ってグレンと一緒にルミア達を見ていたのだが、リィエルがこちらに向かってくる。それに僕やグレン含め2組全員が驚いており、何を言うかと耳を澄ませていた
「アレス・・・ありがとう、そしてごめん・・・」
感謝と謝罪をされがよく分からん・・・感謝されることはしたかもしれんが、謝罪されるようなことは何もしてない筈だぞ!
「・・・えーと、なにが?」
「昨日わたしの手を握りながら・・・言ってくれた事嬉しかった・・・だからありがとう・・・そして言ってくれた意味が理解できてなかった・・・ごめん・・・」
「「「「「「「「「「え?(は?)」」」」」」」」」
2組のほとんどが驚愕する中グレンは
「お?お前らいつの間にそんな仲になったんだ?」
と聞き、システィーナが
「あんた、何言ったのよ!?」
と聞き・・・ルミアは
「アレス君?どういう事かな?」
微笑みながら僕の横腹を抓りに抓った・・・これでもかというくらいに抓った。最早痛みではなくご褒美になりそうなのでやめて頂きたい・・・あと目から光が失われるのなんとかならないんですかねえ!?
だがそんな思考もルミアのダブル抓りによって現実へ戻され・・・
「あ、ちょ待って!痛い!痛いって!なんかわかんないけどごめんなさい!謝るから許してティンジェルさーーーーーーん!」
そう言いつつ離されたのは10分後
「それで?どういうことなの?」
ルミアを筆頭に囲まれており脱出もできないこの状況・・・どうするべきか・・・僕一人なら嘘をつくのは簡単だ、だがリィエルがバラしてしまえば僕が終わってしまう・・・あれ?これ詰んでね?
「えーとですね・・・リィエルさんとは決してティンジェルさん達が疑っているような関係ではなくて皆さんと同じように普通の友達でございます・・・」
「じゃあリィエルの手を握っていたことについては?」
恐らく今・・・僕はもの凄く青ざめているだろう
「あ、いえ・・・それに関しては弁明のしようもないです・・・はい・・・」
「ふぅ~ん」
ルミアが不機嫌になってしまった・・・それに呼応するように男どもの殺気が強くなっている。突然カッシュが肩を叩いてくれたので助けてくれるのかと思ったのだが
「アレス、今日俺らの部屋に来い・・・話がある・・・」
・・・\(^o^)/オワタ・・・わたくしの人生終わったしまいましたねえ・・・
など、そんな茶番もあり・・・僕はルミアに呼び出され森へ向かっていた・・・
「それで、どうしたの?ティンジェルさんこんなところに呼び出して」
「うん、単刀直入に聞くね?アレス君ってさ無銘さんじゃないかな?」
は?なんでそう思ったの!?女の勘!?もし、そうだったら勘良すぎだろ!?
「・・・僕は無銘さんじゃないけど・・・そう思いたいなら思えばいいさ・・・」
事実無銘なのはアルスであってアレスではない・・・
「そうじゃなくて、はっきりさせたいの!・・・アレス君は無銘さんなの?それとも違う?」
ルミアの表情はいつも以上に真剣だ・・・事実アレスは無銘でありアルスでもある・・・だが今はそれをルミアに伝えるタイミングじゃない・・・
「違う」
淡々とそう伝える
「そっか、変なこと聞いてごめんね?」
「僕からも質問良いかな?」
「え?うん、いいよ」
少し驚いてる様子のルミア・・・僕が質問するのってそんなに変かな?・・・と思いつつ僕は質問する。
「ティンジェルさんって何者なの?」
「ッ!?」
「学院にテロリストが入ってきたときも魔術競技祭の時も・・・そして今回も、ティンジェルさん狙われ過ぎじゃない?」
正直言い過ぎてる自覚はある・・・だが元々ティンジェルさんとそれなりの仲を保ちつつ護衛をする方が良かったのだが、それなりの範疇を超えていたようなので一度離れようと思ったのだ
「それは・・・ごめん、言えない」
「そっか・・・じゃあ僕は行くね」
それだけ言ってルミアと別れカッシュ達と地獄のババ抜きをし負けたらルミアへ告白するということなのだが・・・負けてから言われた・・・さっき関係を悪くしたばかりだ、なのでこれをする訳にはいかない
「ごめん、カッシュ実は今僕とティンジェルさんは喧嘩中だから・・・」
と言った途端カッシュが
「はあ?どうしてだよ」
と聞いてくるが答える訳にはいかないので
「ごめん・・・それは言えない・・・もう部屋に戻るね」
そう言って部屋に戻るがグレンはいないようなので、少し悩みを口に出そう。
「ルミアの勘は鋭すぎるから、一度距離を取ってみたが・・・やっぱり来るものがあるな・・・」
一方ルミアはアレスが去ってからも、立ち尽くしていた・・・そうしているとシスティーナとリィエルが来たのだがルミアが辛そうな顔をしていることにリィエルもシスティーナも気付いて
「ルミア!?どうしたの!?」
そう聞かれルミアは全てを話した・・・無銘がアレスだと思いそれを伝えてしまったこと・・・自分が何者か聞かれアレスが態度を変えることを恐れるあまり真実を言えなかったこと・・・自分よりも親しいリィエルなら知ってるのではないかと思いルミアは問う
「リィエル、無銘さんの正体知らない?」
「ん、知ってる・・・けど、アレスじゃない・・・」
「そっか・・・」
ルミアは素直に悪いことをしたなぁ・・・と思ってしまう、自分の勘だけでアレスを暗殺者と同じにしたのだ。
「今度、謝らないとね」
「うん、そうすべき」
「そうね」
ルミアの言葉にリィエルとシスティーナは同意するが、彼女たちは知らない・・・これから先アレスに謝る機会はしばらく訪れないことを・・・
はい、今回の後日談でルミアとアレスを少しだけ溝を作っておきたかったので無理矢理感が否めませんがご了承ください。