そして今回からシスティ結婚編ですよ。この編から結構シリアスに変わります
アルスの正義
修学旅行の事件も無事終わったのだが、アレスは修学旅行以来魔術学院に登校していない。そのため色々な噂が流れている・・・退学・不登校・死亡・・・など、だがその噂はルミアの心を痛めつけていた・・・
蘇るのは修学旅行の時の記憶・・・自分の願望や勘で勝手にアレス君を暗殺者である無銘さんと一緒にしてしまった。アレス君は無銘さんについて何も知らない・・・アレス君にとっては都市伝説の暗殺者である無銘さんと一緒にされるのは精神的に辛いものがあるだろう。
「あーアレスについてだが、アレスは今休学中だ」
「「「えっ?」」」
「理由はイテリア地方にいる両親のお見舞い・・・だそうだ、一週間もすれば帰ってくるんだと」
「そう・・・ですか・・・」
思い返せば私はアレス君のことを何も知らなかった・・・いや、今も知らない。知っているのはアレス=クレーゼという名前と性格くらいだ。1年以上も同じクラスにいたのに・・・自分が情けなくなってしまう。たったこれだけの事しかアレス君を知らないのに勝手に決めつけて傷つけてしまった・・・そう思うと嫌で嫌で堪らなくなる・・・
「ルミア・・・ルミア!」
そう自分の名前を呼ばれて意識が現実に戻ってきた
「ッ!・・・ごめん、システィボーっとしてた・・・」
「ルミア・・・顔色悪い、病気?」
「ううん、なんでもない。なんでもないよ」
そう返すが自分でも本調子じゃないってわかってる・・・調子を戻そうとも思っている・・・でも、なぜかアレス君のことが頭から離れない・・・
「ッ!・・・リィエル・・・」
そう考えていた時、リィエルに痛いほど手を握られた。
「アレスは大丈夫。優しい・・・だから、謝れば許してくれる」
それは、修学旅行の時ルミアがリィエルに言った言葉だ・・・まさか、同じ言葉を返されるとは思ってなかった。
「ありがとうリィエル・・・そうだよね、アレス君は優しいから謝ったら許してくれるよね」
「うん」
リィエルの言葉のおかげで少し調子が戻ってきた。
「早く、帰ってきてね・・・アレス君・・・」
ルミアは覚悟を決めた表情でそう呟いたのだった・・・
だが、この時の彼らはまだ何も知らない・・・アレスに隠された秘密とこの1週間で起こる出来事について・・・
少し昔話をしよう・・・アルスはルミアが・・・いやエルミアナが好きだった。6歳で固有魔術を作り出した天才だの剣の才能があるだの・・・皆が見るのはいつもアルスではなくアルスの才能だった・・・でも、エルミアナは違った。エルミアナだけは、アルスの才能ではなくアルスを見てくれたから・・・初めてアルスを見てくれた、その事実が堪らなく嬉しかった・・・だから、苦しむ人を救いたいと思ってしまった
アルスは、《女帝》と《愚者》の関係が好きだった・・・それは自分達と似ていたから。アルスと《愚者》は似ている、アルスは自身の才能に《愚者》は自分の憧れに絶望してエルミアナと《女帝》はアルスと《愚者》が1番してほしい事をしてくれる・・・そんな関係が好きだった・・・だから壊したくなかった、壊れて欲しくなかった。《愚者》と《女帝》には幸せになって欲しかった・・・でも、そんな願いすら・・・叶うことはなかった・・・
【
アルスは今路地裏で亡くなっている人を火葬していた・・・これらは
「・・・220・・・か」
この数字はアルスが人殺しをした回数だ・・・
さてここで問題だ、15年しか生きていない子供が220人もの人を殺している。これで精神は摩耗するか、しないか・・・答えは当然摩耗する・・・それはアルスも例外ではなく最近では【マインド・アップ】を使わなければ碌に戦えない・・・今のところ幻覚や幻聴などは無いが、近いうちに出てくるだろう。そうなってしまえばしばらくは入院・・・もしくは死のトラウマを克服できずに一生戦えなくなることだってありえるのだ・・・
「・・・もう、隠す余裕も無くなってきた・・・」
そう言って崩れ落ちる赤い外套・・・それは
「でも、たとえ・・・この姿がバレようともルミアを守る・・・それだけが僕の成すべきことなんだから・・・」
ロケットを握り締めアルスは走って行く・・・この時、アルスは既に気付いていたのかもしれない。このロケットだけが唯一アルスをアルスたらしめていることに・・・
アルスの異能である魔眼ははっきり言って異常だった・・・ものの全てを見抜く《看破の魔眼》ものの死を見る《直死の魔眼》などの色々な魔眼が組み合わさっている。旅行の際には
まあ、多分この編から好き嫌い別れると思います・・・僕は主人公が弱ってヒロインが助ける王道が好きなのでこうします。