廃棄王女と天才従者   作:藹華

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 学校が始まって1週間に1話投稿できたらいいな~くらいの気持ちだったのですが、意外となんとかなってます。これからも、出来るだけ毎日投稿するつもりなのでよろしくお願い致します。

 お気に入り285名・・・本当にありがとうございます。


システィの婚約者とルミアの懸念

 校庭でグレンはリィエルと2人でいた

 

「・・・どうしても、お前の力が必要なんだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

 グレンの言葉にリィエルは眠たげな無表情である

 

「許されないことだってわかってる・・・お前を巻き込んでしまうことも分かってる。だが、人の命がかかってるんだ・・・ッ!」

 

「・・・・・・・・」

 

 リィエルは相変わらず無表情

 

「頼む、リィエル!俺に力を・・・お前の力を貸してくれッ!」

 

 グレンがそう言ってリィエルが

 

「大丈夫、私はグレンの剣。グレンの為にこの力を使うと決めた」

 

 そう言ってリィエルは拳大の石を拾って魔術を使う・・・すると次第に石が黄金色の光を眩く放ち始める・・・のだが、そんな思惑は1人の生徒によって壊される

 

「《何考えてるのよ・この・お馬鹿》―――――ッ!?」

 

 グレンの思惑を察知した生徒――――それはシスティーナだ。

 

 システィーナは叫び声で即興改変された黒魔【ゲイル・ブロウ】の呪文がグレンを吹き飛ばす

 

「キャアアアアアアアアアアアアアア」

 

 まるで、女の子のような悲鳴をあげるグレン先生だがすぐに池の中へと墜落し盛大な水柱が上がる。

 

「や、やるな白猫・・・最近のお前の呪文改変力はマジですげえな・・・先生は嬉しいぞ・・・」

 

 グレンから褒められシスティーナは顔を赤くしながら

 

「・・・そ、それは・・・その、先生の教え方がいいから・・・じゃなくて!」

 

 そう言ってシスティーナは説教を始める

 

「リィエルに金を錬成させて、一体、何を企んでいるんですか!?」

 

 システィーナはリィエルの掌に乗っている金を指さしながらグレンに問う・・・対してグレンは

 

「売るんだよ!」

 

 真顔で・・・なんなら授業をやる時より真剣な顔で答える

 

「だから、それは犯罪ですって!?リィエルを巻き込まないでください!」

 

「うっさいやかましい!リィエル(こいつ)の暴走のせいで、俺の給料はカットされまくり!このままだと餓死は確定ッ!背に腹は代えられないんじゃあああああああッ!」

 

 そう言ってグレンはリィエルの掌にある金を摘み取り全力でシスティーナから逃げていたのだが・・・必死に逃げていたため横から来た馬車に気付かず、グレンは尻餅をつくことで大惨事を回避した。

 

 

 システィーナは馬車の御者に謝っているが・・・御者の人は応じず、馬車から降り

 

「・・・この学院に着いて早々、真っ先にあなたに会えるなんてね・・・システィーナ・・・」

 

「あ、貴方はレオス!?」

 

 どうやら、レオスとシスティーナは知り合いのようで

 

「・・・そもそも、あんた誰?」

 

 グレンは礼儀もなく聞くが、レオスは礼儀正しく

 

「私ですか?・・・私はレオス、レオス=クライトス。この度、魔術学院に招かれた特別講師・・・そしてシスティーナの婚約者(フィアンセ)です」

 

「「「えええええええええええええええええ!?」」」

 

 こうなるのも無理はない・・・なにせシスティーナ=フィーベルと言えば『真銀(ミスリル)の妖精』や『お付き合いしたくない美少女』など言われており・・・男からの人気は無いのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオスの授業は圧巻の一言に尽きた・・・グレン曰く軍の半分以上の奴らが理解していない物理作用力(マテリアル・フォース)理論を学生にも理解できるように教える程に・・・そして察しの良い奴らなら、この理論を聞いただけで殺傷能力のない黒魔【ショック・ボルト】で人を殺せることを理解してしまった筈だ・・・

 

「やっぱり、先生はこういう授業、あまり認めたくありませんか?」

 

「・・・・・・・」

 

 グレンは反応しない、そしてルミアは続ける

 

「先生は常日頃、力の意味と使い方をよく考えろ、力に使われるな、と口を酸っぱくして仰ってますけど・・・今はなんとなく意味が分かる気がします」

 

 ルミアがそう言うとグレンは白状するように呟いた

 

「・・・正直、物理作用力(マテリアル・フォース)理論に関して言えばこのクラスで教えてもいいのはアレスだけだ」

 

「どうして・・・アレス君が?」

 

「あいつはこのクラスの中で1番力の意味と使い方を熟知してるからな・・・」

 

 アレスはグレンが今まで感じてきたどの人間にも似ていない。最初に違和感を感じたのはグレンが非常勤講師だった頃、システィーナに対して魔術は人殺しと言った時アレスは全く動じなった・・・今思い返してみればアレスには不自然な部分が少なからずあった筈なのだ・・・なのに見落としていた

 

「あいつには、信念がある・・・ルミア、お前に負けない程に強い信念が・・・」

 

 その続きを言おうとしたタイミングでシスティーナとレオスが話していた。

 

「私の講義はどうでしたか?貴女の忌憚ない意見が聞きたいですね」

 

「え?その・・・素晴らしい講義だったわ。正直文句のつけようがないくらい・・・」

 

「それは良かった・・・あなたは『講師泣かせ』として有名ですからね」

 

 その後、レオスとシスティーナは2人ででこかへ行ったのだが・・・

 

「先生・・・一つお願いがあるんです。その・・・大変申し訳ない事なんですが・・・」

 

「ん?なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーんで俺が他人の恋路を覗き見せにゃならんのだ・・・」

 

「ご、ごめんなさい、変なことを頼んでしまって・・・でも、先生についてきてほしくて・・・」

 

「なあ、ルミア・・・お前何がそんなに不安なんだ?確かに俺個人的には気に食わんが・・・レオスはそれなりに信頼できる男だと思うぞ?俺はそう・・・」

 

「嫌な、予感がするんです・・・」

 

 グレンは押し黙った・・・そしてルミアは続ける

 

「レオス先生が人格者だという事はわかってます・・・でも、バークスさんと同じ感じがするんです・・・」

 

「まあいいや、こんな面白そうなイベント見逃してられっかよ。へっへへへへ・・・」

 

 グレンは下衆な笑いを浮かべる・・・

 

 

 

 そしてその後は色々とあった・・・レオスがシスティーナに結婚を申し込みシスティーナは断ったり、グレンがレオスに決闘を申し込んだり・・・と、そして決闘の内容はクラス対抗魔導兵団戦で勝った方がシスティーナの婚約者となる。決闘は明後日であり、今日は作戦を立てていたのだが・・・決闘当日グレン陣営にイレギュラーが起きた・・・アレスが来たのである。

 

 だが、流石グレン先生アレスが来ることも予想していたらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕が休んでいる間に、グレンが決闘を挑み魔導兵団戦で勝てばシスティーナと結婚し逆玉ができるので手伝ってほしいとのこと・・・だが、グレンの事だ・・・どうせシスティーナを助ける為なんだろうなあと思いつつ魔導兵団戦が始まった。

 

 僕とリィエルは丘にいる・・・理由は相手に丘を占拠させないこととリィエルはこの魔導兵団戦での攻撃力は皆無だからである。そしてお目付け役として僕な訳だ・・・僕らは相手クラスの魔術を避け続けている。反撃は一切せずただ避け続けていると相手クラスは撤退して行った・・・休憩できると思った矢先に

 

「・・・これが終わったら、ルミアと話して・・・私にはよくわからないけど・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

 リィエルが切り出したその言葉に固まってしまった・・・

 

「ルミア、笑わなくなった・・・無理してる・・・」

 

「・・・うん、わかった・・・これが終わったらティンジェルさんと話すよ・・・」

 

「ん」

 

 リィエルとそんな会話をしていると魔導兵団戦は終わり、結果は引き分け・・・つまりシスティーナはどちらとも結婚しない。それは実質グレンの勝利であった・・・だが、レオス先生の様子がおかしい・・・みんなの話では好青年で爽やかだと言っていたが・・・今はその爽やかさの欠片もない・・・そんなレオス先生はグレン先生に決闘を申し込んだ。グレン先生はそれを受けようとするが、システィーナが割り込み

 

「もういい加減にして!黙っていれば2人とも勝手に、私は物じゃない!」

 

 と叫ぶ。レオスは謝るがグレンは・・・

 

「・・・今度は一対一の決闘戦だ。レオス」

 

 システィーナの意見を無視した。僕以外のここにいる人は分からないだろう・・・なぜ、グレンはそこまで逆玉に拘るのか・・・僕だって経験しなければ分からなかっただろう・・・大切な人を守る為に・・・いや大切な人を守りたいからこそ、大切な人には何も言わず自分だけで解決しようとする。僕はそれを否定できないし、する気もない・・・僕がグレンの立場なら同じことをしただろうから・・・

 

「嫌いよ!貴方なんか・・・」

 

 システィーナはグレンをビンタして冷たく言い放ち帰還用の馬車に乗った、そしてルミアとリィエルも続く・・・

 

「撤収だ!お前ら」

 

 グレンはそう言い皆は帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 システィーナは本気で怒っていた・・・逆玉と散々言われているだけじゃない・・・システィーナは自覚していないだけでグレンの事が好きなのだ。だから余計に腹が立ってしまう・・・

 

「本当に逆玉の輿が目的だったの?私の事をそんな風にしか見てくれていなかったの・・・?」

 

 そう呟くとルミアがシスティーナの手を握ってきた

 

「だめだよ、システィ。そんなこと言っちゃ・・・」

 

「でも、あいつ!いつも逆玉、逆玉って・・・」

 

「ちゃんと先生と話そうよ・・・だってシスティ先生が逆玉って言う度に、怒ってばかりで先生の真意に触れようとしなかったじゃない?・・・確かに、今回の先生はふざけすぎてると思う。でも先生は意味のないことはしない・・・それはシスティも分かってるんじゃない?」

 

 システィーナはルミアに言われて気が付いた・・・そうだ・・・嫌だ嫌だと言いつつも2人の男に自分を奪い合う・・・そんな乙女心に少し浮かれていたのかもしれない・・・だから、グレンの真意に気付こうともしなかった・・・

 

「だから、きちんと先生と話そう?・・・私は、システィとグレン先生がいつものようにしてないのは・・・嫌だな・・・いつものように仲良しな方が、私はいい」

 

「・・・フェジテに戻ったら先生と話してみる・・・」

 

「うん、それがいいよ」

 

 そう言って2人とも笑顔になったのだが・・・リィエルが

 

「ルミアも」

 

 と言い出したのだ・・・いきなり言われたルミアは何のことかわからなかった。

 

「ルミアも・・・アレスと話す・・・べき」

 

 まさか、それを言われるとは思ってなかったのか・・・ルミアは困惑と悲しげな表情である。

 

「ルミア無理してる・・・わたしはいつものルミアに戻って欲しい・・・だから、アレスと話すべき」

 

「・・・そう、だね・・・話さないと何も始まらないよね・・・ありがとう、リィエル私も話してみるね」

 

「ん」

 

 そうしてリィエルは満足気な表情で寝て、ルミアとシスティーナは覚悟を決めた表情をしていた。




 いや、もう本当にルミア様が尊い・・・あと11巻の表紙のイヴエロくないっすか?僕はエロいと思います。

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