魔人を辛うじて倒したアレス達は、
『待って、話があるわ』
「「話?」」
グレンとアレスは同時に口にする。
『……近い将来……貴方たちはもう一度だけセリカと共にタウム天文神殿を訪れることになる……』
グレンは何か言いたげだが、
『……そして、その後……貴方たちは大きな選択を迫られるわ。貴方たちは、貴方たちにとって掛け替えのないもの達を天秤にかけなければならない……』
「……預言者か何かか、てめえは」
ため息をつきながらグレンが言う
「
グレンは続ける
「だがな、そろそろいい加減にしてくれよ……変なこと言って人煙に巻くのは……」
だが、そんなグレンの言葉を
『もし、そんな運命を回避したいのなら……
一方的に告げ消えて行った。
「……彼女……」
アレスは呟く。
「セリカか……あるいは……」
アレスの呟きに反応したグレンも呟く。呟いた後、グレンはセリカを背負いながら門を潜った。
「……地の民の都…か……」
そう呟いて、アレスも門を潜ったのであった。
アレス達は馬車に乗って、フェジテへと帰っていた。
周りは既に日が沈み夕日の中、システィーナとルミアは話していた。
「……大冒険だったね……」
「うん……本当に……一時はどうなるかと思ったわ……」
窓際の席で向かい合うルミアとシスティーナ
「でも、よかった……皆、無事で」
「……遺跡探索ができたのはすごくいい経験になったけど……うぅ……ああいうのはもう二度とごめんだわ……もっと安全な遺跡探索をしたい……」
そう言いながらシスティーナは自身の膝を枕にして寝ているリィエルの頭を撫でる。
だが、システィーナは先程から御者台を気にしていた。
「どうしたの?システィ……ひょっとして……ヤキモチ?」
ルミアが含むように笑いながら指摘すると
「──────んなッ!?」
システィーナが反応する
「だっ!誰が誰に対して、お餅を焼いてるっていうのよ!?私はただ──────」
慌てながら捲し立てるシスティーナ
「うんうん。システィの気持ちは、よーくわかるけど……今は2人きりにしておいてあげよう?……ね?……」
「だ、だから違うって言ってるのに……」
システィーナはそう言うとリィエルが少し起きた
「…………ん…………」
システィーナはリィエルが起きると悪顔になり
「リィエル、今はルミアとアレスの2人きりにしましょ?」
そう言ってルミアから離れて行くが、ルミアは顔を真っ赤にしながら
「システィ!?」
と呼ぶ。システィーナが離れた理由は、ルミアの膝を使っているアレスだ。
アレスは馬車に乗るなりすぐに寝た。理由は簡単で、本来今日帰る準備をして翌日帰るという計画に変える筈だったのだが、アレスが夜中に1人で色々と片付けてくれたのだ。本来、この馬車にいる全員で一時間ほどかかるものを疲れ切ったアレスが一人で片付けたのだから碌に寝れていないだろう。
もちろん、ルミアはシスティーナと御者席にいるグレンとセリカ以外の全員が寝たタイミングでアレスを膝へ乗せた。ルミア自身、何度か経験があるのだが自分と話した男子は他の男子の殺気によって顔色が悪くなる。疲れて寝ているアレスにそれはかわいそうという判断だ。
「……ふふっ……ありがとね……」
ルミアは微笑みながらアレスに感謝を述べるが、アレスは寝ているので返事は帰ってこない。
「……ルミ……ア……」
アレスは寝言でそう呟くと、ルミアは顔を更に赤くし
「……可愛いなあ……」
そう言って、アレスの頬を突っついたルミアなのであった。
その後、皆が起きた時にアレスはまだルミアの膝枕だったので殺気をぶつけられたのは当たり前である。
もっとルミアちゃんとイチャイチャさせたい