廃棄王女と天才従者   作:藹華

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 10巻のアイデアが湧き出てき過ぎて7巻の大まかな内容を少し忘れてしまった……


アレスとイヴの邂逅

グレンとアレスはフェジテ南地区郊外に存在する倉庫街へ足を運んでいた。

 

 その理由は、アレスがグレンに頼み込んだからだ。

 

 アレスが、ルミアを護るための情報が少しでも欲しいのだ。

 

「お?来たなグレ坊……と誰じゃ?」

 

 グレンと一緒に入ってきた少年を見て《隠者》のバーナードは聞く

 

「ああ、こいつはアレス=クレーゼ……ルミアの恋人だ」

 

 グレンは余計な詮索をされない為に嘘を付く

 

「……分かってるの!?これは国家最高機密(トップシークレット)なのよ!?たかが恋人に教えていい情報じゃないのよ!?」

 

 イヴがグレンに向かってくるが、その前に立ったのはアレスだ。

 

「……ティンジェルさんが社交舞踏会で暗殺されるって本当なんですか?……」

 

 アレスは、真剣な表情でイヴに問う

 

国家最高機密(トップシークレット)なのよ……言える訳ないじゃない!」

 

 イヴはグレンがこの人物を連れてくると思っていなかったので自身の計画が崩れると心配している。

 

「大丈夫だ、こいつは近距離戦においてはリィエル並みに使える」

 

 グレンがアレスの頭に手を乗せながらイヴに言う

 

「ッ!?……へぇ……なら、今回だけは特別に許可するわ」

 

 リィエル並みに使えると言った瞬間目の色を変えたイヴを見据えるアレス

 

「それじゃあ、今回の任務について説明するわ」

 

 そして、アレスはその任務と敵について聞いた。

 

「任務は王女の暗殺を企てた敵組織のを生け捕りにすることよ──────敵は天の智慧研究会第二団(アデプタス)地位(オーダー)》が1名と第一団(ポータルス)(オーダー)》が3名の総勢4名……対して私たち7名で十二分に対処可能な数よ」

 

 イヴは断言する

 

「……間違いはねえのか」

 

 グレンはやはり不安なのか、イヴに聞く

 

「今まで私の情報が間違いだったことが一度でもあったかしら?」

 

 イヴは少し笑いながらグレンに言葉を返す

 

「…………」

 

 グレンは言い返せなくなったのか、無言になった。

 

「ちなみに、第二団(アデプタス)地位(オーダー)》の人物の2つ名と名前は判明しているわ……皆もきっとよくご存じだと思うけど…… 《魔の右手》のザイード、それが今回の敵」

 

 《魔の右手》のザイード──────暗殺に特化した外道魔術師であり、これまでパーティーや演説会など大勢の人がいるにも拘らず誰にも気付かないうちに標的(ターゲット)を仕留めてきたのだ。

 

「でも、今回は大丈夫。なぜなら私がいるから」

 

 そう言うイヴの手には炎が宿っていた。

 

眷属秘呪(シークレット)【イーラの炎】。一定領域の人間の負の感情───特に、殺意・悪意を炎の揺らめきとして視覚化し、察知・特定する索敵魔術。誰かを害するとき、殺意・悪意を抱かずしてそれを実行に移せる人間はこの世に存在しないわ。どんなに機械のように完成され、殺気を抑えることに長けた暗殺者も、いざその一呼吸前、必ず殺気が漏れる……私の炎はそれを決して見逃さない。人の感情も所詮、生体内化学反応の産物と見るならば……それは熱を支配する私の領域だから」

 

 イヴは得意げに語っているが、要は殺気さえ出ていればイヴは犯人を特定できるという事だ。

 

「この術を私の眷属秘呪(シークレット)【第七園】と多重起動(マルチ・タスク)して、予め会場に仕掛けるわ。今回の仕掛け人が王女を暗殺しようと、王女に対し悪意を抱いた瞬間、私の炎がその仕掛人を瞬時に、確実に、仕留める……殺さずにね」

 

 イヴは言うが、アレスは内心怒りに燃えている。アレスはイヴとよく似た人間を知っている。自身の手柄の為なら仲間を平気で見殺し、駒としか見ない人物を1人だけ知っている。

 

 それだけじゃない。イヴにはこの作戦が無理であることを魔眼によってアレスは知っている。アレスは周囲の目が合っても魔眼がバレずに使えるようにコンタクトを改良したものを付けている。

 

「……貴女には無理だよ、イグナイトさん。貴女に《魔の右手》は捕らえることは出来ない……」

 

 アレスの言葉は倉庫内にやけに響いた。

 

「ふうん……言ってくれるじゃない。そう言えるだけの根拠があるのよね?」

 

 イヴはアレスを睨みながら挑発する

 

「……手柄欲しさに仲間を見捨てるような心の弱い貴女に《魔の右手》を出し抜けない……そういう意味ですよ」

 

 アレスとイヴは互いを睨みあっている

 

「……知ったような口を利かないでくれる?これでも私は忙しいから、犬に構っている時間は無いのよ?」

 

 イヴは少し冷静になりながらも答える。

 

 だが、イヴだけでなくこの場に居る全ての人物はアレスの次の言葉に背筋を凍らせることになる。

 

「……流石セラ=シルヴァースを見殺しにしただけはある。説得力が違うよ」

 

「「「ッ!?」」」

 

 アレスの言葉には重みがあった。

 

「……なん…で、あなたが…セラ…の…こと……」

 

 イヴは動揺しながら、必死に言葉を紡いでいる。

 

「……想像に任せるよ」

 

 それだけ言って、アレスは倉庫から去って行った。

 

「……怒りに任せて言っちゃった……」

 

 アレスは後悔しているのである。イヴに対して言った言葉はただの八つ当たりだ。イヴがどうしてあのような性格になってしまったのかアレスは知っている。イヴに言うのはお門違いなのは知っている、でもアレスは止まれなかったのである。

 

「……正体バレそうで怖いなあ……」

 

 そう言って家に帰って行ったアレスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、日は過ぎ社交舞踏会の当日

 

 アレスはパーティー礼装用の燕尾服を着てルミアを待っている。

 

「アレス君、お待たせ」

 

 ルミアの声を聞き振り向くと、そこにはそれなりに華やかで、基調としている淡い桃色ドレスを着たルミアが居た。

 

「ッ!……」

 

 アレスは王宮での事を嫌でも思い出すだろう。ルミアはルミアとアレスがまだ王宮で生活していた時のお気に入りであるピンクのドレスに近いものを着ているのだから。

 

 アレスが目を閉じればいつでも思い出せる。王宮にいた頃のルミアと今の姿は差異はあれど似ている。

 

 (なんか……5年前に戻ったみたい……)

 

 目を閉じながらそう思っていた。

 

「……それじゃ、会場に行こうか」

 

 ルミアをエスコートしながら会場へ向かうと着いて早々カッシュに話しかけられた。

 

「よう!アレス!」

 

 カッシュは笑いながらアレスの名を呼ぶ

 

「聞いたぜ?お前、ルミアと一緒にダンス・コンペに参加するんだってな?学院の野郎どもの『夜、背後から刺すべき男リスト』でぶっちぎりの1位だぜ?」

 

 アレスは驚きの顔をする

 

「ちょっと待って!?それ僕が作ったリストなんだけど!?」

 

 なんと『夜、背後から刺すべき男リスト』はアレスが作ったリストなのだ。

 

 このリストは、アレスが子ども心を失っていない証でもある。最初はルミアに告白した男子を片っ端から載っけていたのだ。ルミアを取られたくないという一心で作った、ただの嫉妬心の塊である。

 

「え?そうなの?」

 

 カッシュは今知ったという顔をしている。そもそも名前も書いていない紙に『夜、背後から刺すべき男リスト』と順位が書いてあるだけでアレスだとバレたらそれはそれで怖いのだが。

 

「……リスト製作者が1位とか……」

 

 なんとも情けない話である。

 

 少しいじけていると

 

『それでは、お集まりになられた紳士淑女の皆さま。どうか今宵は楽しい一時を……』

 

 そのリゼの言葉によって社交舞踏会が開催された。

 

 そして、アレスとしてはルミアを1人にする訳にいかないので、万が一にもダンスに誘われないように気配を出来るだけ断っていた。

 

 だが、やはりルミアの美貌によってパートナーであるアレスにも視線が集まってしまう。

 

 しかし、そこにルミアに勝るとも劣らない美貌の持ち主が会場に入ってきた。──────アリシア七世王女殿下である。

 

 アリシアはルミアやアレス以外にはバレないように自然な感じでこちらへ視線を送ってくる。

 

「……良かったね」

 

 自然とアレスの口からそんな言葉が出てきた。

 

「うん……」

 

 ルミアは続けて

 

「私、今日が楽しみだったの……この学院の社交舞踏会で妖精の羽衣(ローベ・デ・ラ・フェ)を目指して、素敵な誰かと踊ることが、子どものころからの私の夢で……」

 

「知ってる」

 

「え?」

 

 ルミアの呟きにアレスはつい言葉を返してしまった。

 

「え、いや、ええと元王女ならこの社交舞踏会にも出席したことがあるだろうし……それに、ほら!妖精の羽衣(ローベ・デ・ラ・フェ)を着るのは女性全員の憧れでしょ!?」

 

 慌てて誤魔化すアレスにルミアは首をかしげながらも続ける。

 

「……でも、私、普通じゃないから……普通じゃない私と親しくなっちゃったら、きっといつか不幸になるから……どうしても、あのジンクスが怖くて……」

 

 それは、ルミアの本音だ。タウム天文神殿ではアレスがルミアに救われた……今度はアレスがルミアを救う番だ。

 

「そんなことないよ……ティンジェルさんは普通の女の子だよ……それに、約束する。ティンジェルさんを不幸になんてさせないよ」

 

 これは、アレスの本心だ。自分が異能者という事もあるのだろうが、アレスは異能者が悪魔の生まれ変わりだと言うつもりはない。

 

「ふふ、ありがとう」

 

 そう言って、笑うルミアだがアレスは我慢している笑いだと魔眼を使うまでもなく分かっていた。

 

「……じゃあ、行こうか」

 

 そう言って、コンペの会場へ行くときアレスはルミアの手を握り続けていた。

 

 アレス&ルミア、グレン&システィーナなど様々なカップルが精一杯踊り

 

 予選突破できたカップルは喜び、敗退したカップルも称賛を送りみんなが笑顔であった。

 

 

 

 

 みんなが笑い、その中にルミアがいることに感謝をして、アレス…いやアルス(・・・)は少しだけルミアをグレンに任せ会場を後にしていたのだった




 アルス君を宮廷魔導師団の特務分室にいれようか結構迷いました。ただ、ちょっとルミアの嫉妬シーンを書きたいのもあるので、イヴさんをヒロイン路線に入れようかなとも思ってます。
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