あと、この話からは、アリシア七世のことをアリスと書くことにしますご了承ください。
「」は会話 ()は心の中の声です。
アルスが失踪して2ヶ月が過ぎようとしていた頃、エルミアナは泣きながら片時もロケットを手放さず、ずっと握りしめていた。それを見ていたアリスは悲しげにエルミアナを見ていることしかできなかった。
一方その頃、アルスはというと・・・
「ここは・・・」
知らない天井を見て、そう呟くのだった。なぜアルスは知らない場所で寝ているのかというと時は遡り1日前のことである。
いつも通り暗殺し終わったイルシアは倒れている人を見つけた。その人の脈を計ったところ生きていたので殺そうとしたのだが、そのタイミングでシオンに止められたのだった。
「イルシア!・・・やめるんだ・・・」
「兄さん・・・どうして?」
いつもなら殺すはずなのに今回はなぜか止めたのである。だからこそイルシアは困惑しているのだ。
「僕は、あまり傷つく人を見たくない・・・だから殺すのは命令が来た時だけだ」
少し強い言い方だったが、イルシアにとってはシオンの気持ちが嫌というほど理解できるからこそ従った。
「君、大丈夫かい?」
シオンは倒れている少年に聞く。すると少年は苦しそうに
「おなか・・・減った・・・」
と答えたので急いで連れ帰りご飯を食べさせるとすぐ寝てしまったので空いてる部屋に運んだのである。
「目・・・覚めたんだ・・・」
「えっと・・・その、助けてくれてありがとう。」
「別にいいよ、私も兄さんも人が死んでいくのを見るのはこりごりだからさ。」
イルシアの言葉を聞いてアルスは、ふと疑問に思ったことを聞いた。
「死んでいくのを見たことがあるの?」
イルシアは少し悲しい顔をしながら
「ええ・・・それも数人や数十人じゃ収まらないほどにね。」
「もしかして、君は暗殺者なのかい?」
「まあ、そんな感じよ・・・どう?暗殺者だからって怖くなった?」
アルスは覚悟を決めた表情でイルシアを見て言った。
「・・・いや、僕も暗殺者にしてほしいんだ。」
「ッ!?・・・君、どういうことかわかってるの?・・・暗殺者っていうのは善悪関係なく依頼されれば人を殺すんだよ!?」
「大丈夫・・・覚悟はできてるから・・・」
イルシアはその表情からアルスが止まらないと悟った。
「イルシア」
「えっ?」
「私の名前、イルシア=レイフォード。暗殺の仕方を教えるのに名前がわからなかったら教えにくいじゃない。」
「あぁ、ごめん。僕の名前はアルス=フィデス。」
「ところで、アルスは住むところはあるの?」
「・・・・・・ない。」
そしてこの日からアルスは暗殺者として活動しつつエルミアナの動向を探っていこうと決めた矢先にこれである。
「もし、よかったらここに住んでもいいよ・・・兄さんもそう言ってたし。」
「・・・すいません、これから色々お世話になります・・・」
「ふふっ」
「どうしたの?」
「なんでもなーい。」
同世代のお友達のようなものを初めて体験したイルシアはとても上機嫌だった。それからアルスは自身の固有魔術を活かしながら暗殺者として色々な人を屠っていった。そして彼が暗殺者になって1年経つ頃には彼には1つの名前が付けられていた。
その名は<無銘>と
そして、暗殺者となってそろそろ2年目となった頃、1つの情報が入ったのだ。それは、エルミアナ王女の流行り病での死亡である。処刑ではない場合は追放だと確信していたアルスはイルシア達に切り出した
「すいません、少しの間フェジテに戻ります。」
いきなり切り出した話にイルシアとシオンは付いていけず
「いきなりどうしたんだい?」
と聞いた。すると彼は覚悟を決めたように
「このときを、待っていたんです。」
「どういうこと?」
そして彼は語り始めたのだ、シオンやシオンと会う前つまり、2年前のことを
「・・・ということをしてきたんです。」
語り終わったあと、シオン達をチラッっと見たら笑顔で
「そういうことなら、行ってくるといい。僕たちはいつまでもここにいるから。」
「そうよ、いつでもいいから帰ってきてね!」
シオンやイルシアは笑顔で送り出してくれた。
アルスは無事フェジテへと到着し、セルフイリュージョンを使いフィーベル家へと向かっていた
「ここに来るのも2年ぶり・・・・かな。」
とぼやきながら向かっているとフィーベル家が見えてきた。すると、ちょうど金髪の少女が裸足で飛び出していったのを見ていると銀髪の少女が訪ねてきた。
「うちに、何かようですか?」
少し警戒心を持たれながら聞かれたので、
「レドルフ=フィーベルさんは、ご在宅ですか?」
とにこやかに聞く。そうすると目の前にいる少女はいきなり涙を流し始めた。
「えっと・・・どうかされましたか?」
「おじいさまは、昨年亡くなったわ・・・おじいさまに何かようがあったの?」
その衝撃の真実にマジかと内心驚愕しつつ、質問に答えた
「2年前に、私はあなたのおじいさまと約束をしていたのですよ・・・」
「そう・・・・ッ!それより金髪の子がどこに行ったか知りませんか?」
思い出したのだろう、銀髪の子が聞いてきた。
「それなら、あちらに行かれましたよ?」
「ありがとうございます!失礼します!」
お礼をした後、足早に去っていったシスティーナを見ながら
「・・・悪いことをしてしまいましたね。」
そうアルスが言った方向は金髪の子が行った方向とは逆なのである。
「さて、僕も探しに行きましょうかね。」
そう言いながら魔眼を使う。そのすぐ後に、視界に入ったのは金色の線・・・つまりエルミアナの行った先である。そして、結構歩いて丘で1人うずくまって泣いている金髪の少女を見つけた。
「・・・システィーナさんが探していましたよ?」
少し距離を開けたところに座り彼は、自分を気にかけてくる銀髪の少女が探していると伝えてくれた。
「あなたは・・・誰・・・ですか?」
彼は少し迷った、本名を言ってしまえば自分の存在がバレてしまうのだ。なので、彼は少し考えた後にこう言った
「僕かい?僕はしがない旅人ですよ・・・君の名前は?」
自分の名前を言った後、逆に彼は少女に名前を聞いた。
「ルミア。ルミア=ティンジェル。」
「ルミア・・・いい名前ですね・・・システィーナから少し君のことについて教えてもらいました、家の都合で追放されたそうですね。」
そう言った直後、ルミアは身体を強張らせる。
「・・・だったら何だっていうんですか!、あなた達には何も関係ないじゃないですか!!!」
ルミアがこんな大きな声を出すことを予想してなかったアルスは驚きながら
「ええ、直接的にはなにも関係ありませんね・・・でもねルミア、あなたは自分を気にかけてくれる人をなぜ拒絶するのですか?」
「・・・それは・・・」
「もしかして自分が心を開いた相手が亡くなったり、いなくなったりしたのですか?」
「ッ!?・・・どうしてわかったんですか?」
「・・・それくらいの検討はつきますよ。」
と格好つけてる反面、内心では
(やっぱり僕のせいか~)
このように申し訳ないと思っているのである。そう内面で思っているとルミアは話してくれた
「もし、システィーナを受け入れて、またいなくなられたらって思うと怖いんです・・・」
「確かに、それは辛いでしょうね。でも、大切なのはその怖い思いを忘れない事です。」
「えっ?」
こういう言葉が来るとは思わなかったのだろう、ルミアは素で驚いてしまった。
「少なくともシスティーナは君に対して友達以上の関係を築いていきたいと思っているようですし、それを拒絶するのは君がシスティーナに対して拒絶される怖さを与えてしまっているのでは?」
「それは・・・・・」
これには流石のルミアといえども反論できなかった。
「まあ、半ば説教みたいになってしまいましたが・・・そうですね、せめて、自分を助けてくれている恩人くらいは受け入れてみてはどうでしょうか?」
「・・・・・・・・・」
「別に今すぐやれとは言いません。心に余裕ができてからでも構いません、きっとフィーベル家の方々はあなたを受け入れてくれるはずですよ。」
そう言った後、アルスは手短に「それでは」と言って去っていった。そしてルミアはその後ろ姿をアルスと重ねてしまった。
はい、いつも通りの駄文で誠に申し訳ない。大天使ルミア様がかわいすぎて見切り発車で始めてしまったこの作品ですが、これからもよろしくお願いします。
あと、名前が単純なのは申し訳ない。3秒で思いついてしまったんだ!
次回は、明日出すかもしれませんし、もしかしたら今日の深夜に出すかもしれません。