廃棄王女と天才従者   作:藹華

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前回の投稿から2ヶ月も待たせてしまってすいません許してください何でもしますから(何でもするとは言ってない)


炎の記憶

 そして───

 

 留学も、あっという間に14日目。

 

 グレンは前日の授業で行った筆記試験の結果を、月組の生徒達へ返却していた。

 

「お、アタシ、結構、成績上がってるじゃん!」

 

「わたくしも、前回と比較して、かなり伸びていますわ……」

 

 グレンの指導の下、順調に成績を伸ばした生徒達が喜びに沸き立つ中。

 

 答案用紙を受け取るや否や、リィエルが、トコトコとグレンのもとにやってくる。

 

「……ほめて、グレン」

 

 答案をグレンの前に掲げるリィエル。

 

 その点数は100点満点中の65点。お世辞にも好成績……とは言い難いし、これがどこまで持続するのかはわからないが……今までのリィエルからすれば、格段の進歩だ。

 

「……よくやったな」

 

 わしわし、とグレンがリィエルの頭を撫でる。

 

「ん……」

 

 気持ちよさそうに、目を細めるリィエル。

 

「ねぇ、グレン……わたし、頑張った」

 

「ああ……わかるさ」

 

「エルザのおかげ」

 

「そうだな……あんがとな、エルザ」

 

 グレンが席に腰掛けて微笑ましそうにリィエルを見つめるエルザを見やる。

 

「いえ、そんな……私は頑張るリィエルのお手伝いをしただけですから」

 

「いや、お前がいなけりゃコイツはこんなに頑張れなかっただろうよ。俺がいくら指導してもここまで伸びたことねーのに……ははっ、教師の自信、なくなっちまうなぁ」

 

 グレンがそんな風に、肩を竦めておどけてみせるが。

 

「違いますよ、レーン先生」

 

 穏やかな笑みを浮かべて、エルザが答えた。

 

「リィエルは、今まで勉強に本気になれなかっただけみたいです。でも、今回は皆さんと対等にあろうと、自分の居場所を守ろうと必死だった……それだけですよ」

 

「そうか……あのリィエルがねぇ……」

 

 ほめて、ほめて、と。

 

 眠そうながら、どこか得意げにシスティーナやルミアへ答案を見せているリィエル。

 

 そんな微笑ましいリィエルの姿を目で追いながら、グレンは教壇に立ち、手を叩き、注目を集める。

 

「今日の授業はもう終わりにすっか。知っての通り、白猫にルミア、リィエル、アレ……アナスタシアがお前らと一緒にいられる時間も後、わずかだ。まぁ、くっせぇ言い方になるが、思い出作りだ。残りの時間は、クラス全員でマグス・バレー大会とでもするか」

 

「おおおおおおっ! さっすが、先生っ! 話が分かるな──────ッ!」

 

「結構なことですわ! 黒百合の皆さんをぼこぼこにして差し上げましょう!」

 

「おい、お前ら! 白百合の連中なんかに絶対負けんじゃねーぞっ!?」

 

「……どうして、お前らはその2派で対決することが前提なんだ……まぁ、いいや」

 

 エルザやリィエル、月組の全員が楽しそうに笑ってる姿を見て、今回の留学は全てが大成功───

 

 この時のグレンは、それを固く信じて疑わなかったのである。

 

 

 ◆

 

 

 ……………。

 

 …………その夜。

 

(……本当に正しいのだろうか? 私は……)

 

 学生寮の、薄暗く何もない、殺風景な自室にて

 

 その少女はベットに腰掛け、己が瞳を刀の刃に映し、1人自問していた。

 

(あの子は……本当に、私の『炎の記憶』の中に住むあの悪鬼なの? あれじゃまるで……皆に追いつこうと、皆と一緒に在ろうと、ただ一生懸命頑張っているだけの……)

 

 ぶんぶんと頭を振るい、少女はそんな甘い考えを無理矢理に追い出そうとする。

 

「……ううん、違う、私。思い出しなさい、あの日の屈辱を……憎しみを……ッ!」

 

 そうだ、私はあの子を倒さねばならない。私は今まで、そのためだけに生きてきた。

 

 そうだ、あの子は所詮、凶悪な犯罪者。そして───父の仇だ。

 

 倒さねばならない。絶対に倒さねばならない。報いを、法の裁きを、受けさせる。

 

 あの子に打ち克って───ようやく、私の人生は始まるのだ。

 

 だが、思い出せば思い出すほど、記憶の中のあの少女と、あの子が重ならない───

 

 いや、そもそも。

 

 あの子が本当にあの少女だったと仮定して……なぜ、あの少年(・・・・)と一緒じゃない?

 

 ここが女学院で男子禁制だということはわかる……けれど、それにだって抜け道はある。今回のグレンがいい例だ。

 

「……………………」

 

 少女の疑問にも、問いかけにも、己が瞳を映す刀は応えてはくれない。

 

 刃の中の瞳には、迷いと困惑、そして疑念の色に揺れている。

 

 少女がそんな風に悶々としていた……その時だ。

 

「……まさか、とは思うけど」

 

 そんな少女へ、真夜中の来訪者───学院長マリアンヌが嘲弄するように、言った。

 

「貴女、彼女と接していくうちに、彼女にほだされたのではありませんよね? それは困るわ……だって、私には貴女しか頼れる子が……」

 

「……冗談言わないでください」

 

 少女がぼそりと言った───その瞬間。

 

 思わず息を呑むマリアンヌ。

 

 少女の刀の切っ先が、気付かぬうちに、己が喉元に突きつけられていたのだ。

 

「彼女には、あくまで上っ面の信頼を築くために近づいただけです」

 

 切っ先をマリアンヌへと向ける少女が苛立ったように呟き、その凛と珠散る刃の如き瞳でマリアンヌを突き刺す。

 

「今の今まで、ずっと彼女の側で、彼女の身体の動きを、呼吸をよんでいました。彼女の実力は……見切りました。確かに彼女は強敵ですが……私なら勝てます」

 

 鋭い瞳でマリアンヌを射貫いたまま、少女はそう宣言する。

 

「……ほ、他に警戒すべき子はいるかしら?」

 

「……システィーナ=フィーベル、ルミア=ティンジェル、彼女たちは警戒する必要もありません……ですが……」

 

 少女は言いよどみ、覚悟を決めたように切り出した。

 

「アナスタシア=フォールン……彼女一定の警戒をすべきです」

 

「……理由を聞かせてもらっても?」

 

「彼女は、この学院に来てから常に周囲を観察していました……これだけでは足りませんか?」

 

「いえ、貴女がそう言うのならそうなのでしょうね」

 

「では……」

 

「ええ、彼女にも監視を付けます。今はこれで十分でしょう」

 

「予定通り、明日、仕掛けます。貴女も手筈通りにお願いします」

 

「……ふ、ふふっ……流石、あの人の娘ね。期待してるわよ……エルザ(・・・)

 

 そんな、動揺を押し殺すようなマリアンヌの言葉に。

 

 少女は、刀を鮮やかな手つきで鞘に納め……

 

 ポケットから眼鏡を取り出し……それを目元にかけた。

 

「覚悟してください、リィエル……いえ、イルシア(・・・・)=レイフォード……」

 

 そう呟く、エルザの言葉は。目は。

 

 思わず背筋が凍り付いてしまうほど、ぞっと冷たかった。

 

 そして、そのエルザを見るマリアンヌの腰には、一振りの古びた剣があった。

 

 その剣の鍔には───古代文字でこう刻まれている。

 

 

 ──────『(フアレム)』、と。

 

 

 ◆

 

 

 短期留学も15日目。ついに最終日。

 

 すっかり日も沈んだ夜。聖リリィ魔術女学院敷地内にある、学生街。

 

 その一角に構えられたオープンカフェにて。

 

「「「カンパーイ」」」

 

 飲み物が入ったカップを掲げる少女達の姦しい声が響いていた。

 

 表通りに面した屋外テーブルを借り切って、グレンが担当した2年次生月組の生徒達がそこに集い、グレン達の送別パーティーを行っていたのだ。

 

「なんつーか……あっという間だったなぁ……」

 

 主賓席の一角に腰を据えたグレンが、テーブルに肘をついて頬杖をつき、感慨深げにエビのフリッターを摘まんでいる。

 

「ふふ、リィエルの短期留学が成功して……本当に良かったですね」

 

「先日、俺達の学院へ、リィエルの課外単位取得証明書を速達で送ったんだが、その結果が早速、セリカから通信魔術で帰ってきたぞ。リィエルの落第退学は取り消しだと」

 

「そうなんですか!? 良かった!」

 

「セリカのやつ……面子を潰された反国軍省派の連中の悔しそうな間抜け面に、それはそれは、大層笑いしたそうな」

 

 容易に思い浮かぶその光景に、システィーナはジト目の呆れ顔、ルミアは苦笑いだ。

 

「ところで……そのリィエルはどこ行ったんだ?」

 

 ふとグレンが周囲を見渡す。

 

 この送別パーティーの主賓の1人であるリィエルの姿が見あたらないのだ。

 

「あれ……? そういえば……少し前までそこの席にいたのに……」

 

 ルミアもきょとんとして、リィエルの姿を探す。

 

「リィエルなら、少し前に、エルザさんと一緒に、散歩に行ったわよ?」

 

 すると、システィーナが、そんな風に口を挟んだ。

 

「エルザと一緒に?」

 

「ええ。……まぁ、リィエルはこの学院の人たちの中では、特にエルザさんと仲良かったしね。帰る最後の夜、2人で積もる話でもあるんじゃないかしら?」

 

「……確かにな」

 

 グレンがそう言って、また周囲を見渡そうとすると、顔が真っ青なアナスタシアがいた。

 

「おい、大丈夫か? すっげぇ顔色悪いぞ? 酔ったか?」

 

 馬鹿にするように言うグレン。

 

「……先生バカなんですか!?」

 

 アナスタシアは、小声で叫ぶという器用なことをやっている。

 

「いきなりバカとか酷くね……?」

 

「今日は留学最終日で、僕達の気が一番抜ける瞬間なんですよ!? リィエルさんを狙うなら今が一番のチャンスじゃないですか!」

 

「「「っ!?」」」

 

 アナスタシアの言葉を聞いた、グレン、システィーナ、ルミアの顔が驚愕の表情に変わる。

 

「今、このタイミングで、リィエルさんがエルザさんと一緒に抜け出したっていう事実が物語ってる……とにかく探しに行きましょう!」

 

 そうして、2年次生月組計41名での捜索が始まった。

 

 

 ◆

 

 

 ───一方、その頃。

 

「ふふっ……リィエルったら、ライツェル・クルス鉄道構内で、出会い頭にいきなり私に斬りかかってきたんだよ? あの時、私、びっくりしちゃった」

 

「う……、それは……その……うん……あの時は……」

 

「……あの時は?」

 

「ええと……なんか、うまく言えないんだけど……エルザが、怖かった(・・・・)……から」

 

「え? 怖かった? ……私が?」

 

「ん……あの時、わたしは……うん……そう、エルザが怖かった……背後から、恐ろしい敵が忍び寄ってきたのかと……そう思って……」

 

「…………………」

 

 エルザの無言にリィエルが弁解しようとした、その瞬間。

 

「……流石だね。リィエル」

 

 ぼそり、と。

 

 エルザがそんなことを呟き……すっと、音もなくベンチから立ち上がる。

 

「あの一瞬でわかるんだ……貴女は本当の天才なんだね」

 

「エルザ?」

 

 リィエルの見ている前で、エルザはそのまま数歩前に進み……足を止める。

 

 辺りは暗く、背を向けるエルザの表情は当然見えない。

 

「その剣才……少し、妬けちゃうな……」

 

「ええと……エルザ……? どうしたの……?」

 

「あはは……ごめんね、そろそろ本題に入ろうね」

 

 不意にエルザが振り返り、にこりとリィエルに笑いかけ話を再開した。

 

「……ねぇ、リィエル。聞いて。……私にはね……『炎の記憶』があるの」

 

「エルザ……?」

 

「こうして目を閉じれば……今でも思い出せる。父が殺された日のこと───私が全てを失った日のこと───そう、まるで昨日のように」

 

 そんなことを呟きながら……エルザが、ゆっくりと目元の眼鏡に手をかけ……

 

 その眼鏡を……外した……その瞬間。

 

「───ッ!?」

 

 不意に、リィエルの全身を全方位から斬りつけるように襲った、鋭利な殺気と威圧感。

 

 リィエルは咄嗟にベンチから立ち上がり、同時に大剣を錬成して、低く身構えた。

 

「え、えるざ……? ううん……あなた……一体、誰……?」

 

 驚愕と動揺に打ち震えるリィエル。

 

 一方、眼鏡を外して裸眼になった少女が、リィエルへ薄らと嗤いかける。

 

 外した眼鏡から、そっとその手を離す。

 

 支えを失った眼鏡が重力に従って、自由落下を始め……ゆっくりと……

 

 眼鏡が地を叩く───その刹那。

 

 不意にエルザの姿が、風切り音と共に霞と消えた。

 

「───ッ!?」

 

 直感が鳴らす警鐘のまま、リィエルが咄嗟にベンチから横っ飛びに離れると同時に。

 

 ざぎぃんッ! そのベンチが、突如、斜めに両断されて───

 

 ずざぁ───ッ! リィエルが足の裏で地面を削りつつ振り返る。

 

「な……」

 

 見れば、鮮やかに両断されたベンチの前には、エルザがいる。

 

 その右手には───

 

「え……? か、刀……?」

 

 いつの間にか、一振りの美しい『刀』が握られていた。

 

「……流石。やはり、この程度の攻撃では、不意討ちでも通りませんか」

 

 エルザは流れるような手つきで刃を払い、軽やかに刀を左手の鞘に納める。

 

 そして、エルザは語り始めた……自分の記憶の奥底に染みついた『炎の記憶』を……

 

「私には、父が居ました。東方の異邦人でありながら、この国に居場所を与えてくれた王女殿下こそ我が主君、アルザーノ帝国こそ我が祖国として、剣を振るった立派な軍人でした。この国で妻を娶り、この国のために生き、この国に骨を埋めると決めた……そんな人でした」

 

 訥々と語られるエルザの話。

 

「灰の病を患い、日に日に衰えていきながらも、この国のために闘い続けた父、私はそんな父を誰よりも尊敬していて……私はそんな父の重責を背負ってあげたくて……将来、軍人となることを、幼い頃から心に決めていたのです」

 

「…………………」

 

「父曰く、幸い、私には父をも大きく超える剣才があったそうです。私は嬉しかった。父を目指し、父を超えようと、毎日、必死に剣の稽古に励みました。父共に過ごす鍛錬の日々は……厳しくもあったけど、やっぱり楽しかったんだと思います。ですが……」

 

 不意に、エルザがリィエルを昏く憎悪に燃えた目で睨む。

 

「今から、2年と少し前。私の家に暗殺者がやってきました。この国に巣食うとある邪悪な魔術結社……それに多大なる被害を与え続けた父に対する復讐だったのでしょう。その暗殺者はその日、優しかった私の母を殺し、病で特に調子が悪かった私の父をも殺しました。我が家を鮮血で赤く染め上げ、我が家を紅蓮の炎包み上げたんです……」

 

「!?」

 

「……顔色が変わりましたね。やっと思い出しましたか?その暗殺者の名は……イルシア。イルシア=レイフォード。……そう、貴女ですよ、リィエル」

 

「ち、違う……わたしじゃ……ううん……でも、イルシアは、わたしでもあって……」

 

「私は貴女を許せない」

 

 リィエルの言葉をエルザは聞かず、断罪するように言い捨てる。

 

「目や髪の色を変え、名前を変え、過去を捨て……どういう経緯か知りませんか、貴女は帝国軍にいる。かつて、あんなに立派な帝国軍だった父を殺した貴女が! 父の誇りだった、私の憧れだった、帝国軍にいる! 許せるわけ……ないじゃないですかッ!」

 

「あ、ぅ……あぁ……」

 

「私は貴女を絶対に許さない……父の技で……鍛え抜いた私の技で……貴女を倒す! あの日以来、狂ってしまった私の人生を取り戻す! 貴女を倒すことで、私はやっと自分の人生を歩めるのッ! さぁ、手合わせ願いましょうかッ! イルシアッ!」

 

 そう言って、刀を鞘に納めたまま、リィエルに向かって踏み込む。

 

 波間に揺蕩う木の葉のようでありながら、天空を翔る燕の如く速い、その足運び。

 

 神速の踏み込みから、エルザの右手が霞み動き───合わせて胴が鋭く横回転。

 

 その回転力は、鞭のようなしなやかさに変換されながら、腕を伝い、剣を伝い───

 

「はぁああああああああああああ───ッ!」

 

 ───抜刀。

 

 虚空に翻る横一文字、一閃───リィエルの視界を右から左へ灼き払う白の閃光。

 

 と、同時に。 

 

 きん! 既に鞘へ収まっている刀。

 

 ───そして、その音が発せられた瞬間……リィエルの下腹部に尋常ではない痛みが生じた。

 

 後ろに下がっていながら受けた攻撃のせいで、リィエルは派手に転倒した。

 

「う、うぅ……あ……」

 

 その痛みに、頑丈なリィエルも顔を顰め……少しして、糸の切れた人形のように、倒れ伏すのであった。

 

 エルザのことを信用していたから……信用したかったからこそ受けてしまった一撃、ただその一撃はミスで済まされる程浅いものではない。

 

 これが、リィエルの敗因だ。たった1つの過ちはリィエル自身を傷つけた。

 

「……自業自得、ですね。たとえ、貴女が私を友達だと思っていても……私は貴女を友達だと思ったことは、一度だってない!」

 

 倒れ伏すリィエルに、エルザは容赦なく……それでいて、泣きそうな顔で叫ぶように言った。

 

 まだ、生き残る可能性のあるリィエルの心臓に刀を刺そうとしたその瞬間、エルザの刀がものすごい勢いでエルザの手から弾き飛ばされた。

 

「え……?」

 

 弾き飛ばされたエルザすら、一瞬刀が自分の手からなくなったことに気付けなかった。

 

「リィエル!」

 

 そこにいたのは、一振りの片手剣を持つアナスタシアと2刀を構えるジニーの姿があった。

 

「……どうしてここが……っ!? まさか、付けていたのですか……?」

 

「まさか、それならとっくに止めてましたよ。ここが分かった理由に関しては、学院をしらみつぶしに探し回ったからとしか答えられませんけど」

 

「…………………」

 

「ジニーさん、リィエルさんのことお願いできますか?」

 

「それが適任でしょうね」

 

「……私がそれをさせると思いますか?」

 

「逆にできないと思ってるのですか? 2対1のこの状況で?」

 

 エルザの言葉にアナスタシアは食って掛かる。

 

「あら、2対1じゃないわよ?」

 

 嘲笑うように優雅に歩いてきたのは、聖リリィ魔術女学院長マリアンヌだった。




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