廃棄王女と天才従者   作:藹華

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 みなさんはFGOのApocryphaイベント誰を周回していますか?僕は攻撃型のキャスターが水着ネロしかいないのでジャックちゃんとセミラミスの周回で中々苦戦しております。イリヤ欲しかったんですけどねえ……

 では、どうぞ


ジャティスの思惑とクラスの疑問

「……馬鹿なッ!?……私の法陣が……『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』が解呪(ディスペル)されているだとぉッ!?……貴様ら!どうやって解呪(ディスペル)したッ!」

 

 セイン=ファランドは驚愕していた。『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』とは法陣儀式魔術の天才であるセインが構築し、無数のプロテクト術式が組み込まれていた。

 

 1日や2日で解呪(ディスペル)するのは不可能なのだ。『なにか特別な力を使わない限り(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「……生憎と【Project:Frame of Megiddo(プロジェクト・フレイム・オブ・メギド)】を起動させる訳にはいかないんだ……」

 

 アレスはその言葉と同時に消え、セインの背後に回り手刀を打っていた。

 

『なぜその男を殺さないんだい?』

 

 セインを気絶させるとジャティスが通信してきた

 

「……アンタの試練とやらに殺しは含まれてなかったと思うんだが……?」

 

 アレスは心底不思議そうな顔をしながらジャティスに聞く

 

『だが、そいつは天の智慧研究会のメンバーだ。ルミア=ティンジェルを殺そうとしてる急進派のね』

 

「残念だけど、関係ないんだ。ルミアを『殺害』するのも『確保』するのも変わらない……どっちも結果は同じだからね」

 

 『急進派』はルミアの殺害を目的とし、『現状肯定派』はルミアの確保を目的としているが、捕まればどのみちルミアは死ぬ。魔術競技祭のときにエレノアはルミアを殺害しようとした、結局ルミアの遺体を回収できればそれでいいのだ。

 

「それより、次の試練はなにかな?」

 

『おっと忘れるところだった……次はフェジテ行政庁市庁舎を破壊し、フェジテ警邏庁警備官、ユアン=ベリス警邏正から第二の『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』を聞き出し解呪(ディスペル)してくれ』

 

「……破壊系の魔術なんて持っていないんだが……」

 

 アレスは訴えるが

 

『魔術で出来ないのであれば弓ですればいいじゃないか』

 

 ジャティスにはバレていた。

 

「……了解」

 

 アレスは通信を切りため息をつく。

 

「……アレス君……もうやめよう?……あの人の言うことなんて聞かなくても……」

 

 ルミアはアレスを説得しようと試みるが

 

「……あ~まぁそうなんだけど……」

 

 曖昧に言葉を濁すアレスは続けて

 

「……僕とルミアが逃げれば、少なくともフェジテにいる全ての人が死ぬよ……?」

 

 アレスの言葉ルミアは固まる。

 

「ルミアも気付いてるでしょ?自分の異能がただの『感応増幅』じゃないことくらい……」

 

 その言葉は事実だ。タウム天文神殿に行ったときに自分の異能を行使した状態で【ファンクション・アナライズ】を使うと今まで読み解けなかった術式すら読み解けるようになる。通常の『感応増幅』は魔力を増幅させるだけであって、決して桁外れの魔術演算処理能力を与えること(・・・・・・・・・・・・・・)ではない。

 

「……詳しくは僕も知らないけれど、ルミアの異能は感応増幅とは全く別の物だと思う。それを天の智慧研究会が狙うのなら……帝国だけでなく世界そのものを崩壊させてしまうくらいに危険なモノなのかもしれない……」

 

 『メルガリウスの魔法使い』を描き聖エリサレス教会によって火刑に処されたロラン=エルトリアの最後の言葉は『教典は万物の叡智を司り、創造し、掌握する。故に、それは人類を破滅へと向かわせることとなるだろう────』だった。もしロラン=エルトリアの教典が禁忌教典(アカシックレコード)を指す場合、人類を破滅に追いやるのは禁忌教典(アカシックレコード)とルミアの異能だからだ。

 

 アレスはそんな考えを破棄する

 

「……フェジテを救うには、皆を救うにはルミアの力が必要なんだ……だから、その力を貸してくれ」

 

 今はルミアの力が必要なのだ。アレスは別に逃げ出すことも構わないが、それで悲しむのはルミアだろう。

 

「……うん、分かった」

 

 ルミアは微笑む。

 

「……じゃあ行こうか」

 

 そう言ってアレスはセインを裏路地へ放り投げ、ルミアを抱えてフェジテ行政庁市庁舎から少し離れたビルへ向かった。

 

 アレスは無詠唱で矢を投影し、弓に番える。

 

「《偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)》」

 

 アレスは《偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)》を上に向けて放つ、着弾地点はもちろんフェジテ行政庁市庁舎だ。

 

 次の目的地はフェジテ警邏庁なのだが、そこへ向かう途中変なものを見つけた。

 

 見つけたものは号外新聞なのだが、変なことが書いてあった。

 

「……犯行声明文……?」

 

 その犯行声明文には『帝国政府に告ぐ。ルミア=ティンジェルの身柄は、この私、アレス=クレーゼが頂かったり。彼女の素性が公にされることを是とせぬならば、提示した身代金を指定した日時までに用意されたし。この度の市庁舎の爆破は、帝国と敵対すという、私の威厳たる覚悟を示すものである』と書いてある。

 

「……あいつ……」

 

 アレスはそんなことを言っていないので、必然的にジャティスということになる。

 

「いたぞッ!……あいつがアレス=クレーゼだッ!」

 

「……ジャティス……この状況で『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』を聞き出せとか……ッ!」

 

 警備官に見つかりルミアを抱えながらユアンの元までどう行こうか迷っていると逃げ道を警備官に塞がれたのだ。

 

「……暗示か……」

 

 アレスはこの警備官たちが暗示を受けていること看破した。それはそうだ。どんなに優秀な指揮官であろうとも指示と行動には多少なりともタイムラグがある。これは伝達速度の限界と埋めきれないタイムラグがある筈なのに、この警備官たちにはそのタイムラグがない。

 

「……暗示……?」

 

 ルミアはアレスに聞く

 

「……ジャティスが言っていたユアンという人物は暗示に長けた人物ということさ」

 

 アレスはルミアに簡単な説明をしながら

 

(……これ国家反逆罪とかならないよね?そんなことなったらこの5年間の苦労が全部水の泡なんだけど……)

 

 内心、結構ビビッているのである。

 

「《我・秘めたる力を・解放せん》」

 

 【フィジカル・ブースト】を使って警備官を真正面から突破するアレスだが、そこに通信魔術の反応が来た。

 

『まだ『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』の場所を聞き出せていないのかい?』

 

 ジャティスは煽るように聞いてくるが

 

「アンタが聞き出すまで囮をしていたんだから感謝して欲しいんだが……」

 

 ジャティスがアレスの名前を使って時点で囮役だと薄々勘付いてはいたが、この通信で確信した。

 

『では、感謝の気持ちとして『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』の場所を教えてあげるよ。場所はリントン記念公園の東側の藪の中だ』

 

 アレスが警備官の相手をしている間、ジャティスはユアンを尋問したのだろう。

 

「ありがとな……」

 

 アレスはジャティスに感謝を述べる。

 

『……君はルミア=ティンジェルのことになると人が変わるね……』

 

 ジャティスはアレスを見透かしたように言う

 

「……そうかもしれないね……」

 

 そう言って通信魔術を切る

 

 その時、抱きかかえているルミアは何かを言いたげだったが何も口にすることは無かった。ルミアは直感したのだろう、今聞いたところでアレスが答えることは無い。アレスは自分が何者なのかすぐに分かると言っていた、その時に聞くしかないのだ。

 

 無事、リントン記念公園の藪の中にあった『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』を見つけ、ルミアの異能を借り解呪(ディスペル)する。

 

「《終えよ天鎖・静寂の基底・理の頚木は此処に解放すべし》」

 

 二つ目の『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』も解呪(ディスペル)すると異質な魔力を感じ振り返る。

 

「どうしたの?」

 

 アレスの顔は焦っている顔だったのかルミアが心配そうに聞いてくる。

 

「……ジャティス……お前、グレンとシスティーナを巻き込んだな?」

 

 通信魔術を起動しジャティスへ怒気を孕ませながらアレスは言う

 

『まさかもう気付かれるとは……これも読めなかった(・・・・・・)

 

 アレスが気付けた理由は2つの疾風脚(シュトロム)の魔力波動と1つの異質な魔力、ルーン語ではなくもっと『原初の音』に近い竜言語魔術(ドラグイッシュ)や天使言語に近い魔力の波動だ。

 

 疾風脚(シュトロム)はシスティーナと敵の1人、そして異質な魔力の持ち主と戦っているのはグレンだ。

 

 これはアレスの誤算、そもそもジャティスがグレンを巻き込まないことなど無かった。そしてジャティスの策略によって暗黒面に行きそうになったグレンを止めるシスティーナも巻き込まれに行くという形になる。

 

『助けに行きたいのなら行ってもいいんだよ?次の試練までどう過ごすかは君の自由だ』

 

 それだけ言ってジャティスは通信を切る。

 

「……イヴを信じるか……」

 

「えっ?……ッ!?」

 

 アレスの言葉にルミアは首を傾げるが、凄い風圧がルミアを襲った。

 

 アレスは疾風脚(シュトロム)を使ってグレンを助けに行くと決めた、イヴがシスティーナを救いに行くことを願って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方アルザーノ帝国魔術学院の2組では

 

「はぁ!?アレスがルミアを攫って市庁舎の爆破をした!?」

 

 カッシュが疑問を露わにする。

 

「少なくとも警備員はそう言っていたし、号外にも載っている」

 

 ギイブルは淡々と告げる。

 

「それに昨晩未明、システィーナの家を何者かが襲撃したらしい。リィエルは意識不明の重体……ルミアとシスティーナの2人は事件後行方不明、そして……フィーベル邸襲撃の直後、アルフォネア教授の家も、何者かによって跡形もなく爆破されたそうだ」

 

 ギイブルは続ける

 

「僕らの周りで起きるこの手の事件……先生が僕達のクラスに赴任して以来、多過ぎる(・・・・)。偶然、運が悪かった、それで片付けられてるレベルを、もうとっくに過ぎている」

 

 ギイブルのこの発言は今このクラスにいる者の全ての代弁であった。

 

「そして、今までの経験則で言えば、先生はどちらかというと『巻き込まれる』形で事件に関わっていた。学院爆破テロ未遂事件……王女陛下暗殺未遂事件……遠征学修先での事件……確かに先生の動きが派手で目立つけど……あくまで、先生は事件に『巻き込まれ』、それに『対処していた』だけなのは明白だ……逆にアレスは先生の派手さに隠れて事件に『巻き込まれに行っていた』」

 

 ギイブルの発言に口を開いたのはセシルだった。

 

「先生は分かったけどどうしてアレス君が?」

 

 セシルの発言にギイブルは眼鏡を上げながら言う

 

「さっき言った事件の中で彼の姿を見た人がこの場にいるかい?いるはずがない、なぜなら彼は事件に『巻き込まれに行っていた』のだから」

 

「……確かに、学院爆破のときはトイレにいたとか言ってたし……魔術競技祭のときは閉会式に参加してなかった……遠征学修のときは忘れ物をしたって言って……」

 

 ギイブルの発言にカッシュが思い当たることを述べる。

 

「そして、この事件の中心にいたのは誰だ?……別に僕が指摘するまでもない。普通に考えれば……常にそれらの事件の中心に居た人物がいるじゃないか」

 

 それは……誰もが心の底で思いながら、触れまいとしていたことであった。

 

「……ルミア=ティンジェル。……彼女は一体、なんなんだ?」

 

 最早、目を瞑っていられる時期は、とっくに過ぎていたのかもしれない。




 アレス君の口調がちょっとおかしいというか丁寧じゃなくなったのはそれだけ余裕がないと思って下さい。

 あと、クロエ強くないですか?モードレッドワンパン出来る☆4ってクロエくらいなんじゃないですかね

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