あぁ、また無駄な時間と想いを費やした─
高校3年の現役男子高校生である俺、裕月(ゆつき)は思っていた。
また好きが叶わなかったのだ。
俺はどことなく惚れっぽい。というかチョロい。
優しくされた〜とか、少しでも可愛いな〜と思ったりとか。
そんな事で好きになってしまう。
そしてその好きになった感情(片想いと言うべきか)は、
間違いなく叶わない。100%。多分。間違いなく。いや絶対。
なぜか。
なんて、そんなの自覚している。
【腐りきった顔】と【腐りきった性根】のせいだ。
顔は某顔面偏差値測定サイト(美人度測定とも言われる。現実世界でも探せば見つかるやつだよ)で 3.0 を超えたことがない。
こういうのは自分でやってて泣きを通り越して笑えてくる。
そして虚無が訪れる。
なぁんでこんなことしてんだろうって。
しなきゃ良いってのは分かってるけどなんか…ね?
そして性根。というか性格云々。
マジで救いようが無い。
隙あらば自分を傷つけようとし、独り言も多いし、悲観的で被害妄想気味。友達も少ない。人を妬む感情は人一倍ある。さらにオタク。典型的な二次元オタク。その上で、俺は些細なとこにも気を配れる最強の優しいマン…などと思っている。そして、その救いようの無さを自覚している。
ここまで腐りきっているともはやクズという言葉がぴったりだ。
悪口や陰口の多さも数知れず。こういう事に関しては耳が良く働く。中学に入ってほぼすぐくらいに言われた気がする。具体的に言うとオタクになった頃だな。うん。
高校に入って旧友とも学校が離れ離れになったおかげで高校では完全に孤立無援状態と化していた。部活の図書部では所属してる同級生全員(と言っても指折り程度)とも仲良くなれたが…奇人しかいないのでどうも言えないし、同じクラスでも無かった。(でもオタクしかいなかった。唯一の救い?)
昼食の時間になると俺はクラスの自分の席から離れる。絶対に。
これは1年の夏の終わり頃に、昼食の時間が始まりたまたまトイレに行って帰ってくると俺の席に座ってご飯を食べるクラスメイトの姿を見たからだ。
退かすのも悪いのでこっそり自分のカバンからお弁当を取り出し、(出来るだけ)人目のつかないところを見つけて食べた。
というのも、HR教室を出てトイレ前を少し過ぎた辺りの渡り廊下の(ちょっとした)階段の右側端っこである。特別教室のある棟との渡り廊下だった為、人通りも少ないほうだった。
そこで食べるのが日課になっていた。
席を退かないことで自分に罪悪感のようなものがあるような気がしたから。友人のいないクラスは居心地が悪かった。とにかくそこを離れたかったのかもしれない。
冬になり全体が冷たく感じられた。俺のいる学校は都会より少し北にある田舎で、冬になると極限まで冷える。
食べ終わったお弁当を自分の近くに置き、縮こまってスマホを弄っていると、話しかけられた。
A「なにしてんの?」
左を振り返ると女生徒2人の内の1人が俺に話しかけていた。
メイクをしてそうな…いやでもこの学校メイクは禁止…なんて思う暇はなく、何をしているか答えなければ。
A「ゲーム?」
俺「えっあっはい、うん、そう。」
俺の一言一言は毎日反省会である。敬語はなるべく使わないって決めてたのに。
A「寒くないの?」
俺「結構寒い。」
音ゲーをしていた俺にとって致命的な寒さである。
A「なんで教室にいとかへんの?」
俺「いや…ここの方が……(言葉が出ない)」
A「教室の方があったかいやん!」
俺「うん…あっそっか…」
その後何かを会話した。内容はアガっていて憶えていない。何しろクラス以外の女性から話しかけられるなんてことは今までなかったから。
(学校のチャイム)
A「あっなってもーたやん!じゃあ行くな!バイバーイ!」
俺「あぁっバイバーイ…(小声になっていく)」
とても押しの強い生徒だった。いかにもギャルっぽくて……。
同級生のようだった。学年判別のスリッパが俺の色と同じだったから。
なんでこんな俺に話しかけたのだろう。物珍しさ…?
とはいえどうせ…。と思っていた。
物珍しさなら俺のことなんざすぐに忘れるに決まってる。ギャルっぽかったし、友達も多そうだし。
あっ。名前。聞いてなかったな…。まぁいいや。どうせこれっきりだろうし。
これが運命の出会いの手がかりとなっていたのは、この時はまだ思ってはいなかった─。