ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~   作:アゲイン

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第五話、覚醒。
パタポンの設定と精神をこう書きたい。


決着ということらしい……覚醒しました

 所狭しと魔弾が迫り、俺の命を滅せんと、巨大となって視界を奪う。

 

 鼓動が命ずるそのままに、おもむろ手足が動きだす。

 

 一つ二つで足りぬなら、三つ四つと重なり響く。

 

 まだまだ足らぬと五つに六つ、七つ八つと鼓動する。

 

 九つとうとう終わりが見えて。

 

 

 ―――十で至るは、果てなきか。

 

 

 

△  △

 

 

 

 おかしなくらいに高鳴る鼓動が、十回目の音を鳴らした。

 それは今まで俺の内側でしか聞こえなかったはずなのに、今度のはそれじゃあ足りないとばかりに外へと鳴り響いた。

 それからだ、俺は唐突に、自分の力を理解した。

 

 

 

△  △

 

 

 

 人間の子供にここまで手こずることになるとはと、悪魔は内心で臍を噛んでいた。

 悪魔は冥界で名の売れた存在だと言っていたが、それが原因で大物に狙われ人間界に逃げ込んできた。

 悪魔の存在などまるで考慮できない人間を相手に遊ぶようにしてその命を奪うのは冥界での鬱憤が晴れとても楽しかった。

 慎重に慎重に、他の奴等にばれないようにことを進めるのは億劫だったが、ここで身バレしてしまっては元も子もないと慎重にやってきたのだが、今回は生憎感づかれてしまった。

 

 まあ、しかし、それもこれで終わりだ。

 多少出来るようではあったが、それも自分とではまるで相手にならないようなガキであった。

 しかし念には念を入れ、自分が放てる最大級の攻撃でその魂もろとも滅ぼしてやる。

 これで勝った、そう思っていた。

 

 

「……馬鹿な」

 

 

 

 ―――しかし、現実はそれを覆す結果を悪魔に見せつけていた。

 

 そこには自分の攻撃を打ち破り、ボロボロのガキがそれでもふらつくことなく立ち上がる姿があったのだから。

 

 

 

△  △

 

 

 

「……馬鹿な」

 

 目の前の光景が信じられない、そんな感情を吐露するように短く発せられたその言葉に、思わず笑いが出てしまう。

 そんなにあり得ないことだろうか、そんなに信じれないことだろうか。

 しかし目の前でそれが起こったのなら、認めるしかないと思うんだがな。

 

「よう、どうしたよ。終わりにするんじゃなかったのか?」

 

 体の様子とは裏腹に、ピンピンとしていることを示すようにして手を広げて挑発してやる。

 それでも奴はまだ信じられないようで、言葉を発することができないみたいだ。

 まあそれもそうか、よくよく考えてみれば、これはあり得ないはずだからな。

 

「そんなにショック受けるなよ。お前の攻撃を受けて、俺は死ななかった。たったそれだけのこと、どうこう考えるのはナンセンスだぜ?」

 

 でもまあ、種明かしくらいはしてやろう。

 俺は度重なる攻撃にてズタボロになってしまった服を破り、胸元のそれを見せつけてやる。

 そこにはそれまで存在しなかったはずの、円を書くような形の入れ墨のようなものが浮かんでいるはずだ。

 

「何だ……そいつは」

 

 悪魔も見たことはないだろう、そりゃそうさ。こいつは俺の元いた世界じゃ定番とも言われたサークルだが、じゃ配置やマークが違うんだからな。

 

「俺ってば、ちょいと特殊な生まれでね。こいつはその証、俺が持っていた力が形となって現れたのさ。

 

 かつて空想の世界にて、世界の果てを目指さんと、あらゆる障害を乗り越えて様々な強大な敵と戦ってきた部族がいる。

 そいつらも目的はただ一つ、果ての果てにあるという『それ』をその目で見ること。

 神の太鼓に導かれ、戦う彼らを、俺はこう呼ぶ」

 

 

 

 ―――パタポン。またの名を『太鼓の戦士』と。

 

 

 

 そう言葉にするや否や、胸の紋章が輝いて俺の周りのそれらが現れる。

 半透明のそれらは四角を作るように、均等な距離で宙に浮かぶ。

 それぞれが独特な形をしているものの、円筒状であり、正面にはまるで顔のようなものが彫られている。

 これこそが、俺の力。

 この世界において異常となる、俺だけの能力。

 

 

 

「―――異能「四方太鼓」

 神が鳴らした、聴く者の行く末を導く聖なる太鼓だ。

 今の俺は、太鼓が響かせる音色によって大きく強化されている。それは鳴り響く限り、対象を支え強くする。

 

 さあ、行くぞ。もう、お前ごときに時間は掛けたくねぇからな。今度はこっちからやらせてもらう。

 

 ―――これで終わりだ、クソ悪魔」

 

 《ポン! ポン! パタ! ポン!》

 

 四つの太鼓の内、二つが軽快な音を響かせてリズムを刻む。

 それはゲームにおいて「攻撃」を意味するコマンドであったが、俺の異能では攻撃力を上げるものへと変化している。

 そしてもちろん、コマンドはそれだけではない。

 

「はっ!? ち、ちくしょうもう一度だ!!」

 

 度肝を抜かれるような事態に放心していた悪魔も、太鼓の音に反応して攻撃を再開する。

 先程大技を繰り出したというのに魔弾の威力は衰えてはいなかったが、それでも放たれたのは一発。

 

 

 《チャカ! チャカ! パタ! ポン!》

 

 

 その攻撃は俺に当たる前に、次のコマンドは完成している。

 今度のは「防御」のコマンド。

 受け止めることすらできなかった魔弾も、今の状態ならまるで問題なく耐えられる。

 むしろ、

 

「ふんっ!!」

「な、何っ!?」

 

 攻撃、防御ともに強化された状態でならば、小太刀の一振りで打ち払うことも可能である。

 これは流石に予想外だったのか、間髪入れない攻勢が得意であったはずの悪魔も手を止めてしまう。

 その間に更にコマンドを重ね、強化をより強力にしていく。

 

「ち、ちくしょう!! 何だ、何だってんだお前は!!!」

 

 そしてその時間が命取り、気付いた時には悪魔の攻撃などもうモノともしないほどに、俺は強くなっていた。

 そして―――

 

 

「―――残念、時間切れだ」

《―――フィーバー!!》

 

 コマンドの詠唱が合計十回となり、全強化状態「フィーバー」へと俺を押し上げる。

 本来ならもっと相応しい使い方があるのだが、今の俺では素の状態でしかこの力を扱えない。しかしそれで十分、今この時だけであれば、それでいい。

 

「―――じゃあな、欠片も残さず消えてくれ」

「まっ、待てっ……!!」

 

 全身全霊を込めた一撃、それなりの距離が空いていたにも関わらずそれを一歩で踏み潰し、小太刀は音速の壁を切り裂いて悪魔の首を切り裂いた。

 

「……ふぅ」

「がっ…う……ぅ…………」

 

 あまりの勢いに悪魔を通りこしてしまったが、地面に足裏を擦り付けて勢いを殺し停止する。

 悪魔はその生命力故か、切り飛ばされて頭部だけとなっても少し意識があるようだった。それとは逆に即座に力を失って倒れていく体。

 どさりと倒れ付したその様子から、もう動き出すことはないと見て頭部の方へと歩いていく。

 

 

「……仇は討てた。誰が喜ぶかは分からないけど、それでも俺の中で決着がついた」

「く……く、そがき……ぃ……」

「お前が俺たちから奪ってきたものを思い返せなんて言わない。ただ、奪われる感覚だけを覚えてこの世から消えていけ」

「お、おぉ……ぉ……、」

 

 弱々しく呻くだけとなり、そして唯一視認できる目を見開いたまま、その瞳から生気が失われていく。

 これでもう、こいつが原因で人間の平穏が乱されることはない。

 一先ずは、これで、

 

 

 

 

「―――だなんて思っちゃいねえよ」

「ごあっ!?」

 

 

 

 背後に向けて小太刀を投じ、それの行動を阻害する。

 強化の切れていない状態での投擲は、例え手首だけを可動させたとしても凄まじい威力をもって目標に突き刺さる。その運動エネルギーはそれなりの重さをもっているはずのそれを吹き飛ばし、勢いのまま壁へと縫い止めた。

 

「く、くそ!! な、なぜきづいた!!」

「気付かれないとでも思ったか、てめぇ悪魔だろうが」

 

 俺が攻撃したものの正体、それは首がないにも関わらず一人でに動き背後から奇襲を仕掛けようとしていた悪魔の胴体である。

 頭を切り飛ばしたことで胴体との距離が空き、それに挟まれるようにして移動したのだが、ある懸念を抱えていた俺はわざとその位置取りをしていたのだ。

 

「お前は悪魔の力がある癖に、俺の母親を殺した手段は刃物によるものだった。使い慣れた力の方が融通が利いたにも関わらずにだ。

 お前が俺との戦闘中、いつそれを使うのか。

 それはとどめの瞬間かと思っていたが、それでもお前は魔弾を使った。そこである仮説が浮かんでくる。

 もしかして、刃物を使うときは何か条件があるんじゃないかってな」

 

 そしてそれは、もう一つの真実を浮かび上がらせてくれる。

 

「お前は殺しをする割りにえらく慎重だ。俺を確実に相手を殺せる手段を選び、殺人をするときは顔を隠して活動している。

 そんなお前が、人間としての姿で俺と戦うのは何か違和感があった。悪魔悪魔と言ってはいても、そんな要素はどこにもない。

 じゃあ、どこにその証拠があるのか。

 そもそも顔を隠しているのも、何か別の事情があるんじゃないのか。

 冷静になって考えてみた、そしてある仮説が俺の中に出来上がる」

 

 

 

 

 

「―――お前は人間に取り付いた悪魔で、お前が顔を隠すのは、逆に顔がないということを印象着けるためなんじゃないかってこと。顔に注目させておいて、その本体は体の方に寄生しているってことがだ。

 お前は人間の肉体を操ることで色んな捜査を掻い潜ってきた。だからこそ、このトリックに自信を持っているはずだとな」

 

 そう、だからこそあえて奇襲のしやすいような位置取りをして攻撃を誘い、まんまとこいつは引っ掛かったというわけだ。

 遠距離での戦いや、座ったままの戦いも、できるだけ生身であると分からせないように工夫をしてのこと。

 一度攻撃が効かないと判断されれば、同じ攻撃はされにくいからだ。

 

「ち、ちくしょう……!!」

「悪いが、裏をかこうってんなら程度が浅いぜ。こっちはそういうことに関しちゃそれなりに知識もってんだからよ」

 

 だてに前世で中学高校とアニメやラノベ、ゲームで小遣いすり減らしてねぇんだよ。

 まさかってものが本当にあり得るのなら、大方の予想はつくってもんだ。

 

「小太刀には太鼓の力が込められている。生半可な抵抗じゃ意味を成さねぇ。さあ、これで本当に仕舞いにしよう」

「くそ、ちくしょう!! 俺が、俺様がこんなところでぇえええ!!!」

 

 抵抗は無意味だと告げても尚逃げようともがく悪魔の本体。お前を守るはずだったその肉体も、今ではお前を縛る檻。

 身動きのできないそこで、消滅する恐怖を味わうといい。

 では、此れにて。 

 

 

「―――往生せいやぁあああ!!!」

 

 

 腰だめに構えた右の拳、縦から横へと回転させ、踏み込みの力を連動させる。

 足から伝わる衝撃を、筋肉で伝え骨で支えて繰り出す。

 形はただの正拳突き。

 しかし、そこにはそれまで溜めに溜めた俺の力が宿っている。

 それを奴の腹部へと打ち付ければ、解放された力が悪しき存在を滅していく。

 そのあまりに強力な力による暴力的な浄化に、もはや言葉すら発することなく、爆発し、粉微塵となり、周囲へとその残骸が四散した。

 

 

 

 

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