IS-KaRaKuRi/Knight-   作:reizen

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前話といい、今話といい、やたらと青春チックな題名だなぁおい。
考えているの、私ですけどね。


ep.2 その思い、君の届け

 刀奈さんを無事送った僕たち。すると、刀奈さんは眠たいのを無理やり我慢するかのように地下に織斑先生って人がいると教えてそのまま眠った。何故か心配そうに僕を見たけど、気にしないでと言って地下に行かせた。

 

「で、君は一体何者なんだい?」

 

 避難せずに待機していた養護教諭に尋ねられたので、証明書を見せる。

 

「……まさか、君みたいな子に許可が出るとはね」

「今回のことは関係ありませんよ。僕も巻き込まれただけです」

 

 そう言うが、訝し気な視線を送られるだけだった。

 

「すみません。ちょっとトイレに行ってきます」

 

 ちょっと居心地が悪くなったので、そう申し出て僕は部屋を出る。

 そして弾倉をチェックして、今度は前髪を上げるためにカチューシャを付けた。……いや、正しくはカチューシャ型のヘッドセットだ。それを起動させて僕は周囲を探る。

 

(……やっぱり)

 

 たぶん追ってくると思っていた。

 

「プライドですか?」

「そうだ」

 

 そう言って銃を抜く男性。銃種は詳しくないからどんなものかわからないけど発砲してきた。だけど僕だって準備を怠っているわけじゃない。僕専用のバリアが銃弾を防ぐ。

 

「君は一体何者なんだ。どうしてISのようなバリアを持っている」

「ISのような、ですか。その認識は間違っていますよ」

 

 左腕に砲台を装備して素早く空気砲を撃った。

 すると男性が後ろに押し返される。

 

「そろそろ明かしてもらおうか。君は一体どこの所属だ」

「所属なんてありません。中二病を患った一介のからくり技師です」

 

 もっとも、僕の装備は非現実的だ。

 砲筒はもちろんのこと、何よりも僕の周囲に漂う3つのシールド。このシールドを浮遊させるのに使ったのは、「電磁浮遊」だ。

 古来より、物体が宙を浮いていた理由として重力に逆らうほどの力場を発生させてきた。僕の場合は安価で済まさせたかったこともあって、莫大の電気を必要とするけどその分命を預けられる「電磁シールド」を開発したのである。浮いているのは床が離したくなる種類の電気を発生させて浮かせているのである。……その分のコード量は半端ない。

 

「まぁいい。あの尻軽女ではなく君を捕らえて吐かせばいいだけだ」

「捕らえる、ですか。できればいいですね」

 

 弾質を砲筒外側のレバーで設定する。この砲筒もかなり特殊で、内部でレールガンのように空気を圧縮して撃ち出している。

 もっとも、連射式ではないのですぐに接近された。振り下ろされるナイフを砲筒で受け止め、リストバンドに隠していた大型破壊爪を出して顔を掴み、投げた。

 

「仕方ないですね」

 

 相手が本物を使うなら、こっちだって本物を使うしかない。

 腰のベルトの裏に隠していたグリップを出す。

 

「死ね、ガキ!」

 

 接近してきてもう一度振り下ろされるナイフ。僕はそれをグリップで受け止めた。

 

「そんな小さいので―――」

 

 相手の男は言葉を切る。それもそうだろう。今も自分の首にヒカリモノが接近しているとあれば誰だって話をしている余裕はない。すぐに距離を取ってくる。だが、相手はそこで逃げることはない。

 

 ―――ピッ!

 

 間一髪で避けたけど、かすったから血が滴り始めた。

 

「勘のいい奴だ」

「……ここで死んだら、彼女たちがあらぬ批判を浴びそうだから死ねないんですよ」

 

 実際、ありえそうな展開だから怖い。僕がこれまで何をしていたのかあの両親は知ってしまっているし、そのせいで死んだとかなったら本気で怒り狂いそうだ。……まぁ、それだけ大事にしてくれている証拠だと思うけど。

 

「だが、こっちにはあずかり知らぬことだ」

 

 そう言って男性は僕に銃口を向けて引き金を引く。飛び出す弾丸を勘でナイフを振り抜いて彼方へと弾いた。

 

「やはり、お前は異常だ。異常すぎる」

 

 酷い言われようだ。

 

「僕はそのつもりはないんですけど―――ね!」

 

 接近して相手の首を狙って刃をむき出したナイフで振るう。距離を一度取られたけど、すぐに詰められて腹部を蹴り飛ばされた。

 

(や、やばい―――)

 

 鳩尾に入った。それに、痛みで体が動かない。

 こんなところで倒れるわけにはいかないのに。こんなところで、倒れるわけには……いかない。

 ナイフを投げて腕に刺す。今の僕を見たら誰だって正気か疑うけど、僕は正気だ。

 

「お前、何の真似だ」

「僕は倒れるわけにはいかないんです。相手が誰であろうと、勝たないと」

 

 誰に強制されたわけじゃない。傍から見れば僕が勝手に動いたことだ。

 でも、その暴走で誰かが被害を被るのはごめんだ。

 

「それに試してみたいじゃないですか。僕の中二病が本物相手にどこまで通じるか」

 

 そう言って僕は跳び蹴りを繰り出す。それを叩き落とした男は僕に向けて銃を向けるが、遅い。

 

「果てろ!」

 

 左腕に付いている砲筒を向けて発射する。

 砲筒は通常の空気砲の他にもう一つ機能が付いている。それは弾丸を装填した時の機能だ。

 一般的だが攻撃力を持った空気を圧縮して撃ち出す機能だが、僕が開発した弾丸は一般的なものとは違って、着弾と同時に爆発する仕組みだ。

 周囲を破壊するほどの爆発。それによって発生した爆風で僕は後ろに下がる。

 

「まだま―――」

 

 男は無事だったようで僕を攻撃しようとした瞬間、銃声と共に僕らの足元に銃弾が埋まった。

 

「誰―――」

 

 銃声が繰り返される。僕は上を見ると、知り合いがライフルを構えていた。

 

「ちっ。増援か」

「予定とは違いますが、捕獲させてもらいます」

 

 素早く砲筒にとっておきを装填して男に向かって撃ち出した。

 男は回避できずに浴びてしまう。超強力とりもちが瞬時に男を動けなくした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を考えているんですか、あなたは!」

 

 祝! 男の身でありながらIS学園の校舎内に入りましたよ! なんて思っていたのは束の間。僕は助けてくれた知り合いこと布仏虚さんに怒られていた。

 

「ろくに戦闘訓練を受けていないあなたが、よもやあんなことをしでかすなんて。一歩間違えれば死んでいたんですよ!」

「で、でも、仕方なかったんですよ……。だって……」

「だっても何もありません!」

 

 それから説教は軽く3時間続き、胸が大きい女性に止められてからは事情聴取が行われた。担当した人は美人だけど男がいなさそうな感じだったけど、僕が来た目的を言うと、何故か睨みつけられた。

 

「……それで、更識からは極秘データを持ってきているはずだと聞いているが……」

「あ、これですね。でも渡しませんよ」

「そうか? まぁ、極秘ならば仕方あるまい。だがな、争いの火種を持ち込むなよ」

「わかりました」

 

 そう言って僕は目的の人物を―――更識簪を探す。

 これまで何度か失敗した。でも、今度こそは―――今度はちゃんとISに適応するマルチロックオン・システムになっている。本もちゃんと買って勉強もしたんだから。

 

(………そう言えば、今どこにいるんだろう……)

 

 IS学園は広い。それに基本的には男性禁制だから変に行動すれば注目する。ここは手早く渡して帰りたい。そう思った時に彼女を見つけた。

 

「あ、かん―――」

 

 呼びながら前に進もうとすると、目の前には僕がさっき知った男がいた。織斑一夏だ。

 正直、あまり興味なかったけどこの状況はどういう―――

 

 ―――その時聞いた彼女の声は、僕にとってはとても耳障りな感じがした

 

 とても嬉しそうな声。僕には向けてくれなかった声だ。それがどうして……あんな男に?

 そう思った僕はどんな返事が来るのか、それがもしかして嫌な物じゃないのかと思い、黙ってその場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――カランっ

 

 何かが落ちた音に遮られ、簪はその方向を見る。

 

「ん? 何の音だ?」

「……さぁ?」

「ちょっと見てくる。さっきも侵入者がいたから、もしかしたらそれかもしれない」

「………うん」

 

 戦闘態勢を取った2人はゆっくりと接近し、音がした場所に近付く。だがそこには―――

 

「どうしました?」

「虚さん……」

「いえ。さっき物音がしたので侵入者かと思って……」

「………そういうことですか。すみません。先程ボールペンを落としたのでその音でしょう」

「あ、そういうことですか」

「では、私はこれで」

 

 虚はその場から立ち去り、自分の部屋に向かった。

 

 

 翌日。少し空いた時間を使って虚は自分のパソコンを起動させる。スティック型メモリを取り出して起動したパソコンに差し込む。中にはデータが入っており、彼女は躊躇いなくそのデータを開いた。

 

 

 騒動から2日が経過した。

 生徒会は処理で忙しく、遊ぶ暇がないほどだ。そうなれば―――約一名が突発的な行動を起こしたくなる。

 

「そう言えば虚ちゃんは? 本音ちゃん、何か知らない?」

「そーいえばー、やることがあるって言ってました~」

 

 そんな会話を2人がしていると、ドアが開かれる。話に出ていた虚が入って来た。

 

「虚ちゃん、どうしたの? 今忙しいんだからあまり勝手な行動は慎むように」

「会長、たまには手鏡でご自身のお顔を確認することも大事ですよ」

「うっ……。それで、どうしたの? 虚ちゃんが来るのが遅いってとても珍し―――」

 

 会長―――更識楯無は口をつぐむ。

 虚が普段以上に真面目な顔をして楯無を見ていたからだろう。幼馴染であり、自身の側近でもある虚の真面目な顔でも特別―――それこそ何らかの問題があると思ったようだ。

 

「話して頂戴」

「わかりました。襲撃当日。零司君を探している所におそらく彼が所持していたと思われるメモリスティックを発見しました」

 

 そう言って虚はスティック型のメモリデバイスを2人に見せる」

 

「……確かに、それは零司君のものね。見たことあるわ。………もしかして、その中に例のシステムが?」

「はい。3つほど」

「……3つ?」

「これまで、零司君は3回ほど見せに来ていましたから………それで例のシステムですが……すべて完成していました」

「「!?」」

 

 2人はその言葉に驚きを見せる。2人も零司がこれまでマルチロックオン・システムを作成していたことは知っていたが、これまでISの知識はからっきしでおそらく触り程度しか知らない男が完成させたという話なのだから。

 

「もっとも、素人らしく言語を間違えたり、一部修正する必要はありますがすぐにでも可能です」

「じゃ、じゃあすぐにしましょう! そうすれば簪ちゃんもちゃんとした第三世代機を持つことができるわ!」

「…………しかし、一つ大きな問題があります。ソフトを移植するには―――本人が知るパスワードを知る必要があるのです」

 

 ―――そ、そりゃそうだ!!

 

 心の中で頷く楯無と本音。そこで本音はあることに気付く。

 

「え? じゃあ何でお姉ちゃんはマルチロックオン・システムが完成しているってわかったの~?」

「私の誕生日を入れたら普通にアクセスできたわ。でも、あくまでも仮だから本アクセス権が必要なの」

「なるほど~」

「そして問題が1つ。おそらく零司君は織斑君と簪様が会っているところを見て、簪様が織斑君に惚れていることに気付いてしまいました」

「え? 何か問題があるの?」

「…………気付いていないのですか? 零司君は簪様の事が好きなんですよ?」

 

 それを聞いた楯無と本音は固まった。

 

「………ど、どういうこと!? いつから?!」

「どういうことよ虚ちゃん! 教えて!!」

「…………………………はぁ」

 

 心からため息を溢した虚は頭を抱える。

 

「まぁ、普段はそういった感情を表に出しませんし無理はありませんが」

「で、いつからなの!?」

「………ほとんど一目惚れだったかと」

 

 そう言われて楯無はこの世に絶望したようで、膝と手をついてしまう。

 

「私っていつもそう。どうでもいいものばっか手に入って肝心の欲しいものは中々手に入らないの……何で簪ちゃんなの? 昔はあんなに甘えてきたのに……私の方が胸が大きいのに!!」

「……………はぁ」

 

 虚は自分の上司が異様に弟分である零司に入れ込んでいたことは知っていたが、まさかここまでだとは思っていなかった。

 

「まぁ、あなたが誰を好きになろうかこの際どうでも良いのですが」

「え? 扱い酷くない?」

「それよりも、今は零司君がこれほどの技術力を持っている事が問題なのでは?」

 

 平坂零司―――いや、平坂家は更識家の武器庫とも言える存在だ。

 祖先からの取り決めなのか、非常時では常に更識家に援助をしてくれている。更識家としても個人的に店舗を経営してはいるが、それでも平坂家が所有する「平坂コーポレーション」という大企業には遠く及ばない。

 ある意味では御曹司として生まれた零司だが、彼が持つ才能は幼少の時より発揮されていて、彼女らはその技術力を既に知っている。

 

「近い内に例の催しも行われるようですから、今は抜け殻みたいな状態になっているとはいえ油断はできません」

「……今どんな状態になっているって言ったの?」

「抜け殻みたいな状態です。授業もただ座っているだけで呆然としているみたいですし、注意されても聞いていないのか正すことはしないみたいです」

 

 それを聞いた楯無は檄を飛ばすという事を口実に会いに行こうとしていたが、虚に止められてしまった。

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