狼さんと妖狐が問題児と共に異世界から来るそうですよ? 作:天崎
上空4000mから落下する五人と一匹。
落下地点には緩衝材のような薄い水膜が用意してある。
しかし昴と双熾はそれに落ちる前に行動を開始する。
昴は小桃を、双熾は凛々蝶を、空中で抱き抱える。
「ちょっと掴まっててね、小桃」
「掴まっていてくだいさい、凛々蝶さま」
昴は小桃を抱き抱えたまま、右手を下へと向ける。
そして【魔狼の右手(ライカンスローブ)】を発動し、落下の勢いを弱める。
そのまま陸地へと着地した。
一方、双熾は分身を使い、落下速度を緩め、陸地に着地する。
その結果、十六夜のみが湖へと落下するのだった。
◆◆◆◆◆
「大丈夫、小桃?」
「大丈夫だ」
分かりきってるが一応確認する。
しながら乱れた服を治す。
「お怪我はありませんか、凛々蝶さま?」
「僕は大丈夫だ。君の方こそ怪我はないのか?」
「はい。僕の方も怪我はございません」
こちらもこちらでお互いを確かめあう。
その時、唯一湖に落下した十六夜が上がってきた。
「クソッタレ!!場合によっちゃその場でゲームオーバーだぞ」
服を絞りながら罵詈雑言を吐く。
そこに小桃はタオルを持って近付く。
「大丈夫か?ほら、これ使え」
「お、助かるぜ」
「私は小桃・サクライ。お前は?」
「俺は逆廻十六夜だ」
渡されたタオルで体を拭きながら答える。
小桃の背後の男から殺気を感じるが、十六夜は無視をする。
「それでこっちが、」
「昴・ハーネスト。よろしく」
語気に殺気がまだ籠ってる気がするが、それもやはり無視する。
そして十六夜は凛々蝶と双熾の方を向く。
「それでお前らは?」
「白鬼院凛々蝶だ」
「御狐神双熾です」
二人が答えると、十六夜は一同を見て言う。
「一応確認しとくぞ。お前らのとこにも変な手紙が?」
「そうだ」
「そうだね」
「愚問だ」
「そうですね」
各々が答える。
答えた後はまた各々動く。
「えーと、凛々蝶だったよな。私は小桃、よろしくな」
「宜しく………そ、その」
「どうした?」
「その、僕は癖で悪態をついてしまうかもしれないが……」
「別にいいよ。私はそんなことは気にしないから!!」
凛々蝶と小桃が話している間、昴と双熾も話していた。
「小桃があんなかんじだし、俺もよろしく」
「此方こそ、これから宜しくお願いします」
と言って握手する二人であった。
握手をする手から妙な音が聞こえるのは気のせいではないだろう。
しかし互いに表情は変えない。
◆◆◆◆◆
そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。
(うわぁ………女性方はともかく男方は問題児ばっかりみたいですねぇ……)
黒ウサギは陰欝そうに重くため息を吐くのだった。
まだ少し口調が掴めてない感じですかね?
小桃が持っていたタオルは梅製です。
それでは質問、感想待っています。