幻想郷で旅立つ黒の剣士   作:エーン

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キリトが咲夜に勝利した

本編は下です


13話 破壊心の妹と出会う

私はもう長い間ここにいる。

もう・・・何年?三桁はいるかな。

 

なぜこうなっちゃったんだろう。

 

遊び相手はいっつも人形、人形、人形・・・。

 

遊び道具はナイフ、おもちゃ、その他・・・もろもろ。

 

時に、そう時に、時になんだけど・・・人間が来るの。

 

いっつも優しい笑顔で言うの。何であそびたいんだいって。

 

けどこの人間はしらないの。

 

私がどれだけ危険な存在で危険な力の持ち主か。

 

ここに来る人間は私と遊ぶために来てくれたらしんだけど・・・もろいの。

 

すぐに人間は壊れる。

 

壊しちゃう。

 

あんな笑顔の人間は、すぐに抜け殻みたいに倒れていく。

 

なんでこんな能力を手に入れちゃったんだろう・・・。

 

「・・・さみしい・・・」

 

私は、いつまでここにいればいいの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私はナイフを手に取り、壁に掛けているダーツ的に投げた。

 

もちろん、真ん中にヒット。

 

もう、こんなの朝飯前だった。

 

なにもかも退屈で、壊すことを繰り返した。

 

そして今日もまた、退屈かつ嫌な日々だと思った時だった。

 

ぎぃい。

 

この音は・・・。

 

この鈍く遅い音は・・・。

 

そうだ・・・。

 

また・・・ドアが開いた音だ!

 

私ははっとドアの方に振り替える。

 

お姉さま!?もしかして咲夜かな!?

 

なんて、強者を求めていた私。

 

そして、私の心を期待したのは、すぐに裏切られた。

 

入ってきた人は、細い体で、コートを着ていた。

 

いかにもまた、今までの人と同じ人そう。

 

弱そう。

 

すぐ壊れそう。

 

私は、呆れて問いた。

 

???「お兄ちゃん、誰?」

 

キリト「えっと・・・咲夜と美鈴に頼まれて来た」

 

???「咲夜と美鈴・・・?」

 

キリト「あぁ、まぁ、うん」

 

???「そう・・・」

 

なんとも、弱そうだ。

 

とっとと片付けよう。

 

???「・・・来ないほうがよかったね」

 

キリト「?」

 

手を掲げ、私の能力の一部を展開する。

 

私の後に中くらいの魔法陣が出現し、その魔法陣は光ながら、能力を発射した。

 

弾幕。

 

これを食らって、皆死んでいった。

 

だからこの人も・・・。

 

 

 

 

キリト「うわっ!」

 

俺は咄嗟に前も見た弾幕を見て、一気に横に飛んだ。

 

俺の後の壁は、爆発が起こって焦げた跡があった。

 

キリト「い、いきなりかよ・・・」

 

???「へぇ・・・」

 

初めて見た。

 

よけるひとを。

 

???「すごーい!避けた避けた!」

 

キリト「・・・すごいな・・・フランは・・・」

 

フラン「私の名前知ってるんだね。そりゃ知ってるよね」

 

キリト「・・・俺は、君をここから、恐怖から解放させるためやってきたんだ」

 

フラン「・・・そんなのできるわけないじゃん」

 

キリト「・・・どうかな、俺にはできるかもしれないぞ?」

 

フラン「嘘」

 

キリト「・・・ずっと悲しい思いしてたんだろ?だったら、どうして立ち向かわないんだ、姉に」

 

フラン「だって・・・お姉さまは・・・私を見捨てたもん・・・」

 

キリト「そんなこと絶対ないよ」

 

フラン「そうだもんっ!!!!!!!!」

 

フランの絶叫は、大きな揺れを起こした。

 

体がぐらっとし、フランをみる。

 

空を浮遊する姿はまるで、吸血鬼のようだ。

 

フラン「簡単に死なないでね?」

 

キリト「人の話を聞けって・・・」

 

魔法陣はフランに応え、俺に追撃を放つ。

 

赤い光が、早い動きで俺に来たのだ。

 

剣を素早く抜き放ち、目の前にきたのをだけを切断した。

 

キンっ!

 

キンっ!

 

キンっ!

 

悲しみ、憎しみ、孤独・・・まるで俺にすべて八つ当たりしてるかのようだ。

 

フラン「もっと楽しませてよー!」

 

キリト「くっ・・・!」

 

キンっ!

 

剣が追いつくのが不思議なくらいだ。

 

ザシュッ!

 

左腕にヒット。

 

キリト「うっ・・・」

 

食らっても、構わない。

 

彼女がこれまで蓄積した、悲しみ、憎しみ、ストレス、孤独・・・そんなのに比べれば、なにも感じない。

 

キリト「・・・」

 

俺は、この娘を、助けたい。

 

フラン「アハハハハハハッ!」

 

キリト「・・・」

 

俺は無言でかわし続ける。

 

ピタリ、時が止まるように、俺に無の時間が訪れる。

 

キリト(フラン、君を、助け出す!)

 

俺は柄をグッとつかみ、思い切り地を蹴ってフランに接近した。

 

弾幕がくる中、俺はその弾幕を冷静に見続け、手に持つ剣でその目の前に来た憎しみの弾幕を、小ぶりで断つ。

 

パキンっ!

 

もう、一つも食らわない。

 

キンッ!

 

キンッ!

 

キンッ!

 

フラン「つ、強い!けど・・・」

 

弾幕が、ついに一気に止んだ。

 

俺はピタッと止まった。

 

なんだと、思った。

 

すると、フランは震えるように体が揺らぎ始め、右手の平から、空間から炎の玉が徐々に出現していく。

 

炎の剣。

 

そう具現化し、手になじむ。

 

キリト「炎の剣・・・か」

 

フラン「名は、レーヴァテイン」

 

どこか、聞いたことがある。

 

燃え盛る炎の剣。

 

その炎はフランの髪や服など揺らしていた。

 

キリト「俺は、フランを助けたい」

 

フラン「できるわけない」

 

キリト「できる、絶対に」

 

フラン「なら、証明してみせてよ」

 

思い切り振りかざす炎の剣を俺は、しっかりを目に焼き付けた。

 

そして、剣先を下にして炎の剣を受け流す。

 

キリト「うっ!」

 

じゅ・・・肌に焼けるような、火の粉。

 

痛みは感じなくとも、感じるのだ。

 

キリト「なんでその剣を、俺に使うんだ!」

 

炎の剣と、俺の剣が火花を散らした。

 

ぢぢぢぢぢぢ。

 

俺の髪や装備が熱風で舞う。

 

フラン「楽しいからだよ!」

 

キリト「なんで壊すんだ!君が壊すべきものは、俺じゃないはずだぞ!」

 

上から振り下ろされる炎の剣を、両手で片手剣を持ち俺の後へ受け流す。

 

あんな剣を食らえば、ひとたまりもない。

 

フラン「なら、なにを壊して楽しめばいいの」

 

キリト「楽しむには、自由を手に入れないとだめなんだ」

 

俺の剣が光を跳ね返す。

 

キリト「フラン、ずっと姉のいいなりでいいのか。姉を倒して、自由を手に入れたいんじゃないのか」

 

フラン「それは・・・そうだけど・・・」

 

キリト「なら、今こうやって俺と戦うことは間違っているぞ」

 

フラン「・・・」

 

キリト「この狭い部屋から出たいなら、戦わないと。そうだろ、フラン」

 

フラン「・・・」

 

フランの眼に、迷いはなくなった。

 

フラン「うん・・・けど怖い・・・。お姉さまが怖い・・・」

 

キリト「大丈夫だ、一緒に行ってやるから。けど、戦うのは手伝えない。自分の自由は、自分で手に入れないとな」

 

フラン「うん!」

 

和解なんてきっと今はできないんだ。けどこれは暴走じゃない。自分の意志で決めた、フランの気持ちだ。

 

フランはきっと強くなる。力の意味ではなく、気持ちで。

 

主様と和解させるには・・・本気でぶつかり合わなきゃ。わからないこともあるんだからな。

 

そうだったな・・・ユウキ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「ずいぶんと広い図書室だな・・・」

 

魔理沙の靴が、コツコツと音を鳴らす。

 

魔理沙「こんなに本があるなんて・・・全く、羨ましいぜ」

 

本をすっと手に取り、表紙を見る。

 

なんとも、魔法とか、植物とか、世界の様々なこととか、いろんな種類があるようだ。

 

魔理沙「こりゃあ役に立つな」

 

「誰?」

 

魔理沙「っ!?」

 

パチュリー「私はパチュリー・ノーレッジ。ここの図書室の管理人よ。これらの本はすべて私のものよ。そして、あなたは?」

 

魔理沙「霧雨魔理沙!普通の魔法使いだぜ!」

 

パチュリー「ふうん、そう、魔法使い・・・。ふふ、どうせ底辺の魔法しか使えないくせに魔法使いとなのるのね」

 

霧雨魔理沙「な、なんだと!」

 

パチュリー「教えてあげるわ、あなたが知らない真の魔法を・・・」

 

魔理沙「なに!?」

 

図書室にいた私たちの周りが異空間になり、空中に魔法陣が点々と映し出される。

 

魔理沙「こ、ここは!?」

 

パチュリー「あなたが知らない魔法の力。異空間の中であなたは死ぬ」

 

手を掲げると、魔法陣は光を増し魔法陣から無数の弾幕が魔理沙に降り注いだ。

 

魔理沙「なん!?」

 

一気に後ろによけ、かかとでブレーキする。

 

しかし、魔法はやまない。

 

魔理沙「くっ!相手になってやるぜ!」

 

箒を目の前に浮かせ、またぐと、異空間を飛び回る。

 

しかし。

 

魔理沙「のわっ!?」

 

魔法陣からの魔法、弾幕が魔理沙の箒の後にあたり、箒が燃える。

 

魔理沙「くっ・・・」

 

無数の弾幕を旋回して避け、途中で箒の上で立つ。

 

魔理沙「多すぎるぜ!」

 

手で合図し、缶状のものを浮かし、破裂すると魔法陣へ飛んでいく。

 

緑色の魔理沙の弾幕が、次々と魔法陣を破壊していった

 

パチュリー「・・・」

 

魔理沙「どうせ、この空間だって、作り出されたんだ!幻想ものにすぎないのさ!」

 

パチュリー「・・・」

 

魔理沙「食らえ!」

 

緑色の弾幕が、パチュリーに降りかかる。

 

パチュリー「ふっ!」

 

魔法書が書いていた。展開型防御壁。

 

パチュリーを覆う透明なシールド。

 

魔理沙「シールドか!」

 

パチュリー「甘く見ていたのかしら」

 

魔理沙「うわっ!」

 

弾幕を間一髪で避け、箒の火が消える。

 

パチュリー「食らいなさい!」

 

5弾が魔理沙に襲い掛かる。

 

スピードも速く、不規則かつよけにくい。

 

魔理沙「しつこい弾だぜ!」

 

しゅんしゅんと避けていく魔理沙だが、切り札を使う。

 

魔理沙「食らえ!マスタースパーク!!!!!!!!!」

 

手に出した八角形の武器は、たちまち光るとものすごい光線が空間を切った。

 

パチュリー「なっ」

 

シールドは破壊され、パチュリーの体に食らう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こあ「あぁ!?パチュリー様ぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト「・・・ここが、主様の部屋か」

 

フラン「うん」

 

キリト「怖いか?」

 

フラン「・・・うん」

 

キリト「・・・大丈夫だ。怖がって当然さ。人間だれしも怖がるからな。だけど、その恐怖に打ち勝った時、人は大きく成長するんだぜ」

 

フラン「・・・そうなんだ」

 

キリト「あぁ、俺も怖いこといっぱいあったさ、死と隣り合わせで戦ってきたからさ。だけど強くなれた。だから、フランも強くなれる。本気でぶつかり合わなきゃ、わからないことだってある。誰かさんが言っていたんだ。たとえば、フランのことをどれだけ真剣に考えているとかね」

 

フラン「うん!戦う!」

 

キリト「あぁ」

 

俺は、ドアをゆっくり開ける。

 

きぃぃぃ

 

音は急に漏れ、激しい戦いの音が聞こえる。

 

それは、霊夢とレミリアが戦っている音だ。

 

キリト「ここで待っててくれ、フラン」

 

フラン「・・・」コク

 

俺は歩み寄り、霊夢とレミリアに大声で言った。

 

キリト「戦いをやめるんだ!」

 

霊夢「ん?」

 

レミリア「何?」

 

一瞬にして止む戦い。

 

キリト「・・・」

 

レミリア「なんなのよ急に」

 

キリト「レミリア、あんたに言いたいことがある人がいるぞ」

 

レミリア「ん?」

 

キリト「来ていいぞ」

 

コツコツコツ・・・

 

黄色い髪の後に、決心した眼があった。

 

レミリア「!?フ、フラン!?」

 

フラン「・・・お姉さま!私はもう、お姉さまの言いなりにはならない!自分で自由を手に入れるんだもの!」

 

目の前で両手を出し、中心に炎の玉が徐々に膨れ上がる。そしてそれは、細長くなり、〈レーヴァテイン〉となる。

 

フラン「たあああああああああ!」

 

レミリア「・・・ふふ」

 

レミリアは手に紫色の槍状のもの。

 

〈グングニル〉。

 

レーヴァテインとグングニルが、激しくぶつかり合う。

 

大きな火花が、空中で散った。

 




次回、レミリア対フラン

お楽しみに!

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