幻想郷で旅立つ黒の剣士   作:エーン

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鈴仙を倒した。

本編は下です


20話 対永琳

霊夢「魔理沙ッ!!!」

 

稲妻のような赤い弾幕が、魔理沙に目掛けて無数に襲っていた。魔理沙は避けられないと確信し、目を瞑った。

その時、一瞬世界が止まった。すべての弾幕がとまり、皆の動きが止まった。その中一人だけ止まっていないメイドの姿があった。魔理沙を危機から抱いて、永琳の後へと移動した。

そして時は動き出す。

箒だけがその場にあり、魔理沙の姿がないことに気づいた永琳は即座にどこにいるか目を泳がせた。

 

咲夜「お邪魔だったかしら」

 

魔理沙をお姫様抱っこする咲夜の姿が浮遊しながらそこにあった。自分が抱かれていることに気づいた魔理沙は恥ずかしく思わず顔を赤くしてしまう。

 

魔理沙「咲夜!?」

 

驚いている霊夢と魔理沙を置き去りにしたかのように、宇宙空間の中で一つのスキマが出現した。目の様に横に開かれたスキマの中から現れたのは、紫の短髪に爪が赤く染まる。肩を組んだ一人の少女だった。

 

レミリア「ずいぶん待たされたわよ」

 

驚いた霊夢はレミリアに振り向き事情を即座に聞いた。

 

霊夢「吸血鬼とメイド!?いったいどんな風のふきまわしよ!」

 

質問が愚問だといわんばかりに眼で霊夢を見下し、にっと口をあげて答えた。

 

レミリア「スキマ妖怪には幻想郷を紹介してもらった義理もあるけど、あ、あとあの剣士さんがフランを守ってくれたっていうのもね。なにより、月を偽物にすり替えるような不届きものには、この私が自らお仕置きしてやろうと思ってね

 

永琳「地上の妖怪が、その思い上がりの代償、高くつきますよ!!!」

 

怒りを覚えた永琳は、腕を大きく広げ再び霊夢と魔理沙を襲った無数の弾幕をレミリアの方へと発射する。全くひるまないレミリアは、余裕にしゃべっていた。

 

レミリア「天界人か何か知らないけど。この私、レミリア・スカーレットを敵に回した時点であなたが負ける《運命》はすでに決まっていたのよ」

 

手を大きく掲げ、紫の物体は徐々に具現化していく様子がわかる。

 

レミリア「本気で行くわよ!咲夜!」

 

時を止め、止めている間にレミリアの隣へ。瞬間移動の様に移動し、レミリアの横に浮かぶ。決意をした目をし、返事をした。

 

咲夜「はい、お嬢様」

 

そっとお嬢様の手を咲夜は握る。二人の手が、小さな、そして確かな絆を現していたように見えた。そして時を止め、時を止めている間は咲夜とレミリアが動けるようになった。

時を止めて、誰もが動けなくなる時。レミリアと咲夜は永琳が発射した無数の弾幕を全て恐ろしいものへと変化した。

時が動き出す。

 

永琳「…っ!?」

 

弾幕は小さな、威力は確かな、紫のレミリアの持つ武器。グングニルが、無数となって永琳の方へ矢先が向かれていた。つまり、永琳は今無数のグングニルの標的にされているのだ。

レミリアは小さな手をかざし、無数のグングニルは永琳の方へと発射されていく。

咄嗟に永琳は魔法の球体に入り、防御を繰り出した。しかし、無数の威力が強いグングニルに幾度もなく攻撃をされて耐えられるほど防御の球体が強くないのは永琳もわかっていた。

耐えられると思っていた永琳だが、防御球体は徐々に亀裂が走り、割れることを予知した。

そして、何本かもわからないグングニルが刺さった時、防御球体は亀裂が無数になり、ついに球体は粉々になって永琳の防御を無にした。永琳は残っているグングニルを多少受けてしまい、斜め下に吹き飛ばされる。そこを魔理沙は見逃さず、箒に足を乗せてウェーブの様に宇宙を駆ける。

 

魔理沙「この好機を見逃さないぜ!マスター…!」

 

永琳「舐めるんじゃ…」

 

永琳の後から、空を飛ぶ巫女が振ってくる。

 

霊夢「夢想…」

 

永琳「はっ…!?」

 

霊夢「封印っ!!!」

魔理沙「スパークッ!!!」

 

永琳は、魔理沙から放たれた虹色に光る光線と霊夢から放たれる光線を挟み撃ちで迫られた。反撃しようとしたが、動けず、永琳はまともに食らってしまった。

宇宙空間に、二つの線がぶつかり白くまぶしく大きな爆発がそこで起こった。それを見守っていたレミリアと咲夜は、少し笑っていたようだ。

 

白い爆発は徐々に消えていく。…辺りはだんだん静かになっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永琳「姫様…私は姫様に謝罪したいのです。姫様が飲まれた薬は私が作った薬です…。どうか…」

 

輝夜「いいのよ永琳。私は、月から追い出されて、この地上に来た。あなたのおかげで月以外のことをたくさん知れたわ。私はあなたに感謝しているの。そして私は月には戻らないわ。ずっとね…」

 

永琳「…ならば、私も薬を飲みます。そして、二度と姫様を離しません…。姫様と永遠を私は共にします…」

 

輝夜「…えぇ」

 

姫様は、金色に光る世界、地面、幻想的な場所で。永琳へそっと抱き着いた。それを永琳は優しく抱き返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト「…おかえり。霊夢、魔理沙」

 

霊夢「ただいま。キリト」

 

魔理沙「ただいまだぜ!」

 

俺たちは今、永遠亭の中での敷地内。小さな川が流れ、地面は白い小石で平らに埋められ、赤い傘が隅に立ち、すこししわしわな木が端に育っている。

近くの明かりの台を背中に、小さなうさぎの子と、さっき戦った鈴仙がボロボロで座っていた。そして、川の上の赤い小さな橋。そこに今回の主犯がボロボロで手を橋につき、膝をついていた。

 

霊夢「それで、こいつらは幻想郷ができる前、大昔からずっとここにいたのよ」

 

キリト「つまり、霊夢の幻想郷を守っている《博麗大結界》を突き破ったわけじゃないということか?」

 

紫「えぇ。お互い取り越し苦労だったわね」

 

霊夢「ほんと、あんたと手を組むまでしたのに」

 

霊夢は紫にそういうと、主犯のいる方へ視線を戻した。

 

霊夢「そっちも取り越し苦労たちよ、それ」

 

永琳「…私が?」

 

それを聞いた紫は、永琳へと言葉を放った。

 

紫「内と外とを反転させ、外の世界で力が失われるほど、内では力が強くなる。忘れ去られた妖怪たちの楽園・幻想郷をかたちづくる結界。私たちの最高傑作よ。月からの追手のような力ある存在は、外から決して入ってこれないわ」

 

言葉を理解した永琳は、悲しい顔をしてうつむき、ひとりぼそっと喋った。

 

永琳「…私は、密室の中に密室を作ろうとしていたと…?」

 

霊夢「そういうこと。時々スキマを開ける奴はいるけどね」

 

紫「幻想郷の為ですもの」

 

と、二人の会話を聞いていた俺、魔理沙、アリスは少し何かが起こるか予想できたそうで、若干アリスと俺は後退りしてしまった。博麗の巫女と創生者が戦ったら一体どうなるか。予想できたもんじゃないからな。

すると魔理沙が霊夢のもとへ歩み寄って決着ついてないとか言っていた。呆れて俺も苦笑していると、突然霊夢の後にある襖がゆっくり開かれた。

驚いて魔理沙と俺は目を丸くする。襖の向こうにいた人は、綺麗な着物を羽織っており、オーラが出ている。黒い髪で結んでいなく、美しい顔をしていた。

魔理沙の驚いた顔に霊夢も後ろを振りむく。着物少女は手を大きく広げ、口を開いた。

 

輝夜「ようこそ…永遠亭へ…。私が主人の蓬莱山輝夜よ」

 

そっと足を地面につけて、永琳の下へと歩み寄る。

無理して永琳は立ち上がり、顔をひきつる。

 

永琳「姫様…申し訳ございません。すべて私の過りでした…」

 

輝夜「いいのよ永琳。全部済んだこと。私たちが永遠に生きるのに、千年なんて無に等しいわ」

 

そっと、輝夜は手を永琳に乗せる。涙を若干輝かせる永琳。

 

輝夜「明日なんて何度もやってくるのだから。過去のことより今を楽しまないと」

 

笑顔で、永琳に言った。

 

輝夜「ね?」

 

永琳「姫様…」

 

月は、もうすでに輝きを戻していた。

そっと輝夜は俺たちに振り向いた。

 

輝夜「さぁさぁ。お客様。まだお開きじゃありませんわよ。久方ぶりのお客様なんだから、相応のおもてなしをさせていただくわ」

 

空中に浮遊し、言い続ける。

 

輝夜「隠れ住む必要もないんだし、朝まで弾幕勝負よ!」

 

魔理沙「話の分かるお姫様だぜ!そうこなくっちゃ!」

 

箒を手に取り、空中に浮遊する。それを追うアリス。

吸血鬼とメイドもどうやらやるきのようで一緒に空へと舞っていく。

 

紫「じゃあ、続きはまた今度。ちゃんと夜は終わるようにするわ」

 

霊夢「私もう帰っていいかな」

 

虹色に、様々な弾幕が夜の空を浮遊する。それに人一倍輝く輝夜。閃光を発生させ、夜を明るくしていく。それは幻想郷の遠くまでとどく輝きとなって。

これまでにない笑顔で楽しむことに、永琳も満足していたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しボロボロになって、疲れ果てて地面に仰向けに寝る輝夜。永琳はそっと近くによって座った。俺も見ていただけだが、輝夜のもとへ向かった。

 

輝夜「…あなたが噂の剣士?」

 

唐突に俺のことを刺してきて、俺は慌てて返事をした。

 

キリト「あ、はい!剣士キリトです!」

 

輝夜「…そう。剣士…黒いわね」

 

キリト「アハハ…よく言われます」

 

輝夜「あなたが…この幻想郷をより輝かせてくれるのでしょう…?」

 

キリト「…もちろんです。必ず…約束します」

 

そっと俺は輝夜の左手を両手で包み込むように握った。安心して、かすかに目を開いて口をほころばす。安心してそこで輝夜は眠っていった。

 

そして、幻想郷には朝日が顔を出し、世界を綺麗に映し出していく。輝きは、一生に代えがたい。これで異変は解決したんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「こ、これは…」

 

ある一人の少女。山の中の森で、監視を続けている中。ある物を見つけて目を光らせた。近づいてみると、それは夜空のように染められた片手剣であった。

木に突き刺さる剣は、どことなく幾戦を勝ち抜いてきたような輝きを持つ。

 

【挿絵表示】

 

少女は興味を持ち、その剣の柄へ手を伸ばしていく。

 

 




皆さん、祝日、どうお過ごしでしょうか、(つд⊂)エーンです。

最後の剣って・・・?
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