本編は下です
こと。お茶を机に置き外を見る。夕日に染められた空である。最近はあの剣士さんのことで退屈しない日々が続いていた。あの人といると毎回面白いことに巻き込まれて、そしてあの剣士はかなり予想外なことをしようとするし。この前なんて幽々子の弾幕を剣を回して防御したのよ。全く、すごいことをすると思った。
そういえばもう6時過ぎになるがあの剣士は無事に人里に帰れたのだろうか。私は朝《妖怪の山》という場所についてどこにあるか言ったが、何しに行ったのだろうか。まぁ私には関係ない話か。お茶をすすりなおした。
サー。襖を乱暴に開けてきた一人の女性。
魔理沙「あ、いたのか。なぁ霊夢、キリトを知らないか?」
キリトがどこか、そう聞かれた。人里に家を構えているので一応聞いておいた。
霊夢「人里にはいなかったの?」
魔理沙「おう、いなかったんだよ。どこに行ったかしらないか?」
いない。そう答えが返ってきた。もう6時過ぎなのにまだ妖怪の山にいるのだろうか。しかし私はキリトに用はないので居るであろう場所を魔理沙に教えた。
霊夢「朝キリトが妖怪の山に行きたいって言ってたわ。もしかしたらそこにいるかもしれないわね」
魔理沙「そっか。わかった。じゃあ行ってくるぜ」
その前に一つ聞きたいことを私は聞いた。
霊夢「ちょっと待って。なんでキリトに用があるの?」
すると少し真面目な顔をして理由を教えてくれた。
魔理沙「あぁ、前に紅魔館に調べ物に行ったときなんだがな。なんかパチュリーが【剣】を見せてきたんだよ」
霊夢「剣?」
魔理沙「そう。なんかな、外にあの紅魔館のメイドと主が出かけていた時に主が池に刺さる剣を見つけたんだよ」
池に刺さる?それは不可能ではないだろうか。
霊夢「池に刺さってたの?」
魔理沙「いや、なんというか…。その剣が刺さっている場所だけ水が凍っていたんだよ」
霊夢「凍っていた…?」
魔理沙「私も聞いて信じられなかったがメイドがそう言うんだ。あとその剣ってすっげー重かったって言ってたぜ。運ぶのにかなり時間かかったてよ」
霊夢「運ぶっていうことは今その剣は紅魔館にあるの?」
魔理沙「おう。それで剣に関してはあいつが知っているかなぁと思って、今キリトを探していたんだ」
霊夢「なるほどね…」
池に刺さっていた剣…。そしてその剣の刺さる水面は凍っていた…。凍る剣かしら…?そんな剣聞いたことないけど…。
けど確かにキリトなら何か知っているかもしれないわね。
魔理沙「そんじゃ、行ってくるぜ」
霊夢「もう夕方だけど…行ってらっしゃーい」
いてて…やっぱり空を飛べると思っていたのは間違いだったようだ。それにしてもここはどこだろう。地上に穴があってそのまま落ちてしまったが、まさかこんなにも深いとは。
立ち上がり周りを見てみると、少し先に町が…町!?地下世界に町があるのか?ということはここには住んでいる人がいるということになるのか。
早速出ようと何か情報集めようと歩き出そうとすると、俺と目が遭った一人の金髪の女性が近づいてきた。思わず俺かと疑うが、目はこっちをむいていた。
???「…あなた、見ない格好ね」
キリト「あ、あぁ…。なんせこの世界の住人じゃないからな」
???「なるほど、つまり外から来たってことね」
キリト「うん、そうだが…君はこの地下世界の住人…か?」
???「…ええ。そうよ。それにしても外から来たなんて…妬ましいわね…」
キリト(…妬ましいの使い方ってこんな意味だっけか?まぁいっか)
???「それで?どうやってきたのよ?」
俺は上を向き指を刺した。
キリト「俺はこの上にある穴から落ちてきた」
???「なるほど、地上に出ようとするこっちの住人があけた穴ね。なんとも不運ね」
キリト「そうだな…とりあえず出たいんだが…」
???「すぐには無理よ。とりあえずこっちいらっしゃい」
キリト「あ、あぁ…。あの…名前は?」
パルスィ「私の名前は水橋パルスィよ。よろしく」
キリト「そうか。俺はキリトだ。よろしく」
俺たちはこの先にある町に歩き始めた。
にしてもこの世界にすんでいる人…いや、見た感じ人とは思えない人が多いのだ。外見は筋肉質で、肌の色もなんか違うし、全員強そうだ。例えると…鬼みたいだ。
鬼が酒を飲んだり、何か食べたりしているところがよく見える。なんともピリピリする場所か。それでも前にいるパルスィという人は慣れているからか普通に歩いていた。
キリト「…」
パルスィ「緊張しているのかしら?」
俺の緊張はパルスィにまで伝わっていたようだ。なんとも恥ずかしい。
キリト「まぁ…なんか周りは人じゃないみたいで…」
パルスィ「そうね。人じゃないからね」
キリト「やっぱりそうだったのか」
人以外なものはこれまでも見てきた。蜘蛛とか吸血鬼とか人食い妖怪とか。俺の常識を超えてくるこの世界は本当に怖いものだらけである。改めて俺は帰れるのか心配になってきた。
にしても腹が減ってきた…。
キリト「あの、パルスィ」
パルスィ「ん?」
キリト「お腹が空いてきたんだが…」
パルスィ「そう、なら〈あいつら〉が行く店にでも行こうかしら」
キリト「あいつら…?」
襖を開けて店に入った。見た感じ居酒屋みたいだが…。
中にいたのは鬼みたいな人だったり、人もいたし、妖怪みたいな人とかもいた。席はかなり満席で皆で杯交わして飲んでいるようだ。なんとも騒がしい風景だ。
すると一声パルスィに向けられた。
???「ん?お、パルスィ!こっち来いよ!一緒に飲もうさね!」
一人の女性がパルスィを呼んだ。うん、鬼だ。鬼だ。だって額からなんか一本の角が出てきてるから。それに酒をムっちゃでかい杯で飲んでいた。
パルスィ「そうね、キリト。あいつらと一緒に飲まない?」
キリト「あ…あー。まぁ俺は食べられればいいよ」
パルスィ「じゃあ一緒に飲みましょう」
俺はパルスィについて行ってあいつらという人達がいる席へ移動した。偶然にも席が空いていたので俺とパルスィは並んで座った。
そして俺が座ったことに目をびっくりさせて驚いているさっきの角の生えた金髪の女性。
???「ん?あんた見ない格好だね。もしかしてあれかい?外から来たのかい?」
キリト「あ、よくわかりましたね…」
???「ハッハッハ!敬語なんてよしてくれって!普通に話そうじゃないか!」
???「そうだよ~。酒をいっぱい飲んでさぁ~」
もう一人、頭からねじれた角が二本生えていて髪が茶色の小さな子だった。だが酒の量は人並みではない。多量である。
パルスィ「あら、萃香。なんでここにいるの?」
萃香「久々に勇儀に会いにきたんだよねぇ。今度は宴を開こうと思ってさ。あ、そういえば」
その角が二本生えた女性は酒の杯を机に置くと俺に向いて話し始めた。
萃香「君、名前なんていうの?なんかおっかない剣背負ってるけど」
あ、まずい。と俺は思った。剣をしまうのを忘れていた。一応いざとなったらと思っていたがわざわざ居酒屋の中で剣を出すものじゃない。だが見られたからもうしまう必要もないか。
キリト「キリト。剣士をやっている。ここには間違えて落ちてきたんだ。だからどう出ようか模索しているんだけど」
勇儀「そうかそうか!落ちてきちゃったんだな!不運だねぇ。安心してくれて構わないよ、必ず出られるからね。私の名前は星熊勇儀。よろしく!《噂の剣士》さん」
噂の剣士?まるで俺のことをここに来る前から知っているような口ぶりをする勇儀。少しびっくりすると二っと笑った。
萃香「いやぁごめんね?私の名前は伊吹萃香っていうんだ。よろしく!…それでね?噂の剣士さん。君のことはもともと知っていたよ。なんとも強いっていうことが新聞でよく見たからね」
勇儀「知らないふりしていたけど知っていたんだ。なんで知らないふりしちゃったんだろうね萃香」
萃香「知らないよ。とりあえず私はまだ飲み足りないからもっと飲むよ」
そう言って萃香は置いた杯を手に取り口に運んで飲んでいた。さっきから思っていたけど酒の匂いがかなりすごい。鬼は酒に強いというのが見てわかる。俺があの量を飲んだらもうすぐに倒れるんだろうな。
目の前にある料理に手を付けて色々食べていると、隣にいるパルスィが声をかけてきた。
パルスィ「キリト。外に出る時は萃香に頼みなさい。萃香は普通地上にいるからね」
キリト「あぁ」
どのように出るかはわからないが、ひとまず出れるという事実がつかめただけ安心すべきだ。萃香に向き直り俺は言った。
キリト「萃香。頼みがある。俺をこの地下世界から出してくれないか?」
ん?という顔で目だけこっちに向けて酒を飲みながら見てくる萃香。杯から口を離すと不気味に少しほほ笑んで俺に言った。
萃香「いいよ。ただそうだなぁ。条件があるね」
俺は思わず反論したくなるが出してもらう側としてできない。
キリト「というと?」
萃香「ふっふっふ。鬼というのはね、喧嘩に飢えているんだよ。鬼は喧嘩好きでね。そこでなんだが、噂がここまで流れてくる剣士さんだ。ぜひ戦ってみたくてね」
キリト「…」
なんか、俺はわかっていた。戦うことになるんだろうなぁというのがもう目に見えてきてたのだ。
萃香「どうだ!戦ってくれる?」
キリト「どうしてもっていうなら…」
萃香「どうしても!」
と言い机に両手を乗せてこっちに顔を近づける。見た感じ凶器になるようなものは見当たらない。だが手首には何か鎖がしてあるのだ。恐らく近距離の力を持つんだろうな。
キリト「わかった…。じゃあ戦うよ。けど戦ったら必ず出してくれよ」
萃香「もちろんさ!さ、もう戦いたくてうずうずしてんだ!速く店出てやろうぜー!」
呆れた顔で、しかし笑顔で勇儀は小さく呟いた。
勇儀「やれやれ、変わんないねぇ」
パルスィも頭に手をついてなんか呆れた感を出していた。俺もなんか疲れたよ。
旧都と呼ばれるこの地下世界の住人が立てた都。
その中心にはなんとも綺麗に整地された土があり、そこが今回の喧嘩する場所と彼女は言っていた。周りの鬼の眼が正直言って怖く、逃げ出したい気持ちも少なからずあったが出るためには仕方のないことだと自分に言い聞かせた。
そして俺の前にいた萃香は俺に向き直る。
萃香「じゃあ、しばらく飯から経ったし始めるか。噂の剣士さんの力、見てみたいものだね」
キリト「そんな期待しないほうがいいぞ。あくまでも人間だからな」
萃香「まぁまぁ、人間は確かに鬼には到底力じゃ及ばないっていうけど、君は違うと思うんだよね。じゃあ、早速やろうか」
土の上、足をこすり砂を確かめる。滑り止めはあまりよくなさそうだがすべるわけではないだろう。萃香は距離をとり、くさりをつけた手首をぶらぶらしている。首を少し回し、俺をみていた。鎖の先端には球状のものが付けられており、まるで忍び鎌のようだ。両腕の鎖が彼女の武器か。これはかなり戦いが難しくなりそうだ。それに鬼は力といった面でも最強を誇るだろう。攻撃をまともに食らったらそれこそ死ぬかもしれない。
俺はアニールブレードを抜刀し、足を下げて腰を落とし構えた。相手が容赦なくこっちを攻撃しようもんなら、俺だって、たとえ女性相手だろうが剣を止める気はさらさらない。
俺と萃香が離れたそこ中心に横から出てきて、杯を持ったまま俺たちを見る勇儀。そして少し笑うと、声を張った。
勇儀「それじゃあ、これからキリト対伊吹萃香の決闘を始める」
周りの眼が一層光り、緊張感が俺たちを包んでいた。だが周りに目をやることなんて考えない。ここからは俺の戦いだ。
勇儀「始め!」
放たれた言葉と共に両者走り、距離が近づくにつれて萃香の笑顔は増していった。
萃香「いくよキリト!」
キリト「来い!萃香!」
話が急展開だね、これ。ちょっとなんか変な感じするって思った人いるかもしれないですね。けど頑張りました。ご朗読ありがとうございます。
最近は花粉が消えたと思っていたんですけどね、自分まだ目かゆいですしおすし、鼻もつまってます。皆さんはまだ花粉症に悩まされてるんですかね。