艦隊これくしょん VERDICT DAY   作:水崎涼

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依頼者 :鎮守府司令
作戦領域:北太平洋方面
敵勢力 :深海棲艦
作戦目標:部隊護衛

 北太平洋にある、深海棲艦の泊地へ鎮守府の部隊が向かいます。ついては、鎮守府主権領域までの護衛をお願いします。
 この部隊は、特別任務の為に深海棲艦領域へ向かうものです。本来であれば精鋭を編制し護衛につけるべきですが、財団との以前の戦闘の結果、我々も相当の被害を受けています。大掛かりな部隊を送り込むのは難しいのが実情です。
 艦娘主権領域といえど不測の事態が予想されます。こちらが選定したACの僚機を同行させてください。
 なお、深海棲艦との交戦については、こちらの許可があるまで行わないでください。よろしくお願いします。

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No Going Back

 

 

 

 見てたよルーキー。中々やるじゃない? ちょおっと時間かかったけどねぇ―――

 

 

 

 

 

 ま、丁度いい腕かな。ゴミ虫の相手にはさ―――

 

 

 

 

 

 これから合流地点に‥‥‥西水道から無事に逃げ‥‥‥作戦通―――

 

 

 

 

 

 返事をし‥‥‥夕―――

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと。起きてよ」

 

 べしべしと額を叩かれる痛覚を受けジャックが目を覚ますと、陽炎の何とも呆た顔がそこにあった。

 この場で仮眠を取ったのは彼の意思だが、殴り起こされるいわれはない。火急の用件でもあったかと彼が尋ねると、もうすぐ護衛が帰るよという極めて重要性の低い報告を、陽炎は気に食わない顔に乗せて返した。雇われが規定通りに去るだけなのだから、彼にはやかましいヘリのローター音と、寝起きの不機嫌だけが残された。

 あとは、夢の記憶。

 逐一逆なでに来る知らぬ男の声と、何かに必死な少女の声。

 夢とは脳の記憶の整理だ。たいした意味もない。夢なのだから夢の話と終わらせてしまってもいいのかもしれないが、自身に覚えのないものばかりだと考えるところも出てくる。

 怒りと悲しみと、無念と絶望の。誰かの記憶の断片のような。

 思いをはせる前に目の前の対応が先と思い直し、ジャックは返答待ちの陽炎の顔をみやった。

 

「それだけか」

 

 第31部隊の輸送ヘリの中で身を起こし、他に用件があるなら今言ってくれと、ジャックは催促の瞳を部隊長に向ける。鎮守府内では事態の対応に艦娘との親睦とにより休息時間をも侵食されているので、休める時に休みたかったのだった。

 

「そんだけよ。にしても、基地司令かと見紛うごとき尊大さね、あんた」

「基地司令に知り合いがいるのか」

「事務長に施設長はいても、うちらに司令官なんていないわよ。くたばった提督と、三日前に出てきた奴を除けば」

 

 強引に引っ張ってくれる人がいるならそれもいいかもだけどね。とごちつつ、陽炎は外の景色へと目を向ける。

 七機のF21Cヘリが、編隊を組んで大海原を飛んでいる。

 まずは、ジャックのフォックスアイを懸架した第31部隊所属機。

 前後左右を飛行するのはそれぞれ、第六水雷戦隊が所有している旧型が二機、鎮守府司令が座乗する鎮守府直轄機が一機。そして今日の護衛依頼を受けた由良達第11部隊機と、僚機となったACを運ぶヘリが二機。

 

 

 

 

 

「提案があります」

 

 事務長名義で臨時司令の権限を受けたとアナウンスされる彼女から、ジャックへと話がもたらされたのは、海戦を終えて基地に帰投した翌日だった。

 深海棲艦とは、艦娘と明確な敵対関係にある存在。

 その深海棲艦が、艦娘を援護した上に鎮守府敵対勢力を蹴散らして帰っていった事実は、不整合以外ではなかった。

 知らない未知を知りえるというのであれば、ジャックとしては拒否する理由はない。彼が諾すと、鎮守府司令は第31部隊と第六水雷戦隊を随行させてのフライトプランを提示した。

 そう、第六水雷戦隊だ。彼女らが帰還の意思を見せた場合、ジャックは鎮守府首脳を適当に言いくるめるつもりだったのだが、鎮守府司令は唐突に戻ってきた彼女らの存在をあっさりと受け入れた。どころかこれまで鎮守府直轄で動いていた部隊だったとして過去のデータから書き換え偽りの部隊番号も付与し、既成事実をでっち上げた。

 彼女達がオリジナルであるという事は、他の者には秘匿されている。

 

 

 

 

 

 そして彼らは今、鎮守府司令のプラン通りに飛行している。

 向かう場所は中部太平洋。

 今日連れてきた護衛は、対通常兵器用にネクストを二機。そして対深海棲艦戦力強化の為に、鎮守府司令からの指名で由良達第11部隊が選ばれた。彼女達は第六水雷戦隊と面識と理解がある。逆を言えば、彼女達以外に適任はいなかったとも言える。

 仮眠の予定だったが、起きてしまったのだ。役目は果たさねばなるまいと、ジャックは操縦席に向かいマイクを握った。

 

「ご苦労だった」

「いえ。本当に、ただの見送りでした」

 

 特に戦闘もなく、ただ付いてきただけとなった第11部隊の由良は、何もないなら良いことだとばかりに語る。

 ジャックはしばし思案した。

 第六水雷戦隊。オリジナルである彼女達はそれだけで特別だ。

 第31部隊。黒い鳥とその仲間達は、第六水雷戦隊との縁もある。

 鎮守府司令。何かしら情報を握っているという。

 由良達第11部隊は極平凡な、数ある艦娘部隊の一つでしかない。ジャックにとっても、再来や鎮守府司令とのパイプを得た現在において、既に役割は果たした存在だ。傭兵的に悪く言い換えれば、用済みという言葉になる。従前であれば、あとは出涸らしを搾って歯牙にもかけなかったであろう。

 しかし彼は思案した。アウェー中のアウェーで、もっとも付き合い日数の長い彼女達のことを。

 そして、第11部隊に籍を置きながら、第六水雷戦隊のヘリに座乗している夕張の存在を考え、連れて行くも一緒の事だと結論するに至った。

 

「追加の依頼を受けてみるか」

「え?」

「我々の護衛を続けて受けてみないか。構わんだろう、鎮守府司令」

 

 護衛依頼続行を、鎮守府司令も許諾する。深海棲艦領域であれば、まだ出番もあるだろうとの判断だった。

 由良は隷下の吹雪、五月雨と相談して、依頼の更新を引き受けた。

 となると、僚機として連れてきた傭兵の振り方も考えなければならないが。感傷の余地がある娘っ子と違い、傭兵間にあるのは実用主義のみである。ここから先は深海棲艦多発地域。無人機の集団を相手取る可能性もないだろう。

 

「私達はどうしたらいいかしら」

「グリンフィールドと言ったな。その4型ACとは、機体を動かすだけで精神負荷を受けると聞く。君の腕、このような小事で削っていいものではない。帰還してくれ」

「了解。メリーゲート、作戦完了。次があれば、また味方で会いましょう。由良さん」

「はい。お疲れ様でした」

 

 反転。メリーゲートを懸架したヘリは帰路に入る。何事も起きてくれなかったのに腐る様子がないあたり、出来た人物である。

 

「あの、俺は」

 

 一方で、困惑した若い男の声。

 ジャックは息をついた。メリーゲートは、壁役を果たす重二脚として計算されていたが、セレブリティ・アッシュひいてはこの男、ダン・モロはというと。先の海戦で早々に離脱して、故に修理が間に合い手持ち無沙汰だった彼を選んだのは、便利な4型ACだからと言う理由以上のものはない。期待するのは囮性能だけだ。それすら怪しいというのに。

 ジャックは艦娘と触れ合うことで多少意見を変えるようになったが、相変わらず、腕も意思も弱者である人間ついては何も言う事などなかった。

 

「君もレイヴンなら、好きにすればいい。戦場で死ぬ覚悟はできているだろう」

「あ、あぁ‥‥‥えっと。い、依頼は果たしたぜ。セレブリティ・アッシュ、帰投する」

 

 冷たくあしらわれたことに反論できないまま、彼の機体を懸架したヘリも帰ることとなった。依頼更新を押し付ければ付いてきたかもしれなかったが、それだけに、本人を含めたこの場の誰もが心中ため息をついた。

 ACを帰し、彼女達は先へと進む。

 青い海は、やがて夕方でもないのに赤く染まり、白い水平線も黒く汚れていく。ジャックが尋ねると、深海棲艦の活動活発海域は、こうして赤く変色してしまうのだという。

 レーダーにも反応が現れる。戦術指揮支援システムである第六水雷戦隊のAIアンジェリカが、機械的に処理して次々とマーカーをつけていき、友軍にデータを共有させる。

 深海棲艦。異形であれば人形に近いものもある。

 だが。

 

「艦娘と深海棲艦は、相容れない敵対関係と聞いたのだが」

 

 数多の海の生物達は、堂々飛行を続けるヘリを遠巻きにしたまま、威嚇射撃のひとつもなくじっと眺めてくる。時折やってくる異形の飛行体は攻撃アプローチに入るでもなく、周囲を旋回するばかり。

 攻撃してこない。

 

「は? 嘘でしょ?」

「何で攻撃されないんですか」

 

 誰よりも動揺しているのは、陽炎達現在の艦娘だ。深海棲艦と戦う為。それが彼女達の存在理由であったのに、それを目の前で否定され続けているのだから。

 すると、深海棲艦側の航空物体三機編隊のひとつが、ジャック達ヘリ部隊の横につけた。低級の艦載機だ。

 彼らは、断続的に発光を始める。モールス信号だ。

 ワ、レ、ニ、ツ、ヅ、ケ。

 特に驚きもなく、淡々と鎮守府司令は述べる。

 

「従いましょう」

「そんな!」

「皆さん。もう一度言いますが、許可あるまで深海棲艦との交戦はしないでください」

 

 述べながら、鎮守府司令の機体が了解と発光信号で返す。受け取った深海棲艦載機は、前に出て先導を始めた。

 

「候補生時代に、あなた方はこう習ったはずです。深海棲艦とは世界を恐怖に陥れ、海を奪った異形。艦娘は、それに対するべく生まれたと言われている」

「はい」

「深海棲艦を完全に解析できているわけでもありませんし、その教育も間違いではありません。ですが、真実でもありません。我々艦娘は、一体何と戦っているのか。その答えのひとつを、お見せできるかと思います」

 

 言われては、あとは黙るしかない今の艦娘達であった。

 

 

 

 □

 

 

 

 さらに飛行を続けること1時間。

 いよいよ持って海は真紅となり、空は黒い曇天となっていた。ジャックは景色として嫌悪感を抱いたが、由良をはじめとした艦娘は、言い知れぬ恐怖と、そして深い悲しみを覚えて身震いしている。

 先導していた艦載機が、散開していく。

 

「あれが出迎えか」

 

 それまで遠巻きにしていた連中とは違い、堂々と目の前に現れている集団を見て、ジャックはそう確信した。アンジーもまた、それらを識別して情報をもたらす。

 深海棲艦も、六名一部隊の形式を成す事がほとんどだという。この部隊を二つくっつけることを彼女達は連合艦隊と呼ぶが、そこにいる深海棲艦は一つの連合艦隊であった。

 

 

 

 第一艦隊:戦艦新水鬼1、空母棲姫壊2、空母新水鬼1、ネ級改二フラグシップ2。

 第二艦隊:ツ級改後期型フラグシップ1、潜水新棲姫1、防空棲姫1、駆逐古姫1、アンノウン2。

 

 

 

 アンノウン2体にはそれぞれ、駆逐棲姫新型、深海雨雲姫新型、との推定表記がモニタになされる。

 

「ひぇ‥‥‥」

 

 中堅を超えている由良や陽炎でも顔色を失い、五月雨や夕張が泡を食って硬直する陣容。現艦娘は、個艦戦闘力はオリジナルを超える面があるものの、特に水雷部隊は姫級を見たらまずは退避しエース部隊を待てというのが通例である。こんな部隊と殴りあった経験は彼女達にはない。

 が、相手は友好こそないが問答無用の敵意も見えない。

 

「ここからどうする、鎮守府司令。茶を出して親睦会でもあるまい」

「えぇ。私達の間にあるものは戦いです。第六水雷戦隊、出撃をお願いします」

 

 指令に、8名の睦月型駆逐艦娘達が次々に降下する。

 命令を下すだけかと思いきや、鎮守府司令もまた自らの艤装を背負って降り立ち、合流して睦月を総旗艦とした艦隊を成した。

 深海棲艦からも動きがあった。戦艦水鬼がひとつ、駆逐古姫の背中を押して前に出させると、残りを率いて後方に下がった。周囲には有象無象達が遠巻きに眺めている。

 いや。

 彼らは一斉に声を出し始めた。ひとつの声に十の声が重なり、百の合唱へ。

 

 

 

『叶ワナイ』

 

 

『届カナイ』

 

 

『進メナイ』

 

 

『救エナイ』

 

 

『戻レナイ』

 

 

『沈メ、沈ンデシマエ』

 

 

 

 怨嗟だ。そう胸中で感想を出したジャックだが、モニターの向こうの少女達は違うようだった。

 歌声に懐かしむような。

 歌声に同情するような。

 そして、覚悟の瞳を持って駆逐古姫へ対する。

 言葉は、不要。

 駆逐古姫が異形に侵食された腕を構えて、発砲。

 彼女達は一度散開して、すぐに集結。

 

「第六水雷戦隊、第四警戒航行序列。自由射撃を許可!」

 

 睦月の指示で、9人がひとつの意志のように動き出す。

 両者で、射撃戦が始まる。人数差から投射数は圧倒的に艦娘側が多いが、根本は駆逐艦。駆逐古姫の防御性能も高いのか、あまり有効打は出ていない。一方で駆逐古姫のそれは屠るに十分な火力なのか、第六水雷戦隊は被弾をしないようにと最大限の回避行動を取っている。

 

「ジャックさん」

 

 戦いながら、鎮守府司令は語りかける。

 

「何か」

「どうして我々が戦えるのか、わかりますか」

「矜持か。君達の行動原理は誇りだ。しかしな」

 

 正常な精神を持つなら、戦う理由は必要だ。

 傭兵ならば、戦果に応じた金と名声そして生存権利が目的となる。しかし艦娘は金には執着せず、名声よりも生存を優先し。そして歴史的に、生存よりも人々の盾たることを優先してきた。国家所属時代ならそれもよかろうが、こうして離れて独立勢力となっても、何かを目指すのではなくただ戦う。戦うが、戦うのが目的でもない様子だ。

 

「賭して戦ったその先に、何かあるか」

「はい」

 

 彼女は、続ける。

 

「かつての艦娘の戦いは、過去との戦いでした。過去、私達が艦船として果たせず倒れていった戦い。それを想起させる戦場に立ち向かい、次こそは成し遂げる。ひとつの未練かもしれませんが」

「では、その先は何だ。答えは虚無だ。目的を達するという事は、次の目的がなくなる事でもある。未来が、見えなくなる。恐怖だ」

「いいえ。我々にはあるのです」

「ほう」

「今の艦娘は、深海棲艦をただの敵として、相容れぬ悪として排斥する生き方です。敵に対するなら、それで正しいのでしょう。ですが」

 

 太陽が雲に隠れる。あまりに黒い暗雲により、周囲が夜のように暗くなる。

 鎮守府司令と睦月は、言い放つ。

 

「そうではないんです」

「深海棲艦は、ただの敵ではないのです」

「我々は、取り戻すんです。睦月さん」

「はい、大淀さん」

 

 大淀と呼ばれた鎮守府司令は、遠い昔に置き去った言葉を口にした。

 

「暁の水平線に勝利を」

「暁の水平線に勝利を!」

 

 卯月が、上空へ向けて発砲。照明弾の光が、駆逐古姫を闇に浮かび上がらせる。

 少女達は戦う。少女達は語る。

 

「深海棲艦は化物です。恨んで辛んで、異形になった」

「もう一人の、私達」

 

 明かりからの退避を行おうとする駆逐古姫に向けて如月が、探照灯照射を浴びせて逃がさない。

 文月と皐月が、退避進路先に回り込み砲撃で足を止める。

 

「ナンデサ。ナンデ、アキラメナイノヨッ‥‥‥!」

 

 駆逐古姫が反撃を試みる。放たれた砲弾を大淀が受け止め、耐え切る。この隙に望月の放った魚雷が迫り、駆逐古姫は身を翻し回避。

 その退避した先で、駆逐古姫は防御姿勢。三日月の放った魚雷を腕部の異形で受け止める。

 

「諦める? 何に?」

「仲間を助けるのに」

「仲間を守るのに」

「諦める理由がないぴょん」

「ボク達には、その為の力があるんだから!」

 

 誘いこんだその場所へ、残りの6人が。

 雷撃。

 命中を知らせる大きな水柱と爆音が轟き、駆逐古姫を包む。

 爆煙と水飛沫が晴れたそこには、力なく崩れている駆逐古姫の姿があった。

 あの様子では勝負はあったか。だが艦娘の面々は、仕留める為の再度の雷撃も砲撃も行わず、どころか。

 駆逐古姫の元へと寄っていった。

 

「本当はね。文月達は、一度諦めちゃった」

「でも、やっぱり見捨てられないです。今、一杯の人が困っています」

「もう一回頑張ろうって決めたからさぁ~」

 

 彼女達の声に、駆逐古姫が顔を上げる。

 憎しみも怒りもなく、ただただ笑いかける艦娘が、砲口を下ろしてそこにいる。

 

「‥‥‥イクン、ダネ」

「うん」

 

 先頭の睦月が、手を差し伸べた。

 

「一緒に、行こう?」

 

 差し出された手。

 異形の彼女が、手を伸ばす。握り合う。

 空が、明るむ。

 由良が、吹雪が、五月雨が、夕張が。長月も菊月も、陽炎も不知火も。「剥がれ落ちていく」その姿に、息を飲む。ジャックもまた、この世界での理に驚愕した。

 そしてすべてが終わった時。アンジーの認識装置が、『駆逐古姫』から書き換わった。

 

『睦月型駆逐艦六番艦、水無月の艤装信号を確認』

 

 闇から明けていく空の下。

 白く黒い異形が、黒いセーラーを纏った青髪の少女へと。睦月達と同じ制服を着付け、同じ艤装を背負った。

 

「深海棲艦が」

「艦娘に、なった‥‥‥?」

 

 今の艦娘が驚愕する中、彼女、大淀と呼ばれた鎮守府司令は語る。

 

「恨み辛み、深い海の底で絶望を歌う仲間を、救うこと。その仲間と共に、残された仲間を迎えに行くこと。これほどの大洋、艦船や船員は史上に幾多います。すべての恨み辛みを取り除くことは出来ないでしょう。それでも」

「仲間の為なら命も賭せる、か」

 

 自身の為なら裏切りも当然。そんなレイヴンとは相反する生き方。

 皆で笑って生きるその道では、誰も欠けてはいけない。どのような事でも起こり得る戦場で、ただ一人の犠牲もなくすべてを成し遂げるなど夢物語だ。

 それでも彼女達は、望みの為に戦い。

 

「みんな。遅れてごめん。水無月、帰投したよ!」

 

 そして、抱き合った。

 

 

 

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