やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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都合のいいことしか書かないなぁ·······
てな訳でどうぞ


五十九話(改)

「むぅ……」

 

「気持ちは分かるが、我慢してくれ」

 

 

不服そうなリィエルを、ウィリアムが宥めている。

あの後、ルミアの『妖精の羽衣(ローベ・デ・ラ・フェ)』姿を拝めたのだが、イヴから通信でアルベルト達と合流しろと言ってきたため、二人は会場を後にし、アルベルト達がいる学生会館の屋根の上へと向かっていた。

本当は『妖精の羽衣(ローベ・デ・ラ・フェ)』をもっと見たかったが、指示は聞かないといけない。

因みに、ウィリアムは学生服に紺の外套、リィエルは魔導士の礼服へと既に着替えている。

リィエルは壁を蹴り上がり、ウィリアムは【騎士の楯(ナイツ・シールド)】を足場にして飛び上がり、屋根上へと降り立つ。

 

 

「おお、二人共。お疲れさん!」

 

 

バーナードが降り立った二人に労いの言葉をかけ、リィエルの頭をわしわしとなでていく。

 

 

「それにしてもグレ坊がマジで羨ましいわい。ウィル坊もリィエルと一緒に踊っとったそうじゃし……一発殴っていいかの?」

 

 

バーナードが拳を握りしめた瞬間、頭の後ろから何かが突き当てられる。

 

 

「殴るなら先公だけ殴れ。殴ろうとした瞬間に撃つぞ」

 

 

ウィリアムはバーナードの後ろに【騎士の誇り(ナイツ・プライド)・銃兵】を具現召喚し、小銃を後頭部へと突きつけていた。

本当の戦闘ならあまり出来はしないが、こういった場でならできる芸当だ。

 

 

「後ろからとは、卑怯じゃぞ!?」

 

「卑怯で結構。生きるか死ぬかの戦いに、真っ向からそうやれるか」

 

 

バーナードの文句をウィリアムはあっさりと受け流す。

それを尻目に、アルベルトがイヴに定期報告するが、イヴが通信に応じなかった。

その後、アルベルトがイヴを探しに会場へ行く。

暫くしてアルベルトから通信で伝えられた、システィーナからもたらされた情報に一同は驚愕した。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

宿泊フロアのとある一室。

ウィリアムはクリストフとリィエルと一緒にそこに来ていた。

その部屋には、捕らえて気絶させられた、ザイードを名乗った少年―――カイトと真の黒幕と伝えられたローレンスが転がっているが、イヴはその部屋に居なかった。

そして、部屋には蓄音機―――編曲(アレンジ)された『交響曲シルフィード』が録音された―――が置かれてあった。

 

 

「クソッ!完全にやられた……!」

 

 

ウィリアムは苛立ちを露に、床に拳を叩きつける。

システィーナからの情報―――『交響曲シルフィード』に、魔法遺産(アーティファクト)『魔曲』と呼ばれる他人を操る古代魔術(エインシャイト)の『魔旋律』が入っていたと言うのだ。

つまり、《魔の右手》の正体は―――演奏の指揮者。

ザイードは音楽でその場の人達を操り、操った人達に『暗殺』をやらせていたのだ。

クリストフが通信で報告していると―――

 

 

「気合いでソイツを斬りに行ってくる」

 

 

リィエルが事前に錬成していた大剣を肩に担いで部屋から出ていこうとしていた。

ウィリアムは咄嗟にリィエルの襟首を掴んで引き留める。

 

 

「?どうして止めるの?ウィル」

 

「相手はその気合いごと操ってくるんだ。しかも確実に操った人達を壁にしてくる。下手すりゃ、捕まって操り人形にされかねないぞ」

 

「……どうしよう、困った」

 

「とにかく今は、一人で行動しないでくれ」

 

「……ん。わかった」

 

 

その光景を、通信で報告しながら見ていたクリストフは―――

 

 

「…………」

 

 

声を失う程、愕然としていた。

その後、三人は急造の精神防御を施した後、バーナードと合流し、急いで会場へと向かっていく。

バーナードとクリストフの通信魔導器から流れる会場内の会話で、ザイードは七つの『魔曲』を聞かせたその場の全ての人間の意識と記憶を余すことなく掌握できるそうだ。

ウィリアムはその説明に嫌な予感を覚え、演奏が止まっている間に【詐欺師の工房】を起動させる。

直後、演奏は再開されるも……

 

 

「……よし、いける」

 

 

問題無く【詐欺師の工房】は機能している。

通信から『魔曲』―――固有魔術(オリジナル)呪われし夜の楽奏団(ペリオーデン・オーケストラ)】が奏でられる限り、もう魔術は振るえないとザイードは嬉々として語る。

四人は会場の入り口前に辿り着くと、会場内の人達は虚な目で会場内のある場所へと向かっている。

バーナードはマスケット銃を二丁解凍し、ウィリアムへと投げ渡す。

 

 

「以前、わしが作った『重力結界弾』入りのマスケット銃じゃ」

 

「……それ、実際に作成したのは僕なんですけど……」

 

 

バーナードの説明にクリストフは嘆息しているが、ウィリアムは直ぐに意図を察する。

その直後、舞台の中央辺りで甲高い音が鳴り響いた。

 

 

「あの辺りか」

 

「おっけ、把握」

 

 

ウィリアムとバーナードは撃鉄を引き上げ、マスケット銃の引き金を引く。

会場内に鳴り響く四つの銃声。

直後、着弾地点を中心に重力結界が形成され、操られた人達は一気に両手両膝をつく。

 

 

「じじい!?クリストフ!?リィエル!?ウィリアム!?」

 

「今の内に逃げるぞ、グレ坊!」

 

 

バーナードの言葉を区切りにリィエルが力ずくのごり押しでルミアを連れていく。

事前に体重を落としたシスティーナもそれに続き、グレンとアルベルトも特殊な体術で結界の境目を抜けていき―――

 

 

「そんじゃ、出入口は一時封鎖だ」

 

 

全員、廊下へ出た直後でウィリアムが【詐欺師の工房】による瞬間錬成で、入り口を分厚いウーツ鋼の壁で塞ぐ。

そのまま、彼らは会場を後にした。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

学園敷地の東端の雑木林の中で、会場から逃げた一同は息を潜めていた。

外では操られた人達がひっきりなしにうろうろしている。

しかも、『魔曲』も微かだがしっかりと聞こえてくる。演奏が届く限り殆どの魔術は封じられ、時間が経てば、いずれ意識も乗っ取られてしまう。

そんな中―――

 

 

「ぐすっ……ひっく……うぅ……」

 

 

ルミアは声を押し殺して、静かに泣いていた。

こうなったのは自分のせいだと。あの時、ちゃんとグレンに問い詰めていれば、こんな事にはならなかったと。

それに対しグレンはお前は何一つ悪くない、怒っていいんだと元気づける。

 

 

「何でもかんでも自分のせいにすんな。周りの不始末まで背負うなアホ」

 

 

ウィリアムもルミアにそんな呆れ言葉を送る。

そして、グレンとアルベルトがこの状況を打破するやり取りをする。

グレンがシスティーナに説明しようとした矢先、大勢の傀儡達がついに、雑木林へと踏み込んで来た。

グレンはシスティーナに要点だけを伝え、アルベルトはシスティーナをつれ、グレンはルミア、ウィリアム、リィエル、バーナード、クリストフをつれ、二手に別れた。

 

 

 




······ひどくないと信じたい
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