てな訳でどうぞ
グレン、リィエル、ウィリアム、バーナードがルミアを守るように四方を固め、クリストフはルミアのすぐ傍に付き、学院内の道を、北の方向へとかけていく。
時折、ザイードに操られた人達が襲いかかってくるも、グレンが足を払って転がし、バーナードが手刀で意識を刈り取り、ウィリアムが
クリストフは、事前に張っていた索敵結界に注力し、敵の様子を窺っている。
そして、クリストフの報告で別れたアルベルトとシスティーナは問題なく学院敷地内から脱出したそうだ。
六人はそのまま、北へと進んでいく。
そして……
「西、距離四百メトラ!敵影三、こちらに向かって来ています!!」
「予想通り、来よったかいっ!ルミアちゃんっ!ここでいったん、お別れじゃっ!!」
バーナード、クリストフ、リィエル、ウィリアムの四人は、グレンとルミアから離れ、西に向かって駆けていく。
四人はそのまま、西から迫る脅威へと立ち向かいにいった。
―――――――――――――――
そこは地獄となっていた。
極低温の吹雪が吹き荒れ、超高熱の爆炎が上がり、炎を纏った甲冑騎士がさらに突っ込んで相殺する。
激しく稲光る拳と超重圧の大剣が正面から激突し合う。
炎嵐が渦巻き、それを凍気を纏った甲冑騎士が突撃して弱め―――弱った炎嵐を光の壁が遮蔽する。
四人が迎え撃ったのは、右腕が巨大な鋼の小手となっている《咆哮》のゼト。
壊れた笑みを浮かべ、猛烈な吹雪を纏う《冬の女王》のグレイシア。
そして、最後の一人は―――
「……………………」
「こりゃああああああああ―――っ!何やっとるかぁ!?」
「さらっと油断しやがってぇえええええええ―――ッ!!!」
『魔曲』によって操られたイヴであった。
操られたイヴは容赦なく炎の魔術を振るってくる。
それをウィリアムが凍気を纏った甲冑騎士―――
迫りくる圧倒的な冷気を【
『魔曲』によって彼らは多くの魔術を封じられている。魔術の
ウィリアムは『魔曲』に妨害される前に成立させた【詐欺師の工房】による
ちなみにリィエルは……
「はぁああああああああああ―――ッ!!」
「いいぞ、いいぞぉおおおおおおおおお―――ッ!!!」
·····ゼトと妙な世界を作り上げていた
「んもう♪私とクリストフ様の愛の育みを☆邪魔しないで♪もらます?」
グレイシアはそう言いながら、氷の剣を無数に形成していく。
ウィリアムは右手にドッジボールサイズの謎の球体を錬成し、氷の剣へと投げつけ、さらに
その球体と【
ドゴォオオオオオオンッ!!!!
凄まじい爆炎と衝撃波が上がり、氷の剣を砕き、圧縮されていた凍気も爆発の衝撃波でグレイシアもろとも、彼方後方へと吹き飛ばしていく。
球体の中身には着火すると超高温で燃え上がる燃焼物が圧縮錬成されていたのだ。
その爆発にイヴも巻き込まれ、派手に吹き飛ばされていた。
「ウィル坊!?お主、何やっとるんじゃああああッ!?」
「ちょっとッ!?イヴさんを巻き込んでますよ!?」
「いや、あれくらいなら平気だと思ったし、強い衝撃を与えたら、ひょっとしたら正気に戻る事も期待してやった。後悔は無い」
バーナードとクリストフの文句をシレッと受け流すウィリアム。
そんな何とも言えないやり取りの中―――
「やぁああああああああああああああ―――ッ!!」
「面白い、面白いぞぉおおおおおおお―――ッ!!《戦車》のリィエルぅううううううううう―――ッ!!!!」
リィエルとゼトは変わらず、盛り上がっていた。
リィエルとゼトは互いに一度、距離を取る。
ウィリアムの方へと下がったリィエルはその直後、手に持っていた大剣をゼトに向かって投げ飛ばした。
「ぬんッ!!」
ゼトは苦も無く、大剣を鋼の小手で弾き飛ばす。
ゼトはそのまま、獲物を失ったリィエルに突撃しようとしたが―――
「何!?」
リィエルの両手には、いつの間にか蒼銀に輝く双大剣が握られており、再び力任せに投げ飛ばし、さらに返しで再び、両手に現れた黄金の剣を投げ飛ばす。
猛回転しながら迫る四本の剣をゼトは、最初の二本の蒼銀―――
しかし黄金の剣―――【
「―――くそッ!」
ゼトは電撃を漲らせた拳で【
直後、ゼトの後ろから、先程リィエルが投げ飛ばしたウーツ鋼の大剣を持った【
ゼトは咄嗟にしゃがんでかわすも、【
「いぃいいいいいやぁああああああああああああ―――ッ!!!」
リィエルは何の迷いもなく突撃しており、中に放り出されたウーツ鋼の大剣を再び手に持ち、ゼトへと再び斬りかかる。
「ウィル坊……いつの間にリィエルと打ち合わせておったんじゃ?」
「打ち合わせ?んなもんしてねぇぞ?」
「「…………………」」
ウィリアムの言葉にバーナードとクリストフは言葉を失う。
あの流れるかのような攻撃が完全なアドリブだったからだ。
「……お主ら、いいコンビになりそうじゃの」
「ははは……」
「……褒められてる気がしねぇ」
釈然としないまま、一際大きい幾何学的な羽を有した甲冑騎士―――
バーナードは迫り来る氷の剣をマスケット銃で撃ち落とし、クリストフは
「まったく……今回もぎりぎりじゃわい……」
「最近、キツイ戦闘ばっかだよ……」
「だけど……もうすぐ終わりますよ」
「違いない」
「確かに」
互いに不敵に笑い合い、さらに立ち向かう。
そんな決死の足止めを続けていると―――
「ん?」
「む?」
『魔曲』の音楽が不意に届かなくなり、操られたイヴも動きを止める。
ゼトとグレイシアはその直後、大量の粉塵と吹雪を巻き上げ、収まると二人は既にいなかった。
「漸く、終わったか……」
ウィリアムはその場で嘆息する。
茶番劇はようやく終わった。
――――――――――――――――
ザイードの捕縛は成功した。
グレンが囮となってザイードを誘き出し、街のグレンデル時計塔に登っていたアルベルトが黒魔改【ホークアイ・ピアス】と呼ばれる狙撃魔術で『魔曲』の核たる指揮棒を破壊して無力化、そこをグレンがザイードを殴り飛ばした。
『魔曲』に操られていた人達も我に返り、夢見心地のまま会場へと戻っていく。
前後の記憶があやふやどころか、森にいた事実さえ忘れさせていく『魔曲』の威力は恐ろしいものである。
そんな事でパーティーを中止にできず、土で全身が汚れ、まんまとしてやられたショックからか、放心状態となっているイヴに変わって、バーナードがリゼにある程度事情を話して再開を要請し、リゼも直ぐに事態を把握して了承し、パーティーの再開を急がせる。
……その間にグレンがアルベルトに文句を言っていたが、別にいいだろう。
そんな感じでフィナーレ・ダンスは再開され―――
「ホント、見事なもんだ」
「ん。ルミア、すごくキレイ」
ウィリアムとリィエルはそんな感想を言いながら、グレンとルミアのダンスを見る。
二人がダンス・フィニッシュを決めると、会場から一気に拍手と歓声が沸き上がる。
社交舞踏会は、裏の陰謀を知らぬまま、大盛況でその幕を降ろした。
これにて原作七巻は終了です
次は······(愉悦)
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