やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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相変わらずである
てな訳でどうぞ


六十四話(改)

聖リリィ魔術女学院敷地内にある、広々とした運動場で『魔導戦教練』の授業は行われる。

簡単なルール説明が行われる中、フランシーヌから炎熱系魔術の使用禁止というルールの追加を頼んできた。

 

 

(そういやぁ、先公吹っ飛ばした時も炎熱系統は使ってなかったな……)

 

 

ウィリアムが疑問に感じている間に、グレンはハンデとしてリィエルは攻撃禁止のルールを追加した。

そして、グレンは対戦相手として一番強いであろうフランシーヌ、コレット、ジニーを指名して、模擬戦が始まった。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

結果はこちら側の勝利で終わった。

接戦、善戦ではない。最後まで相手に手玉に取られ続けた、向こうの惨敗、完敗である。

フランシーヌとコレットは地面に這いつくばって打ちひしがれており、彼女達の取り巻きもこの結果に動揺している。

グレンが次の試合を促したら、取り巻き達は一斉に白旗を上げた。

すっかり弱気になった取り巻き達はグレンに言われるまま、フランシーヌとコレットをグレンとウィリアムの前に連れてきて、直ぐ様離れていく。

 

 

「さぁて……約束はちゃ~んと守って貰うぞ……?」

 

「散々うっちゃらかしてくれたしなぁ……?」

 

「「ひぃいッ!?」」

 

 

自信を完膚なきまでに打ち砕かれたフランシーヌとコレットの二人は、すっかり弱気となっている。

そんな弱気の二人にグレンは先程の模擬戦の問題点を指摘していく。

フランシーヌは感情が出過ぎ、コレットは単純すぎると。

グレンは続いて、巻き込んだジニーの戦況判断の悪さも指摘する。

ジニーは『シノビ』の誇り云々と言ってきたので―――

 

 

「アホか。そんな味方の足を引っ張る自惚れ、とっととゴミ箱に捨てとけ。捨てられないなら、山奥で一人でやってろ」

 

 

ウィリアムが容赦なく切り捨てた。おまけに『誇り』を『自惚れ』扱いされ、ジニーは絶句してしまう。

 

 

「実力で勝てないなら、別の手段を考えろ。最善の為じゃなく、単に己の実力を証明するだけの行動……それがシノビのいう『誇り』か?お前自身の『自惚れ』の間違いだろ」

 

 

そんなぐぅの根も出ない正論に、自分が『シノビ』の誇りに泥を塗っていると言われ、ジニーは項垂れてしまう。

グレンは彼女達を見渡し、『魔術』に『使われている』だけの『魔術使い』のチンピラと言い切り、短い期間だが『魔術師』のなんたるかくらいは教えると告げる。

そんなグレンに彼女達は心酔し……

 

 

「わたくし達に教えを……」

 

「私達を指導してくれ……」

 

「『白百合会』で!」

「『黒百合会』で!」

 

 

フランシーヌとコレットは、何か決定的に食い違った言葉を放つ。

再び、彼女達の間に剣呑な空気が流れ、火花が飛び散った瞬間―――

 

 

「いたぁッ!?」

 

「てぇッ!?」

 

 

頭上から金属の鍋らしきものが彼女達に落ちてきて、ぶつかった衝撃による痛みから、頭を抑えて蹲る。

その場で蹲った彼女達に、錬成して落とした張本人であるウィリアムが、にこやかな顔で近づいて行く。

 

 

「どっちが相応しいとか言ってる暇があるなら、全員、レーンの先公の授業を素直に受けろ。俺から言わせりゃ、どっちも同じだ」

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

「返事はッ!?」

 

「「「「「「は、はぃいいいいいいい―――ッ!!!」」」」」」

 

 

ウィリアムから発せられていた雰囲気に呑まれていた彼女達は直立不動で、素直に返事を返した。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

あの模擬戦から数日たった昼頃。

本日も『白百合会』と『黒百合会』、システィーナとルミアによるグレン争奪戦が没初しかけたが―――

 

 

「ケンカなら、他・所・で・や・れ」

 

 

ウィリアムの怒気全開で笑顔を浮かべた注意と、聞かない相手には錬成した鍋を連続で頭に落とすという物理制裁で、争奪戦を毎回沈めていた。

 

 

「「「「お姉様……ッ!」」」」

 

 

……そんなウィリアムの耳に不穏なセリフは聞こえない。聞こえないのだ。

そんなこんなでグレン達と食堂に向かい、一緒に昼食を食べるのだが、リィエルは別のテーブルで、エルザと一緒に食事している。

 

 

「おい、見ろよ……」

 

「ええ……」

 

 

そんな二人の様子を見たフランシーヌとコレットは何故か安堵している。

フランシーヌとコレットの話によれば、エルザは少し心に問題を抱えているようで、それが原因でみんなから一歩退いて独りでいるそうだ。

だから、エルザがリィエルと仲良くしている事に安堵したそうだ。

そんな二人に、ウィリアムは一歩踏み込んだ質問をする。

 

 

「先日の炎熱系魔術の使用禁止……その辺りが関係しているのか?」

 

 

それに対し、フランシーヌとコレットは―――

 

 

「「…………」」

 

 

無言を貫いた。

 

 

「……大体察した。これ以上は聞かねぇ」

 

 

ウィリアムはそこで詮索は切り上げるも、ある不安が芽生えつつあった。

エルザはおそらく、炎に対して何かしらのトラウマを抱いている。

エルザがもし()()()()()なら、アレがトラウマの原因と見ていい。

だが、本当にあの時の娘なら、リィエルにあんなに親しげに接することは出来ない筈。よくて他所よそしい態度になる筈だ。

ぶっちゃけ、唯の勘違いであって欲しいとウィリアムは思う。

エルザは、リィエルが一人の力で初めて作ろうとしている友達だ。だから、そんな友達を無暗に疑いたくない。

だが、どうしてもエルザがあの時の娘と重なってしまうのだ。

 

 

(あのきな臭いオファーのせいなのかね……)

 

 

ウィリアムは心の中で嘆息しながら、この事は自身の胸中だけに留める事にし、ライ麦パンを口に運んだ。

 

 

 

 

その数日後、ウィリアムはリィエルの様子を見に行く途中で、女性に変身させられた時の異変が起きた為、慌てて持っていた維持薬を再服用し、事なきを得た。

その後、談話室でリィエルがエルザと一緒に勉強している光景を見て、ウィリアムはこの時ばかりは邪魔をしないよう、静かにその場を後にした。

 

 

その頃、グレンは入浴中に変身魔術が解けて元の姿に戻るという事態が起きていた。

 

 

 




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