やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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·····低脳である!!!
てな訳でどうぞ


七十二話(改)

旧下水道の通路を魔術の灯りを頼りに進むグレン。

グレンはあの辺りに旧下水道があると睨み、見事に探し当てていた。

その旧下水道の入り口のマンホールを、黒魔【イリュージョン・イメージ】で隠蔽し、そこに逃げ込む事で警備官達を撒いたのである。

地上―――南地区の倉庫街へと出たグレンは休憩がてら、通信でシスティーナに説明していると―――

 

ガコッ

 

マンホールの蓋が再び動いた。

グレンは慌てて警戒するも―――

 

 

「ようやく合流できた……」

 

 

そう呟きながら出てきたのは、グレンの行動の意図を理解して、旧下水道を通って合流に動いたウィリアムだった。

 

 

「ウィリアムッ!?お前、無事だったのか!?」

 

 

グレンは驚きを露にウィリアムをみやる。

ウィリアムの事はシスティーナから、家が爆破で吹き飛んでおり消息不明の状態だと聞かされていたのだ。

 

 

「なんとかな。危うく自爆テロで吹き飛ぶとこだったけどよ」

 

 

軽口を叩く本人の無事の姿にグレンは安堵の息を洩らす。

セリカもファムが届けた本人からの手紙で、暫く動けないながらも無事である事をグレンは既に把握している。

全員生きている事にグレンは安堵していると―――

 

 

『いやぁ、見事だよグレン!よく切り抜けたね』

 

 

その安堵の心をジャティスの耳障りな声が水を差す。

ジャティスは第二の課題はクリアだと伝え―――

 

 

『そろそろ《詐欺師》もグレンと合流する事も“読んでいた”し、ここからは二人で課題に取り組んでくれ……次の課題の時間が迫ってるからね』

 

 

何かしらの不穏を感じながらも、状況的に従うしかないのだろう。

ウィリアムはグレンと一緒にジャティスが指示した倉庫へと辿り着き、中へと入る。

倉庫内には古びた木箱が山と積まれているが、倉庫の中央には明らかに雰囲気の違う鞄が一つ置かれている。

 

 

『あの鞄を開けてくれ……あれは善意でグレン、君に用意したものなんだ……僕を信じてくれ(トラスト・ミー)

 

 

一応、魔術的対抗策を取ってから鞄を開くと、中には飛針、鋼糸一式、巻物(スクロール)護符(アミュレット)、魔術火薬、魔導士礼服等、武器や防具の数々が、ぎっしりと詰まっていた。

 

 

「これは……どういう……つもりだ……?」

 

『ごめんよ、グレン。君がこれを突きつけられて、怒るのはわかってはいたんだが―――』

 

 

その途端、辺りの空気が鉛のように重く、氷のように冷たくなっていく―――

 

 

『―――わかるだろう?今は、そんな場合じゃない事は』

 

「くっ!?」

 

 

迫り来る圧倒的な存在感に、グレンは大急ぎで鞄の中の装備を身につけ始め、ウィリアムは倉庫の入り口を警戒する。

 

 

『グレン。今の君にそれを押し付けるのは本当は不本意なんだ……だが、()()はそんな生温いことが言える相手じゃない·······君達が彼らを打倒しえたのは、様々な要素が奇跡的にかさなっただけの……ただのまぐれなのだから』

 

 

グレンの準備が終わると同時に、倉庫の扉が開け放たれる。

開け放たれた扉の前には、二人の男が佇んでいた。

その人としての領分を超えた圧倒的な存在感を放つ、ダークコートの男とフードの男は―――

 

 

「なん、だと……!?」

 

「レイク=フォーエンハイムに、フォウル=クラーク……天の智慧研究会、第二団(アデプタス・)地位(オーダー)》――《竜帝》レイクに、第一団(ポータルス・)(オーダー)》――《憑霊》フォウルだと……ッ!?」

 

「「……」」

 

 

グレンとウィリアムの切羽詰まった言葉に、レイクとフォウルは何も反応せず、二人を見据えている。

 

 

「なんでお前達が生きている……ッ!?お前達はあの時、確かに死んだ筈だ……ッ!」

 

「ああ、この目で確認したんだッ!間違えるはずが……ッ!!」

 

 

そんなグレンとウィリアムの言葉を―――

 

 

「我らの前でそんな些事を気にしている場合か?」

 

「貴様達が直視すべき現実は、私達は黄泉から舞い戻り、今はお前達を殺すために、ここにいるということだ」

 

 

レイクとフォウルはぐぅの音も出ない正論で返し、諭される結果となった。

死人が蘇る可能性は、グレンとウィリアムの中では一つしか浮かばない。

だがあれは、シオンの固有魔術(オリジナル)かルミアの『異能』が不可欠の筈―――

そこでウィリアムはバークスの研究を思い出す。

 

 

(……まさか!?いや、それよりも今は、目の前のこいつらだ……ッ!)

 

 

ウィリアムは思考を切り替え、あの事件の後、レイクとフォウルに関する情報を思い出す。

レイクの家は、伝統的にドラゴンの研究を行う魔術師の大家だったようだ。

その過程で、フォーエンハイム家はその血筋に古き竜の血を入れ、禁断の力を手にした。

それが、竜の力を得る代わりに、次第に身も心も暴虐の竜へと成り果てる呪い―――『竜化の呪い(ドラゴナイズド)』である。

そして、フォウルは―――

 

 

「ご丁寧に、ちゃっかり概念存在を『憑依』させてきやがったな……」

 

「……察しがいいな」

 

 

ウィリアムの指摘をフォウルはあっさりと肯定する。

概念存在の召喚には相応の手順と手間、そして維持にはかなりの代償が必要となる。

召喚魔術の中には憑依召喚(ポゼッション)と呼ばれる、己の身に概念存在を降ろす手法がある。しかし、その手法でも真名持ち(ネームド)の存在を憑依顕現させるのは事実上不可能である。

だが、クラーク家には、専用の触媒を使う事で術者自身の肉体と精神の負荷、一歩でも間違えれば概念存在に肉体と精神を乗っ取られるリスクと引き換えに、概念存在の力のみを行使できる秘伝魔術を有していたそうだ。

フォウルはその秘伝魔術―――【(とばり)の道標】と呼ばれる魔術の使い手だったのである。

しかもレイクも、『竜化の呪い(ドラゴナイズド)』の進行を防ぐ三つある封印式―――【竜鎖封印式】の一つを解き、竜の力を顕現させている。

 

 

「さすがに過剰戦力じゃねぇか?」

 

「どっちも精神的に響くのに、そんなもん迂闊に使っていいのかよ?」

 

「構わん」

 

「貴様達はそれに値する人間だ。何の問題もない」

 

 

レイクとフォウルは即答だった。

自分たちはあの時、侮った結果負けたのだからこの選択は当然だと、対峙するグレンとウィリアムにはっきりと告げる。

 

 

「というか、アンタを殺したのは隣にいる奴の筈だが?」

 

「勝手な行動をし、作戦に支障をきたしたのだ。あまつさえ敗北したのだから、我の処遇は当然の結果だ」

 

「「割り切りすぎだろ……」」

 

 

仲違いを狙うも、フォウルの達観した返しにグレンとウィリアムは呆れるしかない。

 

 

「構えろ。貴様達との戦いで、私が目指す世界を見せてくれ」

 

「前回のようにいくとは思わない事だ」

 

「チィ―――ッ!」

 

「―――ッ!」

 

 

グレンは早撃ち(クイック・ドロウ)からのファニング、ウィリアムは【騎士の誇り(ナイツ・プライド)・銃兵】を数体具現召喚し―――

 

 

「《――■■■》」

 

「―――」

 

 

レイクは獣の声に似た人外の言語を呟き、フォウルは右手から黒い稲妻を放出し―――

その倉庫が―――爆光と黒雷と共に、空へと吹き飛んだ。

 

 

 




ザコと思わせての実は強キャラ·····ありの筈!!
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