てな訳でどうぞ
道中、ジャティスからシスティーナの状況を聞かされた。
システィーナはジン=ガニスと交戦し勝利した後、イヴに保護されたとの事。
グレンは自分たちだけでなく、システィーナすら巻き込んだジャティスに憤りを露にするが―――
「万が一の時は
「ジャティス」
グレンが異質に底冷えする声で、ジャティスの言葉を遮る。
「それ以上言ったら……今、ここで……お前を殺す」
「……失言だったね。心から謝罪しよう。申し訳ない」
相変わらずの険悪な雰囲気の中、一行は下水道から地上へと上がる。
上がった先にあったのは、南地区の外れにある古びた商館だった。
ジャティスは何の迷いもなく表玄関へと向かうが……
「……おい」
「ふっ……大分、昔の勘が戻ってきているね?」
ジャティスは背中越しにそう言い、玄関口を開く。
「フハハハッ!お待ちしておりましたぞッ!!」
玄関の先にいたのはブーツにマント、羽根つき帽を被った中年―――両手を広げてブレイクが佇んでいた。
エントランスホールには血の跡がいくつも散らばっており、充満していた血と焼け焦げたかのような匂いからここで何があったか想像がつく。
「ええ!ご想像の通り、この商館にはあの醜い者共がいたのでジャティス殿が掃除をしていましたぞ!!我輩はその後片付けをしておりました!あんな塵どもを放置するのは我輩の『美学』に反しますので!」
「まぁ、関係のない人間もいたようだけど……『正義』の前には必要経費だよ」
ジャティスはそう言い商館の中を歩いていき、ブレイクもそれに追従し、グレンとウィリアムは憤怒を抑えて、ルミアは悲痛な顔をして彼らの後を追っていく。
そして、ジャティスは絨毯の下に隠されていた床板を動かし、地下への階段を露にさせる。
「ここには魔術的な隠蔽も施されていましたが、我輩の前には無意味でしたぞ」
そんなブレイクの自慢を無視して、一行は地下へと降りていく。
辿り着いた小部屋には、巨大な魔術法陣が敷設されており―――
「……なんだ、こりゃ?」
グレンは謎の法陣に戸惑っているが……
「―――」
ウィリアムはその法陣を見て言葉を失っていた。そして絞り出すようにその法陣の正体を口ずさんでいく。
「……嘘だろ……!?なんでここに、【メギドの火】の術式が……ッ!?」
「!?」
ウィリアムの言葉にグレンも驚愕し、急いで法陣のルーンの羅列と術式を追い、目の前の法陣が【メギドの火】―――正式名称、錬金【
「その通りだよ。今からこれをルミアの力を使って
ジャティスはそう告げ、ルミアの『異能』で強化された黒魔儀【イレイズ】で、目の前の法陣を
「《詐欺師》ならすぐに気づいて当然だと“読んでいたよ”。だって君は個人レベルに堕とし込んだ【メギドの火】―――錬金改【マテリアル・ブラスター】を使えるんだからね」
ジャティスがもたらされた言葉にグレンは驚愕の表情でウィリアムを見やり、ウィリアムは苦々しい烈火の瞳でジャティスを睨みつける。
【メギドの火】―――原子崩壊の際に生じる質量欠損による莫大な破壊エネルギーを生み出す、災厄の錬金術。
【マテリアル・ブラスター】は端的に言えば、その【メギドの火】を個人で扱えるよう、大幅に劣化縮小させた錬金術である。
無論、表面上の術式には偽装を施している上、滅多に使えないから普通はその正体にたどり着けない筈だが……
「情報源はテメェか?」
「ええ。その通りですぞ」
ウィリアムはブレイクを睨みつけながら問い質すと、ブレイクはあっさりと肯定した。
ブレイクは【イクスティンクション・レイ】をあの時の戦いでゴーレムに使わせていた。
あの魔術は本来、開発した本人であるセリカとその弟子であるグレンにしか使えない筈だ。にも関わらずブレイクは使えていた。
しかも、誰も知り得ない筈の過去の出来事までブレイクは知っていたのだ。
まるで記憶を覗いているかのように……
そんなウィリアムを尻目に、ジャティスが今フェジテに起きている事―――『急進派』によるルミアを殺す為の自爆テロを説明していき……
「今、この時に限り、利害は一致しているだろう……?ここは一つ、共同戦線と洒落込まないかい?」
ジャティスが善人面をして、共闘の提案をしてくる。
「この計画の首謀者たる『
ブレイクがもたらした情報に三人は再び驚愕する。
都市伝説と呼ばれている、天の智慧研究会幻の最高位階が、このフェジテで暗躍していたというのだから当然の反応といえる。
正直、ジャティス達は気にくわないし、今すぐにでも叩きのめしたい。
だが、ここで争っても長期戦になるのは必須。それでフェジテが滅んだら元も子もない。
そして、この瞬間も刻一刻と滅びのタイムリミットが迫ってきているのだ。
彼らは苦々しい気分でジャティスの共同戦線の提案を呑むこととなった―――
【マテリアル・ブラスター】の元ネタは某お兄様のあの魔法
【メギドの火】とあの魔法は似てると思いません?
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