てな訳でどうぞ
―――アルザーノ帝国魔術学院の中庭にて。
「……なかなかやるな」
真紅に輝く、巨大な魔術法陣の中心で、輝く槍と十字架の印章が入った白き大盾を持った聖騎士装束を纏った壮年―――ラザールはそう言い放つ。
「くっ……」
「……むぅ、まさかこれほどとは……」
ラザールに対峙しているハーレイとツェスト男爵は、酷く疲弊し、ボロボロであった。
この事態に大勢の講師や教授達は戦いを挑んだのだが、ハーレイとツェスト男爵以外は全員、ラザールによって倒されてしまった。
倒された者達は、ツェスト男爵の遠隔転送術で安全地帯に退避させられている為、死人は一人も出ていない。
「《吠えよ炎獅子》―――《集》!」
そんな圧倒的に不利な状況で、ハーレイは【ブレイズ・バースト】を『収束起動』で小さなガラス玉サイズに凝縮し、ラザールに向けて放つも、ラザールが左手に構えた盾によって受け止められる。
小さな赤玉は盾に着弾し爆発するも、着弾地点を中心に七色の光が放たれ、渦巻く熱波が完全に防がれる。
「きっとあの盾は
「それだけでは魔術の範囲攻撃を完全に防げないはず……何か仕掛けがあるはずです」
冷静に状況を分析していく二人にラザールが槍を構えると同時に、ツェスト男爵もステッキを構えるも、ラザールは『攻撃したと錯覚させる』精神支配術は見切ったと告げ、法力がみなぎる槍を振るって衝撃波を放つ。
二人は慌てて【フォース・シールド】を張るも、魔力障壁は衝撃波によってあっさりと破られ、二人は吹き飛ばされる。
その瞬間―――
「《……―――・いざ森羅の万象は須く此処に散滅せよ・遥かな虚無の果てに》―――ッ!!」
ラザールの背後から白い光の奔流―――【イクスティンクション・レイ】が迫ってきた。
「―――なに!?」
ラザールは驚愕しつつも咄嗟に盾をそれに向かって構え、分解消滅の光を受け止める。
ぶつかった瞬間、再び七色の光が放たれ、光の奔流はそのまま勢いを弱めて……消滅した。
「げ!?防いじまうのかよ!?」
「攻撃の無効化とか……すんげえ、めんどくせぇ相手じゃねぇか……」
光の奔流が放たれた、その先に居たのは―――
「まぁ、とりあえず……」
「馬鹿騒ぎは―――終いにしようぜ?」
グレンとウィリアム、ルミアの三人だった。
「見た限り、確かに【メギドの火】の『
「単刀直入に聞くぜ?てめぇが、今回の黒幕か……ッ!?」
拳銃を構えるグレンの問いに対し、ラザールは威風堂々と答える。
「いかにも。この私、天の智慧研究会、
ラザールの名乗りに、あの情報が本当だった事にグレンとウィリアムは苦い顔をする。
そんなグレンとウィリアムに、ハーレイとツェスト男爵は自分達がラザールをなんとかして押さえ込むから、その間に『
だが―――
(あの盾は【イクスティンクション・レイ】を普通に防いでいた……つまり、何かしらの法則で防いでいるという事だ……ッ!)
その法則を見抜かないと、勝負にならない。
まずは、魔力遮断物質たる
(間に合え―――ッ!?)
ウィリアムは左手の《詐欺師の盾》で、その一撃を受け止めようと、二人の間に割って入ろうとするが、それよりも早く、ボロボロのドレスを纏った黄金色の髪の女性―――セリカが、細腕に携えられた蒼銀の剣でその槍を受け止めていた。
さらに―――
「いぃいいいいいやぁああああああああ―――ッ!!!」
ラザールの頭上から、咆哮と共に、リィエルが全身の
ラザールはその一撃を同じように盾で防ぐも、警戒してその場から飛び下がる。
「遅ぇぞセリカ!!」
「よくここにいるってわかったな?」
グレンとウィリアムのそんな物言いに―――
「ったく、相変わらずだな、お前は……」
「ん!怪我が治って探し回ってたら、セリカに会ったから一緒に来た!」
セリカは呆れ気味に、リィエルは実にいつも通りで言葉を返した。
「……本当に大丈夫なんだよな?無理してここに来たわけじゃねぇよな……?」
「大丈夫だ。今の私は、あまり魔術は使えないが……突破口くらいは切り開けるさ」
セリカは自信ありげにそう告げ、
《力天使の盾》はあらゆるエネルギーを吸収し、百パーセントの変換率で光に還元して周囲に拡散する魔力場を自身の周囲に形成するそうだ。
「そんなふざけたもん、どうやって攻略すれば……ッ!?」
「いや、タネさえわかればやりようがあるぜ?」
ウィリアムはそう言い、既に解凍した右手の《魔導砲ファランクス・ミクロ》の銃口をラザールへと構え、セリカも見せつけるように剣をかざして見せる。
「―――そうか!?」
グレンが理解した瞬間、セリカの姿が霞み消え、ラザールの背後から一陣の旋風と共に、血華が上がった。
「―――《駆動》―――《雷精》ッ!!」
ウィリアムも《ファランクス・ミクロ》を起動状態にし、砲身に電撃を迸らせ、グリップの引き金を引き――― 一気に火を吹かせた。
「ぬぅおおおおおおおおおッ!!?」
ラザールは盾を構えるも、
「今だハーレイッ!」
「!?―――《紅蓮の獅子よ》ッ!」
セリカの突然の指示にハーレイは咄嗟に呪文を唱え、超高温の火球を、
火球はラザールの盾へと着弾し、激しい爆発と爆炎が上がる。
爆炎が晴れた先には、先程の呪文によってダメージを負ったラザールがいた。
「
「そういう事だ。私とウィリアムの攻撃に合わせれば他の攻撃も通る」
セリカのその言葉にツェスト男爵は首を捻る。
「しかし、セリカ君はまだしも、ウィリアム君は何故……?」
「数分なら
「なんと!?」
「ウィリアム=アイゼンッ!それは一体どういう事だ!?」
「今はいいだろ?重要なのは、あの野郎に攻撃を通せることだろ?」
「ん!よくわからないけど!セリカとウィルがいれば、あいつを斬れるってこと!?」
「……まぁ、そういう事だ」
相変わらずのリィエルに、ウィリアムはもはや苦笑いだ。
「ちっ……理屈ではそうだが、我が槍術を前に、そう簡単には―――」
「そう簡単には?」
ラザールの言葉を遮るように、剣の記憶を憑依させた、神速の動きでセリカが斬りかかる。
その間にウィリアムは残りの《詐欺師の盾》を解凍、起動、開放する。
セリカとラザールは激しく剣と槍をぶつけあっていると―――
「いいいいいいいいいいやぁあああああああああああ―――ッ!!」
リィエルが一瞬の隙をつき、ラザールの懐へと飛び込み、大剣を剛閃する。
ラザールはその剛閃を盾で受け止めるも―――
「なぁああああああにぃいいいいいいいい―――ッ!!?」
還元されずに、蹴飛ばされたボールように吹き飛ばされた事にラザールは驚愕する。
リィエルの攻撃が通ったのは、いつぞやでやった、
ラザールは吹き飛ばされながらも、槍を振るい、リィエルに向かって衝撃波を飛ばす。
衝撃波は容赦なく、リィエルに迫るが、間に割って入った《盾》によって、その衝撃波は防がれる。
「悪いが、こっちも絶対防御を持ってるんだよ」
「ちぃ―――ッ!!」
ラザールは地面を削りながら体勢を整え、忌々しげに攻撃を放とうとするも、セリカが割って入って妨害する。
ラザールが押さえ込まれた事で絶好の好機となり、グレンは『
次回はあっちの場面に移ります
イヴのライフは······
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