やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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·····パクリ感丸出しだなぁ······
てな訳でどうぞ


八十二話

長い夜が明けた早朝から、学院にある魔術薬調合室の一室にウィリアムは引き籠り、『ダストの玉薬』を作る為の下準備をしていた。

『ダストの玉薬』は錬金術試薬を調合してできる魔術火薬。

ルーン文字を刻んだ専用の金属薬莢等も同時に作る必要があるため、早々に取りかかればならなかった。

 

 

(まさか……これに頼らざるを得ないとはな……)

 

 

そんなことを思いながら下準備を終え、ウィリアムは調合に必要な試薬の調合に取りかかる。

錬金術的に作り出された、『剥離の粉』と命名した純白の粉、『分解再結晶法』に必須の結合促進触媒。

この二つが、『ダストの玉薬』を作るのに絶対に欠かせない材料である。

昨夜の会議で、グレンの『イヴ・カイズルの玉薬』は確実、ウィリアムの『ダストの玉薬』は可能性として、魔人への対抗手段として可決された。

だから、わかっている。

この『ダストの玉薬』を調合し、使わなければならないことは。

そして、あの時の記憶が呼び起こされる―――

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

「―――完成だ」

 

 

その日、ウィリアムは魔術的隠蔽を施したどこぞの穴蔵で、ルーン文字が刻まれた金属薬莢の弾丸―――『ダストの玉薬』を完成させた。後は、その効力がその通りに発揮するのか、確認するだけだ。

 

 

「にしても……これ、銃弾としては失敗作だよな」

 

 

ウィリアムはそんなことをぼやきながら、『ダストの玉薬』が詰まった金属薬莢の弾丸を《魔銃ディバイド》に装填する。

ウィリアムはそのまま、穴蔵の外―――樹海の中へと出て、周りを見やり、一匹の熊の姿をした魔獣を見つける。

ウィリアムはその魔獣に狙いを定め……

 

 

「《一の追求(セット)》……」

 

 

呪文を唱え、撃鉄を引く。

一瞬だけ、何ともいえない、不吉な魔力が拳銃に胎動する。

ウィリアムはそのまま、魔獣へと向かい―――

 

 

―――……

 

 

『ダストの玉薬』の効力は問題無く機能した。目の前の地面には塵の山がある。その塵は魔獣だったものの塵だ。

これで、敵を殺す―――

 

 

「――え?」

 

 

ウィリアムはその思考に一瞬呆然とし、次第に身体を震わせていった。

思い返せば―――

今までは『守る』ため、『助ける』ために、魔術を学び、力をつけてきた。もう既に人を殺している時点で正義面するつもりは微塵もない。悪党、外道と罵られて当然とさえ考えている。

それでも、尊い意思は存在していた―――だが、『ダストの玉薬』には、それが一切ない。

格上の相手を確実に『殺す』―――ただそれだけの、自身の願いとは真逆の、漆黒の殺意と悪意だけで作り上げた、暗黒の結晶だった。

ウィリアムはその自身に潜んでいた悪意にこの時点で、ようやく気づいたのである。

 

 

「……あ……あぁ……」

 

 

身体を震わせながらも、辛うじて残っていた理性で、一目散に穴蔵の中へと飛び込んでいき―――

 

 

「ぅおげぇええええええ―――ッ!?げほっ!ごぼぁ―――ッ!?」

 

 

拳銃を手放し、堪らず、胃の中身を吐き出す。

次に襲ってきたのは、凄まじい寒気と恐怖。

これを使って人を殺せば、自分はどうしようもない『外道』、『殺人者』へと堕ちて、戻れなくなる。

 

 

「ぁああああああああああああああ―――ッ!?ごほぁあああああああああああ―――ッ!?」

 

 

吐瀉物を撒き散らしながら、その半狂乱の恐慌状態は、丸一日続いた―――

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

「―――ッ」

 

 

思い出した記憶に、手元が狂いそうになるも、辛うじて気持ちを抑え、深く深呼吸をする。

 

 

(落ち着け……落ち着くんだ……)

 

 

作るだけなら大丈夫だと、必死に己に言い聞かせる。二年前まで自戒のために作り、持ち続けていたのだからと、必死に考える。

そんな追い詰められたかのような心情で、必要な材料を作り続け―――

 

ガチャ

 

しばらくして、扉の開く音が聞こえた。そちらを向くと、大量の苺タルトをトレイに載せて持ってきたリィエルがいた。

 

 

「ご飯持ってきた」

 

「……なんで苺タルトばっかなんだ?」

 

 

思わずそう突っ込むも、丁度お昼だったこともあり、素直に一緒に頂くことにする。

 

 

「…………」

 

「……そんなに見つめてどうしたんだ?」

 

「……ウィル、元気なさそうに見えるけど、大丈夫?」

 

「……、……ちょっと疲れているだけだから、大丈夫だ……」

 

 

リィエルの問いに対して、ウィリアムはそんな嘘で返した。

食事を終え、リィエルは調合室を後にし、ウィリアムは作業を再開した―――

 

 

 




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