やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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連続投稿です
てな訳でどうぞ


八十七話

「……クソッ!切りがねぇッ!!」

 

「いいいいいいいやぁああああああ―――ッ!!」

 

 

グレンと拳打と、リィエルの剛閃が、津波のように押し寄せるゴーレム達を蹴散らし―――

 

 

「いけッ!!」

 

「《集え暴風・戦槌となりて・撃ち据えよ》―――ッ!」

 

 

ウィリアムの【騎士の誇り(ナイツ・プライド)・風兵】の突風と【騎士の憤怒(ナイツ・フューリ)】の爆撃に雷加速弾、システィーナの【ブラスト・ブロウ】がさらにゴーレム達を吹き飛ばし、砕いていく。

 

 

「くそったれッ!!完全な消耗戦じゃねぇかッ!」

 

「まったくだッ!!どこまで行けばいいんだッ!?ド畜生ッ!」

 

 

グレンとウィリアムは苛立ちげに、果てしなく続く単調な直線通路を睨み付ける。

ゴーレム自体は大した強さではないが、ゴールが見えずずっと戦い続ければ、長くは保たない。

 

 

「飽きた」

 

「おそらく空間が歪んでいるんです……もうどこにも……」

 

「くそっ!」

 

 

苛立ちをぶつけるようにゴーレム達を吹き飛ばしていくも、状況の改善には全く繋がらない。

そんな状況がしばらく続き……

 

 

『……って……ない……!あの子を……ッ!?』

 

『お……を……ようと……あ……悲しそう…顔でッッッ!!』

 

 

不意に、誰かの声が聞こえ、一同は動きを止める。

そのまま、耳を澄ませると……

 

 

『ルミアァアアアアアアアアア―――ッ!!!負けるなぁああああああああ―――ッ!!!』

 

『また、皆で一緒に、学院に通いましょうッ!!』

 

『絶対、生きて帰ってこぉおおおおおおおおおい―――ッ!!!!』

 

 

聞こえない筈の、地上にいる生徒達の、ルミアを応援し、帰りを待っている叫びが聞こえてきた。

そして―――

 

 

『嫌だッ!自分を失いたくないッッッ!!!帰りたい……大好きな皆がいるあの学院に帰りたいよッッッ!!!!!!』

 

 

ルミアの、本心からの、強烈な思いの声も、届いてきた。

 

 

『……“皆と一緒に生きたい……私が大好きな、優しいこの世界で”―――』

 

 

その願いが聞こえてきた直後、目の前に巨大な『門』が現れ、開いていく。

グレン達は直感的に、あの『門』の向こうの先にルミアがいると感じ、躊躇いなく『門』を潜り、光の道を駆け抜け―――

 

 

「ルミアぁああああああああああ―――ッ!!!」

 

「悪い、遅くなったッ!!!」

 

「遅れてごめんッ!!」

 

「後は任せてッ!!」

 

 

グレン、ウィリアム、システィーナ、リィエルの順に光の道を抜け、ルミアと魔人がいる大広間に躍り出て、ルミアを守るように魔人と対峙する。

 

 

『馬鹿な……ッ!?貴様らは次元の狭間に追放したはず……そんな不完全な状態で連れ戻せるはずが……ッ!?』

 

『だから、言ってるでしょう?……人間、舐めすぎだって』

 

 

何故かこの場にいるナムルスが、狼狽える魔人にそう告げる。

 

 

「行くぞッ!システィーナッ!ウィリアムッ!リィエルッ!」

 

「はいッ!」

 

「おうッ!」

 

「んッ!」

 

 

グレンを先頭に彼らは勇ましく身構える。

そんな彼らに、ルミアも、一緒に戦うと言い、両手から黄金の光が溢れ出し、その光が、降り注ぎ―――宿っていく。

 

 

「今の私なら、《王者の法(アルス・マグナ)》を触れずとも、先生達に付与できますッ!!」

 

『なん……だとぉ……ッ!?なぜ……その領域に至れ……ッ!?』

 

 

相変わらず狼狽える魔人に、グレンが火蓋を切るように、壮絶な魔力を宿した拳を振り上げ―――突進していく。

魔人は嘲りながら、正面から拳をぶつけ合うも―――

 

 

『な……ッ!?』

 

 

拳同士は拮抗し―――砕けない。その現実に驚愕する魔人に、同じように突進していたリィエルが、錬成した大剣を剛閃し、魔人を吹き飛ばす。

魔人を吹き飛ばしたリィエルの剣もグレンの拳同様、全く砕けず、曲がってすらいない。

 

 

『一体何がどうなって―――』

 

「これでも喰らっとけッ!!」

 

「《集え暴風・戦槌となりて・撃ち据えよ》―――《打て(ツヴァイ)》ッ!《叩け(ドライ)》ッ!」

 

 

吹き飛んでいく魔人に、ウィリアムとシスティーナが、雷加速弾の連射と【ブラスト・ブロウ】の三連撃で容赦なく打ちのめしていき、滑稽な人形のように踊り狂わせる。

さらにグレンとリィエルがそんな魔人に追撃し、一方的に押さえ込んでいく。

そして、頭上に展開されている地上の映像も、地上制圧の切り札である巨人ゴーレムが、まだ動ける学院の教師と生徒、特務分室メンバー達の反撃によって同様に動きを押さえ込まれている。

 

 

『オノレェエエエエエエエエエエエ―――ッ!!!』

 

 

魔人は苛立ちげに黒い斬撃を放つが、既に開放、浮遊状態に起動していた《詐欺師の盾》によって容易く防がれる。その隙をつき、魔人は後ろへと跳び下がり、グレン達と距離を取る。

 

 

『何故だッ!?私は人間共など歯牙にもかけぬ至高の存在になった筈だ!!なのに何故、ここまで食い下がられる!?私には禁忌教典(アカシックレコード)を―――真なる神を大導師様に捧げる、崇高なる使命があるのだッ!!!その邪魔をするなァアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!!』

 

「テメェのいうそれが何なんかはさっぱりだけどよ……」

 

「馬鹿騒ぎは……これで終いだ」

 

 

グレンとウィリアムは、肩を並べるように、狂乱する魔人の正面に向き直り、互いに拳銃を抜く。

そして、グレンは両手で握って頭上に掲げ、ウィリアムは右手でぶら下げたまま、とある呪文を同時に唱えながら、親指で撃鉄を引いた。

 

 

「《0の専心(セット)》……」

「《一の追求(セット)》……」

 

 

それぞれの拳銃に、何ともいえない魔力が胎動する。

 

 

『……なんだ、それは?』

 

「あんたをぶっ倒す、切り札だ」

 

『……私を倒す、だと?……くくくく……通用すると思うのか?この神鉄(アダマンタイト)の身体に』

 

「……どうだか」

 

「やってみなけりゃ、わかんねぇだろ」

 

 

グレンとウィリアムのその言葉を、魔人は虚勢と受け取り、全員この手で皆殺しにしてから、【メギドの火】でフェジテを焼き払うと宣言し、闇の力を高めていく。

だが……

 

 

「なぁんか、相当頭にきてるようだけどよぉ……」

 

「ふざけんなよ?俺の生徒に手を出されて、怒ってるのはこっちの方なんだぜ?」

 

『……ッ!?』

 

 

グレンとウィリアムは不思議な威圧感を放ちながら、銃口を魔人へと向ける。

魔人は、一瞬言葉を失うも、見下したように笑い、闇の闘気を高めていき―――

 

 

『死ねッ!人間んんんんんんん―――ッ!!!』

 

 

神速の動作で、グレンとウィリアムに目掛けて、突進を開始する。

ルミアの《王者の法(アルス・マグナ)》のアシストにより、二人は魔人の動きを捉え、真っ直ぐ突っ込んでくる魔人に、標準を合わせ、引き金を引く。

互いの魔術火薬によって発射された弾丸は、魔人の胸部へと突き進み……

 

カカンッ!

 

 

「「――ッ!?」」

 

 

あっさりと、弾かれる。

 

 

『奢ったな、人間ッッッ!!』

 

 

その結果に、魔人は勝利を確信し、さらに距離を詰めて行く。

距離を詰めていく魔人に、リィエルが大剣を振りかざして飛びかかり、システィーナが【ライトニング・ピアス】を放つも、魔人はあっさりと手刀で弾き返していく。

魔人はそのまま、距離を詰めようとし―――

 

 

「《一の追求(セット)》ッ!」

 

 

ウィリアムが再び呪文を唱えて撃鉄を引き、前に踊り出ている事に気付く。

 

 

『愚かなッ!!』

 

 

魔人はやけくそと判断し、右の手刀を振るおうとして―――気づいた。

ウィリアムの持つ拳銃の銃口から伸びるように、一本の刃があることに。

 

 

「食らっとけ――固有魔術(オリジナル)詐欺師の(ディス)―――」

 

 

そのまま、魔人の右腕と突き出された拳銃の刃の先がぶつかった瞬間―――

 

 

「――騙し討ち(パージョン)】―――ッ!!」

 

 

ウィリアムは引き金を引いた。

すると、信じられない事が起きた。

『ダストの玉薬』に着火した瞬間、拳銃の刃が魔人の右腕に、絶対不滅の神鉄(アダマンタイト)で構成された、その右腕に、()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 

『―――ッ!?!?』

 

 

あり得なざぬその現実に、魔人は驚愕し、その動きを止めてしまう。

硬直する魔人に、いつの間にか魔人に近づいてたグレンは、拳銃を胸部にへと突き立てる。

 

 

『ッ!?』

 

「終わりだ――固有魔術(オリジナル)愚者の(ペネト)―――」

 

 

 

その時、システィーナは気づいてしまった。

グレンが拳銃で―――()()()()で魔人の胸部を突く光景と、ウィリアムが《詐欺師の盾》と銃口から刃が生えた拳銃―――全てを防ぐ碧き盾と、()()()()()()を持っていることに。

彼らはまるで―――

 

 

 

「――一刺し(レイター)】ァアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!!!!」

 

 

裂帛の気迫と共に、グレンは引き金を引く。

『イヴ・カイズルの玉薬』によって発射された弾丸は―――

 

魔人の身体を、まるで幽霊のようにすり抜けていった―――

 

 

 




貫通した理由については次話で
だけど、納得できるかなぁ······?
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